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因数分解【Q&A】

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No.100901 因数分解ってなんですか。

No.101002 1次式も因数分解しないとダメですか。

No.101001 $ax^{2}+bx+c$を因数分解するにはどうすればよいですか。

No.101003 因数分解せよと言われて$2x^{2}+6x+4=(2x+2)(x+2)$とするのは正解ですか。

No.101005 たすき掛けを教えて下さい。

No.101006 田の字を教えて下さい。

No.101007 2次6項式の因数分解を教えて下さい。

No.101008 複2次式の因数分解を教えて下さい。

No.101010 $(b+c)a^{2}+(c+a)b^{2}+(a+b)c^{2}+2abc$を因数分解して下さい。

No.101030 4次式はどのように因数分解するのですか。

No.101200 因数定理の注意点を教えて下さい。


No.100901 因数分解ってなんですか。

整数の世界では
因数分解とは、掛け算の逆の操作を行なうことを意味する。

2 × 6 = 12

が掛け算だから、

12 = 2 × 6

が因数分解である。ただ、このままだと、 整数は

2 × 6 = 3 × 4 = 2 × 2 × 3

といろんな方法で積に直せるので、ふつうは素数だけを使って分解し、それを「素因数分解」と呼ぶ。
こうすれば分解の仕方はただ1通りになる。ただし、1と-1は使ってはならない。これを何回使ってもいいことにしたら、分解の仕方が1通りに決まらない。
整式の場合も同様なのだが、そこでは「素因数分解」の言葉はなく「既約な整式の積に分解する」と言わざるをえない。

術語の二重性
右辺の2つの因子はさらに因数分解できることがある。このとき、できるところまで徹底的に因数分解することも「因数分解」と言う。
ちなみに、もうこれ以上因数分解できない多項式を既約な多項式と言う。
したがって


の両方とも「因数分解」である。(前者を「因数分解」、後者を「素因数分解」と言えばよさそうなものだが、整数と違い整式の世界ではそのようには言わない。)
テストで「因数分解せよ」と言われたら、後者の意味に解する。

係数の範囲
因数分解できるか否かを判断するにあたって、係数をどの範囲に(整数か、有理数か、実数か、複素数か)限定するかにより答が変わってくる。
  (例)$x^{4}-x^{2}-2$は、
      整係数の範囲なら $x^{4}-x^{2}-2=(x^{2}-2)(x^{2}+1)$ 以外に答はない。
      有理係数なら $x^{4}-x^{2}-2=(2x^{2}-4)(\frac{1}{2}x^{2}+\frac{1}{2})$も答になりうる。(ふつうこの答は排除する。)
      実係数なら $x^{4}-x^{2}-2=(x+\sqrt{2})(x-\sqrt{2})(x^{2}+1)$が正解。
      複素係数なら $x^{4}-x^{2}-2=(x+\sqrt{2})(x-\sqrt{2})(x+i)(x-i)$ が正解。

ガウスの代数学の基本定理
高校では証明できない定理だが、任意の多項式は
  実係数の範囲では、1次、または2次で判別式が負の既約多項式の積に必ず因数分解できる、
  複素係数の範囲では、1次の(したがって既約な)多項式の積に必ず因数分解できる
ことがガウスによって証明されている。
(ただしどんな式でも実際に因数分解できる万能のアルゴリズムは存在しない。)


No.101002 1次式も因数分解しないとダメですか。

質問の趣旨は、$2x+4=2(x+2)$のようにしないとバツなのか、ということでしょう。

【有理係数の場合】
有理係数の範囲で因数分解する場合は、1次式はもうそれ以上因数分解できないと考えます。

有理係数の場合に、$2x+3$を$=2(x+\frac{3}{2})$のように(有理数を使って)するのは因数分解と言えるのでしょうか。
でも、そうなると、
  $2x+3=2(x+\frac{3}{2})$
が正解であるとともに、
  $2x+3=3(\frac{2}{3}x+1)$
も正解になります。さらに言えば
  $2(x+2), 4(\frac{1}{2} x+1), 3(\frac{2}{3} x + \frac{4}{3}), \cdots$
のどれでも正解、はたまた何もしなくても正解ということになります。

だから、これらはすべて同じと解釈します。$2x+4=2(x+2)$は、係数を有理数と考えたときは因数分解したのではなく、単に括り出しをしただけです。でも、このように括弧の中の最高次数の係数を 1 になる(そういう多項式をmonicと呼びます)ように直すと、美しいとは言えます。この流儀に従えば$2x+5=2(x+\frac{5}{2})$のように変形すべきです。

【整係数の場合】

しかし、整数係数で因数分解すると、
   $2x+4=2(x+2)$
か、または
   $2x+4=-2(-x-2)$
の2つのうちのどちらかになります。(整係数上では、この2つの右辺を同じと見ます。)この場合は、どちらかの右辺のように直さないとダメです。括弧の中の多項式の係数の最大公約数が1 (こういう多項式を原始多項式という)になるように、余分な係数は括弧の外へ括り出さないとダメです。$(2x+4)$のままだと最大公約数は$GCM(2,4)=2$になってしまいます。

【結論】
中学、高校で「因数分解せよ」と言われたときは、整係数上で因数分解することを意味することが多いので、$=2(x+2)$としないとバツになる可能性が高いです。

【蛇足
$6x+12$だったら、整係数上で因数分解することを要求されているかもしれない危険性をクリアするために、$=6(x+2)$ではなく、$=2 \cdot 3 (x+2)$ としなくてはならないという理屈になります。(でもこのように正しく書かれた教科書や問題集をいまだかつて見たことがありません。)


No.101001 $ax^{2}+bx+c$を因数分解するにはどうすればよいですか。

この多項式を$x$の2次3項式と言います。もし因数分解できるとしたら、(1次式)×(1次式)しかありません。
$ax^{2}+bx+c=(dx+e)(fx+g)$となるはずです。
これを行うには、3つの方法があります。
    
     (1)目の子(暗算、勘)でやる。


     (2)タイル図(直積表)でやる。縦×横=面積の原理を適用。


     (3)たすきがけ。(襷を掛けた形に似ているというダジャレです。)

いずれも、試行錯誤的に行います。問題の式も答の式も係数はすべて整数なので、何度かチャレンジすればいつかは因数分解できます。
高校では、原則として、整数係数の多項式を整数係数の多項式の積の形に直すことを「因数分解」と言います。


No.101003 因数分解せよと言われて$2x^{2}+6x+4=(2x+2)(x+2)$とするのは正解ですか。

中学、高校では、整係数上で因数分解することを「因数分解する」と称することが多いので、
$2x^{2}+6x+4=2(x^{2}+3x+2)=2(x+1)(x+2)$
とするのが正解で、
$(2x+2)(x+2)$や$(x+1)(2x+4)$をファイナル・アンサーとするのは誤りと言われても仕方ないでしょう。


No.101005 たすき掛けを教えて下さい。

例題 6x2+ 13x + 6 を因数分解せよ。---

 パラパラまんが

    (2x + △) (3x +□)

ではないかと見当をつけて、△に 6 の約数のうちの何が 入るかを考えるが、2 や 6 ではあり得ない。例えば

(2x + 2 ) (3x + ○)

になったとすると、初めから 2 で括り出しができていたことになるからである。したがって、△ = 3 で、

(2x + 3 ) (3x + ○)

となりそうだと分かる。(ということは、当然のことながら、2次3項式の因数分解の前に"括り出し"をマスターしておかなくてはならない。)
    

あちこちに顔を出すたすき掛け
ところで、たすき掛けは数学のあちこちで顔を出す。例えば、比例式 2 : 3 = 4 : 6 は
        
と見れば、たすき掛けが等しくなる。分母が互いに素である分数の足し算では
        
と、分子はたすき掛けの和になる。


No.101006 田の字を教えて下さい。

   例題 x3 - 1 を因数分解せよ。---


   解 a3 - b3 の因数分解の公式を知らなくても、また因数定理を知らなくても、田の字を使えばできる。
     3次式=(1次式)×(2次式) だから、


      
     x3-1 = (x-1)(x2+x+1)

次のような問題では、2回田の字を行う。

例題 5a2 - 20b2 を因数分解せよ。---


のように、田の字の図を2度描かざるをえない。(田の字は平面的であって、立体的ではないから仕方がない。)
でも、これは手計算でも同様で、まず、5 で括り出して

5a2 - 20b2 = 5 ( a2 - 4b2 )

としたあと、次は括弧の中を

   = 5 (a+2b) (a-2b)



というように、2度因数分解しなくてはならない。   

例題 ax - by - ay + bx を因数分解せよ。---

文字が4種類あるから、縦4つ・横4つの田んぼができるかと思いきや、実際やってみると 2×2型の田んぼで間に合ってしまう。
   
  ax - by - ay + bx = (a+b) (x-y)





 田の字で引っかかりやすいのが、こんな問題。

例題 x2 + xy + y - 1 を因数分解せよ。---

チャート式にやると、次数最低の文字(いまの場合は、y ) について整理し、

(x+1) y + (x2 - 1)

だが、そんなことを知らなくても田の字ならできる。1行(または、列)がゼロばかりになる。この、退化型である所が難しい。
   
x2 + xy + y - 1 = (x+0y+1) (x+y-1) = (x+1) (x+y-1)


No.101007 2次6項式の因数分解を教えて下さい。

例題 x2 - 3xy + 2y2 -2x + 5y - 3 を因数分解せよ。---

教科書では、 2段階のたすき掛けで

x2 - 3xy + 2y2 - 2x + 5y - 3
= x2 - (3y+2)x + (2y2 + 5y - 3)
= x2 - (3y+2)x + (y + 3) (2y - 1)
=(x-y-3)(x-2y+1)

別解1 田の字でも何度か試行錯誤するうちに因数分解できる。
   パラパラまんが


別解2 下のやり方は、ある高校生が発明したやり方。
  


No.101008 複2次式の因数分解を教えて下さい。

2次式 $ax^{2}+bx+c$ に $x:=x^{2}$ を代入した $ax^{4}+bx^{2}+c$ が複2次式だ。
因数分解すると、(2次式)×(2次式)になる。
だから、ふつう因数定理は使えないし、(場合によっては)たすき掛けもできない。


例題1
      マウスを置くと答が出ます。
例題2
      
例題3
       


       解法は上図のパラパラまんがの赤字のように 3通りある。(もちろんファイナル・アンサーは一致するが。)             


No.101010 $(b+c)a^{2}+(c+a)b^{2}+(a+b)c^{2}+2abc$を因数分解して下さい。
【例題1】
教科書では、最低次数の文字(この場合はどれでも同じ)に着目して整理して
$(b+c)a^{2} +(b^{2} +c^{2}+2bc)a +b^{2}c + bc^{2} =(b+c)a^{2} +(b+c)^{2}a +bc(b + c)$
$=(b+c) \{ a^{2} +(b+c)a +bc \} $
$ =(b+c) (a+b )(a+c) $
とやるところだが、下記のように田の字でもできる。
     パラパラまんが
このとき
$ (a+b)(ab+bc+ca+c^{2}) = (a+b)(c+a)(c+b) $
と続けて因数分解できる。

ついでに、類題を2-3問やってみよう。
【例題2】
$ abc+ab+bc+ca+a+b+c+1 =(bc+b+c+1)a +(bc+b+c+1)=(b+1)(c+1)(a+1)$
を田の字でやると
      ←パラパラまんが
【例題3】
$ a^{2}(b-c) +b^{2}(c-a) +c^{2}(a-b) = (b-c)a^{2} -(b^{2} -c^{2})a +(b^{2}c-bc^{2}) = (b-c)(a-b)(a-c) $
を田の字でやると
     パラパラまんが


No.101030 4次式はどのように因数分解するのですか。

因数定理を使えばよい、と言う人がいるのですが、残念ながら「ガウスの代数学の基本定理」により、虚数を使わない場合は、(4次式)=(2次式)×(2次式)とはできるのですが、(4次式)=(1次式)×(3次式)となるとは限らないのです。
ですので、因数定理を使うのは邪道で、下記のように田の字で因数分解するしかありません。
ただし、現在の高校のカリキュラムにはこの教材は登場しません。
【例題】$x^{4} +3x^{3} +9x^{2} +11x +12$ を因数分解せよ。
   
実際にやってみると、なかなかに難しい。
【答】$=(x^{2} +x +4)(x^{2} +2x +3)$


次に、もう少し因数分解しやすくするために、3次の項がない4次式を因数分解しよう。
このタイプをフェラーリ型の4次式と呼んでおこう。(フェラーリが4次方程式を3次の項がない方程式に変形して解いたのにちなむ。)


【例題】$x^{4} -3x^{2} +14x -12$ を因数分解せよ。
   
3次の項が打ち消し合わないといけないので、それがヒントになって解きやすい。
【答】$=(x^{2} -2x +4)(x^{2} +2x -3)$

さらに因数分解しやすい4次式が「複2次式」である。


No.101200 因数定理の注意点を教えて下さい。

たとえば $6x^{2}+x-2$ を因数分解してみましょう。$x$に(定数項の約数)/(最高次数の係数の約数) を代入して、ゼロになるようにします。そこで $x=1/2,-1/3,2/3,\cdots$等々を代入します。
   
組立除法(ホーナー法)で、$x-1/2$ で割ると、商が$6x+4$ で余り(=代入計算して求まる値)が $ 0$ と分かります。よって
   $6x^{2}+x-2=(x-\frac{1}{2})(6x+4) = 6(x-\frac{1}{2})(x+\frac{2}{3})$
と有理数係数で因数分解できます。(括弧内はmonicにしました。)

ところが、ここで「整数係数の多項式が有理数係数で因数分解できたのなら、整数係数でも因数分解できる」という定理があります。その証明は存外難しいです。
(証明は例えば、ファン・デル・ヴェルデン『現代代数学』邦訳第1巻p.96 や、松坂和夫『代数系入門』岩波,1976のpp.160-161にあります。)
本サイトにも証明を用意しました。→「有理係数で因数分解できたら整係数でもできる」
そこで、上の等式は別の形に変形して
   $6x^{2}+x-2=(x-\frac{1}{2})(6x+4)=(2x-1)(3x+2)$
が正解となります。(括弧内は原始多項式なのでこれ以外の因数分解はありません。$(-2x+1)(-3x-2)$とは同一視。)


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