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放物線の面積とカバリエリの原理

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●2次関数のグラフに2本の接線を引けば、下図のように接線の交点(極)と2接点を結ぶ割線(極線)ができる。弓形(赤色)と三角形の残りの部分(青色)と面積の比を求めよ。
     

     
     (詳解は下記)

【問題】 放物線 $C:y=ax^2+bx+c$ に接線を引く。この接線と平行な直線 $l_{0}$ が放物線と 2点で交わるとき、2つのグラフ $C$ と $l_{0}$ で囲まれた図形の面積 $S$ を求めよ。---

接点を $(x_{0},y_{0})$ とし、接線の傾きを $m$ とする。接点が原点に来るように、放物線を平行移動する。移動後の放物線の方程式は、$y$切片が 0で2次の係数が変わらないことから
   $C':y=ax^2+mx$
となる。これの原点における接線の方程式は
   $l':y=mx$
である。(放物線の式と連立して、$y$ を消去したとき $x=0$ を重解に持つことからこれ以外にありえない。)下図の右側を参照せよ。

   

【標準形で考える】
$m=0$ の場合を考える。
原点における接線の平行線 $l_{0}$ (傾き 0) が放物線 $y=ax^2$ と $(x,y)=(\pm h,ah^2)$ なる 2点で交わるとする。求めるべき面積は
   $S=2\int_{0}^{h} (ah^2-ax^2) dx=\frac{4}{3}ah^3$
で、これは 4直線 $x=\pm h,y=0,y=ah^2$ でできる長方形の面積の 2/3 である。さらに言うと、$x=\pm h$ における 2つの接線 $l_{1},l_{2}$ は
   $l_{1}: y= 2ah(x - h)+ah^2= 2ahx -ah^2$
   $l_{2}: y=- 2ah(x + h)+ah^2=- 2ahx -ah^2$
だから、2接線はともに点 $(0,-ah^2)$ を通る。この点をという。(2接点を結ぶ直線 $y=ah^2$ を極線という。) 今の場合、極の $y$座標と極線の $y$切片は符号が逆で絶対値が等しい。
結局、面積 $S$ は 4直線 $x=\pm h,y=\pm ah^2$ でできる長方形の面積と比較すればその 1/3 であり、3直線 $l_{1},l_{2},y=\pm ah^2$ でできる二等辺三角形の面積と比較すればその 2/3 である。

【カバリエリの原理を使う】
グラフに、$y=mx$ だけ下駄を履かせても面積はずれるだけで変わらない。それをカバリエリの原理という。
上図の右側を参照してほしい。放物線の方程式は
   $C':y=ax^2+mx$
で、原点における接線は
   $l': y=mx$
で、$x=\pm h$ における 2接線 $l'_{1},l'_{2}$ の方程式は
   $l'_{1}: y=(2ah+m)(x - h)+ah^2 + mh$
   $l'_{2}: y=(- 2ah+m)(x + h)+ah^2 - mh$
で、この直線の $y$切片はいずれも $-ah^2$ だから、極は
   $P=(0,-ah^2)$
で、極線は
   $l'_{0}:y=mx+ah^2$
で、面積 $S$ は、4直線 $x=\pm h,y=mx+ah^2,y=mx-ah^2$ でできる平行四辺形の面積の 1/3 であり、2接線 $l'_{1},l'_{2}$ と極線 $l'_{0}$ でできる三角形の 2/3 である。したがって、下図において赤:青=2:1 となる。
   

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