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田の字で平方完成(授業再現)

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1. $y=x^2$とモノリス
2. 上へ移動
3. 右へ移動
4. $y=ax^2$の移動と標準形
5. 田の字で展開
6. 田の字で平方完成
7. a≠1の平方完成
8. 文字係数の平方完成
9. 頂点の公式を使う
10. 定義域と最大・最小
11. 意地悪な定義域
12. 因数分解型
13. 2次不等式
14. a<0の2次不等式
15. 落下運動への応用

1 y=x2とモノリス

2次関数 $y=x^2$ のグラフを描いてみよう。$x=0,1,2,3$ を代入してみると、$y$ の値はそれぞれ

$0,1,4,9$

となるね。

   

 『2001年宇宙の旅』という映画に、エイリアンが作ったモノリスという直方体の物体(下図参照)が出てくる。
   
これの縦:横:高さの比が

$1^2:2^2:3^2=1:4:9$

なんだ。地球人は2次関数が分かるか、エイリアンに験されているのかもしれない。

次に、負の数を代入してみよう。例えば、$x=-2$ を代入するとどうなるかな。

$y=(-2)^2=4$

となるよ。ここで括弧をつけずに、$-2^2=-4$ とやってはダメだ。元の式には括弧がなくても、代入するときには括弧が必要になる。数学の記号は合理的にはできていないね。ともかくこれで $y=x^2$ のグラフは、頂点が $(0,0)$の放物線と分かったね。

   
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2 上へ移動

次に、関数

$y=x^2+2$

のグラフがどうなるか、考えてみよう。まず、$y$ 切片はいくらかな。$2$ だね。定数項が $2$ だからと言ってもいいし、$x=0$ を代入すると $y=2$ になるからと言ってもいい。表を作ってみると、頂点が $(0,2)$ の放物線だと分かる。

   

ちょうどこれは、さっき描いた放物線を真上に $2$ だけ移動したものになっている。
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3 右へ移動

今度は、放物線 $y=x^2$ を右へ $3$ だけ移動したグラフとその表を作ってみると、下のようになる。

   

$x=3$ を中心にして、モノリスの $1,4,9$ が並んでいるね。では、この関数の式はどうなるかな。$x=3$ を代入して、$y=0$ になればいいんだから、

$y=x^2-9$

かな? いや、ダメだ。これでは $y$ 切片が $9$ にならない。ナニ?

$y=x-3$

にすればいいって? なるほど、$x=3,4$ を代入するとそれぞれ $y=0,1$ で合っている。でも、$x=5$ だと $y=2$ だぞ。2乗すればいいか。では、

$y=(x-3)^2$

か。どうやら、表と完全に一致するようだな。これが正解だ。

以上をまとめると、放物線 $y=x^2$ を

上に $q$ 移動 …… $y=x^2+q$

右に $p$ 移動 …… $y=(x-p)^2$

という具合に式が変わる。
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4 y=ax2の移動と標準形

放物線 $y=ax^2$ を上下、左右に移動するとグラフの式はどう変わるかな。まず

$y=-2x^2$

の表を作れば

   

となる。$x=1,2,3$ に対する $y$ の値の比は

$-2:-8:-18$

であって、これを直すと $1:4:9$ となり、やっぱりモノリスだ。

これのグラフを右へ $3$,上へ $4$ だけ移動すると、式はどうなるだろうか。頂点が $(0,0)$ から $(3,4)$ へ移動するから、$x=3$ を代入して $y=4$ になる式でないといけない。ということは、

$y=-2(x-3)^2+4$

かな? 点検してみよう。

$y(4)=-2+4=2$,
$y(5)=-8+4=-4$,
$y(6)=-18+4=-14$

より、頂点の $y$ 座標$=4$ と比較すると、それぞれ $-2,-8,-18$ だけ下に落ちているから、これでOKと分かる。

以上から、放物線 $y=ax^2$ を右へ $p$,上へ $q$ だけ移動すると、式は

$y=a(x-p)^2+q$

になると分かるね。この式を2次関数の標準形と呼んでおこう。

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