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焦点と呼ぶ。双曲線 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ を簡単に描く方法は次の通りだ。

  1. 横 $a$, 縦 $b$ の長方形を描く。
  2. この長方形の対角線(漸近線)を描く。
  3. 対角線の長さ $c=\sqrt{a^2+b^2}$ を$x$軸上に取る。これが焦点 $F$ である。
  4. 漸近線に近づくように双曲線を描く。第1象限の出来上がり。
  5. 対称なので、第1象限のグラフを他の象限に写す。
    パラパラまんが

双曲線の接線は、楕円のときのワンワン公式からの類推で想像できる。

【問題】 双曲線 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ 上の点 $(x_{1},y_{1})$ における接線の方程式は $\frac{x_{1}x}{a^2}-\frac{y_{1}y}{b^2}=1$ であることを証明せよ。---

【証明】 2式を連立し、重解を持つことを示せばよい。$y=\frac{b^2}{y_{1}}(\frac{x_{1}x}{a^2}-1)$ を他式に代入して

$\frac{x^2}{a^2}-\frac{b^2}{y_{1}^2}(\frac{x_{1}x}{a^2}-1)^2=1$,
両辺を $a^4y_{1}^2$ 倍して
$(a^2y_{1}^2-b^2x_{1}^2)x^2+2a^2b^2x_{1}x-a^4(b^2+y_{1}^2)=0$
判別式を $D$ とすれば
$D/4=a^4b^4x_{1}^2+a^4(a^2y_{1}^2-b^2x_{1}^2)(b^2+y_{1}^2)$
$=a^4\{ a^2b^2y_{1}^2+a^2y_{1}^4 -b^2x_{1}^2y_{1}^2\}$
ここに $x_{1}^2=a^2(1+\frac{y_{1}^2 }{b^2})$ を代入して
$=a^4 \{ a^2b^2y_{1}^2+a^2y_{1}^4 -a^2(b^2+y_{1}^2)y_{1}^2 \}=0$

連立方程式が重解を持つことが分かった。■

さきの描き方のところで漸近線だと言ったが、それを証明しておこう。

【問題】 双曲線 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ の 漸近線は $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=0$ であることを証明せよ。---

【証明】 因数分解すれば $(\frac{x}{a}-\frac{y}{b})(\frac{x}{a}+\frac{y}{b})=0$ だから、漸近線の方程式を書き直すと

$y=\pm \frac{b}{a}x$

になる。双曲線の方を書き直すと

$y=\pm \frac{b}{a} \sqrt{x^2-a^2}$

だが、グラフの対称性から第1象限だけで漸近することを示せば十分である。2つのグラフの $y$座標の差を調べると

$y_{1}-y_{2}= \frac{b}{a}x -\frac{b}{a} \sqrt{x^2-a^2}$
$=\frac{b}{a}(x-\sqrt{x^2-a^2})$
$=\frac{b}{a} \times \frac{a^2}{x+\sqrt{x^2-a^2}}$
$=\frac{b}{a} \times\frac{a^2/x}{1+\sqrt{1-a^2/x^2}}$
$\rightarrow 0 (x \rightarrow \infty$のとき) ■

【問題】 双曲線において、一方の焦点から発して双曲線に反射した光線はあたかも他方の焦点から発した光線のように見える。これを証明せよ。---

【証明】 楕円のときは三角形の内角の二等分線だったが、今度は外角の二等分線である。

法線と $x$軸との交点を $N$ とするとき、$FN:NF'=FP:PF'$ を示せばよい。双曲線上の点 $P(x_{1},y_{1})$ における法線は

$\frac{y_{1}}{b^2}x +\frac{x_{1}}{a^2}y=1$

だから、

$N=(x_{1}+\frac{b^2}{a^2}x_{1},0) =(\frac{c^2}{a^2}x_{1},0)$

となる。ここで $a^2+b^2=c^2$ を使った。比を求めると、

$FP:PF'=\sqrt{(x_{1}-c)^2+y_{1}^2}:\sqrt{(x_{1}+c)^2+y_{1}^2}$
$=\sqrt{(x_{1}-c)^2+b^2(\frac{x_{1}^2}{a^2}-1)}:\sqrt{(x_{1}+c)^2+b^2(\frac{x_{1}^2}{a^2}-1)}$
$=\sqrt{(a^2+b^2)x_{1}^2-2a^2cx_{1}+a^2(c^2-b^2)}:\sqrt{(a^2+b^2)x_{1}^2+2a^2cx_{1}+a^2(c^2-b^2)}$,
$=\sqrt{c^2 x_{1}^2-2a^2 cx_{1}+a^4}:\sqrt{c^2 x_{1}^2+2a^2 cx_{1}+a^4}$
$=|cx_{1}-a^2|:|cx_{1}+a^2|$

で、一方の比は

$FN:NF'=|\frac{c^2}{a^2}x_{1}-c| : |\frac{c^2}{a^2}x_{1}+c| $

だから、$FN:NF'=FP:PF'$ が言えた。■

反比例 $xy=k$ のグラフは直角双曲線と呼ばれる。でも式の形がここで取り扱った双曲線とは違う。式変形で標準的な形 $\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ に持っていけるかを試してみよう。

【問題】 直角双曲線 $xy=1$ を原点の回りに $-\frac{\pi}{4}$ 回転してしてできる曲線の方程式を求めよ。---

【解】 回転前の旧点を $(x,y)$ (ただし原点からの距離 $r$, 偏角 $\theta$), 回転後の新点を $(X,Y)$ (ただし原点からの距離 $R$, 偏角 $\Theta$) とする。旧点を $-\frac{\pi}{4}$ 回転するのだが、見方を変えれば新点を $\frac{\pi}{4}$ 回転して旧点になると言ってもよい。


$X=R \cos \Theta, Y=R \sin \Theta$,
$x=r \cos \theta=R \cos(\Theta+\frac{\pi}{4})$,
$y=r \sin \theta=R \sin(\Theta+\frac{\pi}{4})$

$xy=1$ に代入すると

$R \cos(\Theta+\frac{\pi}{4}) \cdot R \sin(\Theta+\frac{\pi}{4}) =1$,
$\frac{R}{\sqrt{2}}(\cos \Theta-\sin \Theta) \cdot \frac{R}{\sqrt{2}}(\sin \Theta+\cos \Theta)=1$,
$\frac{R^2}{2}(\cos^2 \Theta-\sin^2 \Theta)=1$,
$\frac{R^2 \cos^2 \Theta}{2}-\frac{R^2 \sin^2 \Theta}{2}=1$,
$\frac{X^2}{2}-\frac{Y^2}{2}=1$

さいごに、文字を小文字に変えて、$\frac{x^2}{2}-\frac{y^2}{2}=1$ …(答)

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【第03講】 放物線

これまでのことを焦点と光線の見地から眺めてみよう。

  1. 楕円では、一方の焦点を発した光線は反射してもう一方の焦点を通過する。光線は$x$軸を発して $x$軸に戻る。
  2. 双曲線では、$x$軸上の焦点を発した光線はけっして $x$軸に戻ってくることはない。
  3. この中間の曲線として、焦点 $F$ からの反射光が $x$軸に平行になるものがありそうだ。それが放物線である。

もし平行光線になる曲線があるとしたら、それからどんなことが導き出せるだろうか。

曲線上の点 $P$ における 接線および法線と $x$軸との交点をそれぞれ $T, N$ とする。入射角=反射角と平行線の錯角から、$\triangle FPN$ は二等辺三角形になる。$PN$ の垂直二等分線は、$F$ を通過し、接線 $PT$ に平行であり、$F$ は $TN$ の中点である。もし、任意の放物線が以上の性質を満たすと仮定するなら、焦点はどこに存在しなければならないだろうか。
放物線の例として、$y=ax^2 (a>0)$ を取り上げよう。

$P(x_{1},y_{1})$ における接線は $y-y_{1}=2ax_{1}(x-x_{1})$, 法線は $y-y_{1}=-\frac{1}{2ax_{1}}(x-x_{1})$ である。これらと $y$軸との交点はそれぞれ

$T=(0,y_{1}-2ax_{1}^2)=(0,-y_{1})$,
$N=(0,y_{1}+\frac{1}{2a})$

ところで $F$ は $TN$ の中点だから

$F=(0,\frac{1}{4a})$

よって、焦点と接点の間の距離 $PF$ は

$PF=NF=FT=(y_{1}+\frac{1}{2a})-\frac{1}{4a}=y_{1}+\frac{1}{4a}$

となり、これは接点の $y$座標に焦点の $y$座標を足したものである。すべての放物線がこの性質を有することを証明するには、逆にこの性質を満足する曲線を求めてみて、それが放物線であればよい。

いままで通り焦点が $x$軸上にあるとしよう。

【問題】 定点 $F(c,0)$ からの距離が、その点の $x$座標に $c$ を加えたものに等しいような点 $P(x,y)$ の軌跡を求めよ。

言い換えれば、$F(c,0)$ との間の距離と $x$軸と直交する直線 $x=-c$ までの距離が等しい点の軌跡である。---

【解】 $\sqrt{(x-c)^2+y^2}=|x+c|$ を変形していく。2乗して

${(x-c)^2+y^2}=(x+c)^2$,
$y^2=4cx$ …(答)

$x,y$ を交換すれば、数学 I で学習した放物線になる。$F(c,0)$ を放物線の焦点と言い、直線 $x=-c$ を放物線の準線と言う。

【問題】 放物線 $y^2=4cx$ 上の点 $(x_{1},y_{1})$ における接線と法線の求め、それらと $x$軸との交点 $T,N$ を求めよ。さらに、焦点を発した光線は反射して $x$軸と平行な光線になることを示せ。---

【解】 $y^2=4cx$ を $x$で微分すれば $2yy'=4c$ だから、

接線: $y-y_{1}=\frac{2c}{y_{1}}(x-x_{1})$
法線: $y-y_{1}=-\frac{y_{1}}{2c}(x-x_{1})$

交点の座標は

$T=(x_{1}-\frac{y_{1}^2}{2c},0)=(x_{1}-2x_{1},0)=(-x_{1},0)$
$N=(x_{1}+2c,0)$

よって、線分の長さは

$TF=c-(-x_{1})=c+x_{1}$,
$FN=(x_{1}+2c)-c=c+x_{1}$

$TF=FN$ で $\triangle FTN$ は直角三角形だから、$F$ が外心になり、$TF=FN=FP$. あとは二等辺三角形の底角が等しいことと入射角=反射角から、錯角が等しくなり、反射光が $x$軸と平行となる。(以前に使った図を逆にたどることになる。)


光の進む方向を逆にすれば、放物線の軸に平行な光線をすべて1点(焦点)に集めることができる。それを利用したのがBSパラボラ・アンテナである。(パラボラが放物線のことで、ちなみに110度とかいうのは人工衛星が浮かんでいる位置の経度のことである。)これを衛星の方向に向けて、衛星からの電波を1点で受信する。
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