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§1. 因数分解
§2. 有理化
§3. 二項定理
§4. 絶対値記号
§5. 等式の証明
§6. 不等式の証明
【問題1.1】 $(a+b+1)(ab+a+b)-ab$ を因数分解せよ。---
【解1】 どれか1文字、例えば $a$ に着目して、整理していく。
$(a+b+1)(ab+a+b)-ab= \{a+(b+1) \} \{ (b+1)a+b \} -ab$
$=(b+1)a^2 +\{ (b+1)^2+b\}a +b(b+1) -ab$
$=(b+1)a^2 + (b+1)^2 a +b(b+1) $
$=(b+1) \{ a^2 + (b+1) a +b\} $
$=(b+1) (a+1)(a+b) $ ……(答)
【解2】 同じ式が出てくるから、それらを缶詰め(置き換え)にする。$a+b=x,ab=y$ と置けば
$(a+b+1)(ab+a+b)-ab= (x+1)(x+y)-y$
$=x^2+(y+1)x+y-y$
$=x^2+(y+1)x$
$=x(x+y+1)$
$=(a+b)(a+b+ab+1)$
最後の式の第2因数は1文字着目で
$a+b+ab+1=(b+1)a+(b+1)=(b+1)(a+1)$ ……(*)
とやればいい。
【解3】 前の解の最後の部分(*)、すなわち
$ab+a+b+1=(a+1)(b+1)$
をうまく利用する。(この因数分解自体はたすき掛けですぐ分かる)
$(a+b+1)(ab+a+b)-ab= (a+b+1)\{ (a+1)(b+1)-1 \} -ab$
$=(a+b+1)(a+1)(b+1)-(a+b+1) -ab$
$=(a+b+1)(a+1)(b+1)-(a+1)(b+1)$
$=(a+1)(b+1)\{ (a+b+1)-1 \}$
$=(a+1)(b+1)(a+b)$ ……(答)
【問題1.2】 次の式を因数分解せよ。
(1) $(x+1)(x+2)(x-3)(x-4)-84$
(2) $(xy+1)(x+1)(y+1)+xy$ ---
【解】 (1)
与式$=(x+1)(x-3)\times (x+2)(x-4)-84$
$=(x^2 -2x -3)(x^2 -2x -8) -84$
$=(x^2 -2x)^2 -11(x^2 -2x) +24 -84$
$=(x^2 -2x)^2 -11(x^2 -2x) -60$
$=(x^2 -2x +4)(x^2 -2x -15)$
$=(x^2 -2x +4)(x+3)(x-5)$ ……(答)
最後の式の2次式の判別式は$D=4-16<0$でこれ以上因数分解できない。
(2) $(xy+1)(x+1)(y+1)+xy$
$x$ について整理して
$=(y+1)\{yx^2 +(y+1)x +1\} +xy$
$=y(y+1)x^2 +\{(y+1)^2 + y \}x +(y+1)$
たすきがけして
$=\{yx+ (y+1)\} \{(y+1)x +1\}$
$=(xy+x+1)(xy+y+1)$ ……(答)
【問題1.3】 $x^4-5x^3+6x^2+4x-8$ を因数分解せよ。---
【解】 田の字計算で因数分解します。
$(x^2 -4x +4)(x^2 -x -2)=(x-2)(x-2)(x-2)(x+1)$ ……(答)
試行錯誤でやるわけですが、3~5分ほどでできます。
4次までの方程式には解の公式がありますが、この問題に関しては田の字の方が速いです。
「因数定理を使え」という人がいますが、邪道です。なぜ邪道かと言えば、実係数では
4次式 = (2次式)×(2次式)
と必ず因数分解できます。ガウスが証明しました。でも、
4次式 = (1次式)×(3次式)
と実係数で因数分解できるとは限りません。これは因数定理は必ずしも使えないということを意味します。
ただし、3次ならば
3次式 = (1次式)×(2次式)
ということは必ず言えます。
【蛇足】 最近は高校の教科書から、4次式を因数定理で因数分解させる問題は消えつつあります。(3次までということになります。)
【問題1.4】 $(x-1)^7 -x^7 +1$ を因数分解せよ。---
【解】 まずパスカルの三角形で展開して $x$ を括り出す。
$(x-1)^7 -x^7 +1 =-7x^6 +21x^5 -35x^4 +35x^3 -21x^2 +7x $
$=-7x ( x^5 -3x^4 +5x^3 -5x^2 +3x -1)$
括弧内は相反(係数が左右対称)なので、両サイドからペアを組んで
$=-7x \{ (x^5-1) -3x(x^3-1) +5x^2(x-1) \}$
いずれのペアも $(x-1)$ で割り切れるので
$=-7x (x-1) \{ (x^4+x^3+x^2+x+1) -3x(x^2+x+1) +5x^2 \} $
$=-7x (x-1) (x^4-2x^3+3x^2-2x+1)$
あとは4次式 $x^4 -2x^3 +3x^2 -2x +1$ の因数分解ですが、一般に (2次式)×(2次式) に因数分解されます。ガウスが証明しています。
これをやるには田の字を使います。
上図のようになりまして、
$=-7x (x-1) (x^2-x+1)^2 $ ……(答)
最後の部分で田の字を使わないのであれば、やはり相反なので
$x^4 -2x^3 +3x^2 -2x +1$
$=(x^4+1)-2x(x^2+1)+3x^2$
$=(x^2+1)^2-2x^2-2x(x^2+1)+3x^2$
$=(x^2+1)^2-2x(x^2+1)+x^2$
$=(x^2+1-x)^2$
とやります。
【問題2.1】 $A=\frac{4}{\sqrt{5}-1}, B=\frac{2}{3-\sqrt{5}}$ とする。
(1) $A$ の分母を有理化し、簡単にせよ。
(2) $B$ の整数部分と小数部分をそれぞれ求めよ。
(3) $B$ の小数部分を $p, AB$ の小数部分を $q$ とする。このとき、$2pq+4p+q+2$ の値を求めよ。 ---
【解】(1) $A=\frac{4(\sqrt{5}+1)}{(\sqrt{5}-1)(\sqrt{5}+1)} = \sqrt{5}+1$ ……【答】
(2) $B=\frac{2(3+\sqrt{5}) } {(3-\sqrt{5})(3+\sqrt{5})} = \frac{3+\sqrt{5}}{2}$
だが
$\sqrt{5} = 2.2360679\cdots$(富士山麓オウム泣く)
より、$B=2.6\cdots$ だから
整数部分$=2$,
小数部分$=\frac{3+\sqrt{5}}{2} - 2 =\frac{\sqrt{5}-1 }{2}$ ……【答】
【蛇足】 富士山麓を知らなければ、
$\frac{3+ \sqrt{4}}{2} < B < \frac{3+\sqrt{9}}{2} \Rightarrow
2<B<3$
(3) 積を求めると
$AB=\frac{(\sqrt{5})(3+\sqrt{5})} {2} = \frac{8+4\sqrt{5}}{2} =4+2\sqrt{5}
\doteq 8.4$
だから
$q=(4+2\sqrt{5})-8=2\sqrt{5}-4$
また前問より
$p=\frac{\sqrt{5}-1 }{2}$
だから
$2pq+4p+q+2=(2p+1)(q+2)=\sqrt{5}(2\sqrt{5}-2)=10-2\sqrt{5}$ ……【答】
【問題3.1】 $(a^2+b+2)^8$ の展開式において $(a^6)\times (b^2)$ の係数を求めよ。---
【解】 多項定理
$(x+y+z)^n=\sum \frac{n!}{p!q!r!} x^p \cdot y^q \cdot z^r (ただし n=p+q+r)$
を使う。展開式において
$\frac{8!}{p!q!r!} (a^2)^p \cdot b^q \cdot 2^r$
の項を調べればよい。
$p=3, q=2, r=8-(3+2)=3$
だから
$\frac{8!}{3!2!3!} (a^2)^3 \cdot b^2 \cdot 2^3=560 \times 8 a^6b^2=4480a^6b^2$
よって係数は $4480$ ……(答)
【別解】 二項定理を2回使ってもよい。
$\{ a^2+(b+2) \}^8=\cdots + _{8}C_{3} (a^2)^3 (b+2)^5+\cdots$
$=\cdots + _{8}C_{3} (a^2)^3 (\cdots + _{5}C_{2} b^2 2^3+\cdots) +\cdots$
$=\cdots + _{8}C_{3}\cdot {}_{5}C_{2} \cdot a^6 \cdot b^2 \cdot 2^3+ \cdots$
よって求めるべき係数は
$=_{8}C_{3} \cdot {}_{5}C_{2} \cdot 2^3=56 \times 10 \times 8=4480$ ……(答)
【問題3.2】 $101^{50}$の下位5桁を求めよ。---
【解】
$(1+100)^{50}$
$= 1+ 50\cdot 100 + _{50}C_{2} 100^2+ _{50}C_{3} 100^3+\cdots$
第4項で百万以上になり、下5桁は0ばかり。だから、第3項まで計算すればよい。
第1項= 1
第2項= 5000
第3項= 12250000
3つ合わせて
12255001
よって、下5桁は 55001 ……(答)
【問題4.1】 $\sqrt{(x−1)^2}+\sqrt{(x+1)^2}$を簡単にせよ。---
【解】 一般に
$\sqrt{x^2} = |x|$
$= \left\{ \begin{array}{ll} x & (x\geq 0)\\ -x & (x<0) \end{array}
\right.$
だから、$x$ と$1$及び $-1$ との大小で場合を3つに分けて考える。
(ア) $x\geq 1 $のとき
$|x-1| + |x+1| =(x-1)+(x+1)=2x$
(イ) $-1 \leq x < 1 $のとき
$|x-1| + |x+1| =-(x-1)+(x+1)=2$
(ウ) $x < -1 $のとき
$|x-1| + |x+1| =-(x-1)-(x+1)=-2x$
グラフは下図。
【問題5.1】 $1,\sqrt{2},\sqrt{3},\sqrt{6}$は$\mathbb{Q}$上1次独立であること、すなわち$a+b\sqrt{2}+c\sqrt{3}+d\sqrt{6}=0$($a,b,c,d$は有理数)ならば、$a=b=c=d=0$であることを証明せよ。---
【証明】 $d \neq 0$とする。両辺を$d$で割って、$-a/d,-b/d,-c/d$を改めて$a,b,c$とおけば
$\sqrt{6}=a+b\sqrt{2}+c\sqrt{3}$
このとき
$(\sqrt{6}-a)^2=(b\sqrt{2}+c \sqrt{3})^2$
$6-2a \sqrt{6}+a^2 = 2b^2 + 3c^2 +2bc \sqrt{6}$ ……(*)
$2(a+bc) \sqrt{6}=6- 2b^2 - 3c^2$
ここで$\sqrt{6}$が無理数であることから、
$a+bc=0$
$a=-bc$を(*)に代入すれば
$6+(bc)^2 = 2b^2 + 3c^2 $
$(3-b^2)(2-c^2)=0$
これより$b=\pm \sqrt{3}$または$c=\pm \sqrt{2}$となるが、これは$\sqrt{2},\sqrt{3}$が無理数であることに反する。よって、$d=0$
はじめに戻って
$a+b\sqrt{2}+c\sqrt{3}=0$
となるが、$c \neq 0$とすれば、先と同様に$-a/c,-b/c$を改めて$a,b$とおいて
$\sqrt{3}=a+b\sqrt{2}$
$(\sqrt{3}-a)^2=2b^2$
$3-2a\sqrt{3}+a^2=2b^2$
$\sqrt{3}$が無理数であることから$a = 0$なので、
$\sqrt{3}=b\sqrt{2}$
$b=\frac{\sqrt{3}}{\sqrt{2}}=\frac{\sqrt{6}}{2}$
ところがこれはまたしても、$\sqrt{6}$が無理数であることに矛盾する。■
【注意】 上記の証明では、$\sqrt{2},\sqrt{3},\sqrt{6}$が無理数であることを既知としている。
【問題5.2】 $a,b$ を無理数とするとき、$a^b$ は必ずしも無理数にならないことを示せ。---
【証明】 有理数になる例を1つ作ればよい。例えば、
$a=b=\sqrt{2}$
は無理数だが、
$a^b=\sqrt{2}^{\sqrt{2}}$
は有理数か、無理数かよく分からない。
そこで、もし $a^b=\sqrt{2}^{\sqrt{2}}$ が有理数ならばそれで解決である。もし $a^b=\sqrt{2}^{\sqrt{2}}$
が無理数なら、
$(a^b)^b=(\sqrt{2}^{\sqrt{2}})^{\sqrt{2}} =(\sqrt{2})^{\sqrt{2} \times
\sqrt{2} } =(\sqrt{2})^2=2$
となって、無理数 $a^b$ の無理数 $b$乗が有理数であることを示せた。■
【問題6.1】 $a>0,b>0,c>0$のとき$a+b+c \geq \sqrt{3(ab+bc+ca)}$であることを証明せよ。---
【証明】 $(a+b+c)^2 \geq 3(ab+bc+ca)$を証明すればよい。
$(a+b+c)^2 - 3(ab+bc+ca)$
$=a^2+b^2+c^2 +2(ab+bc+ca)- 3(ab+bc+ca)$
$=a^2+b^2+c^2 -(ab+bc+ca)$
$=\frac{1}{2} \{ (a-b)^2+ (b-c)^2+ (c-a)^2 \} \geq 0$
より、それが分かる。ちなみに等号が成立するのは$a=b=c$のときに限る。■
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