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集合の要素の個数

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§1. ベン図の描き方

よく、数学Aの教科書や問題集に次のような問題が出てくる。

【問題1】 40人の生徒に、テレビ番組A,Bを見たかどうかを調べた。Aを見た人が20人、Bを見た人が30人、両方とも見た人が11人であった。
(1) A,Bの少なくとも一方を見た人は何人か。
(2) 両方とも見なかった人は何人か。---

この問題を解くにあたってベン図(ベンは数学者の名前)を描いて、加法定理(包含・排除公式)
   $ \mid A \cup B \mid = \mid A \mid + \mid B \mid - \mid A \cap B \mid $
を使って計算するのだが、そこで描かれるベン図はたいがい下図のものである。
   
ベン図というのは、集合の包含関係や交わりの有無を、図形のそれで表現したものである。だから集合 $A,B$ を楕円で描かなければならない規則はない。下図のように長方形だけで表現したっていいはずだ。
    
これを少し変形すれば、下のようにまるでExcel で扱うような(表計算用の)表になる。
     
空いている数値を埋めれば、
     
となる。これから答が分かる。


【答】 (1) $n(A \cup B) = 11+19+9=39$人
(2) $n(\bar{A \cup B}) = 1$人





§2. 集合3つの場合


ところが集合が $A,B$ の2つから $A,B,C$ の3つに増えてしまうと、上記の Excel 方式は使えない。(複数のワークシートを作って、串刺し計算するという手法があるのだが、とても面倒くさくて使い物にならない。)
3つの場合の加法定理(包含・排除公式)は
   $ \mid A \cup B \cup C \mid = \mid A \mid + \mid B \mid + \mid C \mid - \mid A \cap B \mid - \mid B \cap C \mid - \mid C \cap A \mid + \mid A \cap B \cap C \mid $
になるので、これを使って解答するのが楽だ。


(証明) 帰納的に計算する。
   $ \mid( A \cup B )\cup C \mid = \mid A \cup B \mid + \mid C \mid -\mid (A \cup B) \cap C \mid $
だが
   $ \mid (A \cup B) \cap C \mid = \mid A \cap C \mid + \mid B \cap C \mid - \mid A \cap B \cap C \mid $
だから、これを前式に代入して
   $ \mid A \cup B \cup C \mid = \mid A \cup B \mid + \mid C \mid - (\mid A \cap C \mid + \mid B \cap C \mid - \mid A \cap B \cap C \mid )$
ところで、2つの場合に公式が成り立つことを仮定できれば
   $ \mid A \cup B \cup C \mid = \mid A \mid + \mid B \mid + \mid C \mid - \mid A \cap B \mid - \mid A \cap C \mid - \mid B \cap C \mid + \mid A \cap B \cap C \mid $■

では、例題をやってみよう。


【問題2】 1から100までの整数のうち、次の数の個数を求めよ。
(1) 2、5、7の少なくとも一つで割り切れる数。
(2) 2では割り切れるが、5でも7でも割り切れない数。---

【解】
(1)
   $A$ …… 2の倍数 $100 \div 2=50$(個)
   $B$ …… 5の倍数 $100 \div 5=20$(個)
   $C$ …… 7の倍数 $[100 \div 7 ]=14$(個)
   $A \cap B$ …… 10の倍数 $100 \div 10=10$(個)
   $A \cap C$ …… 14の倍数 $[100 \div 14]=7$(個)
   $B \cap C$ …… 35の倍数 $[100 \div 35]=2$(個)
   $A \cap B \cap C$ …… 70の倍数 $[100 \div 70]=1$(個)
(ただし、$[ \mbox{ } ]$はガウスの記号である。)
よって加法定理より
   $ \mid A \cup B \cup C \mid =(50+20+14) - (10+7+2) +1 =66$(個)
(2) は、偶数を全体集合と考えれば、2つの集合の加法定理で
   $ \mid B' \cup C' \mid = \mid B' \mid + \mid C' \mid - \mid B' \cap C' \mid $
だが
   $B'$ …… 5の倍数である偶数 $100 \div 10=10$(個)
   $C'$ …… 7の倍数である偶数 $[100 \div 14 ]=7$(個)
   $B' \cap C'$ …… 35の倍数である偶数 $[100 \div 70 ]=1$(個)
だから
   $ \mid B' \cup C' \mid = 10 +7 -1 = 16 $
あとはこれの(偶数の世界における)補集合を考えて
   $\mid A \mid -16 = 50-16=34$(個)

【答】 (1) 66個, (2) 34個   





§3. 類別される場合


全体集合がいくつかの集合に類別される問題がある。類別とは、全体集合がどの2つも互いに素である(共通部分を持たない)集合の和として表せること、すなわち
   $U = A \cup B \cup \cdots(A \cap B = \emptyset,\cdots)$
となることである。


SPIの問題集から例題を取り上げよう。


【問題3】 50人の大学生に、1日のうち勉強とアルバイトにそれぞれ費やす時間について質問したところ、
・ アルバイトが4時間未満であった者は36人、勉強が1時間未満であった者は29人、勉強が3時間以上であった者は5人であった。
・ 勉強が3時間以上で、アルバイトが4時間未満であった者は4人、勉強が1時間以上3時間未満で、アルバイトが4時間以上であった者は5人であった。
以上のことから、勉強が1時間未満で、アルバイトが4時間未満であった者は何人か。---

勉強時間に関して類別したのち、アルバイト時間を楕円で表わしたベン図を描くと下のようになる。



しかし、§1.で述べたように一覧表でやった方が分かりやすい。


【解】 下の表において、

空欄を埋めていけば

となる。



【答】 21人



そもそも、この例題は集合の問題ではなく、一覧表を作って計算しろ、という問題なのだろう。
それを言ったら【問題1】もそれだ。集合なる概念を学ばなくても解ける問題を無理矢理、集合で解答させるよう仕向けているような気がしてならない。集合が3つにならなければ集合概念はたぶん必要ないのだろう。


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