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循環小数と原始根

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§1. 商と余りのサイクル
§2. 原始根と回転盤双六
§3. 余り→商変換
§4. 循環節の長さと種類数
§5. g進小数展開
§∞. 文献

§1. 商と余りのサイクル

$p$ を素数とするとき、真分数 $\frac{a}{p} (0< a <p)$ を小数に直す(10進小数展開という)ことを考えてみよう。ただし、$p$ は 2, 5 ではないとする。(この場合は有限小数になってしまい、面白くない。) このとき、分子を分母で割りきることができないから無限小数になる。

【問題1-1】 $A=\frac{8}{73}$ を小数に直すには、分子を分母で割ればよい。筆算で割り算したときに出てくる、(1) 余りの数列、(2) 商の数列 (それぞれ繰り返しになるから、「余りのサイクル」、「商のサイクル」と呼ぼう)を求めよ。---

(解)(1) 余りの数列について
上図の赤丸で囲った数が余りであるから、余りのサイクルは

$7 \rightarrow 70 \rightarrow 43 \rightarrow 65 \rightarrow 66 \rightarrow 3 \rightarrow 30 \rightarrow 8 $ (答)

である。筆算が面倒なら、Excelワ-クシート "syosu.xlsx" (←ここをクリックすると open または save ができます。)で計算してもよい。73 で割った余りは 1~72の72通り(有限個)だから、割っていくうちにやがて以前に出てきた余りと同じ余りが出てきて、そこから後は繰り返しになる。だから、サイクル(円環)になる(厳密に論じると問題1-2の通り)。しかもそのサイクルの長さ(周期)はたかだか $p-1=72$ である。

ところで、この数列って何だろう。初項(第1項)が $7$ で末項は $8$ である。筆算を見ると一瞬、初項は $8$ ではないかとも思えるが、初回の割り算は

$8 \div 73=0 \cdots 8 \Leftrightarrow 8=73 \times 0 +8$

なのではなく、小数第1位の $1$ に対応する、

$80 \div 73=1 \cdots 7 \Leftrightarrow 80=73 \times 1 +7$

が 1回目の割り算なのである。一瞬初項のように見えた $8$ は第0項であり、初項の1個手前であり、かつ末項に等しい。
項数は 8 項であると言ってもよいし、項数は ∞ 項で周期が 8 であると言ってもよい。

さて、この余りの数列の規則だが、初項の $7$ の次の項は 10倍して 73で割った余り=70 だから、公比が 10 の等比数列だと分かる。その次の項(第3項)は 70 の10 倍の 700 を73 で割った余り 43 である。73 で割った余りと、割る前の 700 を同一視して、

$700=43 (mod.73)$

と書くことにし、「700と43はモード 73で等しい(73をとして合同)」と読むことにしよう。($=$ でなく $\equiv$ を使う流儀もあるが、混乱しなければどちらでもよい。)

この $mod$ の考えを取り入れると、余りのサイクルは

$7 \rightarrow 70 \rightarrow 700=43 \rightarrow 430=65 \rightarrow 650=66 \rightarrow 660=3 \rightarrow 30 \rightarrow 300=8 ( \rightarrow 80=7 \rightarrow \cdots) $

と、見事に初項 7, 公比 10 の($mod.73$ の)等比数列である。

(2) 商のサイクルについて
筆算の結果を見れば分かる通り、商のサイクルは

$1 \rightarrow 0 \rightarrow 9 \rightarrow 5 \rightarrow 8 \rightarrow 9 \rightarrow 0 \rightarrow 4 $ (答)

である。余りのサイクルに対応して出てくるから、サイクルの長さ(周期)は余りのそれに等しく、8 項である。この答に基づいて、

$A=\frac{8}{73}=0. \dot{1} 095890 \dot{4}$

と書き、循環節の長さは 8 であると称する。これで循環節の長さはたかだか (分母)$-1$ であることも分かった。


【問題1-2】 上の余りのサイクルがほんとに円環状(サイクル)になることを示せ。---

(証明) 一見当たり前のような気がして、上では言及しなかった。もし下図のような鉄道の引込線のようなルートがあると、c から後はサイクルだが、全体を見ると円環にはなっていないことがありうることに気を配ろう。

示すべきはこのような引込線がありえないことだ。もし上図のようになれば

$10 b=10 h (=c)$

だが、10 の逆元 $x$ を両辺に掛ければ

$x 10 b= x 10 h \Rightarrow 1 b=1 h \Rightarrow b=h$

となって、矛盾する。問題は 10 の逆元が存在するのはなぜかという点に絞られれる。実際、$mod$ の $p$ は 2, 5 以外の素数であったから、10 と $p$ の最大公約数は 1 になる。したがって「表現定理」(下の不定方程式に整数解が存在する)により

$10 x+ p y =1$

となる整数 $x,y$ が存在する。よって、

$10 x=1-p y=1 (mod.p)$

で確かに逆元 $x$ が存在する。■

【問題1-3】 前問の余りのサイクル(等比数列)の一般項 $r_{n}$ を求めよ。---

(答) $r_{n}=7 \times 10^{n-1} (mod.73)$

上の一般項がもう少し簡単な式にならないかを考えてみよう。7 の方も $a^m$ の形に変形できれば、うまくすれば $10^{n-1}$ と掛けて指数法則 $a^x \times a^y=a^{x+y}$ が使えるかもしれない。
そのためには、1 ~ 72 (73で割って割り切れないときに出てくる余りはこの72個の数のどれかだ)のすべてが $a^x$ の形に表すことができればラッキーだ。そのときの底 $a$ のことを原始根と言う。
オイラーは、$mod.p$ ($p$ は素数)の数体系には必ず原始根が存在することに気づいていたが、それを証明することはできなかった。それを初めて証明したのがガウスである。(原始根の存在証明については文献 [1] 参照


§2. 原始根と回転盤双六

【問題2-1】 $mod.73$ の原始根を 1つ求めよ。---

(解)
原始根を $\zeta$ とする。$mod.73$ の 0 以外の 72個の数が $\zeta^k$, すなわち

$\zeta, \zeta^2, \zeta^3, \cdots, \zeta^{72}$ (*)

で表される訳だ。当然この中に 1 があるが、それは末項で $\zeta^{72}=1$ が成り立つ。なぜなら、もし 72 より手前で、例えば 62 乗で 1 になったら、$\zeta^{62}=1$ の両辺に $\zeta$ を掛けて

$\zeta^{63}=\zeta$

となり、(*) の中に同じ数があることになり、72 個の数すべてを表すことができなくなるからだ。

結局、72乗して初めて 1 になる数が原始根である。

さて、10 がもし原始根なら、循環節の長さが最長($p-1$) の循環小数になって楽しいのだが、

$10^2=100=73 \times 1+27=27=3^3 $  $(mod.73)$,
$10^4=3^6=729=73 \times 10-1=-1$,
$10^8=(-1)^2=1$

となってしまう。10 は 8乗で 1になり、原始根ではない。この状況を「10 の位数は 8 である」と言い、

$|<10>|=8$

と書く。(だから、$mod.p$ の原始根の位数は $p-1$ ということになる。)

上に出てきた等式の1番目から、3 は 10 の 2/3 乗と分かるから、3 をなんとか攻略しよう。

$3=73 \times 6+3=441=21^2$,
$1=10^8=(10^2)^4=(3^3)^4=3^{12}=(21^2)^{12}=21^{24}$

21 は 24乗で 1 になる数(位数が 24の元) だ。上で導いた等式をうまく利用すれば

$21=-73 \times 2+21 =-125=-5^3$,
$1=21^{24}=(-5^3)^{24}=5^{72}$

これで 5 の位数が 72, すなわち原始根であることが分かった。
(答) 例えば、5 が原始根である。(実は、原始根は他にもある。)

【問題2-2】 $mod.73$ で 1~72 の数を 5 の累乗の形に表せ。---

(解) $5,5^2,5^3, \cdots ,5^{72}$ を計算すればよい。手計算でももちろんできるが、Excel を使おう。Excelワ-クシート "genshi.xlsx" をクリック( open または save ができます。)
実はこのワークシートを使えば、先ほどの原始根探し(問題2-1)も試行錯誤的に(1~72の数をいろいろ試して)行うことができたのであった。

この Excel のワークシートで $5, 5^2,5^3, \cdots , 5^{72}$ を計算すれば、順に

$5, 25 , 52, 41, 59, \cdots,66,38,44,1$

のようになることが分かる。途中を省略せずに全部書けば、下表である。問題1-1 に出てきた余りの数は黄色で塗っておいた。



【問題2-3】 改めて、余りのサイクル(上表の黄色)の一般項 $r_{n}$ を求めよ。---

(解) 問題1-3 に出てきた余りのサイクル(上表の黄色)を再録すると

$7 \rightarrow 70 \rightarrow 43 \rightarrow 65 \rightarrow 66 \rightarrow 3 \rightarrow 30 \rightarrow 8 $

で、その一般項は $r_{n}=7 \times 10^{n-1} (mod.73)$ であったが、上表を見ると

$7=5^{33}, 10=5^9$

であることが分かるから、

$r_{n}=5^{33} \times (5^9)^{n-1} =5^{33+9(n-1)}$ ……(答)

$r_{n}$ の底 5 に対する指数(index)を $i(n)$ とすれば、それは等差数列で

$i(n)={33+9(n-1)}$
具体的には
$i(1)=33,i(2)=42,i(3)=51,i(4)=60,i(5)=69,i(6)=78=6,i(7)=15,i(8)=24 $

上式で $78=6$ としたが、5 は 72乗で 1になり、よって例えば 5 の 73 乗と 1 乗は同じものになる。だから、指数は $mod.72$ ($p$ ではなく $p-1$ であることに注意)で計算すればよい訳だ。
$i(n)$ は公差が 9 の(円環状の)等差数列で、72 個の数を 9 個ごとに飛び石のように飛んで回るのだから、項数(周期)は $72 \div 9=8$ である。

余りのサイクルは、その名の通り円環状になっているので、下図のように左回りに排列して、この図を回転盤双六と名付けよう。

そもそも双六とは、サイコロを振って出た目だけ進んでいくゲームで、スタート地点を「振り出し」、ゴールを「上がり」と呼ぶ。ここでの双六は、10 倍ずつ進む(今の場合は 9 コマずつ進む)のがルールだ。
$A=\frac{8}{73}$ の場合は振り出し=上がり(第0項)が 8 で、初項=第1項が $80=7$ である。

回転盤双六(上図)を見ながら解く問題に挑戦してみよう。

【問題2-4】 $B=\frac{43}{73}$ を小数にするために割り算をしたときに出てくる余りのサイクルを求めよ。---

(解) 振り出しの $43$ の次から始めて、9 コマずつ進めばよい。よって、余りのサイクルは

$65 \rightarrow 66 \rightarrow 3 \rightarrow 30 \rightarrow 8 \rightarrow 7 \rightarrow 70 \rightarrow 43 $ (答)

上の答を 問題2-3 で扱った余りのサイクルと比較すると、シフトしている(ズレてる)だけだ。でもサイクル=円環には初めも終わりもない。だから、これら 2つの余りのサイクルは本質的に同じ種類のものと見てよい。

【問題2-5】 $C=\frac{1}{73}$ の余りのサイクルを求めよ。---

(解) 1 を振り出しに 9 コマずつ進む。よって、余りのサイクルは

$10 \rightarrow 27 \rightarrow 51 \rightarrow 72 \rightarrow 63 \rightarrow 46 \rightarrow 22 \rightarrow 1$ (答)

(図には色を塗っていないので、見間違えないようによく見てください。) この答に出てきた余りのサイクルは、問題2-3 に出てきたそれと全く違うので、異なる種類のサイクルだ。よく見れば 1つとして同じ数が出てこない。(そりゃ、そうだ。もし同じ数が 1つでもあればそこから後は同じ数列になり、それは円環になっているから、結局サイクルとして同一ということになる。)


§3. 余り→商変換

前節までで余りのサイクルをさんざん求めたが、循環小数が分からなけば意味がない。そこで、余りのサイクルを商のサイクルに変換(「余り→商変換」と呼んでおこう)する方法を紹介しよう。

そもそも余り $r_{i}$ と商 $q_{i}$ はどうやって求めたかと言うと、問題1-1 のときなら

割り算1回目: $10 \times 8 =73 \times 1 +7 \Leftrightarrow 10 r_{0}=73 \times q_{1}+r_{1}$
割り算2回目: $10 \times 7=73 \times 0 +70 \Leftrightarrow 10 r_{1}=73 \times q_{2}+r_{2}$
割り算3回目: $10 \times 70=73 \times 9 +43 \Leftrightarrow 10 r_{2}=73 \times q_{3}+r_{3}$
………………

とやった。一般化すれば

$10 r_{i-1}=73 \times q_{i}+r_{i}$,
$q_{i}=\frac{10 \times r_{i-1}-r_{i}}{73}$

つまり、商を求めるには 1個手前の余りを 10倍したものから余りを引いて、分母で割ればよいのである。

【問題3-1】 問題2-5 に出てきた $C=\frac{1}{73}$ の答の余りのサイクルを循環小数に直せ。---

(解) 問題2-5に出てきた余りのサイクルは、

$10 \rightarrow 27 \rightarrow 51 \rightarrow 72 \rightarrow 63 \rightarrow 46 \rightarrow 22 \rightarrow 1$

であった。これの第0項(=末項)と、第1項から末項までの数を下表の 1行目(黄色の所)に書き並べる。

① 1行目の最左の数 1 を 10倍したものから、右隣の 10 を引いて、$10-10=0$, この 0 を2行目(の白い所)に書く。
② 1行目の 2番目の数 10 を 10倍したものから、右隣の 27 を引いて、$100-27=73$, この 73 を2行目(の白い所)に書く。
③ 1行目の 3番目の数 27 を 10倍したものから、右隣の 51 を引いて、$270-51=219$, この 219 を2行目(の白い所)に書く。
④ 以下同様。

これで、2行目が完成したら、2行目を分母の 73 で割った数を 3行目に記入する。3行目に並んだ、

$0 \rightarrow 1 \rightarrow 3 \rightarrow 6 \rightarrow 9 \rightarrow 8 \rightarrow 6 \rightarrow 3$

が商のサイクルで、$1/73$ を循環小数に直すと

$C=\frac{1}{73}=0. \dot{0} 136986 \dot{3}$ (答)

手計算でも作れたのだが、上の表は Excel で作った。そのワークシートをアップロードしておいた。Excelワ-クシート "AmaSyoHenkan.xlsx" をクリック( open または save ができます。)

【問題3-2】 問題2-4 に出てきた $B=\frac{43}{73}$ の答の余りのサイクルを循環小数に直せ。---

(解)問題2-4 の余りのサイクルを再録すると、  

$65 \rightarrow 66 \rightarrow 3 \rightarrow 30 \rightarrow 8 \rightarrow 7 \rightarrow 70 \rightarrow 43 $

だから、下表より

$B=\frac{43}{73}=0. \dot{5} 890410 \dot{9}$ (答)

前問とは異なる種類の循環節になる。(異なる商のサイクルに 1 個や 2 個同じ数字があっても同じサイクルにはならない。)

ここで今まで得た結果をまとめておこう。

$A=\frac{8}{73}=0. \dot{1} 095890 \dot{4}$
$B=\frac{43}{73}=0. \dot{5} 890410 \dot{9}$
$C=\frac{1}{73}=0. \dot{0} 136986 \dot{3}$


§4. 循環節の長さと種類数

これまで、分母が 73 の真分数を考えてきた。分母 73 の分数は、全部で何種類のまるっきり異なる循環節(または余りのサイクル)を発生するだろうか。それがこのセクションのテーマである。

真分数 $\frac{a}{p}$ の余りのサイクルは、公比が 10, 第 0 項が $a$ の等比数列で、10 の位数が $l$ ($10^l=1$) ならば

$10 a \rightarrow 10^2 a \rightarrow 10^3 a \rightarrow \cdots \rightarrow 10^{l-1} a \rightarrow 10^l a=a$,
一般項は
$r_{n}=10^{n} a (mod.p)$

で、余りのサイクルの長さ(周期)は $l$ である。
よって、次の定理が成り立つ。

【定理4-1】 真分数 $\frac{a}{p},p \neq 2, 5$ の余りのサイクルの長さ=循環節の長さ $len$ は 10 の位数 $|<10>|$ に等しい。

$len =|<10>|$

---

(注) 10 の累乗が作る(乗法に関する)巡回群が $<10>$ で、この群に含まれる元の個数が $|<10>|$ である。

回転盤双六において、余りのサイクルが巡るコマを下図にで示そう。

このは全部で $l$ 個あるのだが、これらは等間隔に並んでいる。実際、原始根 $\zeta$ を底にとったとき、

$10=\zeta^t, a=\zeta^A$
($ind_{\zeta} 10=t, ind_{\zeta} a=A$ とも書く。)

になったとすれば

$r_{n}=\zeta^A \times (\zeta^t)^n=\zeta^{A+t n}$,
指数(index)だけを取り出して書き出すと
$i(n)=A+t n $  $(mod.p-1)$

$t'=(t, p-1)$ (2 数の最大公約数) とするとき、次の 2 つの集合は等しくなる。すなわち

$\{ i | i=A+t n \} =\{ i | i=A+t' n \}$

もし $i=A+t n$ なら $t$ は $t'$ の倍数だから左辺は右辺に含まれる。逆は、表現定理より

$t'=x t+ y(p-1)$

となる整数 $x,y$ が存在するから

$A+t' ni=A+\{ x t+y(p-1) \} n =A+t x n $  $ (mod.p-1)$

となることから言える。したがっての位置を表す $i(n)$($\zeta$ を底にとったときの指数) は

$i(n): A, A+t',A+2 t',A+3 t', \cdots, A+(\frac{p-1}{t'} -1) t' $  $ (mod.p-1)$

で、公差が $t'$ の等差数列だから、等間隔に並んでいることが示された。

(注1) 余りのサイクルは、下図で ① → ② → ③ → ④ → ⑤ → … のように進み、一見グチャグチャに並ぶように見えるが、回った後に軌跡を改めて見ると等間隔に並んでいる、というのが上で証明した内容である。

(注2) 上に出てきた集合 $\{ i | i=A+t' n \},t'=(t,p1-1)$ は、$A=0$ のとき $mod.p-1$ の加法群の部分群になる。この部分群を $H$ としよう。$A\neq 0$ のときは部分群にはならず、$H$ による剰余類になる。剰余類の個数が後述する循環節の種類数 $m$ に等しくなる。

まとめると、次の定理が成り立つ。

【定理4-2】 回転盤双六に余りのサイクルを配置すると、$|<10>|$(10 の位数)個のが等間隔に並ぶ。---

いよいよ循環節の種類数を求めよう。
余りのサイクルは$|<10>|$ 個ので作った数珠と思えばよい。総コマ数 $p-1$ 個の玉から飛び飛びに玉を選んで $m$ 種類の数珠ができたとすれば、

$m=\frac{p-1}{|<10>|}$(種類)

である。( 2 つの数珠が 1 個でも玉を共有すれば、そこから後の等比数列は一致してしまうから。)
よって次の定理が言える。

【定理4-3】 真分数 $\frac{a}{p},p \neq 2, 5$ から作られる循環節の種類は

$m=\frac{p-1}{|<10>|}$(種類)

である。---

(注1) 公式の右辺の分数が割り切れるのかと心配した読者がいるかもしれない。巡回群 $<10>$ は $mod.p$ から 0 を除いてできる乗法群(位数は $p-1$) の部分群だから、割り切れるという定理があるから大丈夫である。

(注2) 上記の $m$ というのは、正規部分群 $<10>$ による剰余類群の位数のことである。

【問題4-1】 真分数 $\frac{a}{73}$ は何種類の余りのサイクルを発生するか。ただしシフトしただけのサイクルは同じ種類と考える。---

(解) 問題2-1 より 10 の位数は 8 であったから、循環節(で作る数珠)の長さは 8 である。総コマ数は $p-1=72$ だから、できる数珠の種類は上の定理により

$m=\frac{72}{8}=9$(種類) … (答)


ところで、全部で $m$ 種類のサイクルができたとして、各種類から典型例を 1つずつピックアップして、それを並べてみるとどうなるだろうか。
ガウスの例に倣うと次のようになる。$\zeta$ を原始根とするとき、回転盤双六上で $1=\zeta^0$ から連続する $m$ 個の数、

$\zeta^0, \zeta^1, \zeta^2, \zeta^3, \cdots, \zeta^{m-1}$

が末項(第 0 項)となるように数珠(余りのサイクル)を作れば、それらは互いに異なるものになるから、これらのサイクルを各循環節の代表とすればよい。(ついでながら、$m$ はから次のまでのコマ数 $t'=(t,p-1)$ に等しいことになるから、$m=t'$ が成り立つ。) よって、

$(0): \frac{\zeta^0}{p}$,
$(1): \frac{\zeta^1}{p}$,
$(2): \frac{\zeta^2}{p}$,
$(3): \frac{\zeta^3}{p}$,
$\cdots \cdots$
$(m-1): \frac{\zeta^{m-1}}{p}$

を代表とすればよい。これで次の定理が得られた。

【定理4-4】 $\zeta$ を $mod.p$ の原始根とする。真分数 $\frac{a}{p},p \neq 2, 5$ の循環節が $m$ 種類あるとすれば、それらの各代表として

$\frac{\zeta^0}{p},\frac{\zeta^1}{p}, \frac{\zeta^2}{p},\cdots, \frac{\zeta^{m-1}}{p}$

の循環節を採用できる。(他の循環節は、代表の循環節をシフトしたものになる。)

【問題4-2】 分母が 13 の真分数の循環節の長さと、種類数を求めよ。---

(解)例えば $\frac{1}{13}$ を筆算で割り算してみれば、循環節の長さはすぐ分かるのだが、ここでは上の定理を利用してそれを求めることにしよう。
まず 10 の $mod. 13$ における位数を求めると

$10^2=13 \times 8-4=-4 (mod.13)$,
$10^3=-4 \times 10=-40=-1$,
$10^6=(-1)^2=1$

で、10 の位数は 6, すなわち $|<10>|=6$ である。定理 4-1 により、循環節の長さ $len$ は 6 である。
また、定理 4-3 により種類数 $m$ は

$m=\frac{p-1}{|<10>|}=\frac{13-1}{6}=2$(種類)

である。(答)長さ 6, 2種類

【問題4-3】 $mod.13$ の原始根を求め、それを利用して分母が 13 の真分数の循環節を 2 種類求めよ。---

(解)原始根とは位数が $p-1=12$ の元のことである。問題 4-2 で $10^6=1$ を得ていたから、10 の平方根が分かれば、それは 12 乗で 1 の元となる。

$10=13 \times 2+10=36=6^2$

だから、6 は 10 の平方根だ。(もう一つの平方根は $-6=7$ である。)
これで 6 が原始根と分かったので、6 の累乗を計算する。

$6 \rightarrow 6^2=36=10 \rightarrow 10 \times 6= 60=8 \rightarrow 48=9 \rightarrow 54= 2 \rightarrow 12=-1$

$-1$ は 1 の平方根だから、ちょうど回転盤の半周に相当する。これは、12 乗の半分だから、原始根の 6 乗になる。すなわち

$6^{(p-1)/2}=6^6=-1$

である。(常に原始根の $\frac{p-1}{2}$ 乗は $-1$ なのである。) ところで、残りの項は次のようにして簡単に求められる。$\zeta$ を原始根とするとき、あるコマ $\zeta^k$ と、半周先のコマ $\zeta^{k+(p-1)/2}$ との関係は

$\zeta^k +\zeta^{k+(p-1)/2}=\zeta^k \{1+\zeta^{(p-1)/2} \}=\zeta^k\{1+(-1) \}=0$  $ (mod.p)$,
$\zeta^{k+(p-1)/2}=p-\zeta^k $

すなわち、あるコマに印字されるべき数字は、半周前のコマの数字を $p$ から引いたものである。したがって、上図において

6 の半周先に、$13-6=7$ という数字を書き込み、
10 の半周先に、$13-10=3$ という数字を書き込み、
8 の半周先に、$13-8=5$ という数字を書き込み、
9 の半周先に、$13-9=4$ という数字を書き込み、
2 の半周先に、$13-2=11$ という数字を書き込み、
12 の半周先に、$13-12=1$ という数字を書き込めばよい。

定理 4-4 により、求めるべき 2 種類の余りのサイクルは、次の 2 種である。すなわち、

(0) 第 0 項(末項)を $\zeta^0=6^0=1$ とし、$10=\zeta^2$ より 2 コマずつ進む、
 $10 \rightarrow 9 \rightarrow 12 \rightarrow 3 \rightarrow 4 \rightarrow 1$
というサイクル、分数にすれば
$\frac{6^0}{13}=\frac{1}{13}$
(1) 第 0 項(末項)を $\zeta^1=6^1=6$ とし、2 コマずつ進む、
 $8 \rightarrow 2 \rightarrow 7 \rightarrow 5 \rightarrow 11 \rightarrow 6$
というサイクル、分数にすれば
$\frac{6^1}{13}=\frac{6}{13}$

である。これらから循環節を求めるには、例の余り→商変換を行って


$\frac{1}{13}=0.\dot{0} 7692 \dot{3}$


$\frac{6}{13}=0.\dot{4} 6153 \dot{8}$

が求めるべき 2 種類の循環節である。

【問題4-4】 $mod.11$ の原始根が 2 であることを確認し、それを利用して分母が 11 の真分数の循環節を 全種類求めよ。---

(解)$10=-1 (mod.11)$ だから $10^2=1$ (位数は $|<10>|=2$)である。10 乗して 1 になる数を探す。それは 5 乗すると 10 になる数である。

$10=21=32=43=\cdots$

だが、この中の 32 は 2 の 5 乗である。したがって

$2^5=32=10, 2^{10}=(2^5)^2=10^2=1$

で、2 の位数は 10 となり、原始根である。循環節の長さは $len=|<10>|=2$ で、種類数は $m=\frac{p-1}{|<10>|}=\frac{10}{2}=5$(種類)である。5 種類の循環節を分数で表すと

$\frac{2^0}{11},\frac{2^1}{11},\frac{2^2}{11},\frac{2^3}{11},\frac{2^4}{11}$
すなわち
$\frac{1}{11},\frac{2}{11},\frac{4}{11},\frac{8}{11},\frac{5}{11}$
(最後の分数の分子は $16=5 (mod.11)$ から上のようになった。)

あとはこれを小数に直すのだが、

$0.\dot{a}bc \dot{d}=\frac{abcd}{9999}$

という循環小数を分数に直す公式を逆に使って、1 種類めは

$\frac{1}{11}=\frac{9}{99}=0.\dot{0} \dot{9}$

で、あとは掛け算をして

$\frac{2}{11}=2 \times 0.\dot{0} \dot{9} =0.\dot{1} \dot{8}$,
$\frac{4}{11}=4 \times 0.\dot{0} \dot{9}=0.\dot{3} \dot{6}$,
$\frac{8}{11}=8 \times 0.\dot{0} \dot{9}=0.\dot{7} \dot{2}$,
$ \frac{5}{11}=5 \times 0.\dot{0} \dot{9}=0.\dot{4} \dot{5}$

が全種類の循環節である。(循環節が大きさの順になっていなくて変だ、と思う読者はいないであろう。)


§5. g進小数展開

【問題5-1】 10 は $mod.7$ の原始根になることを示し、したがって $\frac{1}{7}$ の循環節の長さが 6 であることを確認せよ。また、循環節の長さを 2 や 3 にするには何進小数展開すればよいか。---

(解) 10 の累乗を作ると

$10=3(mod.7) \rightarrow 10^2=9=2 \rightarrow 10^3=20=6 \rightarrow 10^4=60=4 \rightarrow 10^5=40=5 \rightarrow 10^6=50=1 ( \rightarrow 10)$

10 の位数は $7-1=6$ だから原始根。余りのサイクル(循環節)も長さが 6 である。

循環節の長さを 2 にするには、例えば上図のを飛び石のように飛んで回ればよい。その余りのサイクルは

$6=10^3 \rightarrow 1=10^6$

で公比は $\frac{10^6}{10^3}=10^3=6$ だから、6 進小数展開すればよい。余り→商変換したのが下図だ。


① 1 を 6 倍して 6 を引いて 0
② 6 を 6 倍して 1 を引いて 35
これで 2 行目ができたので、最後は 7 で割る。

$\frac{1}{7}_{(10)}=\frac{1}{11}_{(6)}=0.\dot{0} \dot{5}_{(6)}$
となるが、筆算でやると下図なので、正しいことが分かる。

循環節の長さを 3 にするには、例えば上図のを飛び石のように飛んで回ればよい。ただしその方法は 2 通りあり、総コマ数=6 の双六を 2 コマずつ進む方法と、4 コマずつ進む方法である。
ここでは後者の方法を採用しよう。その余りのサイクルは

$4=10^4 \rightarrow 2=10^2\rightarrow 1=10^6$

で公比は $\frac{10^2}{10^4}=\frac{10^4}{10^6}=10^4=4$ だから、4 進小数展開すればよい。余り→商変換したのが下図だ。

$\frac{1}{7}_{(10)}=\frac{1}{13}_{(4)}=0.\dot{0}2 \dot{1}_{(4)}$
となり、筆算は下図。


§∞. 文献

[1] 遠山啓「数の不思議 - 初等整数論への招待」SBクリエイティブ、2014年




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