[婆茶留高校数学科☆HP] Top pageに戻る このページを閉じる 探したい言葉はここへ→
循環小数と循環節の長さ
Copyright (C) virtual_high_school, 2018
§1. 循環小数
§2. 有限小数になる場合
§3. 1/n の場合
§4. 原始根を求める
§5. m/p (10が原始根)の循環節
§6. m/p (10は原始根でない)の循環節
§7. 混循環小数
分数を小数に直すには、分子を分母で割ればよい。割り切れれば有限小数であり、そうでなければ循環小数になる。
上の$\frac{1}{7}$の例ならば、余りは$1,2,\cdots,6$のどれかにならざるを得ず、割り算を繰り返していけばいつかは以前と同じ余りが必ず出るので、そこから以降は循環する。上の場合、小数は$142857$(これを循環節という)の繰り返しとなる。これを
$\frac{1}{7} = 0.\dot{1} 4285 \dot{7}$
と書き、循環節の長さが6であると言う。余りは先述の通り6種類しかないのだから、循環節はこれより長い長さを欲することはできない。
循環小数になる分数でも、
$\frac{1}{3} = 0.\dot{3}$
のように、循環節が非常に短い(長さ=1)ものもある。分母がどんな数だと循環節が長くなるのだろうか。それを述べるのが、本稿の目的だ。
循環小数の話の前に、有限小数になる場合について述べる。
分母を因数分解したとき、$2$または$5$の素数しか含まれていないと、有限小数になる。すなわち、有限小数になる必要十分条件は、分母が
$2^{\alpha} \times 5^{\beta}(\alpha,\beta \geq 0)$
という数になることである。
【例】
$\frac{1}{8} = 0.125$
$\frac{1}{20} = 0.05$
$1/n$において、分母$n$が$2,5$以外の素数を含むときを考察する。この場合は循環小数になるのだが、循環節を最高に長くするためにはどうすればよいだろうか。前述の$\frac{1}{7}$の例で考えてみる。
割り算を繰り返したのだが、商ではなく余りに注目すると
$10 \div 7 = \Box \cdots 3,$
$30 \div 7 = \Box \cdots 2,$
$20 \div 7 = \Box \cdots 6,$
$60 \div 7 = \Box \cdots 4,$
$40 \div 7 = \Box \cdots 5,$
$50 \div 7 = \Box \cdots 1$
となっている。これを$7$を法として合同式で表わしてみると
$10 \equiv 3(mod.7),$
$3 \times 10 \equiv 2(mod.7),$
$2 \times 10 \equiv 6(mod.7),$
$6 \times 10 \equiv 4(mod.7),$
$4 \times 10 \equiv 5(mod.7),$
$5 \times 10 \equiv 1(mod.7)$
これをさらに書き直すと
$10 \equiv 3(mod.7),$
$10^{2} \equiv 2(mod.7),$
$10^{3} \equiv 6(mod.7),$
$10^{4} \equiv 4(mod.7),$
$10^{5} \equiv 5(mod.7),$
$10^{6} \equiv 1(mod.7)$
これは初項が$10$, 公比が$10$の等比数列、すなわち
$10,10^{2},10^{3}, \cdots,10^{e}$
で、第$e$項に至って初めて$\equiv 1$になるものである。そして、余りは、先述した割り算の仕組みにより
$1,2,3, \cdots, n-1$
の$n-1$種類のどれかしかないので、
$e \leq n-1$
である。$e$がめいっぱいの$n-1$であるとき、$10$は法$n$の数系において原始根であるという。
結局、循環節が最大限に長くなって、循環節の長さ=$n-1$となるための必要十分条件は、法$n$の数系において$10$が原始根になることであると、分かる。
原始根については、【「【授業】 整数の話題から」のページ】 の該当箇所を参照。←ここをクリック!