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対話=放物線の接線と面積

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§1. 1次と2次の分解・合成
§2. 放物線の接線
§3. ベキ展開
§4. 平行移動
§5. 面積=体積
§6. 放物線と直線で囲まれた図形
§7. 放物線の面積の公式

§1. 1次と2次の分解・合成

先生 $y = 2x^2 + 3x + 4$ のグラフはどうやって描けばいいかな。

かずお 式を変形して、

$y = 2 ( x + \frac{3}{4} )^2 + \frac{23}{8}$

とすれば、描けます。

まなぶ そんな難しいやり方、ボク、習ってないから分からないヨ。

先生 もう少し、素直なやり方はないかな。

かずお ウーン、それなら

$y = (3 x + 4 ) + 2x^2$

という具合に、1次関数の部分2次の項に分けて、考えてみようか。

まなぶ $y = 3x + 4$ のグラフならボクにも描けるヨ。

かずお そのグラフ上の点から真上に $2x^2$ の長さだけ上がったところに点をプロットしていけば、グラフが描ける。
   

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§2. 放物線の接線

先生 完成した放物線と、$y = 3x + 4$ とはどういう関係にあるんだね。

まなぶ 放物線の $x=0$ における接線が、$y = 3x + 4$ のようですね。

かずお 放物線の接線とは、それと共有点を1点しか持たない直線のことでしたから、まなぶ君の言うとおりです。

先生 接線の性質を調べてごらん。

まなぶ それはですね、$x=0$ から左右に $x_{0}$ だけ行った点での、2次関数の値を考えてみると……。

かずお $x = x_{0}$ と $x = -x_{0}$ における値は、それぞれ

$f( x_{0}) = ( 3x_{0}+ 4) + 2x_{0}^2$

と、

$f(-x_{0}) = (-3x_{0}+ 4) + 2x_{0}^2$

になります。

まなぶ 両方とも、直線 $y=3x+4$ より、真上に $2x_{0}^2$ だけ行った点だ。おのおのの点を A, B とすると、直線 AB は直線 $y=3x+4$ に平行です。
   

かずお すると、放物線が具体的に与えられたとき、$x = 0$ における接線を簡単に作図できるネ。

まなぶ ウン。2点

$A(- x_{0}, f(-x_{0}) ),$

$B( x_{0}, f( x_{0}) )$

をグラフ上にとって、この2点を直線で結ぶ。そして、この直線に平行で、点 $(0, f(0))$ を通る直線を引けば、それが接線だ。

先生 では、$x = 0$ でなく、$x = p$ における接線はどうやって作図するのかな。

まなぶ 今のやり方を、真横に平行移動するだけの話ですから、ほぼ同様にできます。2点

$A( p - x_{0}, f(p - x_{0} )),$

$B( p + x_{0}, f(p + x_{0}) )$

をグラフ上にとって、この2点を直線で結ぶ。そして、この直線に平行で、点 $(p, f (p) )$ を通る直線を引けば、それが接線だ。
   

かずお 直線 AB の傾きは

$m = \frac{ f(p + x_{0}) - f(p - x_{0}) }{ 2x_{0}}$

です。作図した接線の方程式を $ m$ を使って表すと

$y = m( x - p ) + f(p)$

です。ここで、放物線の方程式を

$y = f(x) = ax^2+ bx + c$

とすると、

$m = \frac{ a × 4p x_{0} + b \times 2x_{0} }{ 2x_{0}}$

$= 2 a p + b$

となり、接線の式は

$y = (2ap + b)(x - p) + ( ap^2 + bp + c )$


まなぶ これが本当に接線であることを確かめてみます。今の式と

$y = ax^2 + bx + c$

を連立し、$y$ を消去します。それは $x$ についての2次方程式になりますが、それが重解をもつことを言えばよいのです。

かずお 消去すると、

$ax^2 = 2apx -(2ap+b)p + (ap^2+bp)$

で、結局

$ax^2 -2apx + ap^2 = 0$

で、$x = p$ という重解を得ます。

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§3. ベキ展開

先生 今求めた接線の方程式は、ベキ展開することによって求めることもできるんだよ。

かずお どうやるんですか。

先生 $x = p$ のまわりに展開する場合には、$p$ からの位差の式で表したいわけだから、$x - p$ で割ればいいわけだ。

かずお $y = ax^2 +bx +c$ を $x - p$ で割ります。このとき、組立除法を使います。
   
商が $ax+(ap+b)$ で余りは $ap^2+bp+c$ です。

まなぶ すると、

$ax^2 +bx +c = \{ax+(ap+b)\}(x-p) + (ap^2+bp+c)$

だね。

かずお 今出た商をもう一度、$x - p$ で割ります。

$ax+(ap+b) = a(x-p) + (2ap+b)$

と分かります。

まなぶ さっきボクが言った式にこれを代入すれば

$ax^2 +bx +c = a(x-p)^2 + (2ap+b)(x-p)+ (ap^2+bp+c)$

です。

先生 ここで、2次の項 $a(x-p)^2$ を無視すれば接線になるから、接線は

$y = (2ap+b)(x-p) + (ap^2+bp+c)$

さきほど、かずお君が出した式と同じものが出たね。

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§4. 平行移動

かずお 先生、2次関数のグラフで不思議だと感じたのは、

$y = ax^2+ bx+c$

のグラフは、$y = bx+c$ のグラフを上へ

$y = ax^2$

だけ伸ばしたものなので、斜めに傾くのかなと思いきや、平方完成してみるとこの2つのグラフは平行移動で重なり合うことです。

まなぶ つまり

$y = ax^2$

のグラフを平行移動しただけで

$y= ax^2+bx+c$

のグラフに重なるのはなぜか、ってことでしょ。

先生 $+c$ の部分は除いて考えていいね。次に $a$ で割って考えると、

$y = x^2$

のグラフを平行移動して

$y= x^2 + b'x$

のグラフに重なることが分かればいいわけだね。差分表を作ってごらん。

かずお エーと、まず $y = x^2$ の差分表は

$x$

0

1

2

3

4

$x^2$

0

1

4

9

16

$\Delta_{1}$

1

3

5

7

9


先生 2乗数列を差分すると、$1,3,5,7,…$ と奇数列が現れる。これはガリレオが斜面の運動に関して、発見した内容だ。

まなぶ 例として、$b'=-4$ としてみて、$y = -4x$ を差分すると、

$x$

0

1

2

3

4

$-4x$

0

-4

-8

-12

-16

$\Delta_{2}$

-4

-4

-4

-4

-4

差分した値は、係数の $-4 $に等しいです。

先生 さて、2つの式を合成した

$y = x^2 - 4x$

を差分してごらん。

かずお 今求めた2つの差分 $\Delta_{1}$ と $\Delta_{2}$ を足せばいいから、差分表はさっきの差分表を利用して作れます。

$x$

0

1

2

3

4

$x^2$

0

1

4

9

16

$-4x$

0

-4

-8

-12

-16

$x^2-4x$

0

-3

-4

-3

0

というのは、値を足し算した表です。これを見れば、グラフは軸が $x = 2$ の放物線になると分かります。

 次に、差分表を作ってみます。

$x$

0

1

2

3

4

$\Delta_{1}$

1

3

5

7

9

$\Delta_{2}$

-4

-4

-4

-4

-4

$\Delta_{1}+\Delta_{2}$

-3

-1

1

3

5

これが、差分を足し算した表です。

まなぶ 奇数列 $1,3,5,\cdots $の各項に $-4$ を加えたものが、ここで求めるべき差分でした。表の最下行を見れば、奇数列 $1,3,5,\cdots$ が2項ずつシフトしていることが読み取れます。なぜなら、奇数列の公差は 2 だから、$(-4)÷ 2 = -2$ で、2項ずつシフトするのです。

かずお それで、$y = x^2- 4x$ は $y = x^2$ を右へ $2$ だけずらしたものになるんだ!

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§5. 面積=体積

先生 今度は、放物線と直線で囲まれた図形の面積を求めることにしよう。まず、下図の面積はいくらかな。
   

かずお まず、短冊の形に切ります。1つひとつの短冊の面積は、10分割の場合なら、

$0.001, 0.004, 0.009, \cdots, 0.081, 0.100$

のようになります。

先生 体積も同様の考えでできるね。例えば、下図の四角錐の体積は?
   

まなぶ 底面に平行な平面で分割します。例えば、10分割なら、

$0.001, 0.004, 0.009, \cdots, 0.081, 0.100$

です。アレッ、さっきの面積の場合と同じだ。

先生 結局、この立体の体積はいくらだね。

まなぶ 四角錐の体積は、テッペンの頂点をずらして、底面の4つある角のうちのある1つの真上に来るようにすれば、3つ合わせて1つの立方体になります。だから、立方体の体積の 1/3  です。
   

 底面が縦 $a$, 横 $b$ の長方形で、高さ c の四角錐は、今の四角錐を縦、横、高さの方向に $a$ 倍、 $b$ 倍、 $c$ 倍に引き伸ばしたものだから、やはり体積$ abc$ の直方体の 1/3 になります。

先生 すると、

$S=\int_{0}^{h} ax^2 dx$

の値はいくらになるかな。

かずお 底面が縦 $h$, 横 $ah$ の長方形で、高さが $h$ の四角錐の体積のことと考えて、

$S = \frac{ah^3}{3}$

となります。

まなぶ 底面を、1辺 $\sqrt{a} \cdot h$ の正方形だと考えても、いいわけだよネ。

先生 すると、下図の $S$ の面積は、横が $h$ で縦 $ah^2$ の長方形の面積の $\frac{1}{3}$ ということになるね。
   

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§6. 放物線と直線で囲まれた図形

先生 では、次の問題にうつろう。放物線

$y = x^2 - 3x +4$

と、直線

$y = x + 1$

で囲まれた図形、すなわち下図のかげをつけた部分の面積はいくらかな。
   

まなぶ これは、先ほどの接線の問題の応用ですね。2つのグラフの交点を A, B とします。その中点 M の $x$ 座標を求めます。

かずお 2つの式から $y$ を消去して、

$x^2 - 4x + 3 =0$

だから、M の $x$ 座標は解と係数の関係から

$\frac{\alpha + \beta}{2} = 2$

となります。

まなぶ この場合は

$(x - 1)(x - 3) = 0$

と因数分解できるから、$\alpha = 1, \beta = 3$ です。

かずお ともかく、点 M の座標は

$M = ( x_{M}, y_{M} ) = ( 2, 3 )$

です。この点の真下にある放物線上の点 N の座標は

$N = ( x_{N}, y_{N} ) = ( 2, 2 )$

です。 N を通って、直線 $y = x + 1$ に平行な直線、すなわち点 N における接線を引きます。

先生 一般に、

$x= \frac{\alpha + \beta}{2}$

における接線の傾きは、2点 A, B を通る直線の傾きに等しいんだったね。

まなぶ 2点 A, B のそれぞれを通って $x$ 軸に垂直な直線を引きます。これで、平行四辺形ができます。

かずお 平行四辺形の内部で、かげをつけていない部分の面積は、平行四辺形の面積の $\frac{1}{3}$ になる。

まなぶ どうして?

かずお この図形は

$y = x^2 -4x + 3$

$y = 0$

で囲まれた図形に、$y = x + 1$ の分だけ、ゲタをはかせて斜めにしただけだから。

まなぶ なるほど。そうすると、求めるべき面積、すなわちかげのついた部分の面積は、平行四辺形の面積の $\frac{2}{3}$ ということになるね。

かずお 計算すると、

$S =\frac{ 2}{3} \times (\beta - \alpha)×(y_{M} - y_{N}) = \frac{4}{3}$

となる。

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§7. 放物線の面積の公式

先生 これを一般化して、面積の公式が作れるだろ。

かずお はい。曲線

$y = f(x) = a (x - α)(x - β)$

$(\alpha<\beta )$ が、$x$ 軸と囲む図形の面積を $S$ とします。

   

$x = \frac{\alpha + \beta}{2}$

における接線は $x$ 軸と平行です。この接線と、 $x$ 軸との距離を求めると

$|f(\frac{\alpha+\beta}{2})| = |a (\frac{\alpha+\beta}{2}-\alpha )( \frac{\alpha+\beta}{2}-\beta)|$ $= \frac{|a|}{4} (\beta-\alpha)^2$

です。

まなぶ すると、長方形の面積は

$\frac{|a|}{4} (\beta-\alpha)^3$

となり、これの $2/3$ が求める面積だから

$S =\frac{ |a|}{6} (\beta-\alpha)^3$

となります。

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