この例題では、どちらの解答でも計算式は同じになる。
(例題4)(数字の順列)
$1,2,3,4,5$の$5$つの数字を使って$3$桁の整数は何個できるか。ただし、同じ数字は$2$度使えない。---
(本解) 百位、十位、一位と書かれた3つの箱に、{1,2,3,4,5} のカードのうちのどれかを重複せずに入れる。5個から3個取って並べる「順列」だから、
$ _{5}P_{3} = \frac{5!}{2!} = 60 \mbox{ ■} $
(別解) 1,2,3,4,5の箱があって、ここに {百,十,一} の3枚のカードを入れる。2つの箱には何も入らないのだが、それをはっきりさせるためにジョーカー(J)のカードを入れよう。結局、
{百,十,一,J,J}
を一列に並べる「同じものを含む順列」となって、
$ \frac{5!}{1! 1! 1! 2!} = \frac{5!}{2!} = 60 \mbox{ ■} $
【いっけん組合せ】
(例題5)(選手の選び方)
$7$人の中から$4$人のレギュラー選手を選ぶ。選び方は何通りか。---
(本解) 空箱を4つ用意する。袋の中には7枚のカード(7人)が入っていて、ここからカードを抜いて箱に入れる。箱は区別しないから「組合せ」になる。
$ _{7}C_{4} = \frac{7!}{4! 3!} =35 \mbox{ ■} $
(別解) 箱を7つ(7人分)用意する。候補者は7人で定数4の選挙を行なう。当選者にはバラの花をつけてあげよう。という訳で、7つの箱に○を4つ、×を3つ入れる「同じものを含む順列」になって、
$ \frac{7!}{4! 3!} = 35 \mbox{ ■} $
【いっけん同じものを含む順列】
次に、「同じものを含む順列」を取り上げる。
(例題6)
$(x+y+z)^{7}$の展開式において、$x^{3}y^{2}z^{2}$の項の係数はいくらか。---
(本解) $(x+y+z)$という同じ式が7つあり、各括弧の中から1つずつ項を出して掛け合わる。そのときできる同類項の個数が、展開式における係数である。
箱を7つ用意して、1番目の括弧の中から$y$を取ったなら、それを1番の箱に入れる、2番の括弧から取ったものは2番の箱に入れる。
このように、1番から7番の箱の中にカードを入れていけば、例えば
$ (1,2,3,4,5,6,7) = (y,z,y,x,x,z,x) $
のように$x,y,z$が番号のついた箱に収まる。だから、「同じものを含む順列」になって、係数は
$ \frac{7!}{3! 2! 2!} = 210 $
である。この事実を「多項定理」といい、上の係数を「多項係数」と言う。■