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$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB},x \geq 0,y \geq 0,x+y \leq 1$
となる点Pを作図せよ、という問題がよくある。
これには1次変換を使うと楽だ。座標平面と言うと、下図・左のような直交座標を思い浮かべるだろうが、実は下図・右のような斜交座標もある。$x$ 軸と $y$ 軸が直交せず、しかも両者の単位の長さ ($1$ の目盛り) が異なるものである。直交座標系から斜交座標系へは、1次変換で移る。
単位正方形(緑色)や第1象限(緑とピンク)がどのように移るかを鑑賞してほしい。
さて、問題の解き方であるが、2点 A, B をそれぞれ $(1, 0), (0,1)$ として、
$P: x (1,0) + y (0,1) = (x, y), x\geq 0, y \geq 0, x+y\leq 1$
を直交座標の世界で図示すると、下図・左の赤い直角二等辺三角形になる。
これをモチ網 をひしゃげるようにして、下図・右のようにすれば
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB},x \geq 0,y \geq 0,x+y \leq 1$
なる点 P が描く図形(三角形だが、一般に直角でも二等辺でもない)が得られる。(この「ひしゃげる」ことを1次変換というのである。)
ついでに言っておくと、
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB}, x+y= 1$
なる点 P は直線 AB を描き、
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB}, x\geq 0, y \geq 0, x+y= 1$
なる点 P は線分 AB を描く。
ここまで平面上のベクトル(2次元)で考えてきたが、空間内のベクトル(3次元)になっても同様である。
上図のように、
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB},x \geq 0,y \geq 0,x+y \leq 1$
は、直角二等辺三角形が 赤色の三角形 $\triangle ABC$ に移る。
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB},0 \leq x \leq 1,0 \leq y \leq 1$
は、単位正方形が赤+緑の平行四辺形 $OACB$ に移る。
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB}, x \geq 0,y \geq 0$
は、第1象限が赤+緑+ピンクの角領域 $\angle AOB$ に移る。
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB}, x+y= 1$
は、直線 AB に移る。
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB},x \geq 0, y \geq 0, x+y= 1$
は、線分 AB に移る。
空間内でベクトルが3つになったら、次のようになる。
$\overrightarrow{OP}=x\overrightarrow{OA}+y\overrightarrow{OB}+z\overrightarrow{OC}$ のとき、点 P が描く図形は、
$x \geq 0,y \geq 0,z \geq 0$ なら、立体角(錐体) $\angle O-ABC$ 内、
$x+y+z=1$ なら、平面 $ABC$ 、
$x \geq 0,y \geq 0,z \geq 0,x+y+z=1$ なら、三角形 $\triangle ABC$、
$x \geq 0,y \geq 0,z \geq 0,x+y+z\leq 1$ なら、四面体 $OABC$、
$0 \leq x \leq 1,0 \leq y \leq 1,0 \leq z \leq 1$ なら、平行六面体 $OADB-CFGE$
である。
以上、出てくるベクトルが1次独立である場合だけを扱った。1次従属の場合はどうなるか。例えば空間内の3つのベクトルが1次従属とは、3つのベクトルが平行六面体を作らずに
(1) 同一平面上にある(2次元に退化)
(2) 同一直線上にある(1次元に退化)
(3) すべてが一つの点(零ベクトル)である(0次元に退化)
のいずれかの場合である。平行六面体がペチャンコになったと考えればそれほど難しくない。文献 [1] の第1章は、1次従属の場合も取り上げている。
[1] 銀林浩 「リフレッシュ数学3 ベクトルと行列-線形の解析」 講談社、1979年
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