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筆算のアルゴリズム:
  1. (商を)立てる
  2. (商と除数を)掛ける
  3. 引く
  4. 下ろす
4.まで行ったら1.に戻って繰り返す。下ろせなくなったら終了。

組立除法でやってもよい。


組立除法のアルゴリズム:
  1. (1行目を3行目に)下ろす
  2. (3行目と左上のカギを)掛ける
  3. (1行目と2行目を)足す
3.まで行ったら2.に戻って繰り返す。(3行目に商と余りが出る。)

(答)$x^2-2x+2$

【問題】 $ax^5+bx^4+1$が$x^2-2x-1$で割り切れるときの定数$a,b$を求めよ。(2010東京理科大)---

【解】 下図の田の字で計算できる。使うのは掛け算と足し算だけだ。連立方程式を知らなくても解ける。

パラパラまんが

$a=12,b=-24-5=-29$ …(答)

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【第03講】 有理式の演算

多項式(整式)が整数のようなものだとすれば、有理数に相当するものは何だろう。
有理数とは$\frac{a}{b}$のことで、$a,b \neq 0$は整数である。式の世界でこれに対応するものは、分母・子が整式(多項式)である、

$\frac{f(x)}{g(x)}$,
ただし
$f(x)=a_{0}x^n+a_{1}x^{n-1}+\cdots +a_{n}$,
$g(x)=b_{0}x^m+b_{1}x^{m-1}+\cdots +b_{m}$,
係数の$a_{i},b_{j}$は実数または複素数で、$g(x)$は恒等的に0に等しくあってはならない。

である。これをふつう有理式と言うが、高校では分数式と呼ぶ。

【例】 $\frac{\sqrt{2} x+1}{x^2-1}$ は分数式だが、$\frac{\sqrt{x} +1}{x^2-1}$ は分数式ではない。

有理数の約分

$\frac{a b}{a c}=\frac{b}{c}$

とすることである。分母・子を(素)因数分解すればできる。したがって分数式の場合も同様に因数分解して

$\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{f_{1}(x) h(x)}{g_{1}(x) h(x)}=\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}$

とすればよい。約分の逆の操作が倍分で、

$\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}= \frac{f_{1}(x) h(x)}{g_{1}(x)h(x)}$

とすることである。通分のときに必要になる。通分すれば分数式の加減ができて、

$\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}\pm \frac{f_{2}(x) }{g_{2}(x)}=\frac{f_{1}(x) g_{2}(x)}{g_{1}(x)g_{2}(x)}\pm \frac{f_{2}(x) g_{1}(x)}{g_{1}(x)g_{2}(x)}$
$=\frac{f_{1}(x) g_{2}(x)\pm f_{2}(x) g_{1}(x)}{g_{1}(x)g_{2}(x)}$

である。結果の式の分子はたすき掛けになっている。このあと約分できるようであればやっておく。
これでどんな加減もできるのだが、実際には分母は分母同士の積ではなく最小公倍数にする方が計算が楽になることが多い。整数のとき、最小公倍数や最大公約数を求めるとき素因数分解したように、分数式のときも因数分解する。すると次のようになる。

$\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}\pm \frac{f_{2}(x) }{g_{2}(x)}=\frac{f_{1}(x) }{g_{10}(x)h(x)}\pm \frac{f_{2}(x) }{g_{20}(x)h(x)}$
$=\frac{f_{1}(x) g_{20}(x)}{g_{10}(x)g_{20}(x)h(x)}\pm \frac{f_{2}(x) g_{10}(x)}{g_{10}(x)g_{20}(x)h(x)}$
$=\frac{f_{1}(x) g_{20}(x)\pm f_{2}(x) g_{10}(x)} { g_{10}(x) g_{20}(x) h(x) }$

分母の共通因子(最大公約数)をのけて、たすき掛けすればよい。これが考え悩まずにスムーズにできないとダメだ。分母=最小公倍数で通分しても結果が約分できる場合がある。

【問題】 $\frac{5x+6}{2x^2-5x-3} - \frac{x+9}{x^2-2x-3}$ を計算せよ。---

【解】 与式$=\frac{5x+6}{(x-3)(2x+1)} - \frac{x+9}{(x-3)(x+1)}=\frac{1}{x-3} (\frac{5x+6}{2x+1} - \frac{x+9}{x+1} )$
と最大公約数を括り出すと楽だ。この後、たすき掛けをして

$=\frac{1}{x-3} \cdot \frac{(5x+6)(x+1)-(x+9)(2x+1)}{(2x+1)(x+1)} $
$= \frac{1}{x-3} \cdot \frac{3x^2-8x-3}{(2x+1)(x+1)} $
$= \frac{1}{x-3} \cdot \frac{(x-3)(3x+1) } {(2x+1)(x+1)} $
$=\frac{3x+1}{(2x+1)(x+1)} $ …(答)

よく質問があるのは、最後は分母を展開しなくてよいのか、という点だ。
原則は、問題が展開してあったら答も展開しておく --- だが、ここは原則に反し因数分解したものを答とする。「約分はできませんからね」ということを知らしめるためにあえてこうする。


分数式の乗除が後回しになったが、加減より易しく

$\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}\times \frac{f_{2}(x) }{g_{2}(x)}=\frac{f_{1}(x) f_{2}(x)}{g_{1}(x)g_{2}(x)}$,
$\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}\div \frac{f_{2}(x) }{g_{2}(x)}=\frac{f_{1}(x) }{g_{1}(x)}\times \frac{g_{2}(x) }{f_{2}(x)}$


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