2次式のテイラー展開から解の公式まで
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【問題1】 ある物体の重さは$1g,2g,3g,\cdots,31g$ のどれかである。天秤の片方にこの物体を載せ、他方にいくつかの分銅を載せて釣り合うようにしたい。何グラムの分銅を何個ずつ用意すればよいか。分銅の個数はなるべく少なくしたい。---
【解】 まず、$1g$の分銅が必要。
$2g$を測り切るには、$1g$をもう1個用意するか、単体で$2g$の分銅を用意すればよかろう。
前者の方法だと、$1g$を4個、$5g$を1個、$10g$を2個、計7個用意すれば、$29g$まで測り切れる。これは、お金の考え方(日本式)である。
西洋式だと、$1g$を1個、$2g$を2個、$5g$を1個、$10g$を1個、$20g$を1個、計6個用意すれば、$40g$まで測り切れる。(アメリカには、1ドル札と5ドル札の間に2ドル札があり、20ドル札、200ドル札もある。)
後者の考え方を進めると、$1g,2g,4g,8g,16g$を各1個、計5個で効率的に測り切れる。これが2進法の考えだ。
【答】 $1g,2g,4g,8g,16g$を各1個、計5個■
【問題2】 お金がいっぱいある。いくらあるかを数えるにはどうするか。---
【解1】 下図のように1円玉がたくさんあったら、10個ずつのグループを作って、もし3個余れば、1の位は3と分かる。次に10のグループを10ずつのグループにまとめれば、100円グループができるが、半端が4グループ出たら10の位が4と分かる。これが下の位から求める方法。

【解2】 下図のように金種がいろいろなら、まず1万円札をまとめて、……のように上の位から求めるだろう。

【問題3】 10進法の83を2進法で表わせ。---
【解1】 下の位から求める方法。(2ずつのグループを作って、余りを求め、……を繰り返す方法)
2 ) 83
2 ) 41 … 1
2 ) 20 … 1
2 ) 10 … 0
2 ) 5 … 0
2 ) 2 … 1
2 ) 1 … 0
0 … 1
最右列の余りの列を下から上に読んで、1010011 である。
【解2】上の位から求める方法。(最初にいろんな金種のお札を用意する方法)
分銅$1,2,4,8,16,32,64,128,\cdots$を用意して、大きい金種から求める。
83
- 64 ●
19
- 16 ●
3
- 2 ●
1 ●
使った分銅は●を付けた所だから、64,16,2,1の各位にビットを立てればよいので
64 32 16 8 4 2 1
1 0 1 0 0 1 1
となる。■
【問題4】 $y=2x^{2}-11x+15$ を $x=2$ のまわりにテイラー展開せよ。---
【解1】 下の位(低次数)から求める方法。

$2x^{2}-11x+15=(x-2)(2x-7)+1$
$=(x-2)\{ (x-2)2-3 \} +1=2(x-2)^{2}-3(x-2)+1$
【解2】 上の位(高次数)から求める方法。

$2x^{2}-11x+15=2(x^{2}-4x+4) -3x+7$
$=2(x-2)^{2} +(-3x+6) +1= 2(x-2)^{2} -3(x-2) +1$■
【問題5】 $y=ax^{2}+bx+c$ を $x=x_{0}$ のまわりにテイラー展開せよ。---
【解】 下の位から求める方法で行う。

$ax^{2}+bx+c=(x-x_{0})(ax+ax_{0}+b)+ax_{0}^{2}+bx_{0}+c$
$=(x-x_{0}) \{ (x-x_{0})a+2ax_{0}+b \} +ax_{0}^{2}+bx_{0}+c=a(x-x_{0})^{2}+(2ax_{0}+b)(x-x_{0})
+ax_{0}^{2}+bx_{0}+c$■
【問題6】 放物線$y=ax^{2}+bx+c$ の接線が$x$軸に平行なときの接点の座標を求めよ。(この接点を放物線の頂点という。)---
【解】 前問より、$x=x_{0}$における接線の方程式は2次の項をネグって
$y=(2ax_{0}+b)(x-x_{0}) +ax_{0}^{2}+bx_{0}+c$
であり、ここで傾き=0とすればよい。
$2ax_{0}+b=0 \Rightarrow x_{0} = \frac{-b}{2a}$
この値を$x$に代入すれば定数項だけ残るから、頂点の座標は
$( \frac{-b}{2a},ax_{0}^{2}+bx_{0}+c )=( \frac{-b}{2a},- \frac{b^{2}-4ac}{4a})$■
【問題7】 $y=ax^{2}+bx+c$ の標準形を求めよ。---
【解】 テーラー展開した式において、$x=-b/(2a)$を代入すればよいから
$y=a(x-\frac{-b}{2a})^{2}- \frac{b^{2}-4ac}{4a}$■
★頂点を新たな原点とすれば(横軸、縦軸の縮尺は変えない)、この放物線は$Y=aX^{2}$となることを意味する。
【問題8】 2次方程式$ax^{2}+bx+c=0$ の解の公式を導け。---
【解】 標準形に直せばよい。
$a(x-\frac{-b}{2a})^{2}- \frac{b^{2}-4ac}{4a}=0$
$x-\frac{-b}{2a}=\pm \sqrt{\frac{b^{2}-4ac}{4a^{2}}}$
よって
$x=\frac{-b \pm \sqrt{b^{2}-4ac} } {2a}$■
【問題9】 放物線$y=ax^{2}+bx+c$ が$x$軸と異なる2点で交わるときの標準形を求めよ(交点の$x$座標を用いること)。---
【解】交点の$x$座標を$\alpha,\beta,\alpha<\beta$とする。頂点の$x$座標は
$\frac{\alpha + \beta}{2}$
であり、頂点から「$x$軸が放物線から切り取る弦」の半分$\Box$だけ右へ行けば、$a \Box^{2}$だけ上に上がって$x$軸にぶつかるから、逆算すれば頂点は$x$軸より
$a(\frac{\beta - \alpha}{2})^{2}$
だけ下にある。

よって、頂点の座標は
$( \frac{\alpha+\beta}{2}, -a(\frac{\beta-\alpha}{2})^{2})$■
★こんな公式、見たことない、と思うかも知れないが、解と係数の関係を使って書き直すと問題6の解答と同じになる。ということは、$x$軸と交わらない場合(重解や虚数解の場合)もこの頂点の公式は成立するのである。
