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【知恵袋から】集合・命題・論理
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【問題1】 命題の問題です。次の条件の否定を述べよ。m,nは整数とする。「m,nはともに偶数である。」---
【問題2】 A={x|ー2≦x≦3}、 B={x|(k-6)≦x≦k}(kは定数)とするとき、$A \subset B$となる kの範囲を求めよ。---
【問題3】 整数全体の全体集合を$U$とし、その部分集合$A=\{4,5,6,m^2+7\},B=\{4,m+13,m^2+1\}$を考える。
【問題4】 ①行列Aについて、$A^2=A$かつ$A \neq E$ならば、$A$は逆行列をもたないことを証明せよ。
【問題5】 命題「すべての整数 $n$ とある整数 $m$ について $n^2\geq m$」の真偽を求めよ。また否定を述べ、真偽を求めよ。---
【問題6】 $n$個の要素からなる集合 A の部分集合は何個あるか。また、そのうち、偶数個の要素を持つ部分集合は何個か。---
「YAHOO! 知恵袋」で筆者が回答したものの中から抜粋しました。
【問題1】 命題の問題です。次の条件の否定を述べよ。m,nは整数とする。「m,nはともに偶数である。」---
【解】 (1)「男女ともに制服」と言ったら、「男制服着用」かつ「女制服着用」です。だから「ともに」=「かつ」。
(2)m,nはともに偶数 = (m:偶数) ∧ (n:偶数) (∧は「かつ」の意味。) を否定(¬)すると
¬(m:偶数 ∧ n:偶数)
= ¬(m:偶数) ∨ ¬(n:偶数)
= (m:奇数) ∨ (n:奇数)
(∨は「または」の意味。逆さになるのをド・モルガンの法則と言う。)
(3)下図のベン図で、Aの丸の中がm:偶数、Bの丸の中がn:偶数、とすれば「ともに偶数」は二つの丸のかぶったところです。
これの否定は、
「赤いパックマン」+「青いパックマン」+ひょうたん島の外側(海)
の3つのパートです。
それって、A丸の外側(m:奇数)とB丸の外側(n:奇数)を合体したもの(合併集合)でもあります。
(4)ベン図で分からないのなら、上図の表で考えたらどうでしょう? ○の否定が×です。
【答】 「mまたは nは偶数でない。」■
【問題2】 A={x|ー2≦x≦3}、 B={x|(k-6)≦x≦k}(kは定数)とするとき、$A \subset B$となる kの範囲を求めよ。---
【解】 A={x|-2≦x≦3}の守備範囲は長さ5 です。
$A \subset B$ というのは、B={x|(k-6)≦x≦k}の守備範囲(長さ6)がAのそれをおおってしまうということです。
Bのライトの野手 k が3よりもっと右まで守ってくれて、なおかつ Bのレフトの野手 k-6 が-2よりもっと左まで守ってくれればよい。
よって
3 ≦ k かつ k-6 ≦ -2
より
3 ≦ k ≦ 4 ■
【蛇足】 $A \supset B$ は、守備範囲が逆転しますから、起こりえません。
【問題3】 整数全体の全体集合を$U$とし、その部分集合$A=\{4,5,6,m^2+7\},B=\{4,m+13,m^2+1\}$を考える。
B⊂Aのとき、$m^2+1=$(ア)であり、$m$=(イウ)である。---
【解】 最初に$m^2+1$を処理しましょう。$6= □^2+1$ の形になりませんし、もちろん$m^2+1 = m^2+7$ となることもありません。したがって
$5= 2^2+1$
なので、$m^2+1 = 5$ となるしかありません。よって $m= ±2$です。
(1) $m=2$ なら$B =\{ 4, 15, 5\}$ だから $A = \{4,5,6,11\}$ には含まれません。
(2) $m=-2$ なら$B =\{ 4, 11, 5\}$ だから $A = \{4,5,6,11\}$ には含まれます。
【答】 ア=5, イ=-2
【問題4】 ①行列Aについて、$A^2=A$かつ$A \neq E$ならば、$A$は逆行列をもたないことを証明せよ。
②$AB$が逆行列をもつならば、$A,B$は逆行列をもつことを証明せよ。---
【解説】 「白いカラスがいる」の証明:白いカラスを捕まえて持ってくればよい。
存在証明はある意味、簡単。
「白いカラスはいない」の証明:世界中のカラスを捕まえてきて、1羽1羽点検する。
全称命題は証明が非常に難しい。
①「すべての行列Mについて、AM=MA=Eにはならない」は全称命題だから、証明が難しい。背理法を使おう。
②「A(およびB)には逆行列が存在する」は存在証明だから簡単。背理法を使うまでもない。
いつでもこのように割り切れるものではないかもしれないが、一つの納得法。
【証明】 ①背理法。もし、$A^{-1}$が存在すれば、それを与式の両辺に左から掛けて
$A^{-1}(A^2) =A^{-1}A$
$(A^{-1}A)A=E$
$A=E$
矛盾である。■
②は直接法で証明。逆行列$M$が存在すれば
$ABM=MAB=E$
だから、……。アレッ、証明できない。それもそのはず、$A$が$n \times m$型行列で$B$が$m \times n$型行列$(m \neq
n)$なら、この命題は成り立たない。そこで、$A,B$がともに$n$次正方行列であるとする。$AB$が逆行列を持つ⇔正則行列⇔行列式≠0、だから
$\det(AB) = \det A \times \det B \neq 0$
より
$\det A \neq 0$ かつ $\det B \neq 0$ ■
【問題5】 命題「すべての整数 $n$ とある整数 $m$ について $n^2\geq m$」の真偽を求めよ。また否定を述べ、真偽を求めよ。---
【解】 $m=0$ としてみよ。真です。 ……(答)
($m$ を負の整数に設定してもけっこうです。) 後半は
「$\forall n \exists m:P$」
の 否定が
「$\exists n \forall m:\neg P$」
であるという規則を使います。後半の否定命題は
「ある整数 $n$ についてすべての整数 $m$ に対し $n^2 <m$ が成り立つ」 ……(答)
です。もとの命題が真なので、この命題は偽です。 ……(答)
実際、$n=0$ に対し $0^2 < -1$ は成り立ちません。
【問題6】 $n$個の要素からなる集合 A の部分集合は何個あるか。また、そのうち、偶数個の要素を持つ部分集合は何個か。---
【解】 要素数が $1,2,3,\cdots,n$ 個の部分集合が何個あるかを考え、総計すればよい。したがって
${}_{n}C_{0} + {}_{n}C_{1} +{}_{n}C_{2} +\cdots +{}_{n}C_{n}=(1+1)^{n}=2^{n}$
……(答)
二項定理を使った。
【別解】 $\mbox{A} =\{ a_{1},a_{2},\cdots,a_{n} \}$
の部分集合は
$\mbox{B} =\{ a_{i},a_{j},\cdots,a_{k} \}$
各要素 $ a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}$ が集合 B に含まれるのか含まれないのかを1個1個考えれば、その順列・組合せは
$2 \times 2 \times \cdots \times 2 = 2^{n}$……(答)
である。($2$種類のものから $n$ 個を選んで並べる重複順列 ${}_{2}\Pi_{n}$ である。)
【後半の解】 $ a_{1},a_{2},\cdots,a_{n}$ から偶数個を選ぶ方法だから、
${}_{n}C_{0} + {}_{n}C_{2} +{}_{n}C_{4} +\cdots$
ここで二項定理より
${}_{n}C_{0} - {}_{n}C_{1} +{}_{n}C_{2} -\cdots +(-1)^{n} {}_{n}C_{n}=(1-1)^{n}=0$
だから
${}_{n}C_{0} + {}_{n}C_{2} +{}_{n}C_{4} +\cdots = {}_{n}C_{1} + {}_{n}C_{3}
+{}_{n}C_{5} +\cdots$
つまり、偶数個選ぶも奇数個選ぶも、その方法の数は等しいのでいずれも $2^{n}$ の半分となり
$=2^{n-1}$……(答)
【後半の別解】各要素 $ a_{1},a_{2},\cdots,a_{n-1}$ が集合 B に含まれるのか含まれないのかを1個1個考えれば、その順列・組合せは
$2 \times 2 \times \cdots \times 2 = 2^{n-1}$
である。最後に $a_{n}$ を選ぶのか否かを決めるのだが、これは偶数個という条件からどちらか片方に自動的に決まる。したがって、答は $2^{n-1}$……(答)
【問題7】 全体集合 $U$ と、その部分集合 $A,B$ について、$n(U)=50,n(A)=36,n(B)=27$ である。このとき、$n(A \cap
B)$ のとりうる値の最大値と最小値を求めよ。---
【解】 $n(A \cap B)=x$ とおけば、$n(A \cup B)=36+27-x$ だが
$A \cup B \subset U$
から
$36+27-x \leq 50$
また
$A \cap B \subset A,B$
から
$x \leq 36,x \leq 27$
よって
$13 \leq x \leq 27$
【答】 最大値27, 最小値13.
【別解】 50人います。36人に1個ずつまんじゅうをあげます。27人にはアイスクリームをあげます。
なるべく多くの人に(何も貰えない人がいないように)配るには、$n(A \cap B)$ を最小にすればいい。でも63個のお菓子を50人にあげたら、どうしても13人には2個のお菓子をあげざるをえない。
よって、$n(A \cap B)$ の最小値は13.
最大はなるべく不平等に配る方法です。少ない方のアイスを27人に先に配り、次にまんじゅうを配るが、アイスの27人に優先的にあげます。残ったまんじゅうは9個。アイス以外の9人に配る。
よって、$n(A \cap B)$ の最小値は27.
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