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(1) 最初はグー、じゃなくて「最初は1」、これに〇印をつけて最左の商の上に@と書く。
(2) あとは商の並びに対し「足し算と掛け算」
   @+3×2=7
をした結果の 7 に丸印をつけて商の上にFと書く。
(3) あとは(2)の繰り返しだが、今の場合は繰り返さずに 1 回で終わってしまう。
最右の F と右から2番目の商(または丸数字)の 3 が特殊解で、90 と 39 にたすき掛けすると確かに
39×F−90×3=3
で、GCM の 3 になっている。(特殊解は $x=-3, y=7$ という訳だ。)

もっと割り算が長く続く問題もやってみよう。

【問1-2】 $105 x+38 y=1$ の整数解を 1 組探せ。---

【解】

上図の連続割り算により、$(105,38)=1$ が出てくるので、解は存在する。特殊解を求めよう。
初めは@,
あとは「足し算と掛け算」を繰り返して、
  @+4×3=13,
  4+13×1=17,
  13+17×2=47
と商の上に数を並べていき、
最後にたすき掛けすると
$105\times 17-38\times 47=-1$
だから、$x=-17, y=47$ (答)

この方法で特殊解が求まることは割と簡単に証明できる。今の問では商が 5 個立ったが、商の数を $n$ として $n$ に関する帰納法を使えばよいのである。なお一般解は
$x=-17+38 k$,
$ y=47-105 k$
である。

「こんな不定方程式を解いて何の役に立つのだ」と言われそうだから次の問題をやってみよう。

【問1-3】次の等式を満たす整数 $a, b$ を求めよ。---


   $\frac{23}{38 \times 105}=\frac{a}{38}+\frac{b}{105}$

【解】 通分の逆で部分分数分解と言う。分母を払えば
$105 a+38 b=23$
だが、【問1-2】の答の $(x,y)=(-17,47)$ を $-23$ 倍した $-23(x,y)=(-17\times 23,47\times 23)$ を使って
$105 \times (-17) \times 23+38 \times 47 \times 23 =23$
だから、
$a=-391, b=1081$
と分かる。与式に代入して、変形して
$\frac{23}{38 \times 105}=-\frac{391}{38}+\frac{1081}{105}$
$=-(10+\frac{11}{38})+(10+\frac{31}{105})$
$=-\frac{11}{38}+\frac{31}{105}$
これが答の 1つ(ともに真分数)である。

一般解も求めておくと
$a=-391+38 k $,
$b=1081-105 k$

で、実は答は無数にあるのだ。「仮分数は使わず真分数だけの和差に変形せよ」と制限しておかないと答が絞れない。($k=10$ のときが先の答)

このように部分分数分解の答は1つとは限らぬ。例えば

$\frac{1}{x^2-1}=\frac{1}{2}(\frac{1}{x-1}-\frac{1}{x+1})$
の部分分数分解には、この他に
$\frac{1}{2}(\frac{x}{x-1}-\frac{x+2}{x+1})$

などの分解がある。(もちろん真分数の和差に限定すれば答はユニークになる。)

【問1-3】の部分分数分解をした分数の分母は

$38 \times 105 =(2 \times 19)\times (3 \times 5 \times 7)$

と各素数を高々 1 個しか含まないが、分母に素数または既約多項式(2つひっくるめて素元と言う) のベキが含まれていると

$\frac{1}{x^2(x+1)}=(\frac{a}{x^2}+\frac{b}{x})+\frac{c}{x+1}$

のようになる($x^2$ の処理に注目)。では分母が $ p^5q^4$ の場合をやってみよう。

【問1-4】 次の分数を部分分数分解せよ。---
   $\frac{5}{2^5 \times 3^4}$

【解】 明らかに互いに素 $(2^5, 3^4)=1$ で、不定方程式の特殊解は下図のように、

$32\times 38-81\times 15=1$

である。 よって左辺を 5 倍して $2^5 \times 3^4$ で割って

$\frac{38 \times 5}{3^4}-\frac{15 \times 5}{2^5}=\frac{190}{3^4}-\frac{75}{2^5}$
このあと、2つの分子を処理する。やり方は 十進法 → 3進法、2進法 の変換と同じだ。
上の連続割り算から3進数、2進数に直すとそれぞれ
$190=21001_{(3)}$,
$75=1001011_{(2)}$
だが、前者は $3^4$ で割り、後者は $2^5$ で割るから、くだんの分数は小数点がそれぞれ 4 個、5 個ずれて
$\frac{190}{3^4}=2.1001_{(3)}$,
$\frac{75}{2^5}=10.01011_{(2)}$

となる。よって、2つの分数はそれぞれ

$\frac{190}{3^4}=2+\frac{1}{3}+\frac{0}{3^2}+\frac{0}{3^3}+\frac{1}{3^4}=2+\frac{1}{3}+\frac{1}{81}$,
$\frac{75}{2^5}=1\times 2+0+\frac{0}{2}+\frac{1}{2^2}+\frac{0}{2^3}+\frac{1}{2^4}+\frac{1}{2^5}=2+\frac{1}{4}+\frac{1}{16}+\frac{1}{32}$

となるので、問題の分数は

$(2+\frac{1}{3}+\frac{1}{81})-(2+\frac{1}{4}+\frac{1}{16}+\frac{1}{32})$
$=\frac{1}{3}+\frac{1}{81}-\frac{1}{4}-\frac{1}{16}-\frac{1}{32}$
となる。これが答だ。(すべてが真分数だ。)
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§2. パスカルの三角形

【問2-1】 下図にパスカルの三角形を描け。---
【答】

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