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【第01講】 チェバの定理
【第02講】 メネラウスの定理
【第03講】 重心
【第04講】 内心
【第05講】 外心
【第06講】 平行線定理
チェバの定理には、比=分数が出てくる。そこで注意。$\frac{a}{b}$は中国式なら「$b$分の$a$」と下から読むが、西欧式なら「$a$ over $b$($a$対$b$)」と上から読む。日本人は両方使えばよい。つまり
$a: b= a \div b=\frac{a}{b}$
なのである。÷の記号がどうやってできたかが分かる。(最左辺が比、最右辺が比の値である。)
【定理】チェバの定理
$\triangle \rm ABC$において、各頂点$\rm A,B,C$と対辺の内部の点$\rm P,Q,R$を結ぶ3直線$\rm AP,BQ,CR$が1点$\rm
O$で会するならば、
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=1$
←
パラパラまんが
【証明】2つの三角形の面積の比は高さ(底辺)が共通ならば、底辺(高さ)の比に等しい---という定理を使う。
$\rm AR:RB=\triangle OAC:\triangle OBC$,
$\rm BP:PC=\triangle OAB:\triangle OAC$,
$\rm CQ:QA=\triangle OBC:\triangle OAB$
これら3式の比の値を辺々掛ければ所期の等式を得る。■
この定理の逆が成り立つ。すなわち、
【定理】チェバの定理(逆)
$\triangle \rm ABC$において、各頂点$\rm A,B,C$と対辺の内部の点$\rm P,Q,R$を結ぶ3直線$\rm AP,BQ,CR$について
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=1$
が成り立つならば、3直線は1点で会する。
【証明】3つの比の値の積が1であるのに1点で会することがないと仮定する。
上図の青線$\rm AP'$について、点$\rm P'$を線分$\rm BC$上で動かして、$\rm AP$が1点で会するようにする。このとき3つの比の値の積も1になってしまっては、
$\rm \frac{BP}{PC}= \frac{BP'}{P'C}$
となるので、$\rm P=P'$となり仮定に反する。■
チェバの定理の拡張を考える。次図のように辺の延長上にある点と結んだ場合には、どういう等式が成り立つだろうか。
←
パラパラまんが
たぶん
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=1$
という等式が成り立つと当たりは付く。(点$\rm R$ は線分を内分ではなく、外分するという) 実際、
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=\frac{S_{1}+S_{2}}{S_{2}} \cdot \frac{S_{1}}{S_{3}} \cdot \frac{S_{4} }{ S_{3}+S_{4}}$
$=\frac{S_{1}}{S_{2}} \cdot \frac{S_{1}+S_{2}}{ S_{3}+S_{4}} \cdot \frac{S_{4}}{S_{3}}=\frac{AB}{BR} \cdot \frac{RP'}{P'Q} \cdot \frac{QC}{CA}=1$
のように外側にできる$\rm \triangle ARQ$にチェバを適用すればよい。
メネラウスの定理というのは、三角形に斜めに直線が交わったときに成り立つ内分(外分)比に関する定理である。
【定理】$\rm \triangle ABC$ の各辺$\rm AB,BC,CA$(またはその延長)と直線との交点を$\rm D,E,F$とすると
$\rm \frac{AD}{DB} \cdot \frac{BE}{EC} \cdot \frac{CF}{FA}=1$
←
パラパラまんが
【証明】補助線として平行線($\rm C$を通り所与の直線に平行)を引く。$\rm AB$との交点を$\rm D'$とする。
三角形の相似より、
$\rm AD:DD' = AF:FC$,
$\rm DD':DB = EC:BE$
だから
左辺$=\rm \frac{AD}{DB} \cdot \frac{DB}{DD'} \cdot \frac{DD'}{AD}=1$■
逆も成り立って、比の値の積が 1 ならば、3点$ \rm D,E,F$ は一直線上にある。(もし一直線上になければ$\rm D,E,F'$が一直線上にあるように点$\rm
F'$を取ってみればよい。)
さて、上の定理では、直線が各辺を内分したり、外分したりしていたが、すべて外分の場合を考えてみよう。例えば下図の場合はどうか。
この場合も、同じ等式が成り立つのである。実際、
$\rm \frac{AD}{DB} \cdot \frac{BE}{EC} \cdot \frac{CF}{FA}$
$\rm \frac{AF}{FF'} \cdot \frac{FF'}{FC} \cdot \frac{CF}{FA}=1$
【定理】三角形の頂点と対辺の中点を結ぶ3本の直線(中線と呼ぶ)は1点で会する。---
この点を三角形の重心という。
実際、
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BP}{PC} \cdot \frac{CQ}{QA}=\frac{1}{1} \cdot \frac{1}{1} \cdot \frac{1}{1}=1$
だから、チェバの定理の逆により1点で会することが分かる。
では重心$\rm G$は中線を何対何に内分するだろうか。今度は$\rm \triangle ABP$に対してメネラウスの定理を使う。
$\rm \frac{AR}{RB} \cdot \frac{BC}{CP} \cdot \frac{PG}{GA}=\frac{1}{1} \cdot \frac{2}{1} \cdot \frac{PG}{GA}=1$
より
$\rm \frac{AG}{GP}=\frac{2}{1}$
である。
ボール紙で三角形を作ると、物理的な意味での重心(質量中心)が上で求めた重心に一致する。三角形の重心を人差し指(を支点にして)の上に乗せると、三角形は釣り合う。また、(その理屈は難しいのだが)重心に芯棒を刺して独楽にするとよく回る。芯棒を刺さなくとも下の写真のように、三角形を回転させながら投げ飛ばせば重心を中心にして回っていることが分かる。
⇒
まず、角(内角、外角)の二等分線に関する定理を提示しよう。
【定理】 $\rm \triangle ABC$ において$\rm \angle B$(の外角)の二等分線と辺$BC$(の延長)との交点を$\rm
D(D')$ とする。このとき
$\rm AB:BC=AD:DC,AB:BC=AD':D'C$
が成り立つ。---
上図の赤線(青線)が折れ線$\rm A-B-C$を分ける比と、辺$\rm AC$ を分ける比が等しい、と理解するとよい。
【証明】 補助線として平行線を引けばよい。
内角の二等分の場合は、$\rm AB$の延長上に$\rm BC=BE$なる点$\rm E$ を取る。三角形の相似より
$\rm AB:BC=AB:BE=AD:DC$,
外角の二等分の場合は、$\rm AB$上に$\rm BC=BE'$なる点$\rm E'$ を取る。三角形の相似より
$\rm AB:BC=AB:BE'=AD':D'C$■
これを使って、内心を求めよう。
【定理】 三角形の3つの内角の二等分線は1点で会する。---
【証明】 $\rm \triangle ABC$ の各角の二等分線を$\rm AD,BE,CF$ とする。
$\rm \frac{AF}{FB} \cdot \frac{BD}{DC} \cdot \frac{CE}{EA}=\frac{AC}{BC} \cdot \frac{AB}{AC} \cdot \frac{BC}{AB}=1$
チェバの定理の逆により、1点で会する。■
この3直線が会する点 I を内心と呼ぶ。そして内心は内接円の中心になる。実際、I から辺 AB, AC, BC に下ろした垂線の足を P, Q R とする。合同な直角三角形により、IP=IQ かつ IP=IR となるからである。
【問題】 三角形 ABC の内心を I, $\angle$BAC$=50^{\circ}$, $\angle$ACI$=30^{\circ}$ とするとき、$h,k$ の角度を各々求めよ。(2010明星大学)---
【解】 角の二等分線だから、$\angle$ACI$= \angle$BCI$=30^{\circ}$ である。よって、
$h=\frac{180^{\circ}-50^{\circ}-30^{\circ} \times 2}{2}=35^{\circ}$.
また、$k=180^{\circ}-h-30^{\circ} =115^{\circ}$.
三角形の外接円の中心をつづめて外心という。$\rm AB=BC=CA$ より外心がもしあるとしたら、各辺の垂直二等分線上になければならない。
実際、$\rm AB,BC$ の垂直二等分線の交点を$O$ とするとき、$\rm OA=OB,OB=OC$ より$\rm OA=OC$だから点$\rm
O$は$\rm AC$ の垂直二等分線上にあることになり、3直線は1点で会する。
【問題】 三角形 ABC の外心を O, $\angle$BAC$=50^{\circ}$, $\angle$ACO$=30^{\circ}$
とするとき、$l,m$ の角度を各々求めよ。(2010明星大学)---
【解】 円周角 $\angle$BAC$=50^{\circ}$ の2倍で $l=100^{\circ}$.
外心により二等辺三角形ができるから、$\angle$ACO$= \angle$CAO$=30^{\circ}$ である。よって、
$m=50^{\circ}-30^{\circ} =20^{\circ}$.
ここまでの間に何度か使った事実が三角形の相似比についての定理だ。
【定理】 $\rm AB_{1}:AB_{2}=AC_{1}:AC_{2}$
これを相似比が等しいという。($\rm AB_{1}:AC_{1}=AB_{2}:AC_{2}$も成り立つが、こちらは形状比が等しいという。)
また、
$\rm \frac{AB_{2}}{AB_{1}}=\frac{AB_{1}+B_{1}B_{2}}{AB_{1}}=1+ \frac{B_{1}B_{2}}{AB_{1}}$,
$\rm \frac{AC_{2}}{AC_{1}}=\frac{AC_{1}+C_{1}C_{2}}{AC_{1}}=1+ \frac{C_{1}C_{2}}{AC_{1}}$
だから、先の定理から
【定理】 $\rm AB_{1}:B_{1}B_{2}=AC_{1}:C_{1}C_{2}$
また、当然$\rm AB_{2}:B_{2}B_{3}=AC_{2}:C_{2}C_{3}$も成り立つから、それと組み合わせると
【定理】 $\rm B_{1}B_{2}:B_{2}B_{3}=C_{1}C_{2}:C_{2}C_{3}$
この定理を平行線定理と呼ぶ。これを応用して、罫線の入ったノートを使って任意の長さ(赤紙)を例えば7等分できる。下図参照。
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