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【知恵袋から】幾何・計量
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目 次

【問題1】 空間内の異なる3つの直線$l,m,n$と平面$\alpha$について、次の記述は常に正しいか。

【問題2】 メネラウスの定理: $(BP/PC)\cdot( CQ/QA )\cdot(AR/RB)=1$ を証明せよ。---

【問題3】 各辺の長さが1である正四面体の4つの頂点を通る球面の半径を求めよ。---

【問題4】 $AB=\sqrt{3},BC=1,CA=2$ の直角三角形 ABC の内部に点 $P$ があり、$\angle BPC=2\pi/3$ を満たして動く。$AP$ の長さの最小値を求めよ。---

【問題5】 四面体 ABCD の辺 AB, BC, CD, DA 上にそれぞれ点 P, Q, R, S をとる。この4点 P, Q, R, Sが同一平面上にあるとき、$\frac{AP}{PB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CR}{RD} \cdot \frac{DS}{SA}=1$ が成り立つこと

【問題6】 トレミーの定理:円に内接する四角形 $ABCD$ について、$AB \cdot CD+BC \cdot AD=AC \cdot BD$ を証明せよ。---

【問題7】 正三角形 $ABC$ の内部の点 $P$ について、$AP=3,BP=4,CP=5$ のとき、%\triangle ABC$ の面積を求めよ。---

【問題8】 1辺の長さが1の正五角形 $P$ の外接円の面積を $S_{1}$, 内接円の面積を $S_{2}$ とするとき、$S_{2}/S_{1}$ を求めよ。---


「YAHOO! 知恵袋」で筆者が回答したものの中から抜粋しました。

【問題1】 空間内の異なる3つの直線$l,m,n$と平面$\alpha$について、次の記述は常に正しいか。
「$l,m$が$\alpha$に含まれ、$l⊥n,m⊥n$ならば、$n⊥\alpha$である。」---

    

【答】 $\alpha$に含まれる直線$l$と$m$が交わるときは、$l⊥n,m⊥n$とすると、$n$は$\alpha$上の2直線$l,m$と垂直であるから、$n$は$\alpha$と垂直であるが、$l//m$のとき$l⊥n,m⊥n$であっても、$n⊥\alpha$とならない場合があるので、『正しくない』が正解。
【解説】 「$l//m$のときに$l⊥n$だったとしたら$m$と$n$はねじれの位置にあるので、$m⊥n$が成り立つことはありえないのではないでしょうか。」という人がいたが、その
考えは間違いです。「$m⊥n$」とは、ねじれの位置にある直線$m,n$を平行移動させて、同じ平面上にあるようにしてできた2直線$m,n$のなす角が直角であるということですから。

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【問題2】 メネラウスの定理: $(BP/PC)\cdot( CQ/QA )\cdot(AR/RB)=1$ を証明せよ。---

【証明】 補助線として、直線 $l$ に平行で点 C を通る直線を引き、直線 AB との交点を D とする。
   
平行線の定理を使って
   $\frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA} \cdot \frac{AR}{RB} = \frac{BR}{RD} \cdot \frac{DR}{RA} \cdot \frac{AR}{RB} =1$ ■
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【問題3】 各辺の長さが1である正四面体の4つの頂点を通る球面の半径を求めよ。---

【解】 半径を $R$ としよう。球の中心は底面(正三角形 ABC)の重心 G の真上(線分 DG 上)にある。
   

そして、AG の長さは $1/\sqrt{3}$ である。なぜなら、
   $AM=AB \sin 60^\circ=\frac{\sqrt{3}}{2}$
であり、重心は中線を2:1に内分するから、
   $AG=\frac{2}{3} \times \frac{\sqrt{3}}{2}=\frac{1}{\sqrt{3}}$
となるからである。

   

中心 O は DG 上にあるのだが、どこにあるかと言うと DG を(2:1ではなく) 3:1 に内分する点である。ということを知らなくても、次のようにすれば点 O の在処が分かる。
まず
   $DG =\sqrt{1^2-(\frac{1}{\sqrt{3}})^2}=\sqrt{\frac{2}{3}}$
(3:1を知っていれば $R=\frac{3}{4}\times \sqrt{\frac{2}{3}}=\frac{\sqrt{6}}{4}$と分かる)に注意して、$\triangle ADG$ と $\triangle ODM'$ は相似な直角三角形であることから
   $AD:DG=OD:DM' \Rightarrow 1:\sqrt{\frac{2}{3}}=R:\frac{1}{2} \Rightarrow R=\frac{\sqrt{6}}{4}$
【答】 $\frac{\sqrt{6}} {4}$
【別解】 四面体(「正」四面体でなくてよい)の重心は、頂点と底面の重心を結ぶ線分を $3:1$ に内分する点 $G_{0}$ である。同じことであるが、4頂点 A,B,C,D の位置ベクトルをそれぞれ $\vec{a},\vec{b},\vec{c},\vec{d}$ とすれば重心の位置ベクトルは
   $\vec{g_{0}}=\frac{ \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{4}$
である。これを証明しておこう。

【証明】 四面体は均質な物質で充填されているものとする。
   
1つの底面に平行に四面体を薄くスライスする(上図参照)。薄っぺらいスライスされた三角形の重心(質量中心)は、数学におけるふつうの意味での重心と同じである。積み上げられたスライス三角形の重心は、頂点 D と $\triangle ABC$ の重心 G を結ぶ線分上にある。ということは、四面体の重心 $G_{0}$ もこの線分上にあるわけだ。よって
   $\vec{g_{0}}=s \frac{\vec{a}+\vec{b}+\vec{c}}{3} +(1-s)\vec{d}$
である。また、別の頂点と底面のペアを考えれば
   $\vec{g_{0}}=t \frac{\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{3} +(1-t)\vec{a}$
2つの $\vec{g_{0}}$ を等しいとおけば
   $s (\vec{a}+\vec{b}+\vec{c} ) +3(1-s)\vec{d}=t (\vec{b}+\vec{c}+\vec{d} ) +3(1-t)\vec{a}$
   $\{ s- 3(1-t)\}\vec{a}+(s -t)\vec{b}+(s-t)\vec{c} +\{3(1-s)-t\}\vec{d}=\vec{0}$
   $(s -t)(\vec{b}-\vec{a})+(s-t)(\vec{c} -\vec{a})+\{3(1-s)-t\}(\vec{d}-\vec{a})=\vec{0}$
3つのベクトル $\vec{b}-\vec{a}=\vec{AB},\vec{c}-\vec{a}=\vec{AC},\vec{d}-\vec{a}=\vec{AD}$ は1次独立なので、
   $s-t=0,s-t=0,3(1-s)-t=0 \Rightarrow s=t=\frac{3}{4}$
だから、3:1 に内分だと分かる。これで
   $\vec{g_{0}}=\frac{ \vec{a}+\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{4}$
が分かった。■

今、考えているのは正四面体だから、重心と外心は一致する。点 A を原点 O に取って位置ベクトルを考えると、
   $\vec{a}=\vec{AA}=\vec{0},\vec{b}=\vec{AB},\vec{c}=\vec{AC},\vec{d}=\vec{AD}$
だから
   $\vec{g_{0}}=\frac{\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{4}$
であり、外接円の半径 $R$ は、重心と頂点の間の距離 $|\vec{AG_{0}}| = |\vec{g_{0}}|$に等しいから
   $R^2=|\vec{g_{0}}|^2=\vec{g_{0}} \cdot \vec{g_{0}}=\frac{1}{16} (\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}) \cdot (\vec{b}+\vec{c}+\vec{d})$
   $= \frac{1}{16} (|\vec{b}|^2+ |\vec{c}|^2+|\vec{d}|^2+ 2\vec{b}\cdot\vec{c}+ 2\vec{c}\cdot\vec{d}+ 2\vec{d}\cdot\vec{b})$
   $=\frac{1}{16}(1+1+1+2\cos 60^\circ +2\cos 60^\circ+2\cos 60^\circ)=\frac{3}{8}$
よって
   $R=\sqrt{\frac{3}{8}} =\frac{\sqrt{6}}{4}$ ……(答)
ところで、今「重心と外心は一致する」ということを使ったが、これを使いたくないときはさらに $|\vec{BG_{0}}|=|\vec{CG_{0}}|=|\vec{DG_{0}}|=\sqrt{6}/4$ であることを示せばよい。実際、
   $|\vec{BG_{0}}|^2=(\vec{g_{0}}-\vec{b}) \cdot=(\vec{g_{0}}-\vec{b})=(\frac{-3\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{4}) \cdot (\frac{-3\vec{b}+\vec{c}+\vec{d}}{4})$
   $= \frac{1}{16} (9|\vec{b}|^2+ |\vec{c}|^2+|\vec{d}|^2-6\vec{b}\cdot\vec{c}+ 2\vec{c}\cdot\vec{d} -6\vec{d}\cdot\vec{b})$
   $=\frac{1}{16}(9+1+1-6\cos 60^\circ +2\cos 60^\circ-6\cos 60^\circ)=\frac{3}{8}$
$|\vec{CG_{0}}|, |\vec{DG_{0}}|$ についても同様である。
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【問題4】 $AB=\sqrt{3},BC=1,CA=2$ の直角三角形 ABC の内部に点 $P$ があり、$\angle BPC=2\pi/3$ を満たして動く。$AP$ の長さの最小値を求めよ。---

【解】 $\triangle ABC$ は $30^\circ-60^\circ-90^\circ$ の直角三角形であり、$\angle BPC$ を円 $E$ の円周角と考えれば、中心角は $240^\circ$ となり、下図において $\triangle EBC$ は $30^\circ-30^\circ-120^\circ$ の二等辺三角形であると分かる。
   
したがって、$E$ から $BC$ に下ろした垂線の長さは $\frac{1}{2\sqrt{3}}$ で、$EB=EC=\frac{1}{\sqrt{3}}$ となるから、円 $E$ の方程式は、$BC$ を $x$軸、$BA$を $y$軸に設定すれば
   $(x- \frac{1}{2})^2 + (y+\frac{\sqrt{3}}{6})^2 = \frac{1}{3}$
であり、点 $P$ はこの円上にある。
よって、$AP$ の最小値は円の中心 $E(1/2, -\sqrt{3}/6)$ と $A(0,\sqrt{3})$ の間の距離から円の半径 $1/\sqrt{3}$ を引いたものになる。
   $AP$ の最小値 $=\sqrt{(\frac{1}{2})^2 +(\sqrt{3}+\frac{\sqrt{3}}{6})^2} -\frac{1}{\sqrt{3}}$
   $=\sqrt{\frac{13}{3}} - \frac{1}{\sqrt{3}}$
   $=\frac{\sqrt{13}-1} {\sqrt{3}}$ ……(答)
【別解】 $\angle PBC=\theta$ とする。正弦定理:
   $\frac{CP}{\sin \theta} =\frac{1}{\sin 120^\circ}$
より、$CP=2 \sin \theta/\sqrt{3}$となる。また、$\angle BCP=180^\circ-120^\circ-\theta$ より $\angle ACP=\theta$ になるので、余弦定理より
   $AP^2 = AC^2+ CP^2 -2 AC \cdot CP \cos \theta$
   $=4+\frac{4}{3}\sin^2\theta -\frac{8\sqrt{3}}{3}\sin \theta \cos\theta$
半角と2倍角の公式: $\sin^2\theta= (1-\cos 2\theta)/2,\sin\theta \cos\theta=(1/2)\sin 2\theta$ を使って
   $AP^2= \frac{14}{3} - \frac{2}{3}(\cos 2\theta+2 \sqrt{3} \sin 2\theta)$
次に単振動(三角関数)の合成を行って
   $AP^2 = \frac{14}{3} - \frac{2\sqrt{13}}{3}\sin(2\theta+\alpha)$
ただし $0<\alpha<\pi/6$ である。$0<\theta<\pi/3$ だから $2\theta+\alpha= \pi/2$ のとき最小になり、そのとき
   $AP^2 = \frac{14-2\sqrt{13}}{3}$
求めるべき最小値は
   $AP =\frac{\sqrt{ 13}-1}{\sqrt{3}} =\frac{\sqrt{13}-1}{\sqrt{3}}$ ……(答)
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【問題5】 四面体 ABCD の辺 AB, BC, CD, DA 上にそれぞれ点 P, Q, R, S をとる。この4点 P, Q, R, Sが同一平面上にあるとき、$\frac{AP}{PB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CR}{RD} \cdot \frac{DS}{SA}=1$ が成り立つことを証明せよ。---

【証明】
   

PQ と SR の交点を T とする。メネラウスの定理から
   $\frac{AP}{PB} \cdot \frac{BQ}{QC} \cdot \frac{CT}{AT}=1$
   $\frac{CR}{RD} \cdot \frac{DS}{SA} \cdot \frac{AT}{CT}=1$
辺々を掛け合わせればよい。 ■
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【問題6】 トレミーの定理:円に内接する四角形 $ABCD$ について、$AB \cdot CD+BC \cdot AD=AC \cdot BD$ を証明せよ。---

【証明】 $\angle BAE=\angle CAD$ となるように、点 $E$ を $BD$ 上にとる。
   
円周角は等しいので $\angle ABE=\angle ACD$ だから、$\triangle BAE$ と $\triangle CAD$ は相似になる。よって
   $AB:BE=AC:CD$
   $AB \cdot CD=AC \cdot BE$
同様に、$\triangle CBA$ と $\triangle DEA$ も相似だから
   $BC:AC=ED:AD$
   $BC \cdot AD=AC \cdot ED$
2つの等式より
   $AB \cdot CD+BC \cdot AD=AC \cdot BE + AC \cdot ED=AC \cdot (BE+ED)=AC \cdot BD$ ■
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【問題7】 正三角形 $ABC$ の内部の点 $P$ について、$AP=3,BP=4,CP=5$ のとき、%\triangle ABC$ の面積を求めよ。---

【解】
上図のように、$AB,BC,CA$ を境に折り返す。$\angle P_{2}AP_{3}, \angle P_{3}BP_{1}, \angle P_{1}CP_{2}$ はいずれも $120^\circ$ である。3つの三角形の面積は
   $\triangle P_{2}AP_{3}=\frac{1}{2} \cdot 3 \cdot 3 \sin 120^\circ=\frac{9\sqrt{3}}{4}$
   $\triangle P_{3}BP_{1}=\frac{1}{2} \cdot 4 \cdot 4 \sin 120^\circ=\frac{16\sqrt{3}}{4}$
   $\triangle P_{1}CP_{2}=\frac{1}{2} \cdot 5 \cdot 5 \sin 120^\circ=\frac{25\sqrt{3}}{4}$
次に余弦定理を使って、次の3辺の長さを求める。
   $P_{2}P_{3}^2= 3^2+3^2-2 \cdot 3 \cdot 3 \cos 120^\circ=27 \Rightarrow P_{2}P_{3}=3\sqrt{3}$
   $P_{3}P_{1}^2= 4^2+4^2-2 \cdot 4 \cdot 4 \cos 120^\circ=48 \Rightarrow P_{2}P_{3}=4\sqrt{3}$
   $P_{1}P_{2}^2= 5^2+5^2-2 \cdot 5 \cdot 5 \cos 120^\circ=75 \Rightarrow P_{2}P_{3}=5\sqrt{3}$
ヘロンの公式で、$s=6\sqrt{3}$ に留意して
   $\triangle P_{1}P_{2}P_{3}=\sqrt{ 6\sqrt{3} \cdot 3\sqrt{3} \cdot 2\sqrt{3} \cdot \sqrt{3} }=18$
これで4つの三角形の面積が計算できたが、それを合計すると $\triangle ABC$ の2倍である。したがって、面積の合計を2で割って
   $\triangle ABC=\frac{1}{2}(\frac{9\sqrt{3}}{4}+\frac{16\sqrt{3}}{4}+\frac{25\sqrt{3}}{4}+18)$
   $=\frac{1}{2}(\frac{25\sqrt{3}}{2}+18)=\frac{36+25\sqrt{3}}{4}$ ……(答)
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【問題8】 1辺の長さが1の正五角形 $P$ の外接円の面積を $S_{1}$, 内接円の面積を $S_{2}$ とするとき、$S_{2}/S_{1}$ を求めよ。---

【解】 内接円と正五角形の接点5個を結んで、小さな正五角形を作る。(下図赤色)
   
中点連結定理より、小さな正五角形の1辺の長さは、元の正五角形の対角線の半分である。1辺 1の正五角形の対角線の長さを $x$ とすれば、面積比は相似比の2乗だから
   $\frac{S_{2}}{S_{1}}=\frac{(x/2)^2}{1^2} =\frac{x^2}{4}$
あとは $x$ の値を求めよう。
   
$\triangle ABE$ と $\triangle FBA$ は相似だから、
   $AB:BE=FB:BA \Rightarrow 1:x=x-1:1$
よって、2次方程式
   $x(x-1)=1,x>0$
を解いて
   $x=\frac{1+\sqrt{5}}{2}$
したがって
   $\frac{S_{2}}{S_{1}}=(\frac{1+\sqrt{5}}{2})^2/4=\frac{3+\sqrt{5}}{8}$ ……(答)

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