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§1. 微分、連続性
§2. 定積分
§3. 関数のグラフ
§4. 積分の応用
§5. ベキ級数展開
「YAHOO! 知恵袋」で筆者が回答したものの中から抜粋しました。
【問題1.1】 関数 $y=\sqrt[4]{x}$ を $x$ について微分せよ。---
【解】 $x=y^4$
両辺を $x$ で微分すると
$1=\frac{dy^4}{dx}=\frac{dy^4}{dy} \cdot \frac{dy}{dx}=4 y^3 \cdot \frac{dy}{dx}
$
です。よって
$\frac{dy}{dx}=\frac{1}{4y^3}= \frac{1}{4 \sqrt[4]{x^3}}$ ……(答)
結局
$(x^{1/4})'=(1/4)x^{-3/4}$
が成り立つってことだ。
$0 \leq x < 0.5$ のとき $f(x) = 0$だから、$f(x)$ は $x = 0$ において、右側連続だが左側連続ではない。よって連続ではない。
$-0.5 \leq x < 0 $ のとき $f(x) = -1$
【問題1.4】 次の関数が微分可能であることを示せ。---
$f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} x^2\sin \frac{1}{x} & (x \neq 0)\\
0 & (x=0) \end{array} \right. $
【証明】 $x \neq 0$ では微分可能な関数の商、合成、積だから微分可能であある。問題は$x=0$のときだ。
$f'(0)= \displaystyle \lim \frac{x^2 \sin (1/x)-0}{x-0}$
$= \lim x \sin (1/x)$
ところで
$-|x| \leq x \sin(1/x) \leq |x|$
と挟み打ちできるので
$ \displaystyle \lim_{x \rightarrow 0}x \sin (1/x)=0$
となり、$f'(0)=0$と微分可能と分かる。■
【蛇足】 上とよく似た関数に
$f(x)=\left\{ \begin{array}{ll} x \sin \frac{1}{x} & (x \neq 0)\\
0 & (x=0) \end{array} \right. $
がある。こちらは連続だけど、微分可能ではない。なぜなら、$\sin(1/x)$は $x \rightarrow 0$とすると$-1$から$1$までの間を揺れ動くので極限値を持たないので、微分可能ではない。しかし、
$\displaystyle \lim_{x \rightarrow 0}f(x)=\lim x \sin(1/x) =0=f(0)$
なので連続ではある。
つまり、$y=\pm x^2$ のグラフの中に入れば微分可能だが、$y=\pm x$ のグラフの中だと微分可能まで保証されない。
これから、微分可能とそうでないものとの境目(ボーダーライン)が分かります。グラフがエグれてないと微分可能にならないのです。
【問題1.5】 $a$を実数とする。$f(x)=|x|(e^{2x}+a)$が$x=0$で微分可能であるとき、つぎの問に答えよ。
(1) $a,f'(0)$をそれぞれ求めよ。
(2) $f'(x)$が$x=0$で連続であることを示せ。
(3) $\displaystyle \lim_{x \rightarrow +0} \frac{f'(x)}{x}$ を求めよ。また、$f'(x)$が$x=0$で微分可能でないことを示せ。---
【解】
(1)
$x>0$ なら $f(x)=x(e^{2x}+a),$
$x<0$ なら $f(x)=-x(e^{2x}+a)$
を微分すれば
$x>0$ なら $f'(x)=(2x+1)e^{2x}+a,$
$x<0$ なら $f(x)=-(2x+1)e^{2x}-a$
両者ともf$'(0)$ が等しくなるから
$1 + a = -1 -a, ⇒ a=-1$ ……(答)
$f'(0)= 1-1 =0$ ……(答)
(2)
$f'(x)=(2x+1)e^{2x}-1 → 0(x>0),$
$f'(x)=-(2x+1)e^{2x}+1 → 0(x<0)$
左右どっちから近づいても $f'(0)=0$ に近づくから連続。
(3) $x>0$なら、
$\frac{f'(x)}{x}= \frac{(2x+1)e^{2x}-1}{ x}$
だがロピタルの定理を使って
$\frac{2 \cdot e^{2x} +(2x+1) \cdot 2e^{2x}}{ 1}$ → 4
$x<0$なら、
$\frac{f'(x)}{x}=\frac{-(2x+1)e^{2x}+1}{ x}$
だがロピタルの定理を使って
$\frac{-2 \cdot e^{2x} -(2x+1) \cdot 2e^{2x}}{ 1}$ → -4
だから、これは $f'(x)$ について、$x=0$ で両側の微分係数が一致しないのだから微分可能でないことを意味している。
【蛇足】 ロピタルを使わない解法を紹介しておきます。示したいことは、
$\lim \frac{(2x+1)e^{2x} - 1}{ x} = 4$
ですが
$\lim( 2e^{2x} + \frac{e^{2x} -1}{x})= 2 + \lim \frac{e^{2x} -1}{x}$
……(*)
を求めることに帰着します。$2x=t$ と置き換えれば
$\displaystyle \lim_{t \rightarrow 0}\frac{e^t -1}{t}$
が分かればよいことになる。最後の式は指数関数$e^x$の $x=0$ における微係数ですから、1になります。
なぜならば$n \rightarrow \infty$のとき
$(1+ \frac{1}{n})^n → e$
であり、さらに
$(1+ \frac{t}{n})^n → e^t$
である。左辺を二項展開すると
$1 + n \frac{t}{n} + _{n}C_{2} (\frac{t}{n})^2 + \cdots$
だから、これから1を引いて、$t$で割って、$t \rightarrow 0$とすれば
$1 + \frac{1}{2!} \cdot 1 \cdot (1-\frac{1}{n}) t +\cdots \rightarrow
1$
となる。したがって
$\displaystyle \lim_{t \rightarrow 0} \{ 1 + \frac{1}{2!} \cdot 1 \cdot (1-\frac{1}{n}) t +\cdots \}=\lim_{t \rightarrow 0} \frac{e^t -1}{t} =1$
結局、(*)は 2+2=4 となります。
【問題1.6】$f(x)=\frac{x+1}{x-2},g(x)=3x+1$のとき、次の合成関数を求めよ。
(1) $f(g(x))$
(2) $f(f(x))$ ---
【解】(1) $f(3x+1)=(3x+1+1)/(3x+1-2)$だから
$f(g(x))=\frac{3x+2}{3x-1}$ ……(答)
(2) $f((x+1)/(x-2))=\{(x+1)/(x-2)+1\}/\{((x+1)/(x-2)-2\}$だから
$f(f(x))=\frac{x+1+x-2}{x+1-2(x-2)}$
$=\frac{2x-1}{-x+5}(ただしx \neq2))$ ……(答)
【蛇足】 問題の式のように$y=(x+1)/(x-2)$と書いてあったら、分母≠0なので暗黙のうちに「定義域は$x\neq2$なるすべての実数」と解釈されます。
(1)の答の$y= (3x+2)/(3x-1)$では、暗黙のうちに $x\neq 1/3$ と解釈されるので、それを答案に書かなくてよいのです(書いてもいいですけど)。
(2)の答の$y= (2x-1)/(-x+5)$では、暗黙のうちに $x\neq 5$ とだけしか解釈されないので、$x\neq2$を明示的に書かなくてはならないのです(「$x\neq2,5$」と書いてもいいですけど)。
【問題1.7】 平均値の定理を使って、$0<b \log b-a \log a<2(b-a)$ ただし$1/e<a<b<e$
を示せ。---
【証明】 平均値の定理とは
$\exists \xi(a<\xi<b) : \frac{f(b)-f(a)}{b-a} =f'(\xi)$
である。そこで
$y=x \log x$
とおけばよい。$y'=\log x+1$ だから
$\exists \xi(a<\xi<b) : \frac{b \log b - a \log a}{b-a} =\log
\xi +1$
ところで、$y'=\log \xi+1$ という関数のグラフは上図のようになり、その値域は
$0<f'(\xi) <2(1/e <\xi<e)$
である。$a<\xi<b$ ならば $1/e<\xi<b$ であるから
$0<\frac{b \log b - a \log a}{b-a} <2$
でなければならない。あとは、分母を払えばよい。■
【問題2.1】 次の定積分を求めよ。
(1) $\int_{0}^{\pi/8} \tan^{2} 2xdx$
(2) $\int_{1}^{e} x^{4}\log xdx$ ---
【解】 (1)は置換して、tan の微分公式を逆用。(2)は典型的な部分積分の問題。
(1)
$\int_{0}^{\pi/8} \tan^{2} 2xdx$
$=\frac{1}{2}\int_{0}^{\pi/4} \tan^{2} tdt$
$=\frac{1}{2}\int_{0}^{\pi/4} (\frac{1}{\cos^{2}t}-1) dt$
$=\frac{1}{2}[ \tan t -t ]_{0}^{\pi/4}$
$=\frac{1}{2}(1-\frac{\pi}{4})$
(2)
$\int_{1}^{e} x^{4}\log xdx$
$=[ \frac{1}{5} x^{5} \log x]_{1}^{e} -\int_{1}^{e} \frac{1}{5}x^{5}
\cdot \frac{1}{x} dx$
$= \frac{1}{5} e^{5} -[\frac{1}{25}x^{5}]_{1}^{e}$
$=\frac{1}{5} e^{5} -(\frac{1}{25}e^{5} -\frac{1}{25})$
$=\frac{4}{25} e^{5} +\frac{1}{25}$■
【問題2.2】 次の定積分を求めよ。
(1) $\int_{0}^{\pi/2} \log(\sin x) dx $
(2) $\int_{0}^{\pi} x \log(\sin x) dx $ ---
【解】(1) 所与の積分を$I$とおく。
$I=\int_{0}^{\pi/4} +\int_{\pi/4}^{\pi/2}$
と、積分区間を2つに割る。後半の積分は、$x=\pi/2 -t$と置換すると
$\int_{\pi/4}^{\pi/2} \log(\sin x) dx = \int_{\pi/4}^{0} \log(\sin(\pi/2
-t))(-1)dt$
$=\int_{0}^{\pi/4} \log(\cos t)dt $
だから
$I=\int_{0}^{\pi/4} \log(\sin x)dx +\int_{0}^{\pi/4} \log(\cos x)dx
$
$=\int_{0}^{\pi/4} \log(\sin x \cos x)dx$
$=\int_{0}^{\pi/4} \log((1/2)\sin 2x )dx$
$=\int_{0}^{\pi/4} \log (1/2)dx + \int_{0}^{\pi/4} \sin 2x dx$
$=-\frac{\pi}{4}\log 2 + \int_{0}^{\pi/4} \sin 2x dx$
ここで、後半の積分を$2x=u$と置換すると
$=-\frac{\pi}{4} \log 2 +\int_{0}^{\pi/2} \sin u \cdot \frac{1}{2} du$
よって
$I=-\frac{\pi}{4} \log 2 +\frac{1}{2} I$
したがって$I$を左辺に寄せて、2倍すれば
$I=-\frac{\pi}{2} \log 2$ ……(答)
【蛇足】 この種のテクニックは部分積分ではよく使われるが、置換積分では珍しい。
【解】(2) 所与の積分を$J$とおく。
$J=\int_{0}^{\pi/2} +\int_{\pi/2}^{\pi}$
と、積分区間を2つに割る。後半の積分は、$x=\pi -t$と置換すると
$\int_{\pi/2}^{\pi} x \log(\sin x) dx = \int_{\pi/2}^{0} (\pi-t)\log(\sin(\pi
-t))(-1)dt$
$=\pi \int_{0}^{\pi/2} \log(\sin t )dt - \int_{0}^{\pi/2} t \log(\sin
t )dt $
だから、
$J=\int_{0}^{\pi/2} x \log(\sin x) dx +\pi \int_{0}^{\pi/2} \log(\sin
t )dt - \int_{0}^{\pi/2} t \log(\sin t)dt $
$=\pi \int_{0}^{\pi/2} \log(\sin t )dt$
と、面倒な部分が消えてなくなり、あとは(1)の結果を使って
$=-\frac{\pi^2}{2}\log 2$ ……(答)
【問題2.3】 次の曲線や直線で囲まれた部分の面積を求めよ。
(1) $y=x +2/x -3, x$軸
(2) $y=x(x-1)(x-3), x$軸 ---
【解】 (1) $y=1/x$ (反比例)のグラフに$y=x$を乗っけます。そして$3$降ろす。$x$軸との交点の$x$座標は
$x +\frac{2}{x} -3=0$
分母を払って
$x^2 - 3x +2 =0$
より$x=1,2$だから
$S=-\int_{1}^{2}(x+2/x-3)dx=[-\frac{1}{2}x^2-2\log x +3x]_{1}^{2}$
$=-\frac{1}{2}(4-1)-2\log 2 +3(2-1)$
$=3/2-2\log 2$ ……(答)
(2) $x(x-1)(x-3)=0$より$x=0, 1, 3$だから
$S=\int_{0}^{1}(x^3-4x^2+3x)dx -\int_{1}^{3}(x^3-4x^2+3x)dx$
$=[\frac{1}{4}x^4-\frac{4}{3}x^3+\frac{3}{2}x^2]_{0}^{1} - [\frac{1}{4}x^4-\frac{4}{3}x^3+\frac{3}{2}x^2]_{1}^{3}$
$=\frac{1}{4}-\frac{4}{3}+\frac{3}{2} - \frac{1}{4}(81-1)+\frac{4}{3}(27-1)-\frac{3}{2}(9-1)$
$=\frac{1}{4} +\frac{100}{3}+\frac{3}{2}-32$$=\frac{3+400+18-384}{12}$
$=\frac{ 37}{12}$……(答)
【問題2.4】 $\displaystyle \lim_{ n \rightarrow \infty} (\frac{1}{n+2}+\frac{1}{n+4}+ \cdots+\frac{1}{3n})$
を求めよ。---
【解】
$S = \displaystyle \lim \frac{1}{n} \displaystyle \sum_{k=1}^{n} \frac{1}{1+2\cdot(k/n)}$
だから
$S= \int_{0}^{1}\frac{ 1}{1+2x} dx $
$=[ \frac{1}{2}\log(1+2x)]_{0}^{1}=\frac{1}{2}\log 3$ ……(答)
【問題2.5】 (1) $\sin x (-\pi/2 \leq x \leq \pi/2), \tan x ( -\pi/2 \leq x \leq \pi/2)$
の逆関数をそれぞれ微分せよ。
(2) $\frac{1}{\sqrt{a^2-x^2}}, \frac{1}{a^2+x^2} (a>0)$ の原始関数をそれぞれ求めよ。
(3) 定積分 $\int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{4-x^2}}dx, \int_{0}^{1}\frac{1}{3+x^2}dx$
をそれぞれ求めよ。---
【解】 (1) $\sin x (-\pi/2 \leq x \leq \pi/2)$ の逆関数を $y=\sin^{-1} x$ と書くことにする。(これをアークサインと読む。) 定義域は $-1 \leq x \leq 1$, 値域は $-\pi/2 \leq y \leq \pi/2$ である。$x=\sin
y$ だから、逆関数の微分法の公式により
$\frac{d}{dx} \sin^{-1} x= 1/\frac{dx}{dy}=1/\cos y =\frac{1}{\sqrt{1-\sin^2
y}} = \frac{1}{\sqrt{1-x^2}}$ ……(答)
$\tan x ( -\pi/2 \leq x \leq \pi/2)$ の逆関数を $y=\tan^{-1} x$ と書くことにする。(これをアークタンジェントと読む。) 定義域は $-\infty < x <\infty $, 値域は $-\pi/2 \leq y \leq \pi/2$
である。$x=\tan y$ だから、逆関数の微分法の公式により
$\frac{d}{dx} \tan^{-1} x= 1/\frac{dx}{dy}=\cos^2 y =\frac{1}{1+ \tan^2
y} = \frac{1}{1+ x^2}$ ……(答)
(2) 前者は $x =a \sin t$ と置換すると $dx=a \cos t dt$ だから
$\int \frac{1}{\sqrt{a^2-x^2}}dx =\frac{1}{a} \int \frac{1}{\sqrt{1-
\sin^2 t}} a \cos t dt=\int dt = t +C$
$=\sin^{-1} (\frac{x}{a}) +C$ ……(答)
後者は $x =a \tan t$ と置換すると $dx=(a /\cos^2 t) dt$ だから
$\int \frac{1}{a^2+x^2}dx =\frac{1}{a^2} \int \frac{1}{1+ \tan^2 t}
\cdot \frac{a}{\cos^2 t} dt=\frac{1}{a} \int dt = \frac{t}{a} +C$
$=\frac{1}{a} \tan^{-1} (\frac{x}{a}) +C$ ……(答)
(3) 前問の結果を使えば
$\int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{4-x^2}}dx=[ \sin^{-1}(\frac{x}{2})]_{0}^{1}
=\sin^{-1}(\frac{1}{2}) -\sin^{-1} 0=\frac{\pi}{6}$ ……(答)
および
$\int_{0}^{1} \frac{1}{3+x^2}dx=\frac{1}{\sqrt{3}} [ \tan^{-1} (\frac{x}{\sqrt{3}}
)]_{0}^{1} =\frac{1}{\sqrt{3}} \tan^{-1}(\frac{1}{\sqrt{3}}) -\tan^{-1}
0=\frac{\pi}{6\sqrt{3}}$ ……(答)
【(3)の別解】 置換積分する。前者は $x =2 \sin t$ と置換すると $dx=2 \cos t dt, t=0 \rightarrow \pi/6$ だから
$\int_{0}^{1} \frac{1}{\sqrt{4-x^2}}dx=2 \int_{0}^{\pi/6} \frac{\cos
t }{\sqrt{4-4 \sin^2 t}}dt=\int_{0}^{\pi/6} dt =\frac{\pi}{6}$ ……(答)
後者は $x =\sqrt{3} \tan t$ と置換すると $dx=(\sqrt{3}/ \cos^2 t) dt, t=0 \rightarrow \pi/6$ だから
$\int_{0}^{1} \frac{1}{3+ x^2}dx= \int_{0}^{\pi/6} \frac{1}{3(1+\tan^2
t)} \cdot \frac{\sqrt{3} dt }{\cos^2 t}=\int_{0}^{\pi/6} \frac{1}{\sqrt{3}}
dt =\frac{\pi}{6 \sqrt{3}}$ ……(答)
【蛇足】 (3) の解答としては、高校では別解の方が一般的である。
【問題3.1】$y=1/\sqrt{x}$のグラフをかけ。---
【解】 $y=\sqrt{x}$ は $y=x^2 (x \geq 0)$ の逆関数ですから、すぐ描けます。求めるグラフはこれの逆数ですから、割と簡単に得られます。
単調減少も $\sqrt{x}$ が単調増加であることから明らかですし、凸性 $f(\frac{a+b}{2})<\frac{f(a)+f(b)}{2}$
も同様に得られます(相加平均、相乗平均を使います)。
つまり微積分を知らなくても、結構なことが分かります。
【問題3.2】 曲線 $y=\sin^2 \frac{\pi \log x}{3}$ 上の $x=e$ である点における接線の方程式を求めよ。---
【解】 微分すると
$y’=(2\sin \frac{\pi \log x}{3} \cos \frac{\pi \log x}{3} ) \frac{\pi}{3x}=\frac{\pi}{3x}
\sin \frac{2\pi \log x}{3}$
$x=e$ を代入すると
$y'(e)=\frac{\pi}{3e} \sin \frac{2\pi}{3} =\frac{\pi}{3e} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}
=\frac{\sqrt{3}\pi}{6e}$
よって求めるべき接線の方程式は
$y - \frac{3}{4} =\frac{\sqrt{3}\pi}{6e}(x-e)$
または
$y =\frac{\sqrt{3}\pi}{6e}x + \frac{9 -2\sqrt{3} \pi}{12}$ ……(答)
【問題3.3】 3次関数 $f(x)=x^3+3ax^2+bx+c$ に関して、$f(x)$ が $x=\alpha$ で極大、$x=\beta$ で極小になるとき、点 $(\alpha,f(\alpha))$ と点 $(\beta,f(\beta)$ )を結ぶ直線の傾き $m$ を $f(x)$ の係数を用いて表せ。
また、$y=f(x)$ のグラフは平行移動によって $y=x^3+(3/2)mx$ のグラフに移ることを示せ。---
【解】 $f'(x)=3x^2+6ax+b=0$ の2解を $\alpha,\beta$ とおく。解と係数の関係で
$\alpha +\beta =-2a$
$\alpha \beta=\frac{b}{3}$
よって
$m=\frac{f(\alpha)-f(\beta)}{\alpha- \beta}$
$=\frac{(\alpha^3 - \beta^3)+3a(\alpha^2-\beta^2)+b(\alpha-\beta)}{\alpha-\beta}$
$=(\alpha^2+\alpha\beta+\beta^2)+3a(\alpha+\beta)+b$
$=(\alpha+\beta)^2-\alpha \beta +3a(\alpha+\beta)+b$
$=4a^2-\frac{b}{3} -6a^2+b$
$=-2a^2+\frac{2b}{3}$ ……(答)
極大点と極小点を結ぶ線分の中点が変曲点だが、それを求めると
$(\frac{\alpha+\beta}{2},f( \frac{\alpha+\beta}{2}))$
であろうと想像される。もしそうなら、その点の座標は
$(-a,f(-a))=(-a,2a^3-ab+c)$
であるから、この点が原点に移るように
$x$ 軸方向に $a$,
$y$ 軸方向に $-(2a^3-ab+c)$
だけ平行移動すればよい。実際、このように平行移動した後のグラフの式を求めると
$y=f(x-a)-(2a^3-ab+c)$
$=(x-a)^3+3a(x-a)^2+b(x-a)+c-(2a^3-ab+c)$
$=x^3+(-3a^2+b)x$
$=x^3+\frac{3}{2}mx$
【問題3.4】 曲線$y=(x^2+x+1)/(x+1)$の漸近線を求めよ。---
【解】 筆算で分子÷分母の割り算を実行。
$(x^2+x+1)\div(x+1) = x \cdots 1$
より
$x^2+x+1 = x(x+1) + 1$,
$\frac{x^2+x+1}{x+1} = x +\frac{ 1}{x+1}$
$x →±∞$で第2項は $→0$
あと、分母=0 になるのは$x=-1$である。よって、漸近線は
$y = x (x →±∞)$
$x = -1 (x →-1±0)$
の2本である。
【問題3.5】 $f(x)=(1/3)x^3+2a+16/3$ と $g(x)=x^2+(b-4)x+1$ のグラフは交点を持ち、そのうちの一つでは2曲線の接線は同一となり、その接線は点$(0,2a)$
を通るとき、定数 $a,b$ の値を求めよ。---
【解】 共通接線の接点の $x$ 座標を $ t$ とすれば、$f(x)$ の接線の方程式は
$y-f(t) = f'(t)(x-t)$
すなわち
$y - ((1/3)t^3+2a+16/3) = t^2(x-t)$
ここに $(x,y)=(0,2a)$ を代入して
$2a - ((1/3)t^3+2a+16/3) = t^2(0-t)$
$(1/3)t^3+16/3 = t^3$
$(t-2)(t^2+2t+4)=0$
よって $t=2$
ということは、共通接線と共通接点は
$y=4x+2a$, $(2,2a+8)$
です。次に $g(x)$ の接線についても同じ結論を得るのだから
$g'(2)=4, g(2)=2a+8$
となります。よって
$4+(b-4)=4, 4+2(b-4)+1=2a+8$
この $a,b$ についての連立方程式を解いて
$a=-3/2,b=4$ ……【答】
【別解】 接線は $(0,2a)$ を通る直線だから、これを
$y-2a=t^2(x-0)$ ……(1)
とおく。共通接点は
$(t, (1/3)t^3+2a+16/3 )$
だから、これを(1)に代入して、
$(t-2)(t^2+2t+4)=0$
よって $t=2$
共通接点の座標は
$(2,2a+8)$
であり、そこでの傾きは
$f'(2)=g'(2)=4$
と分かる。$y=g(x)$ もこの点を通り、かつ傾きが同じだから
$2a+8=4+2(b-4)+1, 4+(b-4)=4$
$a=-3/2,b=4$ ……【答】
【問題3.6】 2曲線 $y=f(x)$ と $y=g(x)$ が $x=p$ で交わり $x=q$ で共通の接線を持つための条件を求めよ。---
【解】 交わるとは共有点を持つということ。だから
$f(p)=g(p)$
だけで十分。$f'(p)=g'(p)$は不要。
共通接線を持つとは、共有点を持ち、かつその点で傾きが等しく(微分係数が等しく)なるので、
$f(q)=g(q)$ かつ $f'(q)=g'(q)$
です。
【問題3.7】 $f(x)=xe^{-2x}$について
(1) $y=f(x)$ の変曲点を通る接線 $l$ を求めよ。
(2) 曲線 $y=f(x)$ のグラフと直線 $l$ と $y$ 軸で囲まれた部分の面積 $S$ を求めよ。---
【解】
$f(x)=xe^{-2x}$
$f ' (x) = (1-2x)e^{-2x}$
$f '' (x) = (4x-4)e^{-2x}$
よって$x=1$ において変曲点を持つ。
接線$l$は、$f(1)=e^{-2},f'(1)=-e^{-2}$より
$y=-e^{-2} x +2e^{-2}$ ……(答)
また、面積は
$S=\int_{0}^{1} \{ (-e^{-2} x +2e^{-2} )- xe^{-2x} \}dx$
積分を前半と後半に分けると
$S_{1}=\int_{0}^{1} (-e^{-2} x +2e^{-2} )dx$
$=[ -\frac{1}{2}e^{-2}x^2 +2e^{-2}x ]_{0}^{1}$
$=\frac{3}{2}e^{-2}$
と、後半は部分積分を使って
$S_{2} = \int_{0}^{1} x e^{-2x} dx$
$=[ -\frac{1}{2}x e^{-2x}]_{0}^{1} +\frac{1}{2}\int_{0}^{1} e^{-2x}
dx$
$=-\frac{1}{2}e^{-2}-\frac{1}{4}(e^{-2}-1)$
$=-\frac{3}{4}e^{-2}+\frac{1}{4}$
だから
$S=(\frac{3}{2}e^{-2})-(-\frac{3}{4}e^{-2}+\frac{1}{4})$
$=\frac{9}{4}e^{-2} - \frac{1}{4}$ ……(答)
【問題3.8】 実数 $a,b$ を係数とする関数 $f(x)=x^4+ax^3+bx^2$ について、次の問いに答えよ。
(1) $y=f(x)$ のグラフを $C$ とする。点 $(1,f(1))$ における接線$l$の方程式を $a,b$ を用いて表せ。
(2) (1)の接線lは点 $(-2,f(-2))$ においても $C$ に接している。このとき $a,b$ の値を求めよ。
(3) (2)のとき、$C$ と $l$ で囲まれた部分の面積を求めよ。---
【解】 $f(x)=x^4+ax^3+bx^2$
を微分すると
$f'(x)=4x^3+3ax^2+2bx$
だから、$x=1$における接線の方程式は
$y - (1+a+b) = (4+3a+2b) (x - 1)$
すなわち
$y = (4+3a+2b)x + (-3-2a-b)$ …(1)の答
である。
これが $C$ 上の点 $(-2,f(-2))$, すなわち
$(-2, 16-8a+4b)$
を通るのだから
$16-8a+4b = (4+3a+2b)(-2) + (-3-2a-b)$
すなわち
$9b + 27 = 0$ ……(ア)
また $x=-2$ での傾きは上記接線の傾きと同じだから
$f'(-2) = -32+12a-4b = 4+3a+2b$
すなわち
$9a -6b -36 = 0$ ……(イ)
(ア),(イ)を連立して解けば、
$a = 2, b = -3$ ……(2)の答
面積は
$S = \int_{-2}^{1} \{ (x^4+ax^3+bx^2)-((4+3a+2b)x + (-3-2a-b) \}dx$
$=\int (x^4 + 2x^3 -3x^2 -4x +4 )dx$
$=\frac{ 81}{10}$ ……(3)の答■
【問題3.9】 関数 $y=x^4-2ax^3+(a^2-a+1)x^2$ が極大値をもつとき、定数 $a$ の値の範囲を求めよ。---
【解】 $y'=4x^3-6ax^2+2(a^2-a+1)x=2x \{2x^2-3ax+(a^2-a+1)\}$
$y'$ が相異なる3つの実数解を持てばよい。それには、$\{\mbox{ } \}$ の中の2次式が $x \neq 0$ なる異なる2つの実数解を持てばよい。ということは
$D=9a^2-8(a^2-a+1)=a^2+8a-8>0$
だから、
$a <-4-2\sqrt{6}, -4+2\sqrt{6}<a$ ……(答)
ここで、$\{\mbox{ } \}$ の中に $x=0$ を代入すると
$a^2-a+1=(a-\frac{1}{2})^2+\frac{3}{4}>0$
より、$x=0$ を解に持ち得ないことに留意する。
【問題4.1】 $y=\log x,y軸,y=1,y=-1$で囲まれた図形を$y$軸を中心に回転した体積を求めよ。---
【解】
図のように、$x$軸に平行な直線でスライスして、長方形を回転。スライス円柱ができるがその体積は、
$\pi x^2 dy = \pi(e^y)^2 dy$
これを$-1$から$ 1$まで積分。
$V =\int_{-1}^{1} \pi e^{2y} dy$
$=[\pi e^{2y}/2]_{-1}^{1}$
$=\pi(e^{2} - e^{-2})/2$■
【問題4.2】 曲線 $y=e^{-x} −3$ と、$x$ 軸、$y$ 軸で囲まれる図形 $S$ を $y$ 軸のまわりに一回転してできる体積を求めよ。---
【解】 $y=e^{-x} −3 \Rightarrow e^{-x}=y+3 \Rightarrow -x=\log(y+3) \Rightarrow
x=-\log(y+3)$
だから
$V=\int_{-2}^{0} \pi \log^2 (y+3)dy $
$=\pi ([ (y+3) \log^2(y+3)]_{-2}^{0} - \int_{-2}^{0} 2\log(y+3)dy )$
$=\pi(3 \log^2 3 -[ 2(y+3) \log(y+3)]_{-2}^{0} + \int_{-2}^{0} 2 dy)$
$=\pi(3 \log^2 3 -6\log 3 +4)$ ……(答)
このように部分積分を2回使う。
【問題4.3】 $p$ と $q$ を$ 0<p<1,0<q<1$ を満たす実数とする。第1象限で4つの曲線 $x^2=y,x^2=py,y^2=x,y^2=qx$ で囲まれた部分の面積 $S$ を求めよ。---
【解】 2曲線
$x^2=ry, y^2=sx$
で囲まれた図形の面積を $S(r,s)$ とする。これは2曲線
$y=x^2/r, y=\sqrt{sx}$
で囲まれた図形の面積だから
$S(r,s) = \int_{0}^{\sqrt[3]{r^2s} }(\sqrt{sx}-x^2/r) dx$
$=\frac{2}{3}rs -\frac{1}{3}s = \frac{rs}{3}$
と出ます。
あとは図を参照して
$S(1,1) - S(p,1) -S(1,q) +S(p,q)$
$=1/3 - p/3 -q/3 +pq/3$
$=(1-p)(1-q)/3$ ……(答)
【問題4.4】 (1) 数直線上を運動する点Pの時刻$t$における速度$v$が$\sin \pi t$であるとする。$t=0$から$t=3$までに、Pの位置はどれだけ変化するか。また道のりを求めよ。
(2) 数直線上を運動する点Pの時刻$t$における速度$v$が$\cos 2t$であるとする。$t=0$から$t=\pi$ までに、Pの位置はどれだけ変化するか。また道のりを求めよ。---
【解】
(1) $v=|\sin \pi t|$のグラフは下図(上)です。
変位の方は、
$\int_{0}^{3} \sin \pi t dt= [ -\frac{1}{\pi} \cos \pi t ]_{0}^{3} =
\frac{2}{\pi}$ ……(答)
道のりの方は
$\int_{0}^{1}+ \int_{1}^{2}+\int_{2}^{3}$ とわざわざ分けなくても図から $3\int_{0}^{1}$
でよいと分かります。
これは周期関数です。つまり
|sin$\pi$t|=|sin$\pi$(t+n)| (nは整数)
が成り立ちます。三角関数の加法定理で証明できます。ということで道のりは
$3\int_{0}^{1}\sin \pi t dt=3 [ -\frac{1}{\pi} \cos \pi t ]_{0}^{1}
= \frac{6}{\pi}$ ……(答)
(2) v=|cos2t|のグラフは上図(下)です
変位の方は、
$\int_{0}^{\pi} \cos 2 t dt= [ \frac{1}{2} \sin 2 t ]_{0}^{\pi} =0$ ……(答)
と分かります。
道のりは$y$軸に関して対称であること、すなわち
|cos2t|=|cos2(-t)|
と周期性
|cos2t|=|cos2(t+n$\pi$/2)| (nは整数)
の両方を使って、
$\int_{0}^{\pi/4}+ \int_{\pi/4}^{\pi/2}+\int_{\pi/2}^{3\pi/2}+\int_{3\pi/2}^{2\pi}$
とわざわざ分けなくても図から $4\int_{0}^{\pi/4}$ でよいと分かります。ということで道のりは
$4\int_{0}^{\pi/4}\cos 2 t dt=4 [ \frac{1}{2} \sin 2 t ]_{0}^{\pi/4}
= 2$ ……(答)
【問題3】 次の関数をMaclaurin展開して収束半径を求めよ。
(1) $y=e^{2x} $
(2) $y=\frac{1}{1+x}$
(3) $y=\log(1+x)$ ---
【解】
(1) $e^x = 1 + x + \frac{x^2}{2!} + \frac{x^3}{3!} + \cdots + \frac{x^k}{k!}
+\cdots$
は収束半径∞。これに $2x$ を代入して
$e^{2x} = 1 + 2x + \frac{4x^2}{2!} + \frac{8x^3}{3!} + \cdots +\frac{
2^k \cdot x^k}{k!} + \cdots$
収束半径は同じく∞
(2) $\frac{1}{1+x} = 1 - x + x^2 - x^3 + … + (-1)^k \cdot x^k + \cdots$
は公比 $x$ の等比級数ですから、$|x| < 1$ で収束します。収束半径は 1
(3) $\log(1+x)$ は上記級数を項別積分して
$\log(1+x) = x - \frac{x^2}{2} + \frac{x^3}{3} - \frac{x^4}{4} + \cdots
+ \frac{(-1)^k \cdot x^{k+1}}{k+1} + \cdots$
項別積分しても、収束半径は変わらないという定理があって、収束半径は1■
【問題22】 $x>1$ のとき $\log \frac{1}{1-\frac{1}{x}} = \displaystyle \sum_{k=1}^{\infty} \frac{1}{k x^k}$ となることを示せ。---
【証明】 $y=1/x$ とおけば $|y|<1$ となる。よって、無限等比級数の公式より
$1+y +y^2+\cdots =\frac{1}{1- y} $
この級数を項別積分すれば
$y + \frac{1}{2} y^2 + \frac{1}{3}y^3 + \cdots =-\log (1-y) +C$
($C$ は積分定数)だが、$y=0$ を代入して $C=0$ と分かる。この等式において $y=1/x$ として元に戻せば
$\frac{1}{x} +\frac{1}{2x^2} +\frac{1}{3x^3} + \cdots =-\log(1-\frac{1}{x})
=\log \frac{x}{x-1}=\log \frac{1}{1- \frac{1}{x}} $
これで所期の等式が得られた。■
【蛇足】 ここで項別積分を行ったが、項別積分して得られる級数も元の級数と収束半径は等しく、同じ範囲(収束域)で収束することは大学数学の内容である。
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