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【第1-2節】 内積(書きかけ)

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【第01講】 内積とは
【第02講】 内積の演算規則
【第03講】 法線ベクトルと直線の方程式
【第04講】 内積を利用した解法

【第01講】 内積とは

ベクトルの内積 $\vec{a}\cdot \vec{b}$ は、2つのベクトルに対し1つの実数値を対応させる。結果はベクトルではなく実数であるから、その名に反して「積」のような二項演算ではない。「ベクトルは内積について閉じているか」という問いは意味をなさない。
では、内積とは何かというと、仕事(work)のようなものである。それは物理学の概念であって、仕事=力×移動距離である。ここで、力と移動はベクトルで、仕事はスカラーである。
力 $\vec{F}$ で物体を点 A から点 B まで移動させたとし、$\overrightarrow{AB}=\vec{s}$ としよう。(下図参照)

パラパラまんが

このとき、力 $\vec{F}$ が物体になした仕事は上方向の力成分は仕事に寄与していないから、算入されるのは $\vec{F}$ の$x$軸(地面)への正射影(図形の各点に対して、それの $x$軸への垂線の足たちが作る図形のこと)である。だから、$\vec{F}$ と $\vec{s}$ のなす角を $\theta$ とすれば、仕事は

$\vec{F}\cdot \vec{s}=|\vec{F}||\vec{s}|\cos \theta$

である。では、斜めに移動したらどうなるだろうか。下図のようには坂道 AC に沿って物体を移動するのである。もちろんこの場合も $\vec{F}$ と $\vec{s}$ のなす角を $\theta$ とすれば、仕事は

$\vec{F}\cdot \vec{s}=|\vec{F}||\vec{s}|\cos \theta$ …(1)
パラパラまんが

である。ところで、A から C へ一直線に移動させないで、Bを経由して移動すると考えたらどうなるだろうか。仕事はエネルギーだから、B に寄り道してもその値は変わらない。それがエネルギー保存の法則なのだが、物理学の知識を使わずに数学だけで内積を考察するのは後回しにする。

パラパラまんが

坂道の傾斜角 $\angle BAC=\phi$ とすれば、移動 $\vec{s}$ の $x$軸および$y$軸への正射影の長さはそれぞれ $|\vec{s}|\cos \phi,|\vec{s}|\sin \phi$ だから、$\vec{s}$ の成分表示は

$\vec{s}=(|\vec{s}|\cos \phi,|\vec{s}|\sin \phi)=(s_{x},s_{y})$

で、同様に力 $\vec{F}$ の $x$軸および$y$軸への正射影の長さはそれぞれ $|\vec{F}|\cos (\phi+\theta),|\vec{F}|\sin (\phi+\theta)$ だから、$\vec{F}$ の成分表示は

$\vec{F}=(|\vec{F}|\cos (\phi+\theta),|\vec{F}|\sin (\phi+\theta))=(F_{x},F_{y})$

である。仕事は A ~B の仕事と B ~ C の仕事を足せばよく、

$\vec{F}\cdot \vec{s}=F_{x}s_{x}+F_{y}s_{y}$ …(2)

となる。ここで重要なことは (1) と (2) が同値であることだ。

【問題】 $\vec{a}=(a_{1},a_{2})$ と $\vec{b}=(b_{1},b_{2})$ のなす角を $\theta$ とするとき、内積を $\vec{a} \cdot \vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos \theta$ で定義するなら、

$\vec{a} \cdot \vec{b}=a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2}$

となることを証明せよ。---

【証明】 いずれかのベクトルが零ベクトルであれば等式は明らかに成り立つ。そうでない場合は、変形余弦定理より

$\cos \theta=\frac{|\vec{a}|^2+|\vec{b}|^2-|\vec{a} - \vec{b}|^2 }{2 |\vec{a}||\vec{b}|}$
$=\frac{a_{1}^2+a_{2}^2+b_{1}^2+b_{2}^2-\{(a_{1}-b_{1})^2+(a_{2}-b_{2})^2 \} }{2 |\vec{a}||\vec{b}|}$
$=\frac{a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2} }{ |\vec{a}||\vec{b}|}$

よって、$\vec{a} \cdot \vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}| \cdot \frac{a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2} }{ |\vec{a}||\vec{b}|}=a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2}$■

内積の定義によれば、それは下図の赤の長方形の面積である。

2つのベクトルのなす角を説明していなかった。なす角とは上図のように2つのベクトルの始点同士をくっつけたとき(離れていたら平行移動してくっつければよい)にできる劣角の絶対値である。したがって $0 \leq \theta \leq \pi$ である。2つのベクトルのうち一方または両方が零ベクトルのときのなす角は、

(任意とする) または (考えない)

とする。だから、$\vec{0}$ は「任意のベクトルと平行でもあるし、垂直でもある」と言っても正解だし、$\vec{0}$ については「平行とか垂直とかは考えない」でも正解である。

【追記】 内積の定義で、一方または両方のベクトルが $\vec{0}$ のときは $\theta$ は任意と考えれば

$|\vec{a}||\vec{b}|\cos \theta= 0 \times \mbox{? } \times \cos \theta=0$

だが、(考えない)の立場だと内積はない、となってしまい人によって変わってしまう。そこで、この場合は内積は 0 とすると明示的に定義しておく。

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【第02講】 内積の演算規則

内積は積ではないが、積によく似た計算公式が成り立つ。

(1) 交換法則
なす角というのは角の絶対値だから、右回りに測っても、左回りに測っても正である。($0 \leq \theta \leq \pi$) だから、

$\vec{a}\cdot\vec{b}=\vec{b}\cdot\vec{a}$


(2) 線型性

【問題】 上の2つの等式を証明せよ。

【証明】 成分表示で証明しよう。(矢線で証明することもできる。)
$\vec{a}=(a_{1},a_{2}), \vec{b}=(b_{1},b_{2}), \vec{c}=(c_{1},c_{2})$ とおく。
第1式は

左辺$=(a_{1},a_{2})\cdot(b_{1}+c_{1},b_{2}+c_{2})=a_{1}(b_{1}+c_{1})+a_{2}(b_{2}+c_{2})$
右辺$=(a_{1}b_{1}+a_{1}c_{1})+(a_{2}b_{2}+a_{2}c_{2})$

より分かり、第2式は

左辺$=(a_{1},a_{2})\cdot (k b_{1},k b_{2})=a_{1}(k b_{1})+a_{2}(k b_{2})$
右辺$=k (a_{1}b_{1}+a_{2}b_{2})$

より分かる。■

上の公式を何度も使えば、次の等式も証明できる(証明省略)。要は多項式の展開のように計算すればよいのだ。

【公式】 $(k\vec{a}+l\vec{b})\cdot(m\vec{c}+n\vec{d})=km\vec{a}\cdot\vec{c}+kn\vec{a}\cdot\vec{d} +lm\vec{b}\cdot\vec{c}+ln\vec{b}\cdot\vec{d}$


(3) 内積と絶対値の関係
自分と自分の内積を考えよう。$\vec{a}=(a_{1},a_{2})$ と $\vec{a}$ のなす角は $\theta=0,\cos \theta=1$ だから

$\vec{a}\cdot\vec{a}=|\vec{a}|^2=a_{1}^2+a_{2}^2$

書き換えると

$|\vec{a}|=\sqrt{\vec{a}\cdot\vec{a}}$

なす角云々と言ったけど、上の公式は $\vec{a}=\vec{0}$ のときにも成り立つ。


(4) 内積と直交性

$\vec{a} \perp \vec{b} \Leftrightarrow \vec{a}\cdot\vec{b}=0$

【証明】 両ベクトルが零ベクトルでないときは、$\theta=\frac{\pi}{2} \Leftrightarrow \cos\theta=0$ から分かる。
問題は一方または両方が零ベクトルのときだが、$\vec{0}$ は任意のベクトルと垂直と決めれば、上の公式は成り立つが、$\vec{0}$ はなす角を考えないという立場なら上の公式において「両ベクトルが零ベクトルでないとき」という但し書きを付ける。


(5) なす角の求め方
内積の定義 $\vec{a} \cdot \vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}|\cos \theta$

$\cos \theta =\frac{\vec{a} \cdot \vec{b}}{|\vec{a}||\vec{b}|}$ $(0 \leq \theta \leq \pi)$

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【第03講】 法線ベクトルと直線の方程式

【問題】 点 $P_{0}(x_{0},y_{0})$ を通り、$\vec{0}$ でないベクトル $\vec{n}=(n_{1},n_{2})$ に垂直な直線の方程式を求めよ。---

【解】 直線上の点を $P(x,y) \neq (x_{0},y_{0})$ とすれば、$\vec{n} \bot \overrightarrow{P_{0}P}$ だから、内積を利用して

$\vec{n} \cdot \overrightarrow{P_{0}P}=0$,
$(n_{1},n_{2}) \cdot (x-x_{0},y-y_{0})=0$,
$n_{1} (x-x_{0})+n_{2}(y-y_{0})=0$,
いま $(x,y) \neq (x_{0},y_{0})$ としたが、この点も上記方程式を満たすから、例外なしでこれが直線の方程式だ。

(答) $n_{1} (x-x_{0})+n_{2}(y-y_{0})=0$,
または $n_{1} x+n_{2}y=C$, ただし $C=n_{1} x_{0}+n_{2}y_{0}$

【問題】 2直線 $ax+by=c,bx-ay=d$ は直交することを示せ。---

【証明】 2直線の法線ベクトルは、それぞれ $\vec{n}=(a,b),\vec{n'}=(b,-a)$ だから、その内積は

$\vec{n} \cdot \vec{n'}=ab+b(-a)=0$

より垂直である。法線が垂直なら直線同士も垂直である。(下図参照)■

これより、与えられた直線に垂直な直線の方程式を求めようと思ったら、$x,y$ の係数を交換して、片方の符号を反転すればよいと分かる。(定数項はその他の条件から決定する。)


【問題】 点 $P_{0}(x_{0},y_{0})$ から直線 $ax+by+c=0$ に下ろした垂線の長さ(点と直線の間の距離)を求めよ。---

【解】 直線の法線ベクトルは $(a,b)$ だが、これは垂線の方向ベクトルでもある。よって、垂線の方程式は

$\left\{ \begin{array}{l} x=x_{0}+at \\ y=y_{0}+bt \end{array} \right. $

これを与えられた直線の方程式に代入して

$a(x_{0}+at)+b(y_{0}+bt)+c=0$,
$t=-\frac{ax_{0}+by_{0}+c}{ a^2+b^2}$,
$(x,y)=(x_{0}-a\frac{ax_{0}+by_{0}+c}{ a^2+b^2}, y_{0}-b\frac{ax_{0}+by_{0}+c}{ a^2+b^2})$

これで交点(垂線の足)が分かったので、距離を求めると

$\sqrt{(x-x_{0})^2+(y-y_{0})^2}=\frac{|ax_{0}+by_{0}+c|}{a^2+b^2}\sqrt{a^2+b^2}=\frac{|ax_{0}+by_{0}+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}$ …(答)

【別解】 与えられた直線の方程式を方向ベクトルを使って表そう。直線上の任意の1点を $(x_{1},y_{1})$ とし、方向ベクトルは法線ベクトル $(a,b)$ に垂直だから $(b,-a)$ としてよいから、

$\left\{ \begin{array}{l} x=x_{1}+bt \\ y=y_{1}-at \end{array} \right. $

直線上の点 $(x,y)$ と $P_{0}(x_{0},y_{0})$ の間の距離が最小のとき、その点は垂線の足である。距離を $d(t)$ とすれば

$d(t)^2={(x_{1}-x_{0}+bt)^2+(y_{1}-y_{0}-at)^2}$
$=(a^2+b^2)t^2+2 \{b(x_{1}-x_{0})-a(y_{1}-y_{0}) \}t+\{(x_{1}-x_{0})^2+(y_{1}-y_{0})^2\}$

これが最小になるのは、2次関数の平方完成または微分法で周知のように、

$t=-\frac{b(x_{1}-x_{0})-a(y_{1}-y_{0}) }{a^2+b^2}$

のときである。これを $d(t)^2$ に代入すれば

${(x_{1}-x_{0}+bt)^2+(y_{1}-y_{0}-at)^2}$
$=\{x_{1}-x_{0}-\frac{b^2(x_{1}-x_{0}) -ab(y_{1}-y_{0}) }{a^2+b^2}\}^2+\{y_{1}-y_{0}+\frac{ab(x_{1}-x_{0})-a^2(y_{1}-y_{0}) }{a^2+b^2}\}^2$
$=\{ \frac{a^2(x_{1}-x_{0}) +ab(y_{1}-y_{0}) }{a^2+b^2}\}^2+\{\frac{ab(x_{1}-x_{0})+b^2(y_{1}-y_{0}) }{a^2+b^2}\}^2$
$=\frac{1}{(a^2+b^2)^2}\{ (a^4+a^2b^2)(x_{1}-x_{0})^2+2(a^3b+ab^3)(x_{1}-x_{0})(y_{1}-y_{0})+(a^2b^2+b^4)(y_{1}-y_{0})^2 \}$
$=\frac{1}{a^2+b^2} \{a^2(x_{1}-x_{0})^2+2ab(x_{1}-x_{0})(y_{1}-y_{0})+b^2(y_{1}-y_{0})^2 \}$
$=\frac{1}{a^2+b^2}| a(x_{1}-x_{0})+b(y_{1}-y_{0})|^2 $,
ところで $(x_{1},y_{1})$ は直線上の点であったから $ax_{1}+by_{1}+c=0$ なので
$=\frac{1}{a^2+b^2}| ax_{0}+by_{0}+c|^2 $

これの平方根をとって、距離は

$d=\frac{|ax_{0}+by_{0}+c|} {\sqrt{a^2+b^2}} $ …(答)


【公式】 点 $P_{0}(x_{0},y_{0})$ と直線 $ax+by+c=0$ の間の距離 $d$ は

$d=[ \frac{|ax+by+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}]_{(x,y)=(x_{0},y_{0})}$

(角括弧は代入するという意味。)
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【第04講】 内積を利用した解法

【問題】 平面上に、1辺の長さが 1の正三角形 OAB があり、$\overrightarrow{OA}=\vec{a},\overrightarrow{OB}=\vec{b}$ とおく。
(1) ベクトル $\vec{a},\vec{b}$ の内積の値を求めよ。
(2) 直線 AB 上の点を C とするとき、$\overrightarrow{OC}$ を実数 $t$ とベクトル $\vec{a},\vec{b}$ を使って表せ。
(3) 点 P が $\overrightarrow{OP}=2\vec{a}+\vec{b}$ を満たし、2直線 PC と OA が直交するとき、$\overrightarrow{OC}$ を $\vec{a},\vec{b}$ を使って表せ。
(4) さらに直線 AB 上の点 D を、2直線 PD と OB が直交するようにとるとき、$\overrightarrow{OD}$ を $\vec{a},\vec{b}$ を使って表せ。 また、このときの $\overrightarrow{OC}\cdot \overrightarrow{OD}$ の値を求めよ。
(5) 上の前提のもと、$\overrightarrow{OP}$ を $\overrightarrow{OC}$ と $\overrightarrow{OD}$ を使って表せ。---(2010法政大学)

【解】 (1) $\vec{a}\cdot\vec{b}=|\vec{a}||\vec{b}| \cos 60^{\circ}=1 \cdot 1\cdot \frac{1}{2}=\frac{1}{2}$ …(答)
(2) 例えば AB を $(1-t):t$ に分けるとすれば、$\overrightarrow{OC}=t\vec{a}+(1-t)\vec{b}$ …(答) (他の答もある。)
(3) $\overrightarrow{PC}=\overrightarrow{OC}-\overrightarrow{OP}=t\vec{a}+(1-t)\vec{b}-(2\vec{a}+\vec{b})=(t-2)\vec{a}-t\vec{b}$ だから

$\overrightarrow{PC}\cdot\overrightarrow{OA}=((t-2)\vec{a}-t\vec{b})\cdot\vec{a}=(t-2)-\frac{t}{2}=\frac{t}{2}-2=0$,
$t=4$, $\overrightarrow{OC}=4\vec{a}-3\vec{b}$ …(答)

(4) $\overrightarrow{PD}=(t'-2)\vec{a}-t'\vec{b}$ だから

$\overrightarrow{PD}\cdot\overrightarrow{OB}=((t'-2)\vec{a}-t'\vec{b})\cdot\vec{b}=\frac{t'-2}{2}-t'=-\frac{t'}{2}-1=0$,
$t'=-2$, $\overrightarrow{OD}=t'\vec{a}+(1-t')\vec{b}=-2\vec{a}+3\vec{b}$ …(答)
$\overrightarrow{OC}\cdot \overrightarrow{OD}=(4\vec{a}-3\vec{b})\cdot(-2\vec{a}+3\vec{b})$
$=-8|\vec{a}|^2+18\vec{a}\cdot\vec{b}-9|\vec{b}|^2=-8+18 \cdot \frac{1}{2}-9=-8$ …(答)

(5) $\overrightarrow{OP}=m\overrightarrow{OC}+n\overrightarrow{OD}$ とおけば

$2\vec{a}+\vec{b}=m(4\vec{a}-3\vec{b})+n(-2\vec{a}+3\vec{b})$,
$\left\{ \begin{array}{lcl} 2& =& 4m-2n \\ 1&=&-3m+3n \end{array} \right.$,
$m=\frac{4}{3},n=\frac{5}{3}$,
$\overrightarrow{OP}=\frac{4}{3}\overrightarrow{OC}+\frac{5}{3}\overrightarrow{OD}$ …(答)

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