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1次不等式の文章題(三者関係表)

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【1 価格と単価】
問題1) 案内状を作ることになったので制作費を調べた。制作費は、100部までは 5000円、100部をこえた分は1部につき 42 円であるという。1 部あたりの単価が45 円以下であるのは、何部以上作るときか。

(解) まず
   $ \mbox{単価}=\frac{\mbox{価格}}{\mbox{部数}} $
だ。これが内包量の第1用法。
分母を払うと、
   $ \mbox{価格}=\mbox{単価}\times \mbox{部数} $
これが内包量の第2用法。
基本料金が5000円で、追加料金は$42\times \cdots (x-100)$。
   
上の表を仮に「三者関係表」と名づけておく。だから、制作費は
   $ 5000+42(x-100 ) (\mbox{ただし} x \ge 100)$ 円。
$x< 100$枚だと、制作費は $5000$だから、制作費は部数$x$の区分的1次関数になって、そのグラフは下図の通り。
   
では、上表の?の所の単価はいくらかと考えると、第1用法により
   $ \frac{5000}{x} (\mbox{ただし} x \le 100)$
   $ \frac{5000+42(x-100)}{x} (\mbox{ただし} x \ge 100)$
となる。これをグラフにすると下図のようになる。
   
この単価が、45(円/部)以下になればいいのだから、
   $ \frac{5000+42(x-100)}{x} \leq 45 $
という不等式ができる。
これは1次不等式ではないが、分母を払えば
   $ 5000+42(x-100 ) \leq 45x $
$x$は題意から正だから、両辺を$x$倍しても不等号の向きは変わらないということに注意しよう。これを解くと(中略)
   $ x \geq 266.6 \cdots $
答が小数ということはありえないから……。
数値を丸めるには、「四捨五入」、「切り上げ」、「切り捨て」があるわけだが、今の場合は題意から切り上げになる。
ともかく、267枚以上印刷すれば1枚あたりのコストが所期通りに安くなるということが分かった。■

しかし267枚以上印刷すれば儲かるって話ではない。本当の正解は「必要な枚数だけ印刷する」じゃないのだろうか。たくさん印刷すれば単価が安くなるのは分かるが、何のために単価を気にしているのか、よく分からない。


【2 単価だけの問題】
(問題2) 1個120円の洋菓子と1個80円の和菓子を合わせて30個買い、100円の箱に詰めてもらう。箱代と合わせた予算が3000円以下で、洋菓子をできるだけ多く買うとき、洋菓子は最大何個買えるか。
(解) 洋菓子を$x$個買うとして表を作ろう。
   
ここ(?)が2900円以下になればいいから
   $ 120x+80(30-x) \leq 2900 $
となって、これを解くと……(中略)、
   $ x \leq 12.5 \mbox{(個)} $
今度は切り捨てで、洋菓子は12個以下になる。だから、最大12個買える。■

表面的には問題2は第2用法だけで解ける。第2と第1用法の両方を必要とする問題1より、格段にやさしい。


【3 速度の第3用法】
(問題3) $4km$の道のりを、歩くか走って行くことにした。ただし、歩くときの速さは分速$80m$で、走るときは分速$200m$である。目的地に着くまでにかかる時間を32分以上35分以下にしたいとき、歩く距離を何$m$以上何$m$以下にすればよいか。
   
35分以内に着かないと電車に乗り遅れたりするんだろう。32分以上なのは、早く着きすぎると、1本早い電車に乗ることになって、きっとまずいことが起きるのだろう。
さて、歩く距離を$x$(メートル)とおけばいい。速度はハジキの公式だ。
   
丸書いて、Tを書いて、どこが「ハ」だっけ?てなことがないように、ハジキはやめておこう。第1用法:
   $ \mbox{速度}=\frac{\mbox{距離}}{\mbox{時間}} $
の、分母を払って、
   $ \mbox{距離}=\mbox{速度}\times\mbox{時間} $
となって、さらに両辺を「速度」で割ると
   $ \mbox{時間}=\frac{\mbox{距離}}{\mbox{速度}} $
という第3用法が出る。
{3つの量について、表を作ろう。
   
速度は足し算できない、つまり歩く速度と走る速度を足しても全体を通した速度にはならない。(内包量においては合併が加法を引き起こさない。)
「時間」の列を公式を使って埋めていくことになる。
この表を使えば、次の不等式が出てくるね。
   $ 32 \leq \frac{x}{80}+ \frac{4000-x}{200} \leq 35 $
あとは、これを解くと(中略)
   $ 1600 \leq x \leq 2000 $
になる。■


【4 食塩水の濃度】
(問題4) 濃さが5% の食塩水 $200g$ を水で薄めて 2% 以下の食塩水を作りたい。何$g$以上の水で薄めればよいか。

食塩水の問題では、濃度の定義式が難しい。濃度は、食塩$\div$水ではない。それでは食塩$50g$と水$50g$で濃度が100%になってしまう。正しくは
   $ \mbox{濃度}=\frac{\mbox{食塩の質量}}{\mbox{食塩水の質量}} $
である。
   
$x$グラムの水を追加するとして、三者関係表を作ると上のようになる。
元の容器には食塩が何gあったのかを知る必要がある。濃度の定義式を変形すれば、
   $ \mbox{食塩}=\mbox{食塩水}\times\mbox{濃度} $
だから、
   $ 200 \times 0.05= 10\mbox{(グラム)} $
なのである。合併後(「計」)の濃度は
   $ \frac{10}{200+x}\leq 0.02 $
であるから、分母(正)を払って
   $ 10\leq 0.02(200+x) $
という1次不等式の解法に帰着できる。これを解くと
   $ x \geq 300 \mbox{(グラム)} $
で、水を300g以上足せばよいと分かる。

さて、テストにおける生徒の答案を見ると、次のような変わったやり方で正答に到達しているものが散見された。
$ 200\times \frac{5}{2} =500 $
$ \mbox{(答)} 300 g \mbox{以上} $■

(別解) 水を$200g$追加すれば、倍に薄まって濃度は2.5%になる。濃度は食塩水の質量に反比例する訳だ。
5%から2%へ2/5倍するには、食塩水全体はその逆数の5/2倍にすればよい。それは、$500g$だから元からある分を差し引いて$300g$を足せばよいと分かる。
   
$ x=300 $が分かれば、あとは常識で$ x \geq 300 $なのか$ x \leq 300$なのかは判断できる。■

食塩水の問題をもう少し一般化しておこう。濃度が$a$($100a$%)の食塩水$m$グラムと濃度が$b$($100b$%)の食塩水$n$グラムを混ぜたときの濃度は、下表。
   
上の三者関係表(最も一般化されたもの)において、?を求めて
   $ \frac{am+bn}{m+n} $
である。これは重みつき平均であり、内分の公式であり、モーメントを使って重心を求める式と同じである。
これを表でなく図にするといろんなものが考えられる。下のように面積図やベクトルや天秤などで表現できる。
   
   
\includegraphics[width=6cm]{zu15.jpg}
\includegraphics[width=6cm]{zu16.jpg}

では図を使って、食塩水の問題を解くとどうなるかやってみよう。

(問題5) 3%と8%の食塩水を混ぜて5%の食塩水を$200g$作るには、後者を何$g$使えばよいか。
(1次不等式でなく1次方程式の問題にした。)

(解) 下の面積図において2種類の斜線部分の面積が等しくなればいいのだから
   $ \frac{2\times200}{5} =80$
   

で、8%を$80g$にすればよい。■

(別解) この方法の他に、天秤の下図を描いてやる方法も考えられる。■
   


【5 常識的解法】
(問題6) 自動車で$300 km$の道のりを移動する。高速道路では時速$100km$,一般道では時速$50km$で走るものとする。午前9時に出発して、到着時刻を午後1時30分から午後2時にするには高速道路を走る距離を何$km$以上何$km$以下にすればよいか。
   

(解) 下の三者関係表を見ると明白なように、問題3と同じパターンの問題で、
   
   $ 4.5 \leq \frac{x}{100}+\frac{300-x}{50}\leq5 $
という1次不等式が導かれる。これを解けば(中略)
   $ 100\leq x \leq 150 $

(別解) 面積図で解くと下図。
   
午後2時着なら、大きい長方形$100\times5=500$ から余分な面積200の長方形を削り取ればいいのだから、
   $ \frac{200}{100-50}=4 $
となって、問題4の面積図とは、解答のための方略が違ってくる。この意味では、面積図より三者関係表の方がいつでも同じように解けて有効であると言えよう。■

(別々解) 実は、問題5には次のような「常識」的な簡単な解き方がある。
$100km$を一般道で走ると2時間かかるが高速なら1時間だから、高速を$100km$使うと1時間だけ時間が節約できる。
全行程を一般道で走ると6時間かかって到着が3時になってしまう。少なくとも1時間早く着かないと遅刻だ。
高速を$100km$だけ使えば2時に着ける。1時半に着こうとしたら$150km$高速を使えばよい。これで正解を得る。■

不思議なことに、この問題5は常識的に解けるのに、同タイプの問題3は常識が働いてくれず解けない。(間に合わないと思ったら全行程を走ればいい。走ったってタダなんだから。それに早く着いたら待っていればいいだけの話じゃないか。こんな思いが募ってしまうからなのかもしれない。)

このように思いがけず簡単な方法があることもあるが、総合的に見れば三者関係表は比較的分かりやすい道具だと思う。


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