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変格積分の一例

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【問1】 $\int_{0}^{\pi}\frac{\sin nx}{\sin x}dx$ ($n$ は自然数) を求めよ。---

【解】 $n$ についての漸化式を作る。その際、隣同士の項でなく、1個おきに隣り合う項の関係を調べるのがキー・ポイントだ。
   $S(n)=\int_{0}^{\pi}\frac{\sin nx}{\sin x}dx$
とおいて、
   $S(n+2)=S(n)$
を示す。
   $S(n+2)-S(n)=\int_{0}^{\pi}\frac{\sin (n+2)x}{\sin x}dx-\int_{0}^{\pi}\frac{\sin nx}{\sin x}dx$
   $=\int_{0}^{\pi}\frac{\sin (n+2)x -\sin nx}{\sin x}dx$
三角関数の和差を積に直す公式を適用して
   $=\int_{0}^{\pi}\frac{2 \cos (n+1)x \sin x}{\sin x}dx=\int_{0}^{\pi}2 \cos (n+1)x dx$
   $=2 [\frac{1}{n+1} \sin (n+1)x]_{0}^{\pi}=\frac{2}{n+1}(\sin (n+1)\pi-\sin 0)=0$
ただし $n \neq -1$ である。
したがって、$n$ が奇数なら
   $S(n)=S(n-2)=\cdots =S(3)=S(1)=\int_{0}^{\pi}\frac{\sin x}{\sin x}dx=\pi$
$n$ が偶数なら
   $S(n)=S(n-2)=\cdots =S(2)=S(0)=\int_{0}^{\pi}\frac{0}{\sin x}dx=0$
$n$ は降下していきながら、$n=-1$ の手前の $n=0$ まで下げられるから、上の等式が成り立つ。

【答】 $n$ が奇数なら $\pi$, $n$ が偶数なら $0$ ($n$ は自然数ではなく、$n \geq 0$ なる整数で成り立つ。)

【蛇足】 所期の積分の被積分関数の $\frac{\sin nx}{\sin x}$ は $x=0,\pi$ で分母がゼロになり、区間 $[0,\pi]$ では連続関数ではないのでふつうの意味では積分できない。しかし
   $\displaystyle \lim_{\delta \rightarrow +0} \int_{0+\delta}^{\pi-\delta} f(x)dx$
の意味に解釈すれば、積分可能となる。この意味での積分を「変格積分」または「広義積分」と言う。


【問2】 $I_{n}=\int_{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{(1+x^2)^{n+1}}$ ($n$ は $n\geq 0$ なる整数) を求めよ。---

【解】 まず $n=0$ のときは、$x=\tan \theta$ と置換し、$dx=\frac{d\theta}{\cos^2\theta}$ より

$I_{0}=\int _{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{1+x^2}=\int_{-\pi/2}^{\pi/2} d\theta=\pi$

次に漸化式を作る。

$\frac{1}{2}I_{n-1}=\int _{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{2(1+x^2)^{n}}$
$=[\frac{x}{2(1+x^2)^n}]_{-\infty}^{\infty}+n \int _{-\infty}^{\infty}\frac{x^2dx}{(1+x^2)^{n+1}}$
$=(0-0)+n\{ \int _{-\infty}^{\infty}\frac{(1+x^2)dx}{(1+x^2)^{n+1}}-\int _{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{(1+x^2)^{n+1} } \}$
$=n I_{n-1}-n I_{n}$

となるから、

$I_{n}=\frac{2n-1}{2n}I_{n-1}$

が成り立つ。したがって

$I_{n}=\frac{2n-1}{2n}\cdot\frac{2n-3}{2n-2}I_{n-2}$
$=\frac{2n-1}{2n}\cdot\frac{2n-3}{2n-2}\cdots \frac{1}{2}I_{0}$
$=\frac{1\cdot3\cdot5 \cdots (2n-1)}{2\cdot4\cdot6\cdots2n}\pi$ … (答)

【別解】 $I_{0}=\int _{-\infty}^{\infty}\frac{dx}{1+x^2}$ において $x=\frac{t}{\sqrt{a}}$ と置換すれば、

$I_{0}=\int _{-\infty}^{\infty}\frac{\sqrt{a}dt}{a+t^2}=\pi$
よって
$\int _{-\infty}^{\infty}\frac{dt}{a+t^2}=\frac{\pi}{\sqrt{a}}$

両辺を $a$ で $n$ 階微分すれば

$\int _{-\infty}^{\infty}(-1)^n n! \frac{dt}{(a+t^2)^{n+1}}=(-1)^n \frac{1\cdot 3 \cdot 5 \cdots(2n-1)}{2^n}\frac{\pi}{\sqrt{a}^{2n+1}}$
よって
$\int _{-\infty}^{\infty} \frac{dt}{(a+t^2)^{n+1}}= \frac{1\cdot 3 \cdot 5 \cdots(2n-1)}{2^n\cdot n!}\frac{\pi}{\sqrt{a}^{2n+1}}$

最後に $a=1$ を代入して

$I_{n}=\int _{-\infty}^{\infty} \frac{dt}{(1+t^2)^{n+1}}= \frac{1\cdot 3 \cdot 5 \cdots(2n-1)}{2^n\cdot n!}\pi$
$=\frac{1\cdot 3 \cdot 5 \cdots(2n-1)}{2\cdot4\cdot6\cdots 2n}\pi$



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