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【第2-2節】 媒介変数表示(書きかけ)

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【第01講】 パラメータとは
【第02講】 サイクロイド

【第01講】 パラメータとは

パラメータ」は、和訳すると「媒介変数」となる。和訳しても、分かったようで分からない。変数 $x,y,t$ があって、$x,y$ の両者の仲を取り持つ媒酌人のような役を果たすのが $t$ というニュアンスなのだろう。
そもそもは $t$ は time の頭文字だから、平面上の運動を表す $x,y$ が裏で $t$ (=時間) に支配されて動かされているというニュアンスもある。
後者の考えを極端まで推し進めると、この世の動き、運命はすべて神(ラプラスは悪魔と呼んでいるが)によってコントロールされている、ということになる。

具体例を示そう。自由落下(物を持ってる手をそっと離す)は

$y=h_{0}-\frac{1}{2}gt^2$

で表される。ここに、$g$ は重力加速度 $g=9.8[m/sec^2]$ で、$y$ が地面からの高さ($[m]$)、$t$ は手を離してからの時間($[sec]$)、$h_{0} [m]$ は初期位置(=初めの高さである。
ここで2次式だから、物体の運動は放物線になると早合点してはいけない。手から離れた物体は地面に向かって直線運動をするのである。(ただし等速ではない。)
では、何が放物運動かと言うと、放射運動である。地面から斜めに初速 $v_{0} [m/sec]$) で打ち上げられた物体の運動であり、次の連立方程式で表される。すなわち

$\left\{ \begin{array}{l} x=v_{0} \cos \theta_{0} \cdot t\\ y=v_{0} \sin \theta_{0}\cdot t-\frac{1}{2}gt^2 \end{array} \right.$

ここから $t$ を消去すると

$y=v_{0} \sin \theta_{0}\cdot (\frac{x}{v_{0} \cos \theta_{0} } )-\frac{1}{2}g (\frac{x}{v_{0} \cos \theta_{0} } )^2 $
$=\tan \theta_{0}\cdot x-\frac{g}{2 v_{0}^2 \cos^2 \theta_{0} } x^2$

これでやっと $y=Bx-Ax^2$ の形になり、放射運動は放物線を描くことが立証された。

このようにパラメータ表示された連立方程式からパラメータ $t$ を消去するということが多いのだが、消去はいつでも可能な訳ではない。
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【第02講】 サイクロイド

平面曲線をパラメータ表示することがよくある。
まず関数のグラフの場合、すなわち曲線 $y=f(x)$ は

$\left\{ \begin{array}{l} x=t \\ y=f(t) \end{array} \right.$

とすべて書き直すことができるから、あまりパラメータ表示の有難味はない。
役に立つのは

$\left\{ \begin{array}{l} x=f(t) \\ y=g(t) \end{array} \right.$

と表示することができるけど、ここから $t$ を消去して $y=F(x) (x=G(y))$ の形に直せない場合である。
その中で有名なのがサイクロイドという平面曲線(平面上の曲線)だろう。

【蛇足】 パラメータが消去できないとグラフが描けないのでは? というのは杞憂である。$t$ の値を変化させながらそのときどきの $x,y$ の値を求めて(下図対応表)、グラフ用紙にプロットして、描いた点をつなげばよいのだ。


サイクロイドとは、下図のように $x$軸上を滑らないように(空回りしないように)円を転がしたとき、円上の1点が描く軌跡である。(下図は円の半径が 1 の場合)

パラパラまんが

【問題】 半径 $a$ の円 $x^2+(y-a)^2=a^2$ がある。$x$軸上を滑らないように円を $x$ 軸の正の方向に円周の長さ分だけ転がしたときの、円上の点 $(0,0)$ が描く軌跡の方程式を求めよ。---

【解】 下図のように円弧の長さと円の中心の移動距離が等しいから

$\left\{ \begin{array}{l} x=a (\theta-\sin \theta) \\y=a(1- \cos \theta) \end{array} \right.$
ただし $0 \leq \theta \leq 2 \pi$

【蛇足】 先ほどはパラメータは時間のようなものだと言ったが、ここでは角度だ。でも、円が等速円運動(角速度が一定)をしていると思えば、$\theta$ は $t$ に比例するから、どっちでもいい。

上記のサイクロイドを上下さかさまにしたものは、最速降下線としても知られる。

点Aから点Bまで滑る滑り台で最も早く点Bに到着する滑り台はどんな形か? ---の答がサイクロイドだ。これを左右対称にしたものと合体して A-B-A' の図形を作る。Aが大阪で、A' が東京として、地下トンネルを掘る。点Aにボールを入れると重力により落ちて行って、点B(地下 $140km$)を通過した後は慣性により点A' に到達する。その間、9分弱である。しかもエンジンも燃料も必要ない。
これを証明するには、例えば変分法が必要で大学レベルになる。


【問題】 楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ をパラメータ表示せよ。---

【解】 楕円は円を一方向(縦方向)に縮小・拡大したものであった。(→ 数学 C 【第2-1節】 参照。)

半径 $a$ の円上にあり偏角が $\theta$ の点を $P(a \cos \theta,a \sin \theta)$ とする。(上に描いた赤い補助円を楕円の補助円と言う。) 縦方向に $\frac{b}{a}$ 倍に縮小した点を $Q(x,y)$ とすれば

$\left\{ \begin{array}{l} x= a \cos \theta \\ y=\frac{b}{a} \cdot a \sin \theta=b\sin \theta \end{array} \right.$ …(答)
ただし $0 \leq \theta \leq 2 \pi$

【蛇足】 楕円上の点は $\theta$ が時間だと思えば、左回りに1周して、始発点に戻ってくる。このような、始点=終点の曲線を閉曲線と呼ぶ。念のためにパラメータ表示を標準的な楕円の方程式に代入すれば

$(\frac{a \cos \theta}{a})^2+(\frac{b \sin \theta}{b})^2=\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$

でたしかに成り立っている。勘がいい生徒だと、楕円の標準形と三角関数の公式($\cos^2\theta+\sin^2\theta=1$)からパラメータ表示を思いついてしまうかもしれない。


【問題】 双曲線 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ をパラメータ表示せよ。---

【解】 楕円の補助円 $x^2+y^2=a^2$ を流用してみよう。この円上の偏角 $\theta$ の点 $P(a \cos \theta,a \sin \theta)$ において接線を引き、$x$ 軸との交点を $Q$ とし、その真上(真下)にある双曲線上の点がターゲットだ。


$PQ=a \tan \theta$,
$x=OQ=\pm \sqrt{OP^2+PQ^2}=\pm a \sqrt{1+\tan^2 \theta}=\pm \frac{a}{\cos \theta}$
ここで三角関数の公式:$1+\tan^2 \theta=\frac{1}{\cos^2 \theta}$ を使った。双曲線の式を変形して代入すると
$y=\pm b \sqrt{\frac{x^2}{a^2}-1}=\pm b \sqrt{\frac{1}{\cos^2 \theta}-1}=\pm b \tan \theta$
さいごに複号を処理しよう。
(1)$\theta$が第1象限の角のとき $x,y>0$ (2)$\theta$:第2象限のとき $x,y<0$ (3)$\theta$:第3象限のとき$x<0,y>0$ (4)$\theta$:第4象限のとき$x>0,y<0$
と決めれば、複号は不要となって
$\left\{ \begin{array}{l} x= \frac{a}{ \cos \theta} \\ y=b\tan \theta \end{array} \right.$ …(答)
ただし $0 \leq \theta \leq 2 \pi, \theta \neq \frac{\pi}{2},\frac{3\pi}{2}$

【蛇足】 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ という式が恒等式 $\frac{1}{\cos^2 \theta}-\tan^2 \theta=1$ に似ていると気づいたら、このパラメータ表示を思いつくのかもしれない。

次は放物線のパラメータ表示となるが、ああ、アソコを $theta$ と置けばよいか、とやっていっても答は出るが、簡単な式にはならず直したところで役に立たない。角度ではなく別なものをパラメータとするのである。

【問題】 放物線 $y^2=4px$ のパラメータ表示が

$\left\{ \begin{array}{l} x= pt^2 \\ y=2pt \end{array} \right.$

であることを示せ。---

【証明】 放物線上の点を $P(x,y)$ とおき、ここでの接線を $x=ty+b$ とおく。($y=tx+b$ とおいてはいけない。原点における接線が表現できないからである。)

接点の座標は放物線と直線の方程式を連立し、重解を持つとすればよい。直線の式を放物線のそれに代入して

$y^2=4p(ty+b)$,
$y^2-4pty-\cdots=0$
2次方程式の解の公式において、重解ならば $x=\frac{-b}{2a}$ である(√ の部分が0になるから)から、
$y=\frac{4pt}{2}=2pt$
一方、$x$ の方は $x=\frac{y^2}{4p}=\frac{4p^2t^2}{4p}=pt^2$■

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