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§1. 1次方程式・不等式
§2. 2次方程式・不等式
§3. 3次方程式・不等式
§4. 因数定理
§5. 整数解
§6. 文章題
「YAHOO! 知恵袋」で筆者が回答したものの中から抜粋しました。
【問題1.1】 次の不等式を解け。---
(1) $|2x-4|< x+1$
(2) $|2x-4| \geq x+1$
【解】 (1) は $|A|<B ⇔ -B<A<B$
という公式を使います。連立不等式になります。(2)は
$|A| \geq B ⇔ A \geq-B, B \leq A$
という公式を使います。
(1)
$-x-1<2x-4<x+1$
$x>1,x<5$
$1<x<5$ ……(答)
(2)
$x\leq 1,5\leq x$ ……(答)
【問題1.2】 実数 $a,b$ に対し、$a \leq x <b$ を満たす整数 $x$ の個数 $N$ を $a,b$ を用いて不等式で表わせ。---
【解】
$a,b$ が上図の赤丸のところにあり、2つの赤丸の間に整数が $N(=3)$ 個あるとする。
区間の長さを比較すると、
2つの赤丸を両端とする半開区間 $[a,b)$ の長さ $= b-a$
2つの赤丸にはさまれた、整数を両端とする閉区間 $[A,B]$ の長さ $=N-1(=2)$
2つの赤丸を覆う、整数を両端とする閉区間 $[A-1,B+1]$ の長さ $=N+1(=4)$
したがって上図に出ている3つの線分の長さを比較して、
$N-1 < b-a$ かつ $b-a < N+1$
よって
$b-a-1< N<b-a+1$ ……(答)
【問題1.3】 不等式 $x-a|x|+3>0$ の解が $-\frac{6}{11}<x<b$ であるとき、定数 $a,b$ の組を求めよ。---
【解】 不等式の左辺を $f(x)$ とおく。$f(x)$ は1次式と絶対値記号の和だから、グラフは折れ線になる。
よって
$f(-\frac{6}{11})=-\frac{6}{11}-\frac{6}{11}a+3=0 \Rightarrow a=\frac{9}{2}$
また
$f(b)=b-\frac{9}{2}|b|+3=0$
ここで、$b \geq 0$ なら $-\frac{7}{2}|b|+3=0 \Rightarrow b=\frac{6}{7}$ で、$b<0$
なら $\frac{11}{2}|b|+3=0 \Rightarrow b=-\frac{6}{11}$ となるが、題意から
$-\frac{6}{11}<b$
でなければならないから、
$a=\frac{9}{2}, b=\frac{6}{7}$ ……(答)
【蛇足】 実際に $f(x)=x-\frac{9}{2}|x|+3$ のグラフを描くと下図のようになる。
【問題1.4】 関数 $f(x)=\frac{ax}{1+ax}$ について、次の問いに答えよ。ただし、$a$ は $a>1$ を満たす定数とする。---
(1) 実数 $t$ が $f(f(t))=f(t)$ を満たすとき、$f(t)=t$ も満たすことを示せ。
(2) $x$ についての不等式 $f(f(x)) \geq f(x)$ を解け。
【解】 (1) $f(x) = \frac{ax}{1+ax} = 1 - \frac{1}{a(x+ 1/a)}$
のグラフは双曲線になるので、$1:1$ の関数であり、逆関数が作れます。($1:1$ と言いましたが、厳密に言うと $-1/a \mapsto
\infty, \infty \mapsto 1$ と考えています。)
さて、不動点の集合
$H = \{ h | f(h)=h \}$
を考えます。これは双曲線 $y=f(x)$ と $y=x$ のグラフの交点ですから
$H =\{ 0, 1-\frac{1}{a} \}$
という、2点からなる集合です。
いま、$f(t)\in H$ とします(すなわち $f(f(t))=f(t)$)。すると
$f(t) = 0$ または $f(t)=1-\frac{1}{a}$
だけど、$f$ の逆関数を考えれば、
$t = f^{-1}(0)=0$ または $t = f^{-1}(1-\frac{1}{a})=1-\frac{1}{a}$
よって、$t \in H$
すなわち
$f(t) = t$ ■
【別証明】 合成関数を求めると
$f(f(t))=\frac{af(t)}{1+af(t)}$
$= \frac{a^2t}{1+at}/ (1+\frac{ a^2t}{1+at}) $
$=\frac{a^2t}{(a^2+a)t+1 }$
これが
$f(t)=\frac{at}{1+at}$
と等しいとおいて
$\frac{a^2t}{(a^2+a)t+1 }=\frac{at}{1+at}$ ……(*)
分母を払って
$a^2t(1+at)=at \{ (a^2+a)t+1 \}$
これより
$t=0, \frac{a-1}{a}$
これを $f(t)$ に代入すると
$f(0)=0$,
$f(\frac{a-1}{a}) =\frac{a-1}{a}$
だから、たしかに両者とも $f(t)=t$ を満足している。■
(2) 今度は
$H' = \{h | f(h) \geq h \}$
なる集合を考え、これを「不動点もどき」と呼びましょう。グラフから $H'$ は
$H'= \{ h |h<-\frac{1}{a} \} \cup \{ h| 0 \leq h \leq 1-\frac{1}{a}
\}$
なる実数の集合です。いま、$f(x) \in H'$ というのですから
$f(x)< -\frac{1}{a}$ または $0 \leq f(x) \leq 1-\frac{1}{a}$
となります。この2つの不等式を別々に解きます。
前者は先のグラフを見ながら
$f(x)<-\frac{1}{a} \Rightarrow \frac{ax}{1+ax}<-\frac{1}{a} \Rightarrow
-\frac{1}{a} < x <-\frac{1}{a^2+a}$
となります。後者は
$0 \leq x \leq 1-\frac{1}{a}$
【答】 $-\frac{1}{a} < x < -\frac{1}{a^2+a}, 0 \leq x \leq 1-\frac{1}{a}$
【別解】 (*) の等号を不等号に変えて
$a^2t/\{(a^2+a)t+1 \} \geq at/(1+at)$
を解けばよい。分母を払うのだが、正数を掛けるのでなければ不等号の向きが変わるので、分母の2乗を両辺に掛ける。
$a^2t(1+at)^2 \{(a^2+a)t+1 \} \geq at(1+at) \{(a^2+a)t+1 \}^2 $
$at(1+at) \{(a^2+a)t+1 \} [a(1+at)- \{(a^2+a)t+1 \}] \geq 0$
$t(at+1) \{(a^2+a)t+1 \} [at-a+1] \leq 0$
これは4次不等式である。これを解けば(ゼロ割になる $t=-1/(a^2+a),-1/a$ の2点を除くことに注意しつつ)
$-\frac{1}{a} < x < -\frac{1}{a^2+a}, 0 \leq x \leq \frac{a-1}{a}$
【問題1.5】 次の連立方程式を解け。---
$\left \{ \begin{array}{rcl} 2x+y+3z & = & 1 \\ -y+z & =
& a \\ x+y+z & = & b \end{array} \right. $
【解】 第1式と第2式、第2式と第3式から $z$ を消去すれば
$\left \{ \begin{array}{rcl} 2x+4y & = & 1-3a \\ x+2y &
= & b-a \end{array} \right. $
この2つの等式は係数が同じだから、ランクが1下がる。
【答】
(ア) $1-3a=2(b-a)$ すなわち $a+2b-1=0$ のときは
$\left \{ \begin{array}{rcl} x & = & -2 t+(1-3a)/2 \\ y &
= & t \\ z & = & t +a \end{array} \right. $
($t$ はパラメータで任意の実数値を取る。$a$ は定数。)(図形にすると直線になる。)
(イ) $a+2b-1 \neq 0$ のときは
解なし
(集合の言葉で言えば、空集合。)
【問題1.6】 次の連立方程式を解け。---
$\left \{ \begin{array}{ccl} a + b - 2c +d & = & 0 \\ a + 2b
- 3c +d & = & 0 \\ a + 3b - 4c +d & = & 0 \end{array} \right.
$
【解】 等式が3つしかないので(ランク=階数が1下がります)、未知数4つのうち $d$ 1つを定数扱いにする。3つの等式から文字1つ、$a$ を消去すると、第2式-第1式と、第3式-第2式から、
$\left \{ \begin{array}{ccl} b - c & = & 0 \\ b - c &
= & 0 \end{array} \right. $
同じ(同値な)等式しか得られないので(さらにランクが1下がります)、$c$ も定数扱いにして解くことにします。いま、
$b=c$
と $b$ が求まったので、あとは $a$ を求めるだけ。
$a=-b+2c-d=-c+2c-d=c-d$
【答】 $\left \{ \begin{array}{ccl} a & = & c-d \\ b & = & c \end{array} \right. $
($c,d$ はパラメータで、任意の実数値を取る。)
【蛇足】 ランクが2下がったので、解空間の次元は2増えて2次元になります。【答】のように、解はパラメータ2個で表わされるので、たしかに解空間は2次元です。昔の高校(旧制中学?)ではこういう場合「解は不定」の一言で片付けられてしまいましたが、(まったくの「不定」ではないので) 現在ではこのようにパラメータで解を表現します。
【問題2.1】 方程式$\frac{x^2}{(0.90-\frac{1}{2}x)^2} =7^2$を解け。---
【解】 分母を払って
$x^2 = 7^2×(0.9-\frac{1}{2}x) ^2$
開平して
$7 (0.9-\frac{1}{2}x ) = \pm x$
答は $x = \frac{7}{5}, \frac{63}{25}$
厳密に言うと、与方程式の分母をゼロにしないため、$x \neq 1.8$を確認しておきます。
【問題2.2】 $a$が定数のとき、2次方程式
$x^2+(a+5)x+3a+1=0$
の異なる2つの解$α,β(α<β)$に同じ数$k$を加えた$α+k,β+k$がともに2次方程式
$x^2+(a+1)x+2a-2=0$
の解になるとき、$a,k,α,β$の値を求めよ。---
【解】 解と係数の関係から
$α+β = -(a+5),$
$αβ = 3a+1$
このとき
$(α+k)+(β+k) = -(a+1), $
$(α+k)(β+k) = 2a-2$
よって
$a=-3, k=2$,$αとβ$は $2 と -4$ ……(答)
【問題2.3】 次の絶対値記号を含む不等式を解け。---
(1) $x^2-3 |x-1| >7$
(2) $|x^2-2x-3| \geq 3-x$
【解】(1) 絶対値記号の中 $x-1$の零点、すなわち $x = 1$ が決め手でここで場合分けしろとなります。つまり、$1$ の左と右で場合分けです。
(ア) $x\geq 1$のとき
$x^2-3(x-1) >7$
$x^2-3x-4>0$
$(x+1)(x-4)>0$
$x<-1,4 <x$
前提条件と合わせて
$4<x$
(イ) $x <1$のとき
$x^2+3(x-1) >7$
$x^2+3x-10>0$
$(x+5)(x-2)>0$
$x<-5,2 <x$
前提条件と合わせて
$x<-5$
(ア)、(イ)の合併集合を考えて
$x<-5,4<x$ ……(答)
(2) 絶対値記号の中 $x^2 -2x -3=(x+1)(x-3)$の零点、すなわち $x = -1,3$ が決め手でここで場合分けしろとなります。つまり、$-1$
と $ 3$ の左サイド、センター、右サイドに場合分けします。
(ア) $x \leq -1, 3 \leq x$のとき
$x^2-2x-3 \geq 3-x$
$x^2-x-6 \geq 0$
$(x+2)(x-3) \geq 0$
$x \leq -2,3 \leq x$
前提条件と合わせて
$x \leq -2,3 \leq x$
(イ) $-1 <x <3$のとき
$-(x^2-2x-3) \geq 3-x$
$x^2-3x \leq 0$
$x(x-3) \leq 0$
$0 \leq x \leq 3$
前提条件と合わせて
$0 \leq x <3$
(ア)、(イ)の合併集合を考えて
$x \leq -2,0 \leq x $ ……(答)
【問題2.4】 $x^2+2x+3=0$ の2つの解を $\alpha, \beta$ とするとき 2つの数 $(4\alpha^2+5\alpha+6)/(4\beta^2+5\beta+6),
(4\beta^2+5\beta+6)/(4\alpha^2+5\alpha+6)$ を解とする2次方程式を1つ作れ。---
【解】 $4x^2+5x+6$ を $x^2+2x+3$ で割り算すると
$4x^2+5x+6=4(x^2+2x+3)-3x-6$
だから、ここに $\alpha,\beta$ を代入すれば
$4\alpha^2+5\alpha+6=-3(\alpha+2)$
$4\beta^2+5\beta+6=-3(\beta+2)$
だから
$(4\alpha^2+5\alpha+6)/(4\beta^2+5\beta+6) = (\alpha+2)/(\beta+2),$
$(4\beta^2+5\beta+6)/(4\alpha^2+5\alpha+6) = (\beta+2)/(\alpha+2)$
のように簡単化できる。
ところで
$A=(\alpha+2)/(\beta+2), B=(\beta+2)/(\alpha+2)$
を2解とする2次方程式は
$x^2 -(A+B)x +AB=0$
だから、あとは解と係数の関係を使おう。
$\alpha+\beta=-2,$
$\alpha\beta=3$
から
$A+B=\frac{(\alpha+2)^2+(\beta+2)^2}{(\alpha+2)(\beta+2)}$
$=\frac{(\alpha+\beta)^2-2\alpha\beta+4(\alpha+\beta)+8}{\alpha\beta+2(\alpha+\beta)+4}=-\frac{2}{3},$
$AB=1$
と求まり、求めるべき方程式は
$x^2+\frac{2}{3}x+1=0$
両辺を 3倍して
$3x^2+2x+3=0$ ……(答)
【問題2.5】 $x^2+y^2=a,x^2-xy+y^2=b,x>0, y>0$ を満たす解が少なくとも1組存在するための実数 $a,b$ の満たすべき条件を図示せよ。---
【解】 $x+y=v, xy=u$ とおくと、$x, y$ は $t^2-vt+u=0(=f(t)\mbox{とおく})$ の解であり、$x,y$
は正なので
(ア)判別式 $D \geq 0$ より
$u \leq v^2/4$
(イ)$f(0)>0$ より
$u>0$
(ウ)軸>0 より
$v>0$
である。また、$x^2+y^2=a,x^2-xy+y^2=b$ の2式を変形して
$v^2-2u=a$
$v^2-3u=b$
この2式を $v^2$ と $u$ についての連立方程式と思って解くと、
$v^2 = 3a -2b$
$u = a - b$
これらと(ア)から
$b \geq (1/2)a$ ……(1)
(イ)と組み合わせると
$b <a$ ……(2)
(ウ)と組み合わせると
$b < (3/2)a$ ……(3)
(1),(2),(3)の共通部分を求めて
$(1/2)a \leq b <a$
図示すれば、下図。(境界は $b=(1/2)a$ は含むが、原点および $b=a$ は含まない。)
【別解】 所与の等式を辺々引けば $xy=a-b$ (双曲線)だから、これと円 $x^2+y^2=a$ が第1象限で交わればよい。ということは、$a-b>0$
であり、円の半径が双曲線と原点との間の距離以上であればよい。
ところで、双曲線と原点との間の距離は、$y=x$ と双曲線との交点と原点との間の距離に等しい。したがって
$\sqrt{a} \geq \sqrt{2} \times \sqrt{a-b}$
よって
$a \geq 2(a-b)$
$b \geq (1/2)a$
はじめに出した条件と合わせれば
$(1/2)a \leq b <a$
【問題3.1】 $a^3-7a+6=0$を因数分解せよ。---
【解】 因数定理を使います。詳しくは数学Ⅱの教科書を読んでください。
【答】 $(a-1)(a+3)(a-2)=0$ ■
【問題4.1】 $ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0$($a,b,c,d$は整数) が有理数解を持つとき
$(ex^{2}+fx+g)(hx+i)=0$
($h,i$は互いに素な整数で$e,f,g$は整数)と変形でき、最初の式と恒等式とできる ということを証明せよ。---
【証明】
【1】$ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0$($a,b,c,d$は整数で、$a \neq 0$とします) が有理数解
$x=-\frac{i}{h}$
を持つとします。($h,i$は互いに素な整数とする。) すると左辺は
$x+\frac{ i}{h}$
で割り切れます(因数定理)。 実際に割り算をすると 商は
$a x^{2} + (-a\frac{i}{h} + b)x +(a\frac{i^2}{h^2} -b\frac{i}{h} +c)
$
余りは
$-a\frac{i^3}{h^3} + b\frac{i^2}{h^2} -c\frac{i}{h} + d $
となります。 割り切れるのだから
$-a\frac{i^3}{h^3} + b\frac{i^2}{h^2} -c\frac{i}{h} + d = 0$ …… (*)
となります。そして、所与の3次式は
$(x+ \frac{i}{h})\{a x^2 + (-a\frac{i}{h} + b)x +(a\frac{i^2}{h^2} -b\frac{i}{h}+c)\} $
を変形して
$(hx+ i)\{\frac{a}{h}x^2 + (-a\frac{i}{h^2} + \frac{b}{h})x +(a\frac{i^2}{h^3} -b\frac{i}{h^2} +\frac{c}{h})\} $
となります。 証明すべきことは、{ }の中の係数
(ア) $\frac{a}{h}$
(イ) $-a\frac{i}{h^2} + \frac{b}{h}$
(ウ) $ a\frac{i^2}{h^3} -b\frac{i}{h^2} +\frac{c}{h}$
がすべて整数になることです。
(ア) (*)より
$a\frac{i^{3}}{h^{3}} = b\frac{i^2}{h^2} -c\frac{i}{h} + d$
で、$h^{3}$ 倍して $ai^{3} = (bi^{2} -cih + dh^{2} )h$ 両辺ともに($i$と互いに素の)$h$ で割り切れるので、$a$
は $h$ で割り切れる。
よって $ \frac{a}{h} = a'$ は整数である。
(イ) (*)より
$-a\frac{i^{3}}{h^{3}} + b\frac{i^{2}}{h^{2}} = c\frac{i}{h} - d $
で、$h^{3}$ 倍して $(-ai + bh) i^{2} = (ci - dh) h^{2}$ 両辺ともに($i^{2}$と互いに素の)$h^{2}$
で割り切れるので、$(-ai + bh)$ は $h^{2}$ で割り切れる。
よって $-a\frac{i}{h^{2}} + \frac{b}{h}$ は整数である。
(ウ) (*)より
$a\frac{i^{3}}{h^{3}} - b\frac{i^{2}}{h^{2}} + c\frac{i}{h} = d$ で、$h^{3}$
倍して $(ai^{2} - bhi + ch^{2}) i = d h^{3}$ 両辺ともに($i$と互いに素の)$h^{3}$ で割り切れるので、$(ai^{2}
- bhi + ch^{2})$ は $h^{3}$ で割り切れる。
よって $a\frac{i^{2}}{h^{3}} - b\frac{i}{h^{2} }+ \frac{c}{h}$ は整数である。
【2】$ax^{3}+bx^{2}+cx+d=0$($a=0,b,c,d$は整数で、$b\neq0$とします) すなわち $bx^{2}+cx+d=0$
が有理数解
$x=-\frac{i}{h}$
を持つとします。($h,i$は互いに素な整数とする。) このときどうなるかというと、【1】において $a=0$ とおけば、そのまま今の証明が通用します。
【3】$ax^3+bx^2+cx+d=0$($a=b=0,c,d$は整数で、$c\neq0$とします) すなわち $cx+d=0$ が有理数解
$x=-\frac{i}{h}$
を持つとします。($h,i$は互いに素な整数とする。) このときどうなるかというと、【1】において $a=b=0 $とおけば、そのまま今の証明が通用します。
■
【蛇足】 3次式に限らず、一般に整係数の $n$ 次方程式が有理数の解を持てば、2つの整係数の多項式の積に因数分解される、 という定理(ガウスの補題)が成り立ちます。
【問題5.1】 連続する $7$ つの自然数がある。このうち初めの $4$ つの自然数の二乗の和が残りの $3$ つの自然数の二乗の和に等しくなるという。このような
$7$ つの自然数の組を全て求めよ。---
【問題6.1】 1回に750kgの重さまで運ぶことのできるエレベーターがある。このエレベーターで1個50kgの荷物を2人で何個か運びたい。2人の体重の合計が120kgのとき、荷物は1回に何個まで運ぶことができるか。---
【解】 これはSPIの問題です。作成元はリク○ート、当該の就職問題集には「12個」などと解答が出ています。
でも、ホントの正解は、
$750 \div 50 = 15(個)$
その方法:
(1) A君は行先階のボタンを押した後、エレベーターが発車するのを防ぐため、開ボタンを押し続けます。
(2) B君はその間、1人で15個の荷物をエレベーターに載せます。
(3) 荷物を載せたB君は階段を使って行先階へ行きます。(階段は絶対あります。)
(4) 頃合いを見て、A君はエレベーターを発車させます。
(5) 行先階で待っていたB君は、エレベーターが到着したら開ボタンを押し続けて、エレベーターが他の階へ行くことを防ぎます。
(6) 階段で行先階に到着したA君は、1人で荷物を下ろします。
解答はマークシートなので上記のような答案を書くことはできず、明晰な頭脳の就職希望の高校生は不採用にされます。
【問題6.2】 ランナーが $20km$ のうち、最初の $10km$ を $17km/h$, 後の区間を $21km/h$ で走行したときの平均速度を、調和平均で求めよ。---
【解】 前半 $10km$ を走るのに要する時間を $x_{1}$ 時間、後半 $10km$ を走るのに要する時間を $x_{2}$ 時間とすれば
$x_{1}=\frac{10}{17},x_{2}=\frac{10}{21}$
よって、平均速度 $v[km/h]$ は
$v =\frac{20}{x_{1}+x_{2}} $
$= \frac{20}{\frac{10}{17}+\frac{10}{21} }$
$=\frac{2}{\frac{1}{17}+\frac{1}{21} }=\frac{357}{19}$ ……【答】
結局
$\frac{1}{v} = \frac{\frac{1}{17}+\frac{1}{21} }{2}$
となります。$1/v$ は $1/17$ と $1/21$ の平均になっていますが、このとき「$v$ は $17$ と $21$ の調和平均」と言います。
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