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角の二等分線の長さが等しいとき

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広中平祐著『学問の発見』(ブルーバックス)の p.61に、

三角形の2つの底角(ママ)のそれぞれの二等分線を引き、それぞれの線が対辺に交わる点までの長さが等しい時、この三角形は二等辺三角形であることを証明せよ。---

という問題が出ている。著者は高校生のときこの問題にてこずった、なぜなら三角関数を使えば簡単に証明できるのにまだ習っていなかったので、それ以外の方法で解いたからだという話なのである。

三角関数ならそんなに簡単なのかと思い、私も挑戦してみたのだが丸一日かけても解けなかった。三角関数でも難解で、さすがフィールズ賞受賞の数学者は凄いと思った次第である。
Internet に出ていた証明を参考にして、三角関数を使った私なりの答案を作ったので、それを以下に記す。

まず正弦定理か余弦定理か、どちらを使うべきかに迷う。前者だとなかなか変数の個数が減ってくれない。たぶん、後者の方が楽なのであろう。

$BD^2=CE^2$ より、余弦定理を使って

$a^2+CD^2-2a \cdot CD \cos C=a^2+BE^2-2a \cdot BE \cos B$

そこで$CD, BE$ の長さが欲しいが、内角の二等分線は対辺を2辺の比に内分するという中学校で習った定理があるので

$CD:DA=a:c \Rightarrow CD=\frac{ab}{a+c}$

で、もう一方も$b,c$を交換して $BE=ac/(a+b)$ である。
次に(変形)余弦定理により

$\cos C=\frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}, \cos B=\frac{a^2+c^2-b^2}{2ac}$

余弦定理を何度も使ったら元の木阿弥で自明な等式しか出てこないかと一瞬思っていしまうが、作っている対象の三角形が異なるので大丈夫だ。
最初の等式をすべてぶち込んで、

$a^2+\frac{(ab)^2}{(a+c)^2}-2a \cdot \frac{ab}{a+c}\cdot \frac{a^2+b^2-c^2}{2ab}=a^2+\frac{(ac)^2}{(a+b)^2}-2a \cdot \frac{ac}{a+b}\cdot \frac{a^2+c^2-b^2}{2ac}$,
$(a+b)^2 \{ (ab)^2-a(a+c)(a^2+b^2-c^2)\}=(a+c)^2 \{ (ac)^2-a(a+b)(a^2+c^2-b^2)\}$,
$(a+b)^2 \{ ab^2-(a+c)(a^2+b^2-c^2)\}=(a+c)^2 \{ ac^2-(a+b)(a^2+c^2-b^2)\}$,
$(a+b)^2 ab^2-(a+c)^2 ac^2-(a+b)^2 (a+c)(a^2+b^2-c^2)+(a+c)^2(a+b)(a^2+c^2-b^2)\}=0$,
$a \{ (a^2b^2+2ab^3+b^4)-(a^2c^2+2ac^3+c^4) \} -(a+b)(a+c) \{ (a+b)(a^2+b^2-c^2)-(a+c)(a^2+c^2-b^2)\}=0$

さて結論は分かっていて$b=c$なのだから、左辺は$b-c$ を括り出せるはずである。たしかに第1項は

$a \{(a^2b^2+2ab^3+b^4)-(a^2c^2+2ac^3+c^4)\} =a \{a^2(b^2-c^2)+2a(b^3-c^3)+(b^4-c^4) \}$
$=a(b-c)\{ a^2(b+c)+2a(b^2+bc+c^2)+(b+c)(b^2+c^2)\}$
$=a(b-c)(a+b+c)\{ (b+c)a+b^2+c^2 \}$

(最後はたすき掛けだ)で、第2項は

$(a+b)(a+c) \{ (a+b)(a^2+b^2-c^2)-(a+c)(a^2+c^2-b^2)\}$
$=(a+b)(a+c) \{a(b^2-c^2)-a(c^2-b^2)+a^2(b-c)+(b^3-c^3)-(bc^2-b^2c) \}$
$=(a+b)(a+c) (b-c)\{a(b+c)+a(b+c)+a^2+(b^2+bc+c^2)+bc \}$
$=(a+b)(a+c) (b-c)\{a^2+ 2a(b+c)+(b+c)^2 \}$
$=(a+b)(a+c) (b-c)(a+b+c)^2$

だから、くだんの等式の左辺は$(b-c)(a+b+c)$ で括り出しができて

$(b-c)(a+b+c)[ a \{ a(b+c)+b^2+c^2 \}-(a+b)(a+c)(a+b+c) ]=0$

となる。ここで$[ \mbox{ }]$ 内が零にならなければ$b=c$が言えて、証明完了である。実は$[ \mbox{ }]$ 内は常に負である。それを示そう。$a,b,c$ は定数なのであるが$a$だけ変数扱いして変動させてみよう。そこで$a$を$x$と置き換えて、式全体の符号を反転して

$f(x)=-(b+c)x^2-(b^2+c^2)x+(x+b)(x+c)(x+b+c)$
$=x^3+\{-(b+c)+b+c+(b+c) \} x^2+\{ -(b^2+c^2)+bc+b(b+c)+c(b+c) \}x+bc(b+c)$
$=x^3+(b+c)x^2+3bcx+bc(b+c)$

とおき、これが常に正であることを示す。$x$の変域は $|b-c|<x<b+c$ であるが、範囲を拡げて$0 \leq x $ でそれを示す。$f(0)=bc(b+c) \geq 0$ に注意して、この範囲で単調増加である。実際、微分すると

$f'(x)=3 x^2+2(b+c)x+3bc$

であり、その判別式の四半分は

$D/4=(b+c)^2-9bc$

で、これが負なら全範囲で $f'(x)>0$ であり単調増加。非負なら$f'(x)=0$は1~2個の実数解を持つが、大きい方の解を

$x_{0}=\frac{-(b+c) +\sqrt{(b+c)^2-9bc}} {3}$

とすれば $x_{0} \leq x$ において単調増加なのだが、$0 \leq \sqrt{(b+c)^2-9bc} \leq \sqrt{(b+c)^2}=b+c$ より

$x_{0} \leq \frac{-(b+c)+(b+c)}{3} =0$

である。したがって、当然$0 \leq x$ の範囲でも単調増加となり、$f(x)\geq bc(b+c)>0, (x \geq 0)$が言えた。 ■


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