重ね合わせの原理でグラフを描く
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§1. 重ね合わせの原理
§2. 放物線の接線
§3. 係数の意味
§1. 重ね合わせの原理
関数 $y=f(x)+g(x)$ のグラフを描くには、2つのグラフ、$y=f(x)$ と $y=g(x)$ を重ね合わせればよい。
【問題1】 $y=10+0.8x+0.2x^{2}$ ……(1) のグラフを描け。ただし、
$y=10+0.8x$ (1次関数) ……(2)
$y=0.2x^{2}$ (2乗に比例する関数) ……(3)
もあわせて描くこと。Excel を使え。---
【解】

§2. 放物線の接線
【問題2】 下図を参照して、$y=c+bx+cx^{2}$ のグラフにとって、
直線 $y=c+bx$
は何なのか、答えよ。---
【ヒント】円の場合に似ている。
【解】 $ST=RT$ のとき、$PS=QR$ となる。つまり平行四辺形 $PQRS$ ができる。$ST=RT \rightarrow 0$ とすれば平行四辺形の形を保ったまま、$PS=QR \rightarrow 0$ となるので、割線 $PQ$ が接線 $SR$ に近づくことが分かる。
極限を使って書けば
$\displaystyle \lim_{h \rightarrow 0} \frac{f(h)-f(-h)}{2h} =f'(0)$
また、2次関数の場合は、平均値の定理:
「$\frac{f(b)-f(a)}{b-a} = f'(c)$ なる $c,a<c<b$ が存在する」
における $c$ が必ず
$c=\frac{a+b}{2}$
になるということでもある。
【答】 $x=0$ における接線、または $x=0$ における近似 1次関数のグラフ。■
【問題3】 $y=-0.3x^{2}-0.5x+7$ のグラフ(下図)において $x=0$ における接線を作図せよ。---

【解】$y$ 軸から左右へ等距離行ったところに 2点 $P(h,f(h)), Q(-h, f(-h))$ を取る。

直線 $PQ$ を作図し、それと平行で $y$ 切片 $(0,7)$ を通る直線を引く。■

§3. 係数の意味
【問題4】 $y=ax^{2}+bx+c$ のグラフが下図のようになった。

$a,b,c$ の正負を答えよ。また、$a,b,c$ の意味を答えよ。---
【答】$a>0$ (下に凸だから)、$b>0$ ($x=0$ における接線の傾きが正だから)、$c<0$ ($y$ 切片が負だから)。
$a$ は、下に凸か、上に凸か、と曲がり具合を表わす。絶対値が大きいほど曲がり方が激しい。または、$x=0$ における接線との誤差($x$ の
2乗に比例する)の比例定数(=2次の項の係数)。
$b$ は、$x=0$ における接線の傾きを表わす。
$c$ は、$y$ 切片($y$ 軸との交点の $y$ 座標)を表わす。■
【問題5】 $y=2x^{2}-5x+6$ のグラフについて答えよ。
(1) $x=2$ における接線を作図せよ。
(2) (1)の接線の方程式を求めよ。
(3) (2)で求めた式がホントに接線であることを確認するにはどうすればよいか。---

【解】 (1) $x=2-1=1$ と $x=2+1=3$ における点、すなわち 2点 $(1, 3)$ と $(3,9)$ を直線で結び、その直線と平行で点
$(2,4)$ を通る直線を引けば、それが接線である。
ところで、上に出てきた3点の $y$ 座標は下図のようにして求める。(これを組立除法という。)

(2) 割線の傾きは $\frac{9-3}{3-1} = 3$ だから、接線は
$y-4=3(x-2) \Rightarrow y=4+3(x-2) \Rightarrow y=3x-2$
(3) 2次関数の式と接線の式の差を取ってみよう。
$(2x^{2}-5x+6)-(4+3(x-2))=2x^{2}-8x+8=2(x-2)^{2}$
だから
$2x^{2}-5x+6=4+3(x-2)+2(x-2)^{2}$
2次関数の式から、右辺の2乗に比例する部分 "$2(x-2)^{2}$" をネグれば(無視すれば)、たしかに接線の式 $y=4+3(x-2)$
が出てくる。■
★「ネグレル」はフランス語で無視できるという意味。ネグリジェと語源は同じだ。これを動詞化してネグる、とかネグれるという言葉になる。
★ $y=4+3(x-2)+2(x-2)^{2}$ のグラフは $y=4+3x+2x^{2}$ のグラフを$x$軸の正の方向に $2$ だけ平行移動したものとも見ることができる。
