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まず、角(内角、外角)の二等分線に関する定理を提示しよう。

【定理】 $\rm \triangle ABC$ において$\rm \angle B$(の外角)の二等分線と辺$BC$(の延長)との交点を$\rm D(D')$ とする。このとき

$\rm AB:BC=AD:DC,AB:BC=AD':D'C$

が成り立つ。---

上図の赤線(青線)が折れ線$\rm A-B-C$を分ける比と、辺$\rm AC$ を分ける比が等しい、と理解するとよい。

【証明】 補助線として平行線を引けばよい。

内角の二等分の場合は、$\rm AB$の延長上に$\rm BC=BE$なる点$\rm E$ を取る。三角形の相似より

$\rm AB:BC=AB:BE=AD:DC$,

外角の二等分の場合は、$\rm AB$上に$\rm BC=BE'$なる点$\rm E'$ を取る。三角形の相似より

$\rm AB:BC=AB:BE'=AD':D'C$■

これを使って、内心を求めよう。

【定理】 三角形の3つの内角の二等分線は1点で会する。---

【証明】 $\rm \triangle ABC$ の各角の二等分線を$\rm AD,BE,CF$ とする。


$\rm \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=\frac{AC}{BC} \cdot \frac{AB}{AC} \cdot \frac{BC}{AB}=1$
チェバの定理の逆により、1点で会する。■

この3直線が会する点 I を内心と呼ぶ。そして内心は内接円の中心になる。実際、I から辺 AB, AC, BC に下ろした垂線の足を P, Q R とする。合同な直角三角形により、IP=IQ かつ IP=IR となるからである。


【問題】 三角形 ABC の内心を I, $\angle$BAC$=50^{\circ}$, $\angle$ACI$=30^{\circ}$ とするとき、$h,k$ の角度を各々求めよ。(2010明星大学)---

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