(別解) この問題を次のように考える人もいる。
$x,y,z$の3種類の箱を用意しておいて、7つの括弧から取り出したものをこの箱に仕分けして入れる訳だ。例えば
$ (x,y,z) = (\{4,5,7\},\{1,3\},\{2,6\}) $
という入れ方ができる。これは、カードでなく箱の中の小箱を区別しないことになる。
総数は、積の法則を2回使って
$ _{7}C_{3} \times _{4}C_{2} \times _{2}C_{2} = \frac{7!}{3! 2! 2! }
$
と組合せの積になる。結局、本解と同じになってしまう。■
【いっけん重複組合せ】
(例題7) (投票結果2)
5人の仲間が、海か山か湖かを無記名投票することにした。投票の方法は何通りあるか。---
(本解) {海,山,湖} の3種類から5個取る「重複組合せ」だから
$ _{3}H_{5} = _{3+5-1}C_{5} = 21 $
とやってもよいし、海・山・湖の3つの空箱に、○を5個(白紙のカードを5枚)入れる。そうすると、○5個、仕切り板2枚の「同じものを含む順列」だから
$ \frac{7!}{5! 2!} = 21 $
でもできる。■
(別解) 人間を変数(箱)にしてみる。無記名だから
$ (A, B, C, D, E) = (\mbox{海,海,山,山,湖}) $
は、
$ (A, B, C, D, E) = (\mbox{山,山,湖,海,海}) $
と同じになってしまう。そうなると、すべての割れ方を考えて
$ (5,0,0),(4,1,0),(3,2,0),(3,1,1),(2,2,1) $
となる。(この割れ方に共通しているのは、和が5ということだ。これは不定方程式 $x_{1} + x_{2} + x_{3} = 5$ の非負整数解の個数である。「不定方程式と来たら重複組合せ」というのは合言葉なので、これに気づけば本解が生まれる。)
上の割れ方から計算すると、
$ 3+ 3! + 3! + 3 + 3 = 21 \mbox{ ■} $
【部屋割問題】
ところで、区別・非区別で難しい問題に次のものがある。
(例題8)
$9$人を$3$人ずつに分けて、松の間、竹の間、梅の間に泊まらせる。何通りの方法があるか。
また、$9$人を$3$人ずつのグループに分ける方法は何通りか。---
(解) 9人分の箱を用意する。ここに、松、竹、梅各3枚のカードを入れる。これは「同じものを含む順列」である。だから
$ \frac{9!}{3! 3! 3!} = 1680 \mbox{通り。} $
後半のように、単に3人グループに分けるだけだと、さらに部屋の区別もないものと思えばよいので、松・竹・梅を並べ換える方法の数で割って、
$ \frac{1680}{3!} = 280 \mbox{通り} $
となる。■
後半の解答は、区別をつけないことで同値類が何個ずつできるかを考え、「クラス分けの論理」で割り算をすればよい。
例えば
(松,竹,梅) = ((A,B,C),(D,E,F),(G,H,I))
(松,竹,梅) = ((D,E,F),(A,B,C),(G,H,I))
の2つは、部屋割りとして見ると異なるが、グループ分けとして見ると同じ(同値関係にある)である。
しかし、4人+3人+2人の3グループに分ける問題の場合は、$3!$などで割ったりする必要はない。
【箱とカードの区別・非区別】
箱(変数)を区別する・しないと、箱に入れるカード(変数の取り得る値)の区別・非区別によって、解法はどう変わるか見てみよう。
【分類名のない問題】
上の分類中で「後述する」とした問題を解いてみよう。
(例題9)
オレンジ・ジュースが3本、グレープ・ジュース、アップル・ジュースが各2本ある。ここから5本を選ぶ方法は何通りか。
また、5人の人間に1本ずつ与える方法は何通りか。---
(解)前半が箱を区別しない問題だ。ジュースが各種類とも無尽蔵にあれば
$_{3}H_{5}$
なのだが、そうではない。3種類のジュースへの割れ方は、
$ (3,2,0),(3,1,1),(2,2,1) $
で、これらに3種類のジュースを当てはめていくが、3本取れるのはオレンジに限られる点に注意する。
$ 2! + 1 + _{3}C_{2} = 6 $
が前半の答。
後半の答えは、上の計算式を再利用して
$ \frac{5!}{3! 2!} \times 2! + \frac{5!}{3! 1! 1!} \times 1 + \frac{5!}{2!
2! 1!} \times _{3}C_{2} $
$ = 20+ 20 + 90=130 \mbox{ ■} $