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デザルグの定理(仮称)

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§1. デザルグの定理とは
§2. 2直線の交点を通る直線
§3. 2次曲線の交点を通る曲線
§4. 2曲線の交点の個数
§5. 岡潔が解いた問題
§∞. 文献

§1. デザルグの定理とは

2直線 $f(x,y)=0,g(x,y)=0$ の交点を通る直線は
   $f(x,y)+kg(x,y)=0$ …(1)
($k$ は任意の定数)で表せる。名前がないと不便なので、これをデザルグの定理と呼ぶことにしよう。この定理は数Ⅱの教科書に載っていたりするが、実際には
   $k f(x,y)+l g(x,y)=0$ …(2)
($k,l$ は任意の定数で同時に $0$ にはならない)の方が計算が楽である。

上では 2直線としたが、曲線でも構わない。一般化すれば、「

$k f(x,y)+l g(x,y)=0$

($k,l$は任意の定数で同時に$0$にはならない) は、2曲線 $f(x,y)=0,g(x,y)=0$ の交点を通る曲線の方程式である。」となる。

なぜかと言えば、交点を $(x_{0},y_{0})$ としてこれを代入すれば、$k f(x_{0},y_{0})+l g(x_{0},y_{0})=0$ が成り立つからである。

【発展】 であるなら、$k,l$ を定数とせずに、任意の $x,y$ についての多項式として、

$k(x,y) f(x,y)+l(x,y) g(x,y)=0$

としてもよい。左辺を $f,g$ が生成するイデアルと言い、上の方程式が表す図形をこのイデアルが定義する代数多様体という。


§2. 2直線の交点を通る直線

数Ⅱの教科書に出てきそうな問題と、入試問題を扱ってみよう。

【問題1】 2直線$x-2y+4=0, 3x+2y-12=0$の交点と、点$(-1,-3)$を通る直線$l$の方程式を求めよ。---
(解) 求める直線の方程式を
   $k(x-2y+4)+l( 3x+2y-12)=0$
とおき、これが点$(-1,-3)$を通るから、これを代入して
   $9k-21l=0$
すなわち
   $3k-7l=0$
だから、$k=7,l=3$として(不定方程式だからこれ以外にも解はある)、求める直線は
   $7(x-2y+4)+3( 3x+2y-12)=0$
整理して
   $16x-8y-8=0$
すなわち
   $2x-y-1=0$……(答)

(1)でやると$k$が分数になって面倒である。(それほどたいした手間ではないが。)

【問題2】 2直線$3x-4y+5=0, 2x+y-4=0$の交点を通り、直線$2x+3y=0$に平行な直線、および垂直な直線の方程式を求めよ。---

(解) 求める直線の方程式を
   $k(3x-4y+5)+l( 2x+y-4)=0$
とおき、これを変形すれば
   $(3k+2l)x +(-4k+l)+(5k-4l)=0$
となる。これが$2x+3y=0$に平行ならば、法線比が等しくなる。すなわち
   $3k+2l : -4k+l = 2:3$
内項の積=外項の積より
   $2(-4k+l)=3(3k+2l)$
   $-17k=4l$
だから、$k=-4,l=17$として、平行な直線は
   $22x+33y-88=0$
すなわち
   $2x+3y-8=0$ …(答1)
一方、垂直の場合は、法線比の内積=0となる。すなわち
   $2(3k+2l)+3(-4k+l) =0$
   $6k=7l$
だから、$k=7,l=6$として、垂直な直線は
   $33x-22y+11=0$
すなわち
   $3x-2y+1=0$ …(答2)

次に、入試問題を解いてみよう。

【問題3】 $xy$ 平面上に直線 $(5k+3)x-(3k+5)y-10k+10=0$ がある。ただし、$k$ は実数とする。
(1) $k=1$ と $k=2$ のときの直線の方程式をそれぞれ求め、さらに、これら2直線の交点 A の座標を求めよ。
(2) $k=0$ のときの直線に垂直で、かつ点 A を通る直線 $l_{1}$ の方程式を求めよ。
(3) 原点 O と点 A を結ぶ線分 OA を $2:3$ に内分する点 B の座標を求めよ。また、点 B を通り、直線 $l_{1}$ に平行な直線 $l_{2}$ の方程式を求めよ。[2010北海学園大学]

(解) (1) 与えられた直線 $(3x-5y+10)+k(5x-3y-10)=0$ は、
   $k=0$ のとき $3x-5y+10=0$ で、
   $k \rightarrow \infty$ のときは($k$ で割って極限を取ればよい) $5x-3y-10=0$
を表す。だから、この 2直線の交点が A なのだが、言われたとおりにやってみると、
   $k=1$ のとき $8x-8y=0$,すなわち $x-y=0$ …(答)
   $k=2$ のとき $13x-11y-10=0$ …(答)
連立方程式を解いて、$x=y=5$ よって A$(5,5)$ …(答)
(2) $3x-5y+10=0$ に垂直な直線は(係数を取り換えて片方の符号を反転し)、$5x+3y=C$ の形だから、$l_{1}$ は
   $5(x-5)+3(y-5)=0$
   $5x+3y-40=0$…(答)
(3) $\overrightarrow{OA}=(5,5)$ を $\frac{2}{2+3}$ 倍して B$=(2,2)$ …(答)
$l_{2}$ は
   $5(x-2)+3(y-2)=0$
   $5x+3y-16=0$…(答)
または $l_{1}$ を $x$ 軸方向に $-3$, $y$ 軸方向に $-3$ だけ平行移動して
   $5(x+3)+3(y+3)-40=0$
   $5x+3y-16=0$
としてもよい。


§3. 2次曲線の交点を通る曲線

この節で扱うのは円(楕円、放物線、双曲線とともに2次曲線と言う)同士の交点である。

【問題1】 2円 $x^2+y^2-4x-5=0, x^2+y^2+2y-15=0$ について
(1) 2円は2点で交わることを示せ。
(2) 2円の2つの交点と原点を通る円の方程式を求めよ。
(3) 2円の2つの交点を通る直線の方程式を求めよ。---

(解) (1) 2円は $(x-2)^2+y^2=9, x^2+(y+1)^2=16$ だから、中心と半径はそれぞれ
  $(2,0),(0,-1)$ と $r_{1}=3,r_{2}=4$
中心間の距離 $d$ は
  $d=\sqrt{2^2+(-1)^2}=\sqrt{5} $
ところで2円は2点で交わる、1点で接する(外接、内接)、共有点を持たない、のいずれかである。
  
2点で交わるのは外接と内接の中間だから、
  $R+r >d>R-r \geq 0$
ここに $R,r$ はそれぞれ大円、小円の半径である。
今の問題の場合、$r_{2}+r_{1}=7>\sqrt{5}>r_{2}-r_{1}=1$ だから、2点で交わることが分かる。■
(2) デザルグの定理により、2交点を通る曲線は
  $k\{ (x-2)^2+y^2-9\}+l\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
だが、これが原点を通るなら、$(x,y)=(0,0)$ を代入して
  $-5k-15l=0 \rightarrow k=-3l$
でなければならない。$k=3,l=-1$ として
  $3\{ (x-2)^2+y^2-9\}-\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
  $2x^2+2y^2-12x-2y=0$
  $x^2+y^2-6x-y=0$ …(答)
(3) 2点を通る直線は1本しかないから、方程式を1つ導けばよい。2次の項を消すために $k=1,l=-1$ として
  $\{ (x-2)^2+y^2-9\}-\{ x^2+(y+1)^2-16\}=0$
  $-4x-2y+10=0$
  $2x+y-5=0$ …(答)

数学C(新課程)には楕円が出てくる。

【問題2】 2つの楕円 $\frac{x^2}{4}+y^2=1,x^2+\frac{y^2}{4}=1$ の交点を通る直線をすべて求めよ。---

(解) 交点はいくつあるかと言うと、グラフを描けば一目瞭然で4個である。
  
そもそも2次曲線同士の交点は、たかだか $4$個である。下図・左のように放物線同士でもたかだか $2\times 2=4$ 個である。3次関数のグラフとそれを回転したグラフの交点だと、たかだか $3\times 3=9$ 個である。(下図・右)
  
デザルグの定理により、4交点すべてを通る曲線は
  $k( x^2+4y^2-4)+l( 4x^2+y^2-4)=0$
  $(k+4l) x^2+(4k+l)y^2-4(k+l)=0$ …(*)
である。これから4点すべてを通る直線を求めるのだが、そんなものはない。4点すべてを通る2直線(の合併)を求めるのだ。それは
   $(ax+by+c)(a'x+b'y+c')=0$
の形の方程式である。そのためには (*) を $x$ の2次式と見たときに判別式が $y$ についての完全平方式になればよい。(解の公式におけるルートが外れるから。) そして、$y$ についての2次式が完全平方式になるにはその判別式がゼロになればよい。(重解になる訳だから。)
計算を進めると、まず $x$ についての判別式を $D_{1}$ とすれば
  $\frac{D_{1}}{4}=0^2-(k+4l)\{(4k+l)y^2-4(k+l)\}$
  $=-(k+4l)\{(4k+l)y^2-4(k+l)\}$
これが完全平方になるから、$k+4l=0$ か、中カッコ内の $y$ についての判別式を $D_{2}$ とすれば
  $\frac{D_{2}}{4}=0^2-(4k+l)\{-4(k+l)\}$
  $=4(4k+l)(k+l)=0$
である。まとめると、
  $k+4l=0,4k+l=0,k+l=0$
のいずれかが成立すればよい。そこで
  $(k,l)=(4,-1),(-1,4),(-1,1)$
を (*) に代入すれば、次の3式が出る。すなわち、
  $15y^2-12=0 \rightarrow y^2=\frac{4}{5}$
  $15x^2-12=0 \rightarrow x^2=\frac{4}{5}$
  $3x^2-3y^2=0 \rightarrow (x-y)(x+y)=0$
4点のうちの2点を結んでできる直線は $_{4}C_{2}=6$ 本(図の中の赤線)あるはずで、今導いたようにそれは
  $y=\frac{2}{\sqrt{5}},y=-\frac{2}{\sqrt{5}},x=\frac{2}{\sqrt{5}},x=-\frac{2}{\sqrt{5}},y=x,y=-x$ …(答)


§4. 2曲線の交点の個数

2次曲線同士の交点はたかだか 4個あると言ったが、ホントにそうなるか確認してみよう。

【問題3】 2つの2次曲線 $y=x^2, x^2+y^2=1$ の交点の座標(虚数の場合も含む)をすべて求めよ。---

(解) 連立して解けばよい。

放物線を円に代入して
  $x^4+x^2-1=0$
$x^2$ をビン詰めにして、2次方程式の解の公式から
  $x^2=\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}(=y)$
  $x=\pm \sqrt{\frac{-1+\sqrt{5}}{2}},\pm i \sqrt{\frac{1+\sqrt{5}}{2}}$
よって4交点の座標は
  $(x,y)=(\pm \sqrt{\frac{-1+\sqrt{5}}{2}},\frac{-1+\sqrt{5}}{2}),(\pm i \sqrt{\frac{1+\sqrt{5}}{2}},\frac{-1-\sqrt{5}}{2})$ …(答)

座標が虚数(そういう点を虚点と言う)だなんて、いいのかな?と思ってしまう。4交点を通る曲線はデザルグの定理により、
  $k(x^2-y)+l(x^2+y^2-1)=0$
だが、$k,l$ は任意なのだから、例えば $k=-1,l=1$ としてみると、
  $y^2+y-1=0$
だが、4交点とも $y=\frac{-1\pm\sqrt{5}}{2}$ だから、たしかにこの方程式を満足する。


§5. 岡潔が解いた問題

文化勲章受章の数学者岡潔(故人)はデザルグの定理を使って、ニュートンの定理(デュランドの定理とも)と呼ばれる事実を証明した。文献 [1] を参考にしてその解法を紹介しよう。

【問題4】 円に外接する四辺形の2本の対角線の中点を結ぶ直線は、この円の中心を通ることを証明せよ。---

(証明) 円を $x^2+y^2=r^2$ とする。
  
四辺形の4頂点を
  $P_{1}=(x_{1},y_{1}),P_{2}=(x_{2},y_{2}),P_{3}=(x_{3},y_{3}),P_{4}=(x_{4},y_{4})$
とする。四辺形の4辺 $P_{1}P_{2},P_{2}P_{3},P_{3}P_{4},P_{4}P_{1}$ と円の接点をそれぞれ
  $Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$
とする。次に、4点 $P_{1},P_{2},P_{3},P_{4}$ をとする極線
  $Q_{4}Q_{1},Q_{1}Q_{2},Q_{2}Q_{3},Q_{3}Q_{4}$
の方程式を求めると、それぞれ
  $x_{1}x+y_{1}y=r^2,x_{2}x+y_{2y}=r^2,x_{3}x+y_{3}y=r^2,x_{4}x+y_{4}y=r^2$
になる。
例えば極線 $Q_{4}Q_{1}$ の方程式は、次のように求まる。
2点 $Q_{4}=(q_{4},q'_{4}),Q_{1}=(q_{1},q'_{1})$ における接線は周知の公式によりそれぞれ
$q_{4}x+q'_{4}y=r^2,q_{1}x+q'_{1}y=r^2$
となる。これらが極 $(x_{1},y_{1})$ を通るから、
$q_{4}x_{1}+q'_{4}y_{1}=r^2,q_{1}x_{1}+q'_{1}y_{1}=r^2$
の2式が成り立つ。この2式は、直線
$x_{1}x+y_{1}y=r^2$
が2点 $Q_{4}=(q_{4},q'_{4}),Q_{1}=(q_{1},q'_{1})$ を通ることを意味する。
よってこれが極線 $Q_{4}Q_{1}$ の方程式である。
さて、前問にも出てきた2直線(の合併)の方程式を求めると、2直線 $Q_{4}Q_{1},Q_{2}Q_{3}$ は
  $(x_{1}x+y_{1}y-r^2)(x_{3}x+y_{3}y-r^2)=0$
であり、2直線 $Q_{1}Q_{2},Q_{3}Q_{4}$ は
  $(x_{2}x+y_{2}y-r^2)(x_{4}x+y_{4}y-r^2)=0$
である。すると、4点 $Q_{1},Q_{2},Q_{3},Q_{4}$ を通る曲線は、デザルグの定理により
  $k(x_{1}x+y_{1}y-r^2)(x_{3}x+y_{3}y-r^2)+l(x_{2}x+y_{2}y-r^2)(x_{4}x+y_{4}y-r^2)=0$
である。これが円 $x^2+y^2=r^2$ であるためには $x,y$ の係数がどちらも $0$ でなければならない。よって
  $-kr^2(x_{1}+x_{3})-r^2l(x_{2}+x_{4})=0 \rightarrow k(x_{1}+x_{3})+l(x_{2}+x_{4})=0$
  $-kr^2(y_{1}+y_{3})-r^2l(y_{2}+y_{4})=0\rightarrow k(y_{1}+y_{3})+l(y_{2}+y_{4})=0$
対角線の中点は $M_{1}=(\frac{x_{1}+x_{3}}{2},\frac{y_{1}+y_{3}}{2}),M_{2}=(\frac{x_{2}+x_{4}}{2},\frac{y_{2}+y_{4}}{2})$ であり、線分 $M_{1}M_{2}$ を $l:k$ に分ける点は
  $((k\frac{x_{1}+x_{3}}{2}+l\frac{x_{2}+x_{4}}{2})/(l+k),(k\frac{y_{1}+x_{3}}{2}+l\frac{y_{2}+x_{4}}{2})/(l+k))=(0,0)$
だから、直線 $M_{1}M_{2}$ は原点を通る。($k+l=0$ だったら、分母が $0$ になるという心配は無用である。このときには、2点 $M_{1},M_{2}$ は一致するので、原点を通ることは自明である。)■


§∞. 文献

[1] 高瀬正仁「評伝 岡潔 星の章」ちくま学芸文庫, 2021年
  
  岡の解答はこの本の p.228に出ている。秋月康夫は岡よりもエレガントな解答を2つ作ったが、どんなものなのかは今となっては不明であるそうだ。



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