ただ、ほんとに樹形図が分かりやすいとは言えないだろう。(ダイアル錠の問題でホントに1000本の枝を描く者はいない。)
【問題】 3クラスあって、各クラスには30人ずつ生徒が所属する。全部で生徒は何人いるか。---
【解】 もちろん$30 \times 3$だが、スロットマシンで考える。生徒に在籍番号を付けるのだが、百の位には1〜3 の組番号、十と一の位には1〜30の番号が入る。全体では、積の法則で
$3 \times 30=90$(人) …(答)
厳密には、人数ではなく番号の付け方の個数を答えている。
【問題】 3階建のアパートがあって、各階には4つずつ部屋がある。つまり101号室から304号室まである。部屋は全部でいくつか。---
【解】 ダイアル錠のときと違って304部屋あるという者はなぜかいない。百位は1〜3, 十位は0のみ、一位は1〜4だから
$3 \times 1 \times 4=12$(部屋) …(答)
【問題】 A町から B町へ行く方法は車なら2通り、電車なら3通りある。全部で何通りか。---
【解】 車で行くか、電車で行くかのどちらかだから、「か」→加法公式=和の法則が適用できて
$2+3=5$(通り) …(答)
樹形図にすると上図だが、枝分かれの本数が均等でないので積の法則にならない。積の法則は和の法則の特殊な場合だった訳だ。
甲(車)の場合と乙(電車)の場合に場合分けしたときに両者に重複(かぶり)があったり、場合分けに漏れがあったりしないように注意する。
ところでかぶりがないとは、2つの集合$A,B$に分けたとき、$A \cap B= \emptyset$ となる(2つの集合は互いに素であるという)ということである。このとき$n(\emptyset)=0$ だから
$n(A \cup B)=n(A)+n(B)$
で第01講に出てきた加法定理の特殊な場合である。
【問題】 1円玉、5円玉、10円玉を使って、ちょうど50円支払う方法は何通りか。---
【解】 それぞれ$x,y,z$枚使うとすれば、
$x+5 y+10 z=50$
になればよい。$z$の値により$z=0$〜$z=5$に場合分けする。例えば$z=i$の場合だと
$x+5 y=50-10 i$
だから、5円玉は $y=0$枚 から $y=\frac{50-10i}{5}=10-2i$枚 までの
$(10-2i)+1=11-2i$通り
ある。この値に対し、$i=0,1,2,3,4,5$と変化させて、和の法則を使うと
$11+9+7+5+\cdots+1=6^2=36$(通り)
2個のサイコロを…という問題がある。$6 \times 6$表で解くという特殊な解き方がある。
【問題】 大小2個のサイコロを振る。目の和が8になる目の出方は何通りか。---【解】下図の〇印をつけた5通りである。