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放物線下の面積を求める
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【2次関数の積分を導く】
初めに、1次関数の積分を扱う。
上図の斜線部の面積を $\int_{0}^{x} (ax+b)dx$ と書く。台形の面積の公式より
$\int_{0}^{x} (ax+b)dx= \frac{1}{2} (b+ax+b)x = \frac{1}{2} ax^{2} +bx$
…@
となる。
次に問題になるのは2次関数の積分だ。昔の教育課程だと積分の前に数列とその和をやっていたから
$\int_{0}^{1} x^{2} dx= \displaystyle \lim_{n \rightarrow \infty} \displaystyle \sum_{k=1}^{n}
(\frac{k}{n})^{2} \times \frac{1}{n} = \lim_{n \rightarrow \infty} \frac{n(n+1)(2n+1)}{6n^{3}}
= \frac{1}{3}$
と区分求積ができたけど、今はそれができない。後述の【Q1】および【Q2】でその雰囲気だけでも味わってください。
一般論を先に展開して、微分積分の基本定理:
$ \frac{d}{dx} \int_{a}^{x} f(t) dt =f(x)$
から2次関数の積分を導く方法も考えられる。$f(x)$ が単調増加関数なら
$ f(x) \leq \frac{1}{\Delta x} \int_{x}^{x+\Delta x} f(t)dt \leq f(x+
\Delta x)$
で、$\Delta x \rightarrow 0$ とすればよいからそれほど難しくないかも知れない。今回は、微積の基本定理を具体例から帰納的に導くこととした。
その具体例の一つが $x^{2}$ の積分だ。それを求める方法が下の写真だ。
日曜大工の店で売っていたものだが、底面と高さが同一の四角錐と立方体である。前者の体積は後者のそれの1/3になるという事実に依拠して、放物線下の面積を求めることとした。(後述の【Q4】参照。)
【微積分の基本定理を帰納的に導く】
前述の@式と【Q6】により、帰納的に
という関係を導くことができる。この事実を発見したのが若きニュートンである。
基本定理で微分の逆操作をして、公式:
$ \int_{0}^{x} ax^{n} dx = \frac{a}{n+1} x^{n+1}$
を出した後、積分演算子の線型性を具体例から導く。例えば
$ \int_{0}^{x} (3x^{2}+4) dx$
は下図のように分割して考えれば
$ \int_{0}^{x} 3x^{2} dx + \int_{0}^{x} 4 dx$
となることが分かる。
これで高々2次の多項式の積分
$ \int_{0}^{x} (ax^{2}+bx+c) dx = \frac{a}{3} x^{3} +\frac{b}{2}x^{2}
+cx$
が計算できるようになる。グラフが$x$軸より下に行ったら値はどうなるかということもやっておいて、微分積分の基本公式を導く。すなわち
$ \int_{a}^{b} f(x) dx = \int_{0}^{b} f(x) dx - \int_{0}^{a} f(x)dx
= [ F(X)]_{a}^{b}$
となる。実際に定積分を求めるには例えば
$ \int_{2}^{3} (4x^{2} +3x +5) dx = [\frac{4}{3}x^{3} +\frac{3}{2}x^{2}
+5x]_{2}^{3}$
とした後に、線型性を使う。つまり積分演算子の線型性ではなく、引き算演算子(?) $[ \mbox{ } ]_{a}^{b}$ の線型性:
$[ kF(x) +lG(x) ]_{a}^{b}= k[F(x)]_{a}^{b} + l[G(x) ]_{a}^{b}$
を使って、
$=\frac{4}{3}(3^{3} -2^{3}) + \frac{3}{2} (3^{2} -2^{2}) +5(3-2)$
とやる。これを
$=(\frac{4}{3} \times 3^{3}+ \frac{3}{2} \times 3^{2}+5 \times 3) -(\frac{4}{3}
\times 2^{3} + \frac{3}{2} \times 2^{2} +5 \times 2)$
とやろうものなら計算間違いが大量発生して手に負えなくなる。
【放物線の面積(問題)】
【Q1】 放物線 $y=x^{2}$ と$x$軸と縦線$x=1$ で囲まれた図形の面積($S=\int_{0}^{1}x^{2}dx$ と表す)を求めたい。
$x=0$ 〜 $x=1$ の間を10等分(横幅は$dx= \Box$ )し、そこで各々縦線を立てて曲線図形をスライスすると、上図のように@〜Iの10個のスライス長方形ができる。この10個の長方形の和(階段図形)の面積で$S$の値を近似しよう。@〜Iの面積を各々求め、それの合計を計算せよ。
($S$は直角二等辺三角形の面積より小さいから、$S<1/2$ は明らかだが正確にはいくらだろうか、予測しながら計算してみよ。)
(解) スライス長方形10個の合計を$S_{10}$ と表すと
$S<S_{10}= \Box$
【Q2】 10等分ではなく100等分にして、近似値$S_{100}$を求めよ。計算には教科書巻末の$x^{2}$ の表を利用すること。
(答) $S<S_{100}= \Box <S_{10}$
【Q3】 底面が$1 \times 1$ の正方形で、高さが$1$の四角錐の体積$V$ の近似値を、【Q1】の方法(区分求積法という)により求めたい。高さを10等分(分割幅$dx=
\Box$ )し、底面に平行な平面でスライスして、@〜Iのスライス直方体を作り、それらの体積の合計$V_{10}$ を計算せよ。
(解) 例えば、B=$\Box^{2} \times \Box$のようになるから、
$V<V_{10} = $@+A+…+I
(ヒント) 【Q1】と比較してみよ。
【Q4】 前問の体積の真の値$V$を求めよ。
(解) 底面が1辺の長さ1の正方形で高さが1の四角錐の体積 $V$は、それを頂上の頂点が底面の正方形のある頂点の真上に来るように、高さを変えないで移動して作った立体Pの体積と変わらない。(カバリエリの原理という。下図参照。)
立体P(下写真の左側)を$\Box$個合体すると、それと底面と高さが同一の立方体になる。
だから、それを右側の立方体の箱の中にスッポリ収めることができる。$V$は対応する立方体の体積を$\Box$ で割って、
$V= \Box <V_{10}$
である。(【Q1】の真の値$S$も分かる。)
【Q5】 $\int_{0}^{h} ax^{2} dx$ は関数$y=ax^{2}$のグラフと$x$軸と縦線$x=h$で囲まれた図形の面積だが、それは底面が面積$ah^{2}$の正方形で高さが$h$の四角錐の体積に等しい。
だから
$\int_{0}^{h} ax^{2}dx = \frac{1}{3} \times ah^{2} \times h = \frac{1}{3}
ah^{3}$
この事実を使って、次の積分の値を求めよ。
(1)$\int_{0}^{4} 3x^{2}dx$
(2)$\int_{0}^{5} 2x^{2}dx$
(3)$\int_{0}^{3} x^{2}dx$
(4)$\int_{0}^{c} ax^{2}dx$
(5)$\int_{0}^{x} ax^{2}dx$ (上端の$x$ と次の$x$とは直接の関係はない。)
【Q6】$\int$ と$dx$ ではさまれた関数を被積分関数という。前問 (5) の答と被積分関数の関係は、どうなっているか。
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