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続・2次関数の性質

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§0. はじめに

このページは「2次関数の性質」の続編(類題)である。そこで紹介した2次関数の性質をうまく使って、以下の問題を解いてみて下さい。
なお、題材は1999年実施のセンター試験の問題から拾ってきていますが、オリジナルでは穴埋め問題であったところをふつうの問題文に修正しています。


§1. 数Iの問題から

まず、1999年度の数I・Aの本試験の問題を取り上げてみる。

【問題1.1】
$a,b$を自然数とし、2次関数
   $y = x^{2}-4ax+4a^{2}-4a-3b+9 $ ……(1)
のグラフを $C$ とする。このとき、$C$は放物線になるが、その頂点の座標を求めよ。---

ここで、

【性質1】
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ の頂点の $x$座標は
   $x= \frac{-b}{2a}$ ……(2)
である---

という公式を使って、
   $ x= \frac{4a}{2}=2a$
これを代入して
   $y=(2a)^{2}-4a\cdot 2a +4a^{2} -4a -3b+9=-4a-3b+9$
だから、頂点は
   $(2a, -4a-3b+9)$ ……【答】

【問題1.2】
(1) グラフ$C$が$x$軸と交わらないときの$a,b$の値を求めよ。---

頂点の$y$座標が$>0$となればよいから、
   $-4a-3b+9>0 \Leftrightarrow 4a+3b<9$
自然数限定だから小さい方から、$(a,b)=(1,1),(1,2),\cdots; (2,1),\cdots$と順次しらみつぶしに調べれば分かる。より大きい値を入れると、条件からさらに遠くはみ出るからである。
   $a=1,b=1$ ……【答】

【問題1.3】
(2) 2次方程式
   $x^{2}-4ax+4a^{2}-4a-3b+9=0$
が二つの解をもつとする。その二つの解の差が$2\sqrt{11}$であるとき
   $4a+3b,a,b$
の各値を求めよ。---

今度は

【性質2】
放物線 $y=ax^{2}+bx+c$ は、その頂点が新原点になるように、座標軸を平行移動して新しく $X$-$Y$座標系を導入すると、
   $ Y = aX^{2} $
と表現される(係数 $a$ が不変)---

を使う。考えている放物線は頂点を新原点にとれば、$Y=X^{2}$のグラフであることに注意しつつ、下図より
   
頂点は$x$軸より
  $\{ (2\sqrt{11})/2 \}^{2}=11$
だけ下方にある。したがって頂点の$y$座標は
   $-4a-3b+9=-11 \Leftrightarrow 4a+3b=20$ ……【答】
$a,b$は先ほどのように小さい順に調べればよいのだが、$b$は偶数でなければならないと分かるから、
   $b=2 \Rightarrow a=14/4$(ダメ)
   $b=4 \Rightarrow a=8/4=2$
   $b=6 \Rightarrow a=2/4<1$(ダメ)
これ以降は$a$が小さくなりすぎてダメである。よって$a=2,b=4$ ……【答】

【問題1.4】
(3)グラフ $C$ を$y$軸方向に$-3$だけ平行移動し、さらに$x$軸に関して対称移動すると、2次関数
   $y=-x^{2}+8x+1$
のグラフになるとする。このときの$a,b$の各値を求めよ。---

次は「頂点だけ移動して考える」である。頂点は
   $(2a, -4a-3b+9)$
であったから、$y$軸方向に$-3$だけ平行移動すれば点は
   $(2a, -4a-3b+6)$
に移り、$x$軸に関して対称移動すると$y$座標が反転するので
   $(2a, 4a+3b-6)$
これを頂点として放物線を作れば、2次の係数は反転しているので、それは
   $y=-(x-2a)^{2}+4a+3b-6=-x^{2}+4ax-4a^{2}+4a+3b-6$
となる。これを
   $y=-x^{2}+8x+1$
と係数比較して
   $4a=8 \Rightarrow a=2$ ……【答】
   $-4a^{2}+4a+3b-6=3b-14=1 \Rightarrow b=5$ ……【答】


§2. 数IIの問題から

次に、同年度の数II・Bの追試験の問題を解いてみよう。

【問題2.1】
座標平面において、放物線 $y=3x^{2}$ を$C_{1}$ とし、直線 $y=-2x+1$ を $l$とする。
(1) $C_{1}$ と $l$ の交点の $x$座標を求めよ。---

方程式を連立して、
   $3x^{2}=-2x+1 \Rightarrow 3x^{2}+2x-1=(x+1)(3x-1)=0$
よって
   $x=-1,\frac{1}{3}$ ……【答】

【問題2.2】
$a,b$ は実数で、$a \geq 0 $ とし、放物線 $y=-x^{2}+ax+b$ を$C_{2}$とする。$C_{1}$と$C_{2}$は点$P(u,v)$を通り、その点で同じ接線をもつとする。このとき$u,v,b$の各々を$a$で表わせ。
さらに、$l$ が$C_{2}$上にある点$Q$における接線であるときの$a,b$の値と点$Q$の座標を求めよ。---

ここで

【性質3】
$y = ax^{2} +bx +c$ を $x=x_{0}$ において、ベキ展開すると
   $ y= a(x-x_{0})^{2} + (2ax_{0}+b)(x-x_{0}) + ax_{0}^{2}+bx_{0}+c$ ……(5)
である。---

を使えば
   
より
   $C_{1}: y=3(x-u)^{2}+6u(x-u)+3u^{2}$
   $C_{2}: y=-(x-u)^{2}+(a-2u)(x-u)-u^{2}+au+b$
である。ベキ展開でなく

【性質4】
$y = ax^{2} +bx +c$ の $x=x_{0}$ における接線の方程式は
   $y= (2ax_{0}+b)(x-x_{0}) + ax_{0}^{2}+bx_{0}+c $ ……(6)
である。---

を使ってもよく、いずれにせよそれぞれの接線は
   $y=6u(x-u)+3u^{2}$
   $y=(a-2u)(x-u)-u^{2}+au+b$
と分かる。共通接線ということから、傾きと接点が等しくなって
   $6u=a-2u$
   $3u^{2}=-u^{2}+au+b$
だから、
   $u=\frac{1}{8}a$ ……【答】
   $b=4u^{2}-au=4(\frac{1}{8}a)^{2}-a(\frac{1}{8}a)=-\frac{1}{16}a^{2}$ ……【答】
残された$v$は接点の$y$座標だから
   $v=3u^{2}=3(\frac{1}{8}a)^{2}=\frac{3}{64}a^{2}$ ……【答】

「さらに」以降では、$C_{2}$の接線と$y=-2x+1$が一致する。傾きが等しいことから
   $a-2u'=-2 \Rightarrow u'=\frac{1}{2}a+1$
($u'$ はさっきの$u$とは異なるので注意!) 両グラフの接点の$x$座標が$\frac{1}{2}a+1$でこれに対応する$y$座標が等しいから
   $-u'^{2}+au'+b=-2u'+1$
だが、先の答の$b=-\frac{1}{16}a^{2}$は生きているから
   $-(\frac{1}{2}a+1)^{2}+a(\frac{1}{2}a+1)-\frac{1}{16}a^{2}=-2(\frac{1}{2}a+1)+1$
これから
   $a(3a+16)=0 \Rightarrow a=0,-\frac{16}{3}$
だが、$a \geq 0$だったので、$a=0$ ……【答】
よって
   $u'=\frac{1}{2}a+1=1,b=-\frac{1}{16}a^{2}=0$ ……【答】
共通の接点$Q$の座標は
   $(u',-2u'+1)=(1,-1)$ ……【答】

【問題2.3】
$a,b$の値が前問で求めた通りとし、$l,C_{2}$および直線$x=x'$で囲まれた図形の面積を求めよ。ただし$x'$は(1)で求めた$x$座標のうち、整数でない方とする。---

面積については次の性質を使おう。

【性質5】
ベキ展開の式(5)と、接線の方程式(6)の右辺同志の差は
   $ y_{1}-y_{2} = a(x-x_{0})^{2} $
と、$x-x_{0}$ の2乗に比例する。---
【性質8】
放物線とその割線とで囲まれる三日月形の面積 $S$ は、この図形をすっぽりと取り囲む平行四辺形(割線の対辺が接線になる)の面積の $2/3$ である。---

いま$a=b=0$と分かったので
   $l: y=-2x+1$
   $C_{2}:y=-x^{2}$
で接点の$x$座標が$1$で、そこから$x'=\frac{1}{3}$までの「平行四辺形−三日月形」の半分の面積だから
    
上図中の記号で表わすと
   $S=\frac{1}{3} |x-x_{0}|\cdot |a|(x-x_{0})^{2}=\frac{|a|}{3} |x-x_{0}|^{3}$
よって
   $S=\frac{|-1|}{3}|\frac{1}{3}-1|^{3}=\frac{8}{81}$ ……【答】
★もちろん、
   $S=\int_{1/3}^{1} \{ -2x+1-(-x^{2}) \} dx=[\frac{1}{3}x^{3}-x^{2}+x]_{1/3}^{1}=\frac{1}{3}\cdot \frac{26}{27}-\frac{8}{9}+\frac{2}{3}=\frac{8}{81}$
と直に求めてもよい。

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