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【第01講】 楕円
【第02講】 双曲線
【第03講】 放物線
円をある方向に縮める(引き延ばす)と楕円ができる。
【問題】 円 $x^2+y^2=a^2$ を$y$軸方向に $\frac{b}{a}$ 倍に縮小(拡大)した図形の方程式を求めよ。---
【解】 変形前のグラフ上の点の座標を $(x,y)$, 変形後のそれを $(X,Y)$ とすれば
$X=x,Y=\frac{b}{a}y$
すなわち
$x=X,y=\frac{a}{b}Y$
このように旧点の座標と新点のそれとの役割を交換する。あとの式を原方程式に代入して
$X^2+(\frac{a}{b}Y)^2=a^2$,
$\frac{X^2}{a^2}+\frac{Y^2}{b^2}=1$
最後に文字を小文字に変えて、$\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ …(答)
上の問題で作ったグラフが楕円である。円において直径に相当するものが長径と短径である。$2a,2b$ のうち大きい方が長径で、小さい方が短径である。1方向に(高さ)だけ $\frac{b}{a}$ 倍の拡大・縮小したから、面積は円のそれの
$\frac{b}{a}$ 倍、すなわち $S=\pi a b$ になる。
下図は楕円の形をした天井の下でひそひそ話をする2人だが、小声でもA氏が発した声が天井に反射され、それがB氏の耳に集中して、ハッキリと声が聞こえる、というものである。
この2点 A, B のことを楕円の焦点と言う。焦点の性質を調べよう。
【問題】 2点 $F(c,0),F'(-c,0)$ からの距離の和が一定( $=2a$) である点の軌跡を求めよ。ただし $a>c$ とする。---
【解】 問題の点を $P(x,y)$ とする。
$PF+PF'=2a$ より
$\sqrt{(x+c)^2+y^2}+\sqrt{(x-c)^2+y^2}=2a$,
${(x+c)^2+y^2}=(2a-\sqrt{(x-c)^2+y^2})^2$,
${(x+c)^2+y^2}=4a^2-4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}+{(x-c)^2+y^2}$,
$4cx-4a^2=-4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}$,
$(a-\frac{c}{a}x)^2={(x-c)^2+y^2}$,
$\frac{a^2-c^2}{a^2}x^2+y^2=a^2-c^2$
さいごに $\sqrt{a^2-c^2}=b$ とおけば
$\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ …(答)
上の2点 $F,F'$ が楕円の焦点(focus) である。楕円の方程式から座標軸との交点が $(\pm a,0),(0,\pm b)$ であることは明らか。忘れやすいのが2点からの距離の和と焦点の座標だが、次のようにやればすぐに出てくる。
2点からの距離の和は、$|a-(-c)|+|a-c|=2a$ で、長径に等しい。次に、$2\sqrt{c^2+b^2}=2a$ から $c=\sqrt{a^2-b^2}$
だから、焦点は $(\pm \sqrt{a^2-b^2},0)$ だ。
次に楕円の接線を求めたいのだが、その前に円の接線を復習しておこう。
【公式】 円 $x^2+y^2=r^2$ 上の点 $(x_{1},y_{1})$ における接線の方程式は
$x_{1} x+y_{1} y=r^2$
【覚え方】 円の式を $xx+yy=r^2$ と書き直し、連続する2つの文字の間に $1,1$を小さく挿入すればよい。だから犬じゃないけど「ワンワン」と叫べばよい。
【証明】 接点と円の中心を結ぶ半径と、接線は直交する。だから、接線の法線ベクトルは $(x_{1},y_{1})$ だから、接線は
$x_{1} (x-x_{1})+y_{1}( y-y_{1})=0$,
$x_{1} x+y_{1} y=x_{1}^2+y_{1}^2$,
接点は円上にあるから
$x_{1} x+y_{1} y=r^2$
【公式】 楕円 $\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1$ 上の点 $(x_{1},y_{1})$ における接線の方程式は
$\frac{x_{1}x}{a^2}+\frac{y_{1}y}{b^2}=1$
【覚え方】 $xx,yy$ と書き直して、「ワンワン」。
【証明】 楕円は円を縦方向に縮めたものだったから、逆数の $\frac{a}{b}$ 倍に引き戻して円 $x^2+y^2=a^2$ に戻す。楕円の接点は、円上の点
$(x_{1},\frac{a}{b}y_{1})$
に移る。ここでの円の接線は
$x_{1}x+\frac{a}{b}y_{1}y=a^2$
である。これを縦方向に $\frac{b}{a}$ 倍に縮めて元に戻せばよい。そのため $X=x,Y=\frac{b}{a}y$ を代入して
$x_{1}X+(\frac{a}{b})^2y_{1}Y=a^2$,
$\frac{x_{1}X}{a^2}+\frac{y_{1}Y}{b^2}=1$
あとは文字を小文字に変えるだけだ。■
さきに楕円の天井の話をしたが、それを証明しよう。
【問題】 楕円において、一方の焦点から発した光線は楕円に反射して他方の焦点を通過する。これを証明せよ。---
【証明】 焦点 $f$ を発した光線が楕円上の点 $(x_{1},y_{1})$ で反射するとする。入射角=反射角だが、〇射角というのは法線となす角、すなわち
$\angle FPN,\angle F'PN$ のことである。さらに三角形の1つの角の二等分線は対辺を2辺の比に分けるから、もし反射光が他方の焦点
$F'$ を通過するならば $FN:NF'=FP:PF'$ である。この定理は逆も成立するから
$FN:NF'=FP:PF'$
が成り立つことが言えれば、$\angle FPN=\angle F'PN$ となり、反射光が焦点を通ることになる。ただし、$N$ は法線と $x$ 軸との交点である。
接線の法線ベクトルは $(\frac{x_{1}}{a^2}, \frac{y_{1}}{b^2})$ だから、これに直交する法線 $PN$ の方程式は
$\frac{y_{1}}{b^2}(x-x_{1})-\frac{x_{1}}{a^2}(y-y_{1})=0$
となり、$N$ の座標は
$N=(x_{1}-\frac{b^2 x_{1}}{a^2 },0)=(\frac{(a^2 -b^2) x_{1}}{a^2 },0)=(\frac{c^2}{a^2}x_{1},0)$
となる。ここで $a^2=b^2+c^2$ を使った。だったから比を求めると、
$FP:PF'=\sqrt{(x_{1}-c)^2+y_{1}^2}:\sqrt{(x_{1}+c)^2+y_{1}^2}$
$=\sqrt{(x_{1}-c)^2+b^2(1-\frac{x_{1}^2}{a^2})}:\sqrt{(x_{1}+c)^2+b^2(1-\frac{x_{1}^2}{a^2})}$
$=\sqrt{(a^2-b^2)x_{1}^2-2a^2cx_{1}+a^2(b^2+c^2)}:\sqrt{(a^2-b^2)x_{1}^2+2a^2cx_{1}+a^2(b^2+c^2)}$,
$=\sqrt{c^2 x_{1}^2-2a^2 cx_{1}+a^4}:\sqrt{c^2 x_{1}^2+2a^2 cx_{1}+a^4}$
$=|cx_{1}-a^2|:|cx_{1}+a^2|$
一方の比は
$FN:NF'=(c-\frac{c^2}{a^2} x_{1}) :(\frac{c^2}{a^2} x_{1}+c)$
$=(a^2-cx_{1}) :( cx_{1}+a^2)$
これで、$FN:NF'=FP:PF'$ が言えた。■
楕円は距離の和が一定だったが、今度は差が一定の曲線を求めてみよう。
【問題】 2点 $F(c,0),F'(-c,0)$ からの距離の差が一定( $=2a$) である点の軌跡を求めよ。ただし $a<c$
とする。---
【解】 ただし書きの部分は、三角形の2辺の差は残りの辺より小さくなければならないことからきている。問題の点を $P(x,y)$ とする。
$PF-PF'=\pm 2a$ より
$\sqrt{(x+c)^2+y^2}-\sqrt{(x-c)^2+y^2}=\pm 2a$,
${(x+c)^2+y^2}=(\sqrt{(x-c)^2+y^2}\pm 2a)^2$,
${(x+c)^2+y^2}={(x-c)^2+y^2} \pm 4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}+4a^2$,
$4cx-4a^2=\pm 4a\sqrt{(x-c)^2+y^2}$,
$(a-\frac{c}{a}x)^2={(x-c)^2+y^2}$,
$\frac{c^2-a^2}{a^2}x^2-y^2=c^2-a^2$
最後から2番目の式は楕円のときと全く同じだ。さいごに $\sqrt{c^2-a^2}=b$ とおけば
$\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1$ …(答)
2点 $F,F'$ のことを楕円のときと同様に