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数についての【Q&A】
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No.100530 素数って何ですか。
No.100540 負の整数も素因数分解できますか。
No.100560 -2は素数ですか。
No.100580 -7を5で割ると余りはいくらですか。
No.100530 素数って何ですか。
自然数(日本では$n>0$なる整数のこと。フランスでは$n \geq 0$)の中で、1と自分自身以外では割り切れないもののこと。ただし、1は除く。
1は、自然数の世界においては、1以外では割り切れないのだが、例外的にこれを素数とは認めない。
なぜかというと、例えば6を素因数分解したときに、1を素数の仲間に入れてしまうと
$6=2 \times 3 =1 \times 2 \times 3 =1 \times 1 \times 2 \times 3 =1
\times 1\times 1 \times 2 \times 3 =\cdots$
と、いくつも答が出てきてしまう。これでは素因数分解の一意性が成り立たない。
この事態を防ぐために、1を素数とは言わないことにするのである。
No.100540 負の整数も素因数分解できますか。
例えば$-6$を素因数分解しようとすると、
$-6=(-1) \times 2 \times 3 $
となってしまいます。$-1$は素数なのでしょうか。1が素数でないくらいですから、素数になりそうにありません。実際、これを素数に認定してしまうと
$-6=(-1) \times 2 \times 3 =(-1) \times (-1) \times (-1) \times 2 \times
3$ ……(*)
と、またもや「素因数分解の一意性」が成り立たなくなります。
では、$-1$は何なのでしょうか。
実は、これを「単元」と言うのです。素数ではありませんので、(*)のように何通りの表記ができても一意性は損なわれないと考えるのです。
例えば、$-12$だと
$-12= 1^{a} \cdot (-1)^{b} \cdot 2^{c}\cdot 3^{d}$
としたとき、$c,d$の値は一意に決まりますが、$a,b$の値は決定できません。$1$と$-1$は素数でなく単元と定義し、この部分はどうでもいいと考えるのです。
【結論】 $x \times y =1$となる整数$x$や$y$のことを単元という。具体的には$1$と$-1$である。
すべての整数$n$(正でも負でもよいが、0は除く)は
$n=e \times p_{1} \times p_{2} \times p_{3} \times \cdots$
と一意的に書き表すことができる。
ただし、ここで$e$は単元で、各$p_{i}$は素数である。($p_{i}$たちの中には同じものがあってもよい。)
【注意】 有理数の世界で単元は何かというと、$x \times y =1$ですから、0以外の有理数はすべて単元となります。ですから、有理数の世界には素元も素数も存在しません。
No.100560 -2は素数ですか。
素数は、自然数の中で考えますから、$2$は素数であっても、$-2$は素数ではありません。
でも、単元の$1$と$-1$を除くと、自分自身の2以外には約数を持ちません。
そこで$-2$を素数と呼びたくなるのですが、ここではこれを「素元」と呼びましょう。
そうすると、負の整数も、すべて素元と単元の積に因数分解されます。ところが、そうすると$-6$は単元を除いて考えても
$-6=(-2) \times 3 =2 \times (-3)$
と2通りに素元分解できると思えてきてしまいます。
そこで、$2$と$-2$は同じではないけど、同じようなものと見ようということでこれらを「同伴」と呼ぶこととします。
【結論】 すべての整数$n$(正でも負でもよいが、0は除く)は
$n=e \times p_{1} \times p_{2} \times p_{3} \times \cdots$
と書き表すことができる。ただし、ここで$e$は単元で、各$p_{i}$は素元である。
同伴な素元を区別しなければ、上の分解の方法は一意的(1通りしかない)=unique である。
No.100580 -7を5で割ると余りはいくらですか。
合同式のところで、
$-7 \equiv 3 (\mod.5)$
となるのですが、右辺は2ではないかと思う人が多いようです。
- 2
5) - 7
-10
3
ですから、割り算すると余りはちゃんと3になります。(商を$-1$とすると余り$r$が$0 \leq r <5$とならないからダメなのです。)
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