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1のn乗根のガロア群

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目 次

§1. 1の12乗根
§2. 1の5乗根
§3. 1の7乗根
§4. 1の8乗根
§5. 1の17乗根
§∞. 文献

ファン・デル・ヴェルデンの「現代代数学」第7章『ガロワの理論』§53-54 を参考にして、1の n 乗根のガロア群を考えてみよう。

§1. 1の12乗根

それって
   $\cos \frac{2 k \pi}{12} +i \sin \frac{2 k \pi}{12}$
あるいは
   $\zeta^{k}$ (ただし $\zeta=\cos \frac{2 \pi}{n} +i \sin \frac{2 \pi}{n}, n=12$)
と思うかもしれないが、三角関数を使わずに有理数の四則とべき根(累乗根)だけで表したいのだ。
もう一つ、$k=2,3,4$ などでは$12$乗する前に($6$乗, $4$乗, $3$乗などで) $1$になってしまうので、それは除こう。除いた残りは「原始 $n$ 乗根」と呼ばれ、そのための必要十分条件は
   $(k,n)=1$
すなわち互いに素であることだ。$k=1,2, \cdots, n$ の間に何個あるかと言えば、オイラー関数を使って
   $\varphi(n)=\varphi(p^{e} q^{f} r^{g})=p^{e}(1-\frac{1}{p}) q^{f}(1-\frac{1}{q}) r^{g}(1-\frac{1}{r})$個
となる。

$12$の場合、$1 \leq k \leq 12$ で互いに素となる整数 $k$ は
   $k=1, 5, 7, 11$
の $\varphi(12)=2^2(1-\frac{1}{2}) 3(1-\frac{1}{3})=4$ 個である。(図中の赤丸)
   

ここで $\zeta$ の特性方程式 $\phi(x)$ を求めておこう。
   $x^{12}-1$
   $=(x^6+1)(x^6-1)$
   $=(x^2+1)(x^4-x^2+1)(x^2-1)(x^4+x^2+1)$
   $=(x^2+1)(x^4-x^2+1)(x^2-1)(x^4+x^2+1)$
   $=(x^2+1)(x^4-x^2+1)(x+1)(x-1)(x^2+x+1)(x^2-x+1)$
と因数分解できるが、互いに素でない $k$ に対する特性方程式は
   $\zeta^3=i,\zeta^9=-i \Rightarrow x^2+1=0$ …… ①
   $\zeta^4=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2},\zeta^8=\frac{-1-\sqrt{3}i}{2} \Rightarrow x^2+x+1=0$ …… ②
   $\zeta^2=\frac{1+\sqrt{3}i}{2},\zeta^{10}=\frac{1-\sqrt{3}i}{2} \Rightarrow x^2-x+1=0$ …… ③
(なお、$\zeta^6=-1 \Rightarrow x+1=0$, $\zeta^{12}=1 \Rightarrow x-1=0$ だが1次式では根が基礎体に含まれてしまうので特性方程式とは言わない。)
だから、これらを省けば、
   $\phi(x)=x^4-x^2+1=0$
(${\mathbb Q}$ 上4次拡大体である。)
2次方程式の解の公式を2回使えば
   $x=\pm \sqrt{\frac{1 \pm \sqrt{3} i}{2}}$
と求まるが、この形ではどうもね。

そこでガロア理論を使う。原始$12$乗根
   $\zeta, \zeta^5,\zeta^7,\zeta^{11}$
の間の置換を考える。(この置換が作る置換群がガロア群である。)
置換
   $\sigma_{i}: z \mapsto z^i$
という写像である。$z^k$ なら
   $\sigma_{i}(z^k)=z^{i k}$
である。この写像は基礎体 $K$ を動かさない拡大体 $L$ の自己同型写像である。
置換同士の積(合成)をとると、$\sigma_{i}\sigma_{j}(z)=\sigma_{i}(z^j)=(z^j)^i=z^{ij}=\sigma_{ij}$ より
   $\sigma_{i}\sigma_{j}=\sigma_{ij}$
である。($i \times j$ の掛け算は$mod.n$ で考える。)
体 ${\mathbb Q}(\zeta)/\mathbb Q$ のガロア群は
   $G=Gal(\mathbb Q(\zeta)/\mathbb Q)=\{ \sigma_{1}, \sigma_{5}, \sigma_{7},\sigma_{11} \}$
だが、単位元(恒等置換) $\sigma_{1}$ 以外はすべて位数 2 の元であり、また
   $\sigma_{5}\sigma_{7}=\sigma_{11}, \sigma_{7}\sigma_{11}=\sigma_{5}, \sigma_{11}\sigma_{5}=\sigma_{7}$
(クラインの四元群) だから、$G$ の真の部分群は
   $< \sigma_{5}>, < \sigma_{7}>, < \sigma_{11}>$
の3つである。($<●>$ は●が生成する巡回群を表す。) これらに対応する中間体を求めよう。
   

ア) $< \sigma_{5}>$ が動かさない元は
   $\sigma_{5}(\zeta^3)=\zeta^3$
より $\zeta^3=i$ である。だから、対応する中間体は ${\mathbb Q}(i)$ で、
   $Gal({\mathbb Q}(\zeta)/{\mathbb Q}(i)) = <\sigma_{5}>$
(上記巡回群の位数が2だったから、拡大次数は $[{\mathbb Q}(\zeta):{\mathbb Q}(i)]=2$ となり、$[{\mathbb Q}(i):{\mathbb Q}]=2$ と掛け合わせれば、$2 \times 2=4$ で辻褄が合っている。)

イ) $< \sigma_{7}>$ が動かさない元は
   $\sigma_{7}(\zeta^2)=\zeta^2$
より $\zeta^2=\frac{1+\sqrt{3}i}{2}$ である。だから、対応する中間体は ${\mathbb Q}(\sqrt{3}i)$ で、
   $Gal({\mathbb Q}(\zeta)/{\mathbb Q}(\sqrt{3}i)) = <\sigma_{7} >$

ア) イ) から、${\mathbb Q}(\zeta)={\mathbb Q}(\sqrt{3},i)$ が分かるので、$\zeta$ は $\sqrt{3},i$ を使って表現できることは分かった。

ウ) $< \sigma_{11}>$ が動かさない元は
   $\sigma_{11}(\zeta+\zeta^{11})=\zeta+\zeta^{11}$
より $\zeta+\zeta^{11}=\zeta+\frac{1}{\zeta}$ である。だから、対応する中間体は ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})$ で、
   $Gal({\mathbb Q}(\zeta)/{\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})) = <\sigma_{11}>$

さて、ここで
   ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})/ {\mathbb Q}$
の特性方程式を次のようにして求めよう。$\phi(\zeta)$ を $\zeta^2$ で割って
   $\zeta^2-1+\frac{1}{\zeta^2}=0$
が成り立つことに留意して
   $x=\zeta+\frac{1}{\zeta} \Rightarrow x^2=\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2} +2=1+2=3$
この2次方程式は簡単に解けて
   $x=\zeta+\frac{1}{\zeta} =\sqrt{3}$
(だから ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})={\mathbb Q}(\sqrt{3})$ であることが分かる。)
$\zeta$ の実部と虚部はそれぞれ
   $Re(\zeta)=\frac{\zeta+\bar{\zeta}}{2}=\frac{\sqrt{3}}{2}$,
   $Im(\zeta)=\sqrt{1-(\frac{\sqrt{3}}{2})^2}=\frac{1}{2}$
だから、
   $\zeta=\frac{\sqrt{3}+i}{2}$
こんなこと、最初から三角関数を使って分かっていた、と言われそうだが、このやり方を使えば三角関数を使わずに1の$n$乗根が求まりそうなことが分かる。
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§2. 1の5乗根

原始 $5$ 乗根は、 $(k,5)=1$ より
   $k=1, 2, 3, 4 (mod.5)$
の $\varphi(5)=5(1-\frac{1}{5})=4$ 個ある。(図中の赤丸)
   

ここで $\zeta$ の特性方程式 $\phi(x)$ を求めると
   $x^{5}-1=(x-1)(x^4+x^3+x^2+x+1)$
より
   $\phi(x)=x^4+x^3+x^2+x+1=0$
である。

原始$5$乗根
   $\zeta, \zeta^2,\zeta^3,\zeta^{4}$
の間の置換を考える。体 ${\mathbb Q}(\zeta)/\mathbb Q$ のガロア群は
   $G=Gal(\mathbb Q(\zeta)/\mathbb Q)=\{ \sigma_{1}, \sigma_{2}, \sigma_{3},\sigma_{4} \}$
だが、これは $\sigma_{2}$ が生成する位数 4 の巡回群、すなわち
   $G=<\sigma_{2}>=\{ \sigma_{2}, \sigma_{4}, \sigma_{3},\sigma_{1} \}$
で、その真の部分群は位数 2 の巡回群
   $<\sigma_{4}>=\{ \sigma_{4}, \sigma_{1} \}$
のみである。

   

$< \sigma_{4}>$ が動かさない元は
   $\sigma_{4}(\zeta+\zeta^{4})=\zeta+\zeta^{4}$
より $\zeta+\zeta^{4}=\zeta+\frac{1}{\zeta}$ である。よって中間体は ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})$ のみである。

さて、${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})/{\mathbb Q}$ の特性方程式を求めよう。$\phi(\zeta)$ を $\zeta^2$ で割って
   $\zeta^2+\zeta+1+\frac{1}{\zeta}+\frac{1}{\zeta^2}=0$
に留意して、$x=\zeta+\frac{1}{\zeta}$ を変形して
   $x^2=\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2} +2=-(\zeta+\frac{1}{\zeta}+1)+2=-x+1$
   $x^2+x-1=0$
この2次方程式は簡単に解けて
   $x=\zeta+\frac{1}{\zeta} =\frac{-1+\sqrt{5}}{2}$
(だから ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})={\mathbb Q}(\sqrt{5})$ であることが分かる。)
$\zeta$ (1 の $5$乗根)の実部と虚部はそれぞれ
   $Re(\zeta)=\frac{-1+\sqrt{5}}{4}$
   $ Im(\zeta)=\sqrt{1-(\frac{-1+\sqrt{5}}{4})^2}=\frac{\sqrt{10+2 \sqrt{5}}}{4}$
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§3. 1の7乗根

原始 $7$ 乗根は、 $(k,7)=1$ より
   $k=1, 2, 3, 4, 5, 6(mod.7)$
の $\varphi(7)=7(1-\frac{1}{7})=6$ 個ある。(図中の赤丸)
   

ここで $\zeta$ の特性方程式 $\phi(x)$ を求めると
   $\phi(x)=x^6+x^5+x^4+x^3+x^2+x+1=0$
である。

原始$7$乗根
   $\zeta, \zeta^2,\zeta^3,\zeta^{4},\zeta^5,\zeta^6$
の間の置換を考える。体 ${\mathbb Q}(\zeta)/\mathbb Q$ のガロア群は
   $G=Gal(\mathbb Q(\zeta)/\mathbb Q)=<\sigma_{3}>=\{ \sigma_{3}, \sigma_{2}, \sigma_{6}, \sigma_{4}, \sigma_{5}, \sigma_{1} \}$
という位数 6 の巡回群だから、その真の部分群は位数 3 の巡回群
   $<\sigma_{2}>=\{ \sigma_{2}, \sigma_{4}, \sigma_{1} \}$
と、位数 2 の巡回群
   $<\sigma_{6}>=\{ \sigma_{6}, \sigma_{1} \}$
である。

   

$< \sigma_{2}>$ が動かさない元は
   $\zeta+\zeta^2+\zeta^{4}$
だから、対応する中間体は
    ${\mathbb Q}(\zeta+\zeta^2+\zeta^{4})$
であり、$< \sigma_{6}>$ が動かさない元は
   $\zeta+\zeta^{6}$
だから、対応する中間体は
    ${\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})$
である。
$\zeta+\zeta^2+\zeta^{4},\zeta+\zeta^{6}$ はガウスによりそれぞれ3項周期2項周期と呼ばれる。

ア) $w=\zeta+\zeta^2+\zeta^{4}$ の${\mathbb Q}$上の特性方程式を求めよう。
   $w^2=\zeta+\zeta^2+\zeta^{4}+2(\zeta^3+\zeta^5+\zeta^{6})$
   $=2(\zeta+\zeta^2+\zeta^{3}+\zeta^4+\zeta^5+\zeta^{6})-w$
   $=-2-w$
より
   $w^2+w+2=0$
となる。よって $w=\frac{-1+ \sqrt{7} i}{2}$ と分かる。
$< \sigma_{2}>$ の位数が 3 だったから、$6 \div 3=2$ で、拡大次数は $[{\mathbb Q}(\zeta+\zeta^2+\zeta^{4}):{\mathbb Q}]=2$ となる訳だ。

イ) $\zeta+\frac{1}{\zeta}$ の${\mathbb Q}$上の特性方程式を求めよう。
$\phi(\zeta)$ を $\zeta^3$ で割った
   $\zeta^3+\zeta^2+\zeta+1+\frac{1}{\zeta}+\frac{1}{\zeta^2}+\frac{1}{\zeta^3}=0$
に留意しつつ、$x=\zeta+\frac{1}{\zeta}$ を変形し
   $x^3=\zeta^3+\frac{1}{\zeta^3}+3(\zeta+\frac{1}{\zeta})$
   $=-(\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2})+2(\zeta+\frac{1}{\zeta})-1$
   $=-(x^2-2)+2 x-1$
より
   $x^3+x^2-2 x-1=0$
あとはこの3次方程式をカルダノの方法で解いて、
   $x=-\frac{1}{3}+\frac{1}{3}\sqrt[3]{\frac{7(1+3 \sqrt{3}i)} {2}}+\frac{1}{3}\sqrt[3]{\frac{7(1-3 \sqrt{3}i)}{2}}$
ここで3乗根は3価関数だが、下のグラフのように3つとも実数解になるように適宜選ぶ。およその解の値は
   $x=-1.802, -0.445, 1.247$
だが、それは大きい順に $\zeta+\frac{1}{\zeta}, \zeta^2+\frac{1}{\zeta^2} , \zeta^3+\frac{1}{\zeta^3}$ である。
   
何はともあれ、$\zeta$ (1 の $7$乗根)の実部と虚部はそれぞれ
   $Re(\zeta)=\frac{1}{2}(\zeta+\frac{1}{\zeta})$
   $=-\frac{1}{6}+\frac{1}{6}\sqrt[3]{\frac{7(1+3 \sqrt{3}i)} {2}}+\frac{1}{6}\sqrt[3]{\frac{7(1-3 \sqrt{3}i)}{2}}$
   $=0.623$,
   $ Im(\zeta)=\sqrt{1-(Re(\zeta))^2}$
と分かった。

ところで、上の3根が互いに共役な根だとなぜ分かるのかと言うと、部分群 $H=< \sigma_{6}>$ では $\zeta+\frac{1}{\zeta}$ は動かないのだから、共役根に移す写像は $G$ を $H$ で割った剰余群 $G/H$ だと分かる。そこで剰余群を求めると
   $H=< \sigma_{6}>=\{ \sigma_{1}, \sigma_{6} \}$,
   $\sigma_{2}H=\{ \sigma_{2}, \sigma_{5} \}$,
   $\sigma_{4}H=\{ \sigma_{4}, \sigma_{3} \}$
の3つの元から成ると分かる。$\zeta+\frac{1}{\zeta}$ は $\sigma_{2}H,\sigma_{4}H$ で移せばそれぞれ
   $\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2} , \zeta^3+\frac{1}{\zeta^3}$
に達する。これは
   $Gal({\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})/{\mathbb Q}) \cong G/< \sigma_{6}>$
(同型) であるという事実に依拠する。

同様に、3項周期の $w=\zeta+\zeta^2+\zeta^{4}$ の共役も
   $\sigma_{6}(\zeta+\zeta^2+\zeta^{4})=\zeta^3+\zeta^5+\zeta^{6}$
である。
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§4. 1の8乗根

根を求めることだけなら、三角関数すら知らなくてもできそうなものだが、目的は体やガロア群の関係である。
原始 $8$ 乗根は、
   $k=1, 3, 5, 7(mod.8)$
の $\varphi(8)=8(1-\frac{1}{2})=4$ 個ある。(図中の赤丸)
   

ここで $\zeta$ の特性方程式 $\phi(x)$ を求めると
   $x^8-1=(x^4+1)(x^2+1)(x+1)(x-1)$
より
   $\phi(x)=x^4+1=0$
である。

原始$8$乗根
   $\zeta,\zeta^3,\zeta^{5},\zeta^7$
の間の置換を考える。体 ${\mathbb Q}(\zeta)/\mathbb Q$ のガロア群は
   $G=Gal(\mathbb Q(\zeta)/\mathbb Q)=\{ \sigma_{1}, \sigma_{3}, \sigma_{5},\sigma_{7} \}$
で、クラインの四元群だから、$G$ の部分群は
   $< \sigma_{3}>, < \sigma_{5}>, < \sigma_{7}>$
の3つである。これらに対応する中間体を求めよう。

ア) $< \sigma_{3}>$ は $\zeta+\zeta^3=\sqrt{2} i $ を動かさないから、対応する中間体は
   ${\mathbb Q}(\sqrt{2} i)$

イ) $< \sigma_{5}>$ は $\zeta^2= i $ を動かさないから、対応する中間体は
   ${\mathbb Q}( i)$

ウ) $< \sigma_{7}>$ は $\zeta+\zeta^7=\sqrt{2} $ を動かさないから、対応する中間体は
   ${\mathbb Q}(\sqrt{2} )$
   

ここで
   ${\mathbb Q}(\sqrt{2})/ {\mathbb Q} = {\mathbb Q}(\zeta+\frac{1}{\zeta})/ {\mathbb Q}$
の特性方程式を求めよう。$\phi(\zeta)$ を $\zeta^2$ で割った
   $\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2}=0$
に留意して
   $x=\zeta+\frac{1}{\zeta} \Rightarrow x^2=\zeta^2+\frac{1}{\zeta^2} +2=0+2=2$
この2次方程式は簡単に解けて
   $x=\zeta+\frac{1}{\zeta} =\sqrt{2}$
よって $\zeta$ の実部と虚部はそれぞれ
   $Re(\zeta)=\frac{1}{2} \sqrt{2}$,
   $Im(\zeta)=\sqrt{1-(\frac{1}{2} \sqrt{2})^2}=\frac{1}{2} \sqrt{2}$
だから、
   $\zeta=\frac{\sqrt{2}+\sqrt{2} i}{2}$
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§5. 1の17乗根

原始 $17$ 乗根は、$k=1, 2, 3, \cdots, 16(mod.17)$ の
   $\varphi(11)=17(1-\frac{1}{17})=16$ 個
ある。$\zeta$ の特性方程式は
   $\phi(x)=x^{16}+x^{15}+ \cdots +x+1=0$
である。

原始$17$乗根の間のガロア群は
   $G=<\sigma_{3}>=\{ \sigma_{3}, \sigma_{9}, \sigma_{10} , \sigma_{13}, \sigma_{5}, \sigma_{15}, \sigma_{11}, \sigma_{16}, \sigma_{14}, \sigma_{8}, \sigma_{7}, \sigma_{4}, \sigma_{12}, \sigma_{2}, \sigma_{6}, \sigma_{1} \}$
という位数 16 の巡回群だから、その部分群は位数が 8, 4, および 2 の巡回群である。すなわち
   $<\sigma_{9}>,<\sigma_{13}>,<\sigma_{16}>$
である。

$< \sigma_{9}>$ が動かさない元は、8項周期
   $\eta_{0}=\zeta+\zeta^{2}+\zeta^{4}+\zeta^{8}+\zeta^{9}+\zeta^{13}+\zeta^{15}+\zeta^{16}$,
$< \sigma_{13}>$ が動かさない元は、4項周期
   $\xi_{0}=\zeta+\zeta^{4}+\zeta^{13}+\zeta^{16}$,
$< \sigma_{16}>$ が動かさない元は、2項周期
   $\lambda=\zeta+\zeta^{16}$
である。

ア) さきの8項周期の共役は
   $\sigma_{3}(\eta_{0})=\zeta^3+\zeta^5+\zeta^{6}+\zeta^{7}+\zeta^{10}+\zeta^{11}+\zeta^{12}+\zeta^{14}$
であり、これを $\eta_{1}$ とおく。両者の和・積は
   $\eta_{0} + \eta_{1}= \zeta^1+\zeta^2+\cdots +\zeta^{16}=\phi(\zeta)-1=-1$
と、積の方は Excel などを使って
   $\eta_{0} \eta_{1}= 4(\zeta^1+\zeta^2+\cdots +\zeta^{16})=-4$
と分かる。よって、8項周期は
   $x^2+x-4=0$
の2実根である。しかも円周上に原始17乗根を描けば分かるように $\eta_{0}>\eta_{1}$ だから
   $\eta_{0}=\frac{-1+\sqrt{17}}{2}$

イ) さきの4項周期の共役は(自分自身を除いて) 3つあって
   $\xi_{1}=\sigma_{3}(\xi_{0})=\zeta^{3}+\zeta^{5}+\zeta^{12}+\zeta^{14}$,
   $\xi_{2}=\sigma_{9}(\xi_{0})=\zeta^{2}+\zeta^{8}+\zeta^{9}+\zeta^{15}$,
   $\xi_{3}=\sigma_{10}(\xi_{0})=\zeta^{6}+\zeta^{7}+\zeta^{10}+\zeta^{11}$
である。和・積は次のようになる。
   $\xi_{0} + \xi_{2}= \eta_{0}$,
   $\xi_{1} + \xi_{3}= \eta_{1}$
であり、
   $\xi_{0} \xi_{2}=\zeta^{1}+\zeta^{2}+\cdots +\zeta^{16}=-1$,
   $\xi_{1} \xi_{4}=\zeta^{1}+\zeta^{2}+\cdots +\zeta^{16}=-1$
である。よって $\xi_{0},\xi_{2}$ は
   $x^2-\eta_{0} x-1=0$,
$\xi_{1},\xi_{3}$ は
   $x^2-\eta_{1} x-1=0$
の2実根である。これまた円周上の原始17乗根の図から分かるように
   $\xi_{0}>\xi_{2}, \xi_{1}>\xi_{3}$
であるので、
   $\xi_{0}=\frac{1}{4}( -1+\sqrt{17}+\sqrt{34-2 \sqrt{17}})$,
   $\xi_{1}=\frac{1}{4}( -1-\sqrt{17}+\sqrt{34+2 \sqrt{17}})$,
   $\xi_{2}=\frac{1}{4}( -1+\sqrt{17}-\sqrt{34-2 \sqrt{17}})$,
   $\xi_{3}=\frac{1}{4}( -1-\sqrt{17}-\sqrt{34+2 \sqrt{17}})$
となる。

ウ) さきの2項周期の共役は(自分自身を除いて) 7つあるのだが、そのうちの1つだけを
   $\lambda'=\sigma_{4}(\lambda)=\zeta^{4}+\zeta^{13}$
とおく。和・積は
   $\lambda+ \lambda'=\xi_{0}$,
   $\lambda \lambda'=\zeta^{3}+\zeta^{5} +\zeta^{12}+\zeta^{14}=\xi_{1}$
だから、$\lambda, \lambda'$ は
   $x^2-\xi_{0} x+\xi_{1}=0$
の2実根であり、例の図から $\lambda>\lambda'$ である。解の公式を使うのだが、ルートの中は
   $\xi_{0}^2-4 \xi_{1}=(\zeta+\zeta^{4}+\zeta^{13}+\zeta^{16})^2-4 \xi_{1}$
   $=4+(\zeta^2+\zeta^{8}+\zeta^{9}+\zeta^{15})+2(\zeta^3+\zeta^{5}+\zeta^{12}+\zeta^{14})-4 \xi_{1}$
   $=4-2 \xi_{1}+\xi_{2}$
となることに注意する。よって
   $\lambda=\zeta+\bar{\zeta}=\frac{1}{2}(\xi_{0}+\sqrt{4-2 \xi_{1}+\xi_{2}})$
   $=\frac{1}{8}(-1+\sqrt{17}+\sqrt{34-2 \sqrt{17}})+\frac{1}{4}\sqrt{17+3\sqrt{17}-2\sqrt{34+2\sqrt{17}}-\sqrt{34-2\sqrt{17}}}$
したがって $\zeta$ の実部と虚部はそれぞれ
   $Re(\zeta)=\frac{1}{2} \lambda$,
   $Im(\zeta)=\sqrt{1-(\frac{1}{2} \lambda)^2}$

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§∞. 文献

[1] ファン・デル・ヴェルデン著、銀林浩訳 「現代代数学」第2巻, 東京図書, 1959年
   


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