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【第2-3節】 確率と期待値(書きかけ)

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【第01講】 基本公式
【第02講】 確率の意味付け
【第03講】 期待値とは
【第04講】 期待値の計算

【第01講】 基本公式

降水確率は0%から100%までのいずれかの値である。「雨または雪が降る」という出来事を事象(event)と言い、それが起こる確からしさを数値で表したものを確率(probability)と言う。「 雨または雪が降る」事象を$E$と表し、それが起こる確率が30%であれば

$P(E)=\frac{30}{100}$
と表現できる。$P(\cdot)$は全事象$U$の部分集合に、0~1の実数値を対応させる関数である。

【公式】 $0 \leq P(E) \leq 1$

事象をもう少し詳しく言うと、「1の目が出る」とか「ハートのエースが出る」が根元事象で、それらの集まり、すなわち根元事象を要素とする集合が事象である。

「サイコロを振る」という試行(trial)において、「3の倍数の目が出る」という事象$E$は「3の目が出る」と「6の目が出る」という2つの根元事象から成る集合である。 だから

$E=\{ 3,6\}$

である。事象は根元事象1つから成る集合である場合もあるし、複数の根元事象から成る場合もある。また、1つも根元事象を含まない集合、すなわち空集合$\emptyset$であることもある。確率論では$\emptyset$を空事象と呼ぶ習わしである。サイコロで言えば、どの目も出ないことに相当するから、その確率は0%である。

$P(\emptyset)=0$

である。反対に「1~6の目が出る」のような事象は全事象と呼び、その確率は100%である。全事象を$U$とすれば

$U=\{1,2,3,4,5,6 \},P(U)=1$

降水確率が30%なら雨も雪も降らない確率は常識的に70%と分かるだろう。つまり、降るか降らないかを合わせること(集合の合併)が確率の値の足し算に相当する。

【公式】(加法定理または和の法則) 事象をかぶりがないように場合分けして、AになるかBになるかになったとする。このとき

$P(A \cup B)=P(A)+P(B),$ ただし $A \cap B=\emptyset$

かぶりがないこと($A \cap B=\emptyset$)を2つの事象は互いに排反であると言う。排反でないときの加法定理は

【公式】 $P(A \cup B)=P(A)+P(B)-P(A \cap B)$

であるが、

$P(A \cup B)=P(A \cap \bar{B})+P(\bar{A} \cap B)+P(A \cap B)$

で計算する方が便利だったりする。

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【第02講】 確率の意味付け

確率が$\frac{1}{2}$だと言っても、2回やれば必ず1回その事象が起こるという意味ではない。実際にコインを2回投げてみれば分かる。絶対1回は表が出るという訳でなく、もしそうであったらギャンブルで大儲けできる。意味付けするなら、多数回コイン投げをしたらそのうちの約半数は表になるのだが、やればやるほど相対度数(頻度)がドンドンと $\frac{1}{2}$に近づいていくのである。これを大数の法則と言う。

では実際にコイン投げを多数回やらないと確率が求まらないかと言うと、そうではなく「表が出る」と「ウラが出る」の確率が等しいと仮定すれば必然的に、$\frac{1}{2}$が算出できる。

昔の数学教育では前者を「統計的確率」、後者を「数学的確率」と呼んで区別してきたが、この区別に拘泥せずに統一的に捉えるのがよいと思う。(現在文部科学省はそれぞれを「頻度確率、古典的確率、客観確率」、「論理的な確率」と呼んで区別している。)

実は最近はベイズ理論に基づく確率(ベイズ確率)が台頭してきて、特殊な公式を駆使して「今後10年間に大津波が起こる確率が50%」のように表現する。だからといって、今後の100年間を10年ずつに区切るとそのうちの約半数の期間に大津波が来るという意味ではない。危険性の度合いを数値化したものというべきである。「信長の方が光秀を殺していた確率は10%」のような言い方もすることがあるが、歴史が10回繰り返したらそのうちの1回くらいは…という意味ではない。

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【第03講】 期待値とは

当たる確率が$\frac{1}{2}$のくじがあって、当たれば100円貰える。はずれたら何も貰えない。このくじでいくら貰えると期待できるだろうか。100円の半分だろうと誰しも思うに違いない。だから、期待金額=賞金×確率だ。
とは言っても必ず50円貰えるわけではなく、多数回やると平均して1回あたり50円儲かるという意味である(大数の法則)。

では、2人でジャンケンをして、勝てば3000円貰え、負けるか引き分けなら300円取られる(=$-300$円貰える)場合はどうなるか。賞金×確率を計算して、それを足せばよかろう。よって

$3000 \times \frac{1}{3}+(-300) \times \frac{2}{3}=800$(円)

が期待金額だ。いま金額だったが、別にお金でなく貰えるものが得点であってもよいし、赤玉であってもよい。金額、得点、赤玉の個数、サイコロの目の数、人数、……などを確率変数と言う。少し詳しく言うと、確率変数とは根元事象に実数値を対応させる関数のことである。

【例】(1) 1個のサイコロを振ったとき、出た目の数を$X$とすれば、$X$は確率変数である。
   
(2) ジャンケンに勝ったら$X=1$,負けたら$X=-1$, 引分なら$X=0$ を対応させる。この対応は確率変数である。

確率変数$X$の期待値を$E(X)$と表す。したがって

【公式】 全事象が $U=\{ \omega_{1},\omega_{2},\cdots, \omega_{n} \} $のように$n$個の根元事象がなるものとする。このとき期待値$E(X)$は

$E(X)=X(\omega_{1}) \times P(\omega_{1})+X(\omega_{2}) \times P(\omega_{2})+\cdots +X(\omega_{n}) \times P(\omega_{n})=\sum XP$

【問題】 1個のサイコロを振る。出る目の数の期待値を求めよ。---

【解】 $E(X(=1 \times \frac{1}{6}+2 \times \frac{1}{6}+\cdots +6 \times \frac{1}{6}=\frac{1+2+3+4+5+6}{6}=\frac{21}{6}=3.5$ …(答)

なんだ、目の数を6個足して6で割るんだから、平均ではないか。だから期待値のことを平均(値)とも言う。平均は真ん中だから$3.5$だというのも当たり前。

いまの問題は確率変数の対応が1対1であったが、そうでない問題も扱ってみよう。

【問題】 トランプが1セット=52枚ある。1枚めくってハートが出たら1000円、ハート以外なら500円貰える。期待金額はいくらか。---

【解】金額のときだけ、期待値ではなく期待金額とも言う。期待金額=賞金×確率の和、だから

$E(X)=1000 \times \frac{13}{52}+500 \times \frac{39}{52}=\frac{1000+1500}{4}=500$(円) …(答)

【公式】 $E(X)=x_{1} \times P(X=x_{1}) +x_{2} \times P(X=x_{2}) +\cdots +x_{r} \times P(X=x_{r})=\displaystyle \displaystyle \sum_{i=1}^{r} x_{i} P(X=x_{i} )$

ただし、確率変数$X$の値が$x_{i}$になる事象 $A_{i}=\{ \omega | X(\omega)=x_{i} \}$の起こる確率を$P(X=x_{i})$と表した。
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【第04講】 期待値の計算

【問題】 次の2つの試行に対しそれぞれ与えられた確率変数の期待値を求めよ。---
(1) 1枚のコインを投げ、表が出たら1000円貰え、ウラが出たら1001円取られる。貰う金額を$X$(円)とするときの期待値。
(2) 1枚のコインを投げ、表が出たら1億1円貰え、ウラが出たら1億円取られる。貰う金額を$Y$(円)とするときの期待値。

【解】$E(X)=1000 \times \frac{1}{2}+(-1001) \times \frac{1}{2}=\frac{1000-1001}{2}=-0.5$(円)であり、他方は
$E(Y)=(10^8+1) \times \frac{1}{2}+(-10^8) \times \frac{1}{2}=\frac{10^8+1-10^8}{2}=0.5$(円)

だから、前者の賭けは損で、後者の賭けは得だ。だから、後者の賭けに参加せよ、などと言う人がいる。てな訳ないだろ、後者は負けたら自殺するしかなくなる可能性がある。期待値は損得を教えてくれる数値ではない。

【問題】 1枚のコインを1回投げ、もし表だったら1円貰ってゲームオーバー。ウラだったもう1回投げて、もし表だった2円貰ってゲームオーバー。2回目もウラだったら3回目を投げて、もし表だった先の倍の4円貰ってゲームオーバー。3回目もウラだったら4回目を投げて、もし表だった先の倍の8円貰ってゲームオーバー。……、これをゲームオーバーするまで続ける。期待金額を求めよ。---

【解】$1 \times \frac{1}{2} +2 \times (\frac{1}{2})^2 +2^2 \times (\frac{1}{2})^3 +2^3 \times (\frac{1}{2})^4 +\cdots$
$=\frac{1}{2} +\frac{1}{2} +\frac{1}{2} +\frac{1}{2} +\cdots =\infty$(円)

この賭けに参加すれば大金持ちになる。そこで賭けの参加者には参加料を支払ってもらうことにしよう。値段をいくらに設定すればよいだろうか。∞円の金額を貰える訳だから、例えば1万円であっても皆喜んで参加しくれるに違いないはずだ。でも実際にはこの賭けで千円稼ぐのも容易ではないだろう。
なぜこうなってしまうかと言うと、ここに出てきた無限級数は無限大に発散するのであるが、その発散のスピードがとても遅いのだ。だから、この賭けを多数回、それも1人の人生の何倍もの時間を掛けて賭けを続ければ、やっと平均して∞の金額を稼げるであろう。
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