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場合の数・基本公式

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場合の数を求めるというのは、集合に属する要素の個数を数えることに他ならない。それを数えるには、和の法則と積の法則という2つの原理が重要である。
はじめに、この2つの法則を掲げておこう。

(和の法則) 集合$\Omega$を直和分解(類別=classificationともいう)する。
   $ \Omega= A_{1} \cup A_{2} \cup \cdots \cup A_{k}$, ただし $i \neq j $ のとき $A_{i} \cap A_{j} = \emptyset $
これを
   $ \Omega= A_{1} + A_{2} + \cdots + A_{k} $
と表す。このとき、
   $ \mid \Omega \mid = \mid A_{1} \mid + \mid A_{2} \mid + \cdots + \mid A_{k} \mid $
である。ただし、$\mid X \mid$ は集合$X$に属する要素の個数を表す。---

(積の法則) 積の法則とは、直積空間に属する順序対の個数を求めるときに使う法則である。
$k$個の集合の直積集合
   $ \Omega = A_{1} \times A_{2} \times \cdots \times A_{k} $
に属する要素
   $ ( x_{1}, x_{2}, \cdots , x_{k} ) $
(このとき、$x_{1} \in A_{1},x_{2} \in A_{2}, \cdots , x_{k} \in A_{k}$となっている)の個数は
   $ \mid \Omega \mid = \mid A_{1} \mid \times \mid A_{2} \mid \times \cdots \times \mid A_{k} \mid $
である。---

和の法則と積の法則は、式の形だけ比較するとそっくりなので面白い。

和の法則を一般化すると、次の公式になる。
(和集合の要素数) 和の法則の系として
   $ \mid A \cup B \mid = \mid A \mid + \mid B \mid - \mid A \cap B \mid $
が得られる。また、3つの集合の和集合なら
   $ \mid A \cup B \cup C \mid = \mid A \mid + \mid B \mid + \mid C \mid - \mid A \cap B \mid - \mid B \cap C \mid - \mid C \cap A \mid + \mid A \cap B \cap C \mid $
である。---
4つの集合でも同様の式が成り立つが、こちらはベン図(これを書くのに苦労した。$\Omega$は$2^{4}=16$個の領域に分かれる筈だが、下手に書くと16個にならない。)だけにとどめておく。
   
下図のような美しいデザインのベン図を描いた人もいる。(画像検索でググってみてください。)
   

(補集合に属する要素の個数)
和の法則より
   $\mid U \mid = \mid A \mid + \mid \bar{A} \mid$ ($U$は全体集合)
だから、移項して
   $ \mid \bar{A} \mid = \mid U \mid - \mid A \mid $
となる。「〜でない」ものの数は全体から「〜である」の数を引けばよいのだ。
確率の世界では「余事象」と言うが、集合では「補集合」だ。

参考 【高校生講座:「数え上げの原則」のページ】 ←ここをクリック!


和の法則のところで、同値類に類別するということに触れた。
この考え方で、組合せの式を出してみよう。

(組合せ) $n$ 個から $r$ 個を選んで並べる順列全体の集合を $\Omega$ とすると、積の法則により、その要素の個数は
   $\mid \Omega \mid = _{n}P_{r} $
である。このうち、並べ替えて同じになるものを同一視(順序を無視)したものが組合せである。
同一視された要素たちは集まってひとつのクラス(同値類)を作るが、その同値類の総数が
   $_{n}C_{r}$
である。これを求めるには、
   $ _{n}C_{r} = \frac{_{n}P_{r}}{r!} = \frac{n!}{(n-r)! r!} $
とすればよい。これは「320人の生徒を40人ずつのクラスに分けると、何クラスできるか」という問題と同じ考え方でできる。
   
(同じものを含む順列)
これも考え方は上と同様で、
   $ \frac{n!}{p!q!r! \cdots},n=p+q+r+ \cdots$
という公式が導き出せる。

なお、同値類は例えば小学校でも次のような場面で出てくる。
   $ \frac{3}{1}, \frac{6}{2}, \frac{9}{3}, \cdots $
は分数の形式としては異なるが、いずれも整数 $3$ と同一視できる(同一視するのであって、同じではない)。そして、ここに挙げた分数たちは同値類を形成するが、文字どおり $3$ と値が同じものたちの集まりである。

参考 【高校生講座:「順列・組合せ」のページ】 ←ここをクリック!

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