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§1. 一般型
§2. 3次の項がない型
§3. 複2次方程式
§4. 相反方程式
§5. 因数定理2回
§6. 演習問題
§7. 入試問題から
4次方程式(実係数)に対し、因数定理を2回使って、
(1次式)×(1次式)×(2次式) …(1)
と因数分解するのは邪道である。なぜならば、4次式は
(2次式)×(2次式) …(2)
と(実係数多項式の積に)因数分解できることは言えるが、(1)のように因数分解しようとすると、複素数係数になる可能性がある。(→「ガウスの代数学の基本定理」参照。)
一般にはタイルで、(2)の形に因数分解することになる。
【問題1】 4次方程式 $x^{4}+x^{3}-5x^{2}+13x-6=0$ を解け。---
(解) 下図のようにタイル図を描く。
←
パラパラまんが
時間はかかるが、試行錯誤的に因数分解できて、
$(x^{2}+3x-2)(x^{2}-2x+3)=0$
だから
$x=\frac{-3 \pm \sqrt{17}}{2},1 \pm \sqrt{2}i$ …(答)
次に、3次の項のない4次方程式(フェラーリ型と呼んでおこう)を解いてみる。(フェラーリが 4次方程式を 3次の項がない方程式に変形して解いたのにちなんだ。)
【問題2】 4次方程式 $x^{4}+2x^{2}+4x+8=0$ を解け。---
(解) 下図のようにタイル図を描けば割と簡単だ。
←
パラパラまんが
タイルを使わない場合は、3次の項が消えるから$a>0$として$(x^{2}+ax+b)(x^{2}-ax+c)$$bc=8$ から
$=x^{4}+(b+c-a^{2})x^{2}+a(c-b)x+bc$ …(3)$(b,c)=(2,4),(-4,-2),(1,8),(-8,-1)$だが、$a(c-b)=4$ より$a=2,(b,c)=(2,4),(-4,-2)$まで絞られ、$b+c-a^{2}=b+c-4=2$ で
$a=2,b=2,c=4$
これでめでたく因数分解できて、
$(x^{2}+2x+2)(x^{2}-2x+4)=0$
だから
$x=-1 \pm i, 1\pm \sqrt{3}i$ …(答)
3次の項だけでなく、1次の項もない (偶数次のみの) 4次方程式が複2次式である。(3)より、$a(c-b)=0$だから、複2次には2つのタイプがあることが分かる。
【問題3】 4次方程式 $x^{4}+3x^{2}-4=0$ を解け。---
(解) 複2次の $a=0$ の例題である。(3)は
$(x^{2}+b)(x^{2}+c)=x^{4}+(b+c)x^{2}+bc$
となるから、問題の式は
$ax^{4}+Bx^{2}+C=(x^{2}+b)(x^{2}+c)$
となる。だから、$x^{2}$ をビン詰めまたは缶詰め( $x^{2}=t$ と置き換えること)にすればよいと分かる。いまの場合なら
$x^{4}+3x^{2}-4=(x^{2}+4)(x^{2}-1)$
タイル図でやれば下図。
よって
$x=\pm 2i,\pm 1$ …(答)
$x^{2}=t$と置き換えてもたすき掛けができなければ、平方完成ができる。
【問題4】 4次方程式 $x^{4}+3x^{2}+4=0$ を解け。---
(解) $x^{2}=t$ と置き換えて判別式を計算すると
$D=3^{2}-4 \times 1 \times 4= -7$
で2乗数にならないから、たすき掛けできない。そこで(3)において $b=c$ の場合であると分かり、
$(x^{2}+ax+b)(x^{2}-ax+b)$
の線で考える。これならば問題の式は
$ax^{4}+Bx^{2}+C=(x^{2}+b)^{2}-a^{2}x^{2}$
のように平方完成できる。いまの場合は
$x^{4}+3x^{2}+4=(x^{2}+2)^{2}-x^{2}$
か
$x^{4}+3x^{2}+4=(x^{2}-2)^{2}+7x^{2}$
のいずれかだが、前者になる。(後者を採用すると、複素係数の多項式の積に因数分解され、そのあと2次方程式の解の公式を適用するのが辛くなる。)
結局、
$x^{4}+3x^{2}+4=(x^{2}+x+2)(x^{2}-x+2)$
上のように考えるよりは、タイル図の方がずっと早いだろう。
←
パラパラまんが
よって
$x=\frac{-1 \pm \sqrt{7}i}{2},\frac{1 \pm \sqrt{7}i}{2}$ …(答)
最後に相反方程式 (逆数方程式とも言う) という特殊な型の問題をやってみよう。相反とは係数が左右対称となった方程式、すなわち
$ax^{4}+bx^{3}+cx^{2}+bx+a=0$
の形の方程式である。
【問題5】 4次方程式 $x^{4}-4x^{3} +5x^{2} -4x +1=0$ を解け。---
(解) 両辺を$x^{2}$で割って
$x^{2}-4x +5 -4\frac{1}{x} +\frac{1}{x^{2}}=0$
ここで $x+\frac{1}{x}=t$ と缶詰めにすれば、$x^{2}+\frac{1}{x^{2}}=t^{2}-2$ に注意して
$t^{2}-4t+3=0$
となるから
$(t-1)(t-3)=0$
これより
$t=x+\frac{1}{x}=1,3$
分母$x$を払って
$x^{2}-x+1=0,x^{2}-3x+1=0$
タイルなら簡単。
←
パラパラまんが
$x^2$ で割ったものをタイルでやったのが下図。
だから、解は
$x=\frac{1 \pm \sqrt{3}i}{2}, \frac{3 \pm \sqrt{5}}{2}$ …(答)
冒頭では邪道だと述べたが、因数定理を2回使って、
(4次式)=(1次式)×(3次式)=(1次式)×(1次式)×(2次式)
のように、因数分解するやり方をやってみよう。
【問題6】 4次方程式 $x^4 - 8x^3 + 23 x^2 - 28 x + 12=0$ を解け。---
(解) $x=1$ 代入すれば 0, $x-1$ で割った商に $x=2$ を代入すれば 0 だから、2回割り算をする。
この問題では、最後はたすき掛けになる。
左辺$=(x-1)(x^3-7x^2+16x-12)$
$=(x-1)(x-2)(x^2-5x+6)$
$=(x-1)(x-2)(x-2)(x-3)$
よって解は $x=1,2,2,3$ …(答)
【蛇足】答を $x=1,2,3$ と書いてはならない。どれが重解だか分からないから。
「次の方程式を解け」でもよいのだが、たかだか 2次の多項式の積に因数分解できれば、あとは 1次方程式または 2次方程式の解法に帰着できるから、「次の多項式を因数分解せよ」の問題をしっかり練習しておこう。
【演習問題】 次の多項式を(整数係数の)多項式の積に因数分解せよ。---
【1】 (複2次式)
←
マウスを置くと答が出ます。
【3】 (複2次式)
←
マウスを置くと答が出ます。
解法は上図のパラパラまんがの赤字のように 3通りある。(もちろんファイナル・アンサーは一致するが。)
【4】 (フェラーリ型)
$x^{4} -3x^{2} +14x -12$
(解) 3次の項が打ち消し合わないといけないのが、ヒントになる。
【答】 $=(x^{2} -2x +4)(x^{2} +2x -3)$
【5】 (一般型)
$x^{4} +3x^{3} +9x^{2} +11x +12$
(解) やってみると、なかなかに難しい。
【答】 $=(x^{2} +x +4)(x^{2} +2x +3)$
【入試問題1】 方程式 $x^4-4x^3-16x^2+8x+4=0$ ……@ がある。
(i) $x-\frac{2}{x}=t$ とおくとき、@を $t$ の式で表すと、
$t^2-\Box t-\Box=0$
である。
(ii) @の方程式の解のうち、最も大きなものは $\Box +\sqrt{\Box}$ である。--- [2010 慶應大学」
(解) ノー・ヒントなら、タイル図で
$(x^2-6x-2)(x^2+2x-2)=0$
$x=3\pm \sqrt{11},-1\pm \sqrt{3}$
ここで $\sqrt{3}=1.73$ に注意して、最大解は $3+\sqrt{11}$ と分かる。ヒントに従って解くよりこれの方が速い。
ヒントに従ってやると、
$t^2=(x-\frac{2}{x})^2=x^2+\frac{4}{x^2}-4$ に留意して、原方程式を $x^2$ で割った、
$x^2-4x-16+\frac{8}{x}+\frac{4}{x^2}=0$
より
$(t^2+4)-4t-16=0$,
$t^2-4t-12=0$, …(答)
$(t+2)(t-6)=0$,
$t=x-\frac{2}{x}=-2,6$
解 $x$ が 4つあるが、このうち最大は上図より
$x-\frac{2}{x}=6$,
$x^2-6x-2=0$,
$x=3+\sqrt{11}$ …(答)
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