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デザルグの定理・研究
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2曲線 $f(x,y)=0,g(x,y)=0$ の交点の座標は、これらの方程式を連立して解けば得られる。
また、2曲線の交点(複数あってもよい)のすべてを通る曲線の方程式は
   $k f(x,y)+l g(x,y)=0$
($k,l$は任意の定数で同時に$0$にはならない)である。この事実をデザルグの定理(仮称)と呼ぼう。
別のページでもこの定理に関して述べた。

初めに扱うのは円(楕円、放物線、双曲線とともに2次曲線と言う)同士の交点である。

【問題1】 2円 $x^2+y^2-4x-5=0, x^2+y^2+2y-15=0$ について
(1) 2円は2点で交わることを示せ。
(2) 2円の2つの交点と原点を通る円の方程式を求めよ。
(3) 2円の2つの交点を通る直線の方程式を求めよ。---

(解) (1) 2円は $(x-2)^2+y^2=9, x^2+(y+1)^2=16$ だから、中心と半径はそれぞれ
  $(2,0),(0,-1)$ と $r_{1}=3,r_{2}=4$
中心間の距離 $d$ は
  $d=\sqrt{2^2+(-1)^2}=\sqrt{5} $
ところで2円は2点で交わる、1点で接する(外接、内接)、共有点を持たない、のいずれかである。
  
2点で交わるのは外接と内接の中間だから、
  $R+r >d>R-r \geq 0$
ここに $R,r$ はそれぞれ大円、小円の半径である。
今の問題の場合、$r_{2}+r_{1}=7>\sqrt{5}>r_{2}-r_{1}=1$ だから、2点で交わることが分かる。■
(2) デザルグの定理により、2交点を通る曲線は
  $k\{ (x-2)^2+y^2-9\}+l\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
だが、これが原点を通るなら、$(x,y)=(0,0)$ を代入して
  $-5k-15l=0 \rightarrow k=-3l$
でなければならない。$k=3,l=-1$ として
  $3\{ (x-2)^2+y^2-9\}-\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
  $2x^2+2y^2-12x-2y=0$
  $x^2+y^2-6x-y=0$ …(答)
(3) 2点を通る直線は1本しかないから、方程式を1つ導けばよい。2次の項を消すために $k=1,l=-1$ として
  $\{ (x-2)^2+y^2-9\}-\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
  $-4x-2y+10=0$
  $2x+y-5=0$ …(答)

次も、2次曲線($x,y$ の2次式で表される曲線)同士の交点だ。数学C(新課程)には楕円が出てくる。

【問題2】 2つの楕円 $\frac{x^2}{4}+y^2=1,x^2+\frac{y^2}{4}=1$ の交点を通る直線をすべて求めよ。---

(解) 交点はいくつあるかと言うと、グラフを描けば一目瞭然で4個である。
  
そもそも2次曲線同士の交点は、たかだか $4$個である。下図・左のように放物線同士でもたかだか $2\times 2=4$ 個である。3次関数のグラフとそれを回転したグラフの交点だと、たかだか $3\times 3=9$ 個である。(下図・右)
  
デザルグの定理により、4交点すべてを通る曲線は
  $k( x^2+4y^2-4)+l( 4x^2+y^2-4)=0$
  $(k+4l) x^2+(4k+l)y^2-4(k+l)=0$ …(*)
である。これから4点すべてを通る直線を求めるのだが、そんなものはない。4点すべてを通る2直線(の合併)を求めるのだ。それは
   $(ax+by+c)(a'x+b'y+c')=0$
の形の方程式である。そのためには (*) を $x$ の2次式と見たときに判別式が $y$ についての完全平方式になればよい。(解の公式におけるルートが外れるから。) そして、$y$ についての2次式が完全平方式になるにはその判別式がゼロになればよい。(重解になる訳だから。)
計算を進めると、まず $x$ についての判別式を $D_{1}$ とすれば
  $\frac{D_{1}}{4}=0^2-(k+4l)\{(4k+l)y^2-4(k+l)\}$
  $=-(k+4l)\{(4k+l)y^2-4(k+l)\}$
これが完全平方になるから、$k+4l=0$ か、中カッコ内の $y$ についての判別式を $D_{2}$ とすれば
  $\frac{D_{2}}{4}=0^2-(4k+l)\{-4(k+l)\}$
  $=4(4k+l)(k+l)=0$
である。まとめると、
  $k+4l=0,4k+l=0,k+l=0$
のいずれかが成立すればよい。そこで
  $(k,l)=(4,-1),(-1,4),(-1,1)$
を (*) に代入すれば、次の3式が出る。すなわち、
  $15y^2-12=0 \rightarrow y^2=\frac{4}{5}$
  $15x^2-12=0 \rightarrow x^2=\frac{4}{5}$
  $3x^2-3y^2=0 \rightarrow (x-y)(x+y)=0$
4点のうちの2点を結んでできる直線は $_{4}C_{2}=6$ 本(図の中の赤線)あるはずで、今導いたようにそれは
  $y=\frac{2}{\sqrt{5}},y=-\frac{2}{\sqrt{5}},x=\frac{2}{\sqrt{5}},x=-\frac{2}{\sqrt{5}},y=x,y=-x$ …(答)


2次曲線同士の交点はたかだか 4個あると言ったが、ホントにそうなるか確認してみよう。

【問題3】 2つの2次曲線 $y=x^2, x^2+y^2=1$ の交点の座標(虚数の場合も含む)をすべて求めよ。---

(解) 連立して解けばよい。

放物線を円に代入して
  $x^4+x^2-1=0$
$x^2$ をビン詰めにして、2次方程式の解の公式から
  $x^2=\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}(=y)$
  $x=\pm \sqrt{\frac{-1+\sqrt{5}}{2}},\pm i \sqrt{\frac{1+\sqrt{5}}{2}}$
よって4交点の座標は
  $(x,y)=(\pm \sqrt{\frac{-1+\sqrt{5}}{2}},\frac{-1+\sqrt{5}}{2}),(\pm i \sqrt{\frac{1+\sqrt{5}}{2}},\frac{-1-\sqrt{5}}{2})$ …(答)

座標が虚数(そういう点を虚点と言う)だなんて、いいのかな?と思ってしまう。4交点を通る曲線はデザルグの定理により、
  $k(x^2-y)+l(x^2+y^2-1)=0$
だが、$k,l$ は任意なのだから、例えば $k=-1,l=1$ としてみると、
  $y^2+y-1=0$
だが、4交点とも $y=\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}$ だから、たしかにこの方程式を満足する。


文化勲章受章の数学者岡潔(故人)はデザルグの定理を使って、ニュートンの定理(デュランドの定理とも)と呼ばれる事実を証明した。文献 [1] を参考にしてその解法を紹介しよう。

【問題4】 円に外接する四辺形の2本の対角線の中点を結ぶ直線は、この円の中心を通ることを証明せよ。---

(証明) 円を $x^2+y^2=r^2$ とする。
  
四辺形の4頂点を
  $P_{1}=(x_{1},y_{1}),P_{2}=(x_{2},y_{2}),P_{3}=(x_{3},y_{3}),P_{4}=(x_{4},y_{4})$
とする。四辺形の4辺 $P_{1}P_{2},P_{2}P_{3},P_{3}P_{4},P_{4}P_{1}$ と円の接点をそれぞれ
  $Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$
とする。次に、4点 $P_{1},P_{2},P_{3},P_{4}$ をとする極線
  $Q_{4}Q_{1},Q_{1}Q_{2},Q_{2}Q_{3},Q_{3}Q_{4}$
の方程式を求めると、それぞれ
  $x_{1}x+y_{1}y=r^2,x_{2}x+y_{2y}=r^2,x_{3}x+y_{3}y=r^2,x_{4}x+y_{4}y=r^2$
になる。
例えば極線 $Q_{4}Q_{1}$ の方程式は、次のように求まる。2点 $Q_{4}=(q_{4},q'_{4}),Q_{1}=(q_{1},q'_{1})$ における接線は周知の公式によりそれぞれ $q_{4}x+q'_{4}y=r^2,q_{1}x+q'_{1}y=r^2$ となる。これらが極 $(x_{1},y_{1})$ を通るから、$q_{4}x_{1}+q'_{4}y_{1}=r^2,q_{1}x_{1}+q'_{1}y_{1}=r^2$ の2式が成り立つ。この2式は、直線 $x_{1}x+y_{1}y=r^2$ が2点 $Q_{4}=(q_{4},q'_{4}),Q_{1}=(q_{1},q'_{1})$ を通ることを意味する。よってこれが極線 $Q_{4}Q_{1}$ の方程式である。
さて、前問にも出てきた2直線(の合併)の方程式を求めると、2直線 $Q_{4}Q_{1},Q_{2}Q_{3}$ は
  $(x_{1}x+y_{1}y-r^2)(x_{3}x+y_{3}y-r^2)=0$
であり、2直線 $Q_{1}Q_{2},Q_{3}Q_{4}$ は
  $(x_{2}x+y_{2}y-r^2)(x_{4}x+y_{4}y-r^2)=0$
である。すると、4点 $Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$ を通る曲線は、デザルグの定理により
  $k(x_{1}x+y_{1}y-r^2)(x_{3}x+y_{3}y-r^2)+l(x_{2}x+y_{2}y-r^2)(x_{4}x+y_{4}y-r^2)=0$
である。これが円 $x^2+y^2=r^2$ であるためには $x,y$ の係数がどちらも $0$ でなければならない。よって
  $-kr^2(x_{1}+x_{3})-r^2l(x_{2}+x_{4})=0 \rightarrow k(x_{1}+x_{3})+l(x_{2}+x_{4})=0$
  $-kr^2(y_{1}+y_{3})-r^2l(y_{2}+y_{4})=0\rightarrow k(y_{1}+y_{3})+l(y_{2}+y_{4})=0$
対角線の中点は $M_{1}=(\frac{x_{1}+x_{3}}{2},\frac{y_{1}+y_{3}}{2}),M_{2}=(\frac{x_{2}+x_{4}}{2},\frac{y_{2}+y_{4}}{2})$ であり、線分 $M_{1}M_{2}$ を $l:k$ に分ける点は
  $((k\frac{x_{1}+x_{3}}{2}+l\frac{x_{2}+x_{4}}{2})/(l+k),(k\frac{y_{1}+x_{3}}{2}+l\frac{y_{2}+x_{4}}{2})/(l+k))=(0,0)$
だから、直線 $M_{1}M_{2}$ は原点を通る。($k+l=0$ だったら、分母が $0$ になるという心配は無用である。このときには、2点 $M_{1},M_{2}$ は一致するので、原点を通ることは自明である。)■

文献

[1] 高瀬正仁:評伝 岡潔 星の章(2021)(ちくま学芸文庫)
  
  岡の解答はこの本の p.228に出ている。秋月康夫は岡よりもエレガントな解答を2つ作ったが、どんなものなのかは今となっては不明であるそうだ。
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