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相加平均と相乗平均(多変数)

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【1】 相加平均≧相乗平均 の不等式は、2変数でも3変数でも成り立つ。
すなわち、下記の(1), (2)が成り立つ。

$a \geq 0, b \geq 0, c \geq 0$ のとき
$\frac{a+b}{2} \geq \sqrt{ab}$ … (1)
$\frac{a+b+c}{3} \geq \sqrt[3]{abc}$ … (2)

 その証明であるが、

$\sqrt{a}=x,\sqrt{b}=y$ … (3)
$\sqrt[3]{a}=x,\sqrt[3]{b}=y,\sqrt[3]{c}=z$ … (3)

のように置き換えれば累乗根が出てこなくなるので扱いやすい。

$x^2+y^2-2xy=(x-y)^2 \geq 0$

$x^3+y^3+z^3-3xyz=(x+y+z)(x^2+y^2+z^2-xy-yz-zx)$
$=(x+y+z)\{ (x-y)^2+(y-z)^2+(z-x)^2 \}/2 \geq 0$

 上記の2つの不等式が成立することから、(1), (2)が証明できる。

【2】 実は、相加平均≧相乗平均 は、一般に $n$ 変数でも成り立つ。
すなわち、以下の (5) が成り立つ。

$a_{1},\cdots,a_{n} \geq0$ のとき $\frac{a_{1}+\cdots+a_{n}}{n} \geq \sqrt[n]{ a_{1}\cdots a_{n}}$ … (5)
$x_{1},\cdots,x_{n} \geq0$ のとき $x_{1}^n+\cdots+x_{n}^n-n (x_{1}\cdots x_{n}) \geq0$ … (6)

(5) を証明しよう。それには、これと同値な (6) を数学的帰納法で示す。
(6) が成り立つことを仮定し、$n+1$ 変数のときにも成り立つことを言えばよい。
微分法を使って、

$f(x)=(x^{n+1}+x_{1}^{n+1}+\cdots +x_{n}^{n+1})-(n+1)x \cdot x_{1} \cdots x_{n}$
とおく。
$f'(x)=(n+1)(x^{n}-x_{1}\cdots x_{n})$
だから $x=\sqrt[n]{x_{1}\cdots x_{n}}$ のとき最小で、最小値は
$f(\sqrt[n]{x_{1}\cdots x_{n}})$
$=(x_{1}\cdots x_{n})^{(n+1)/n}+x_{1}^{n+1}+\cdots +x_{n}^{n+1}-(n+1)( x_{1} \cdots x_{n})^{(n+1)/n}$
$=x_{1}^{n+1}+\cdots +x_{n}^{n+1}-n( x_{1} \cdots x_{n})^{(n+1)/n}$
$=(x_{1}^{(n+1)/n})^n+\cdots +(x_{n}^{(n+1)/n})^n-n x_{1}^{(n+1)/n} \cdots x_{n}^{(n+1)/n} \geq 0$

よって、$f(x) \geq 0$ となって、(6) が $n+1$ 変数のときにも成り立つことが分かった。

【3】 別証明を考えてみる。(1)はどの高校教科書にも載っている基本的なものなので、これを利用しよう。
4変数なら(1)を繰り返し2回使用して
   $\frac{x_{1}+x_{2}+x_{3}+x_{4} }{4} = \frac{1}{2} ( \frac{x_{1}+x_{2}}{2}+\frac{x_{3}+x_{4} }{2} ) $
   $\geq \frac{1}{2} (\sqrt{x_{1}x_{2}} +\sqrt{x_{3}x_{4}}) \geq \sqrt{\sqrt{x_{1}x_{2}} \sqrt{x_{3}x_{4}} }$
   $= \sqrt[4]{x_{1}x_{2}x_{3}x_{4}}$
が出てくる。これは(1)を2回使ったのであるが、3回、4回、…と使うと、$n=2^{3},2^{4},\cdots$ の場合の不等式が証明される。
次に、$n$が$2^{m}$でない場合の不等式を証明する。例えば$n=6$のときを証明してみる。$n=2^{3}=8$が証明できたとして
   $\frac{x_{1}+x_{2}+x_{3}+x_{4}+x_{5} +x_{6}}{6} = \frac{1}{8} ( \frac{8}{6}x_{1}+ \cdots + \frac{8}{6}x_{6})$
   $=\frac{1}{8} \{ x_{1}+\cdots +x_{6}+\frac{2}{6}(x_{1}+ \cdots + x_{6}) \}$
   $=\frac{1}{8} \{ x_{1}+\cdots +x_{6}+\frac{1}{6}(x_{1}+ \cdots + x_{6})+\frac{1}{6}(x_{1}+ \cdots + x_{6})\}$
ここで
   $A=\frac{1}{6}(x_{1} + \cdots +x_{6}),B=\sqrt[6]{x_{1}\cdot \cdots \cdot x_{6}}$
とおけば
   $A \geq \sqrt[8]{ x_{1} \cdot \cdots \cdot x_{6} \cdot A \cdot A}=\sqrt[8]{ B^{6} A^{2}}$
となる。ここで両辺を$\sqrt[8]{A^{2}}$で割ると
   $\sqrt[8]{A^{6}} \geq \sqrt[8]{ B^{6} }$
最後に両辺を$\frac{8}{6}$乗して
   $A \geq B$

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