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3次方程式の具体的解き方

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§1. monic な一般型
§2. monicでない場合
§3. 退化型
§4. 入試問題より

§1. monic な一般型

3次式は(1次式)×(2次式)と因数分解できる場合と、さらに(1次式)×(1次式)×(1次式)まで因数分解できる場合がある。
いずれにせよ、まず初めに因数定理(組立除法ホーナーの方法)を利用する。
組立除法を嫌い、筆算による割り算しか認めない高校の教員が多い。教科書の本文に組立除法を記載していないことが多いからかも知れない。
婆茶留高校ではこれを多用することにしよう。

【問題1.1】 3次方程式 $x^{3}-7x+6=0$ を解け。---

【解】 組立除法(ホーナーの方法)を使う。

(1) 左上のカギ括弧に適当な数値を書く。今の場合、定数項 = $6$ の約数の中から $x=1$ を書く。
 ・ カギ括弧に置くべき数値は、「3行目の 1番右が 0 になるようなもの」=「方程式の 1つの解」である。
 ・ そういう数は今の場合 1 以外にもあるのだが、ふつう $1,2,3,6,-1,-2,-3,-6$ か $1,-1,2,-2,3,-3,\cdots$ の順に探索するので、1 が初めに発見されるであろう。
(2) 組立除法を実行すると、は$x^{2}+x-6$で余りは$0$と分かる。
 ・ 3行目の「$1,1,-6$」が $x-1$ で割ったときの商で、1番右が余りである。
 ・ しかも1番右は、方程式の左辺にカギ括弧の数 $x=1$ を代入した値でもある。
 ・ この「余り=関数値」という事実を余りの定理と言う。
 ・ 余りがゼロは割り切れる(因数分解できる)ことを意味し(因数定理と言う)、左辺は $(x-1)(x^{2}+x-6)$ になる。
(3) この後、商に対してたすき掛けを実行する。
(4) 結局、次のように因数分解ができる。
   $(x-1)(x-2)(x+3)=0$
(5) 求める解は
   $x=1,2,-3$ …(答)

上の解答の中で「定数項の約数」を代入すればよいことを使った。その理由は下図から分かる。
   
$x^{3}+bx^{2}+cx+d$ のように最高次係数 = 1 (monic と言う)のときは、
   $kx_{0}=-d$
より、代数すべき値 $x_{0}$ は定数項 $d$ の約数である。(例えば $d=6$ なら、その約数は $\pm 1, \pm 2,\pm3,\pm 6$ である。)

【問題1.2】 3次方程式 $x^{3}-4x-3=0$ を解け。---

【解】

(1) 左上のカギ括弧に、定数項= $-3 $の約数の中から $x=-1$ を書く。
(2) 組立除法を実行すると、商は $x^{2}-x-3$ で余りは $0$ と分かる。
(3) この商はたすき掛けができなさそうなので、本当に因数分解できないかを確認するために判別式を計算すると
   $D=(-1)^{2}-4\times 1 \times (-3)=13$
で 2乗数ではないので、できないことが分かる。
 ・ 整数係数の2次式では「判別式が 2乗数(ある整数の 2乗)$\Leftrightarrow$ 因数分解できる」という事実は覚えておこう。教科書には記載されていないが、大学入試では使われる事実だ。
(4) 1つ目の解は $x=-1$ と分かっているので、他の解を解の公式で求めて
   $x=\frac{-b\pm \sqrt{D}}{2a} = \frac{1 \pm \sqrt{13}}{2}$
(5) 求める解は
   $x=-1,\frac{1 \pm \sqrt{13}}{2}$ …(答)

【問題1.3】 3次方程式 $x^{3}=1$ を解け。---

【解】
(1) すべて左辺に移項して、$x^{3}-1=0$
(2) このあと、組立除法を実行して解を求める。(中略)
(3)解は
   $x=1,\frac{-1 \pm \sqrt{3}}{2}$ …(答)

このように、組立除法を使うのであって
   $a^{3}\pm b^{3}=(a\pm b)(a^{2}\mp ab+b^{2})$
の公式は使わない。なぜか?
この因数分解の公式は因数定理を使って証明されるからである。
   
$a^{3}+b^{3}$なら、上のように組立除法を行って$a+b$で割った商は $a^{2}-ba+b^{2}$となるからである。
ところが教科書を見るとたいがい、この公式は(因数定理を使わずに)「右辺を展開すれば分かるから」となっている。それは章立ての関係で、因数定理より因数分解の公式が先行しているから、仕方なくそうしているのであり、ちゃんとした証明は因数定理を習うまで保留されていたのである。いま因数定理を習ったのであれば、それを使って【問題3】を解くのが素直であろう。


§2. monicでない場合

3次方程式の左辺が $ax^{3}+bx^{2}+cx+d$ のように monic でないときは次のようになる。
もし
   $ax^{3}+bx^{2}+cx+d=(a'x+b')(a''x^{2}+b''x+c'')$
のように、整数係数の多項式の積に因数分解できたとすると
   $a' a''=a,b' c'' =d$
だから$a'$は$a$の約数であり、$b'$ は $d$ の約数である。代入して 0 になる $x$ の値は
   $x_{0}=-\frac{b'}{a'}$
だから
   $x_{0}=-\frac{(d\mbox{の約数} )}{(a\mbox{の約数} )}$

【問題2.1】 $8x^3+2x^2+5x+3=0$ を解け。---

【解】 係数がすべて非負だから左上のカギ括弧 $\alpha$ が負でないと 3行目の 1番右が 0 にならない。上述のように $\alpha$ の分子は $1$ か $3$ で、分母は $1, 2, 4, 8$ のいずれかである。よって下図。


$D=(-2)^2-4\times 8\times 6<0$ より残りの 2解は解の公式で求める。
よって解は
$x=-\frac{1}{2}$ と $x=\frac{1\pm\sqrt{1-8\times 6}}{8}=\frac{1\pm \sqrt{47}i}{8}$ …(答)
$D=(-2)^2-4\times 8\times 6<0$

上の問題は方程式だからこれでよかったが、因数分解だと次のようになる。

【問題2.2】 $8x^3+2x^2+5x+3$ を因数分解せよ。---

【解】 前問の組立除法から
$(x+\frac{1}{2})(8x^2-2x+6)=(2x+1)(4x^2-x+3)$ …(答)
左の括弧を 2倍し、右の括弧を 2で割るのである。
または、ここだけ筆算を使って $2x+1$ で割る方法もある。


§3. 退化型

どこかの項が欠けている方程式を退化型と呼ぶ。一般論では使わなかったテクニックがあるため、一般型の方程式より難しいと考えるのがふつうである。

【問題3.1】 $x^3-5x^2+6x=0$ を解け。---

【解】 原則に従うと、$\alpha$ は定数項 0 の約数ということになるが、0 の約数は任意の整数だから、候補が絞れない。
こういうときは $\alpha=0$ とし、$(x-0)$ が因数の 1 つになると覚えておかないとならない。

$(x-0)(x^2-5x^2+6)=(x-0)(x-2)(x-3)=0$
$x=0,2,3$ … (答)

【別解】 $x$ で括り出して、
$x(x^2-5x^2+6)=x(x-2)(x-3)=0$
$x=0,2,3$ … (答)

【問題3.2】 方程式 $64x^3-27=0$ を解け。---

【解】 $x^3=\frac{27}{64}$ の(実の)3乗根は下図のように素因数分解して求めることができる。
平方根のときに似て、同じ数の(2つ組でなく) 3つ組がいくつあるか調べればよい。

$x=\sqrt[3]{\frac{27}{64} }=\sqrt[3]{\frac{3 \cdot 3 \cdot 3}{(2 \cdot 2 \cdot 2)(2 \cdot 2 \cdot 2)} }= \frac{3}{2 \times 2}=\frac{3}{4}$
これを $\alpha$ とすればよい。
 ・ 負数にも 3乗根は存在し、例えば $x=\sqrt[3]{-\frac{27}{64} }= -\frac{3}{4}$

$(x-\frac{3}{4})(64x^2+48x+36)=0$,
$4(x-\frac{3}{4})(16x^2+12x+9)=0$,
$x=\frac{3}{4},x=\frac{-6\pm\sqrt{36-144}}{16}=\frac{-3\pm3\sqrt{3}i}{8}$ …(答)
【別解】
公式 $a^{3}\pm b^{3}=(a\pm b)(a^{2}\mp ab+b^{2})$ を使って、因数分解して
$(4x-3)(16x^2+12x+9)=0$


§4. 入試問題より

ホーナー法を使って入試問題を解いてみよう。

【問題4.1】 3次方程式 $x^3-ax^2+bx+a-6=0$ が $x=1$ を 2重解にもつとき、定数 $a,b$ の値を求めよ。また、実数解が $x=1$ のみで、他の 2つの解が虚数解となるような $a$ の値の範囲を求めよ。--- [2010 福岡大学]

【解】 ホーナーで下図。
(図1)
3行目の右下から $-5+b=0 \Rightarrow b=5$
3行目で $b=5$ に置き換えたのが下図の 1行目。
(図2)
2重解だからもう一度 $x-1$ で割って、右下から $8-2a=0 \Rightarrow a=4$
結局、$(a,b)=(4,5)$ …(答)
後半は(図1)の3行目から
$D=(1-a)^2-4\times 1(1-a+b)$
$=(1-a)^2-4(6-a)$
$=a^2+2a-23<0$ となって
$-1-2\sqrt{6}<a<-1+2\sqrt{6}$ …(答)

【問題4.2】 係数 $a,b$ が整数である 3次方程式 $x^3+ax^2+bx+1=0$ が 2つの虚数解と 1つの整数解をもつ。これを満たす整数の組 $(a,b)$ は□組あり、そのうち $a$ の値が最大となる組は $(a,b)=(\Box,\Box)$ である。--- [2010 早稲田大学・人間科学部]

【解】 $(x-\mbox{整数})$ で割り切ると下図のホーナーから分かるように
$(x-\mbox{整数})(\mbox{整数係数の2次式})$ のように因数分解される。

したがって整数 $\alpha$ は定数項 $1$ の約数、すなわち $1$ か $-1$ でなければならない。
(ア) $\alpha=1$ としたとき

整数係数の2次式(上図の 3行目)の判別式は
$D=(a+1)^2-4(a+b+1)=(a+1)^2-4(-1)$
$=(a+1)^2+4>0$
だから、虚数解を持ちえない。
(イ) $\alpha=-1$ としたとき

$D=(a-1)^2-4(-a+b+1)=(a-1)^2-4\cdot 1$
$=a^2-2a-3=(a+1)(a-3)<0$,
$-1<a<3$ かつ $a=b$
よって、整数の組は $(a,b)=(0,0),(1,1),(2,2)$ の 3組。 …(答)
$a$ 最大の組は $(a,b)=(2,2)$ …(答)

参考 因数定理の諸注意については 【高校生講座:「因数定理」のページ】 ←ここをクリック!
参考 組立除法のコツは 【高校生講座:「整除法と分数式」のページ】 ←ここをクリック!
参考 2・3次方程式の授業の実際 【「【授業】2次・3次方程式をめぐって」のページ】 ←ここをクリック!


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