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この稿で扱う数は自然数に限ることにします。
● 双子素数とは
(3, 5), (5, 7), (11, 13), (17, 19), (29, 31), …
のような、2つ違いの素数の組のこと、すなわち
$(n,n+2)$
において、左の数も右の数も素数である組です。2数の間の数は 4以上の偶数なので素数ではありません。
この数の組が無限個あるのかどうかは、現在のところ分かっていません。
● 3つ違いの素数の組は
(2, 5)
しかありません。これ以外の組を
$(n,n+3)$
と表すと、2数のいずれかは 4以上の偶数になるので、素数の組になりません。
● 6つ違いの素数の組で最小のものは
(23, 29)
です。(5, 11), (7, 13), 等は間に素数を挟んでいますので、ダメです。
6つ違いの素数の組のことを sexyな素数と言います。sex とは英語で 6 という意味です。(6 のことを six とも言う。)
文献 [1] p.198 に三つ子素数(2つ違いで連続する 3個の素数の組)の話が出てきます。これは
(3, 5, 7)
しか存在しないのですが、少年院の授業でその話をしたら、院生が自力で証明したというのです。
ただその証明法が同書には記されていないので、その証明を与えようというのが、本稿の目的です。
丸太に $1,2,3,\cdots$ という無限に続く自然数の紐が巻き付けられていると思ってください。(左回りに巻くとします。)
下図で赤丸が素数で、白丸は素数以外( 1 または合成数)です。
偶数は 2以外すべて合成数ですから、白丸はすべて偶数になります。
赤丸に入る数は、6で割って 1, 3 5 余る数です。それを
$6n+1, 6n'+3, 6n''+5$
としましょう。 このうち
$6n'+3=3(2n'+1)$
は 3の倍数になりますが、これが素数であるということは
$2n'+1=1 \Rightarrow n'=0, 6n'+3=3$
です。すなわち赤丸のうち 1個は 3です。よってありうる 3数の組は
$(-1, 1, 3),(1,3,5),(3,5,7)$
ですが、条件を満たすものはただ一つです。
(証明終)
別の証明を与えよう。三つ子素数を $(a,b,c)$ とすると
$b=a+2,c=a+4$
$a=2$ ではありえない。 ($(a,b,c)=(2,4,6)$ だから。)
$a=3$ なら $(a,b,c)=(3,5,7)$ でOKだ。
これ以外の場合を考察する。$a$ は $3$ 以外の奇素数になるから、$3$ の倍数ではありえない。つまり $a \not \equiv 0
(mod.3)$ である。
(ア) $a \equiv 1 (mod.3)$ とすると、$b \equiv 0,c \equiv 2$ となって、$b$ が $3$ 以外の $3$ の倍数で、素数でない。
(イ) $a \equiv 2 (mod.3)$ とすると、$b \equiv 1,c \equiv 0$ となって、$c$ が $3$ 以外の
$3$ の倍数で、素数でない。
結局、$(3,5,7)$ 以外に三つ子素数はない。■
[1] 高橋一雄、瀬山士郎、村尾博司「僕に方程式を教えてください」集英社新書、2022年
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