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【第3-1節】 二次関数とは(書きかけ)

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【第01講】 関数とは
【第02講】 グラフの平行移動
【第03講】 ホーナー法
【第04講】 平方完成
【第05講】 グラフの描き方

【第01講】 関数とは

関数 $f$ とは、数の集合 $X$ (始集合と言う) から数の集合 $Y$ (終集合と言う)への一意対応のことである。
これは、すべての独立変数 $x \in X$ に対し、従属変数 $y \in Y$ がただ一つずつ対応する、という意味である。

$f: X \ni x \mapsto y \in Y$

のように表現することがある。

「一意対応」であるから、多対一の対応はよいが、一対多の対応は許されない。
対応 $f$ の規則は数式、言葉、表やグラフで表される。この規則が関数なのであって、数式そのものが関数なのではない。例えば、
   $y=x^2$
は単なる数式であって、関数ではない。
   $x$ に対し、$x^2$ を対応させるという規則
が関数である。
しかるにややこしいことに現実には、「$x$ に対し、$x^2$ を対応させるという関数」と言うのは長たらしいので、略して「関数 $y=x^2$」と言ってよいことになっている。

【蛇足】 高校ではこれが関数の定義だが、厳密には関数は $f$ ではなく、$(X,Y,f)$ という3つのものの組である。だから、関数 $y=x^2$ を
(1) 整数 $x$ に整数 $x^2$ を対応させる($X,Y$ はともに整数全体の集合)
(2) 実数 $x$ に実数 $x^2$ を対応させる($X,Y$ はともに実数全体の集合)
(3) 整数 $x$ に実数 $x^2$ を対応させる($X$ は整数全体の集合で、$Y$ は実数全体の集合)
のようにいろいろに解釈できる。そして、厳密にはこれら3つは異なる関数と考える。---

始集合、終集合はなるべく広くとるのが高校での慣習である。だから、$X,Y$ はともに実数全体の集合、または複素数全体の集合にとることが多い。

【例】 関数 $y=\frac{1}{x}$ が与えられたとき、
(1) $X$ は$x \neq 0$ なる実数全体の集合、$Y$ は実数全体の集合
(2) $X$ は$x \neq 0$ なる複素数全体の集合、$Y$ は複素数全体の集合
のどちらかと解釈するのが大半であろう。

始集合 $X$ は関数の定義域とも呼ばれる。これに対し、値域は終集合 $Y$ ではなく、終集合が値域を含むようにあらかじめ取っておくのである。

【定義】 始集合、終集合はともに実数全体の集合とし、定数 $a,b,c$ を実数とする。
関数 $y=ax+b$ を1次関数、関数 $y=ax^2+bx+c$ を2次関数という。


関数 $f$ により $x$ に対応する $y$ のことを $f(x)$ と表す。したがって

$y=f(x)$

2つの関数 $f,g$ の合成について述べておこう。$x$ に対し $f$ により対応させた $y=f(x)$ に対し、さらに $g$ により対応させたものは $x \mapsto f(x) \mapsto g(f(x))$ と考えて

$g(f(x))$

となることが分かる。この(途中経過を飛ばして) $x$ に $g(f(x))$ を対応させる関数を

$f$ と $g$ の合成関数と言い、$g \circ f$ と表す。

したがって

$g \circ f(x)=g(f(x))$

である。

【蛇足】 関数 $f$ が「2倍する」という操作を表すものだとしよう。欧米流だと "2 times ~"だから、$f(x)$ という記法が自然だ。でも日本語と「2倍する」は "$\div 2$~" であるから、次のような欧米式と異なる記法が考えられる。すなわち、

$y=x f$

と表す方法である。(高校の教科書には出てこないが、大学で習う群論等ではよく出てくる。)
この記法で合成関数を書き下ろすと

$(x f) g=x f g$

となるから、

$f$ と $g$ の合成関数を $f g$ と表す。

ということになって、先の記法とは左右の順序が逆になる。---

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【第02講】 グラフの平行移動

関数を表す方法として、対応表とグラフがある。

上の表が対応表だが、独立変数 $x$ の行は左から数を小さい順に並べる決まりになっている。独立変数はいわば時間のようなもので、時間は北半球では左から右へ向かって流れる。東から昇った太陽は南を経由するため、日時計の影が左から右へ動く。だから、年表も左が過去で、右へ行くほど現在に近づく。

上図が関数のグラフだが、独立変数を横軸に取る決まりだ。これも時間のイメージであろう。従属変数(関数値)は横軸から垂直に測った距離で表す。上図のごとく、横軸に垂直に線分を立てるイメージである。デカルトの時代には$y$ 軸の方は描かなかったのだが、現代では縦軸も導入する。だから、今ではグラフというのは、立てた線分の先端の点をつないだものである。

【例】 地球上で手で持っていた物体は、そっと手を離す(自由落下)と放ったときからの経過時間 $t$[秒] と、その間に落ちる距離 $s[m]$ との間には $s=4.9 t^2$ という関数関係がある。この関数のグラフを描け。---

【答】


時間を独立変数(横軸)にとる。縦軸はこれに直交するが、あえて下向きにする。定義域は $t \geq 0$ だから左半分は破線にする。両軸の目盛はそもそも時間と距離で異なる量だから、$1:1$ に取ろうと考えなくてよい。(放物線 $y=x^2$ を描けと言われたら、両軸の目盛は、$1:1$ にしなければならない。)

関数 $y=f(x)$ のグラフは、方程式 $y=f(x)$ の表すグラフでもある。つまり、関数のグラフはすべて方程式のグラフでもある。
しかし、逆は成り立たない。実際、方程式のグラフではあるが関数のグラフにはならないものがある。例えば、$G=\{(x,y) | y^2=x \}$ というグラフだ。$x$ から $y$ への一意対応でない($2:1$ の対応になる)からである。

教科書等の問題文に「関数 $y=f(x)$ のグラフ」と「曲線 $y=f(x)$」のように、よく似た表現が出てくるが、両者は本質的に異なる。前者では「接線の傾きを求めよ」という問いはナンセンスである。関数のグラフに傾きなる概念はない。(平均変化率ならありますけど。) 両者の区別がつかない教師がいるものである。

【蛇足】 「$y^2=x $ は陰関数であって、2つの関数 $y=\sqrt{x}$ と $y=-\sqrt{x}$ を同時に表していると考えれば、$y^2=x $ は関数である」とドヤ顔で言う教師がいるが、「陰関数は関数である」と思い込んでいるのであろう。
微分可能性とか連続性を要請しない限り、2つの関数に分離することはできない。仮にそれを前提にしても、陰関数は局所的に関数になるのであって、全局的に関数になる訳ではない。

さて、関数 $y=f(x)$ のグラフ $G$ を座標平面上に描いたとして、それを $x$ 軸方向に $p$, $y$ 軸方向に $q$ だけ平行移動してみよう。右へ $p$, 上へ $q$ 動くのだから、足せばよい。エッ、どこに?
$G$ 上の点 $(x,y)$ にである。だから、この点は $(x+p,y+q)$ なる点に移動される。新たな変数 $X,Y$ を導入し、

$\left\{ \begin{array}{l} X=x+p \\Y=y+q \end{array} \right.$

とおく。平行移動後のグラフ $G'$ を表す方程式は、$y=f(x)$ に

$\left\{ \begin{array}{l} x=X-p \\y=Y-q \end{array} \right.$

を代入して、$Y-q=f(X-p)$ となるが、「従属変数=…」の形にしないと関数ではないから、$G'$ に対応する関数は

$Y=f(X-p)+q$

である。独立変数と従属変数を表す文字は $x,y$ でなくて、何でもよい(でも、カナや漢字はなるべく避けましょう)からこれで正解だが、関数に従って小文字に変更しておく。答は

$y=f(x-p)+q$

【公式】 放物線 $y=a x^2$(基本形) を $x$ 軸方向に $p$, $y$ 軸方向に $q$ だけ平行移動した図形の方程式は

$y=a (x-p)^2+q$

である。---

放物線$G:y=a (x-p)^2+q$ に対し、$x$ 軸に垂直な直線 $x=p$ を$G$ の、点 $(p,q)$ を $G$ の頂点と呼び、$y=a (x-p)^2+q$ のような式の形を標準形と言う。

【問題】 関数 $y=a x^2+b x+c$ のグラフは、放物線 $y=ax^2$ をどのように平行移動したものか。---

【解】 $x$ 軸方向に $p$, $y$ 軸方向に $q$ だけ平行移動したとすれば

$y=a(x-p)^2+q=a x^2-2apx+ap^2+q$

となるが、所与の関数式と係数比較(各次数の係数を等しいとおく)をして

$\left\{ \begin{array}{l} a=a \\ b=-2ap\\ c=ap^2+q \end{array} \right.$

だから、

$\left\{ \begin{array}{l} a=a \\ p=\frac{-b}{2a} \\ q=c-ap^2=-\frac{b^2-4ac}{4a} \end{array} \right.$

すなわち、$x$ 軸方向に $\frac{-b}{2a}$, $y$ 軸方向に $-\frac{b^2-4ac}{4a} $ だけ平行移動しなければならない。そして、実際このように移動すれば

$y=a(x-\frac{-b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a} $
$=ax^2+bx+\frac{b^2}{4a}-\frac{b^2-4ac}{4a}$
$=ax^2+bx+c$

となるので、平行移動してグラフを重ね合わせることができた。

生徒によっては「$y=a(x-\frac{-b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a} $」をこのまま暗記してまうのだが、最後の項が覚えづらいから、「$x$ 軸方向に $\frac{-b}{2a}$」だけ暗記しておけばよい。「$x=\frac{-b}{2a}$」という公式は2次方程式の解の公式においてルートの部分がなくなったものと覚えておけばよい。
この(放物線の頂点の$x$座標の)公式の使い方を以下に示す。

【問題】 関数 $y=2x^2+3x+4$ のグラフは、原点を頂点とする放物線を平行移動したものである。どのように移動しものか。---

【解】 $x$ 方向は $x=\frac{-b}{2a}=\frac{-3}{4}$ であるから、これに対応する $y$ の値は

上図のようにホーナー法(次講参照)により、$y=\frac{23}{8}$ だから、$x$ 軸方向に $\frac{-3}{4}$, $y$ 軸方向に $\frac{23}{8}$ だけ平行移動すればよいと分かる。実際に、

$y=2(x+\frac{3}{4})^2+\frac{23}{8}$

を計算してみれば所与の式に戻る。また、グラフは放物線だが、その軸と頂点はそれぞれ $x=\frac{-3}{4}$, $(\frac{-3}{4},\frac{23}{8})$ である。


【問題】 2つの放物線 $y=x^2,y=ax^2$ は(図形として)相似であることを証明せよ。---

【解】 両者とも頂点は原点だから、原点が相似の中心となるだろう。原点を通る直線、例えば $y=x$ と放物線との交点を求めよう。前者の放物線との交点は $(1,1)$ だが、後者は $x$ 座標と $y$ 座標が等しいと置いて

$ax^2=x, x(ax-1)=0$ より $x=\frac{1}{a}$ となって、交点は $(\frac{1}{a},\frac{1}{a})$ である。
よって、$y=ax^2$ を原点中心に $a$ 倍に相似拡大すれば、$y=x^2$ になるであろうと予想が立った。あとは証明だ。
相似拡大すると旧点 $(x,y)$ は新点 $(ax,ay)$ に移動される。新点を $(X,Y)$ とすれば

$\left\{ \begin{array}{l} X=ax \\Y=ay \end{array} \right.$

である。これより

$\left\{ \begin{array}{l} x=\frac{X}{a} \\y=\frac{Y}{a} \end{array} \right.$

を旧放物線 $y=ax^2$ に代入すれば

$\frac{Y}{a}=a \frac{X^2}{a^2}, Y=X^2$

大文字、小文字は区別しなくてよいのだったから、証明が終わった。■
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【第03講】 ホーナー法

前講で説明を保留しておいたホーナー法を説明する。
ホーナー法は、2次関数のような多項式関数の値を計算するときに用いる。組立除法とも言うが割り算以外に関数値を求めるという効用もあるから、一般に通用するようにホーナー法と命名する。
$f(x)=ax^2+bx+c$ に $x=\alpha$ を代入した値($x=\alpha$ に対応する従属変数の値)を求めるときに使用する。

代入する値を1行目の左の 」 のところに独立変数の値 $\alpha$ を書き、続いて各項の係数8$a,b,c$を降べき順に並べる。

① 1行目の1番左の係数 $a$ を3行目に下ろす
② 今下ろした3行目の値 $a$ に左上の 」 の値 $\alpha$ を掛ける。その積 $a \alpha$ を右上の2行目に書く。
③ 1行目 $b$ と2行目 $a \alpha$ を足す。その和 $a\alpha+b$ を3行目に書く。
あとは、②に戻って、繰り返し。

② 3行目の値 $a\alpha+b$ に左上の 」 の値 $\alpha$ を掛ける。その積 $a \alpha^2+b \alpha$ を右上の2行目に書く。
③ 1行目 $c$ と2行目 $a \alpha^2+b \alpha$ を足す。その和 $a \alpha^2+b \alpha+c$ を3行目に書く。

右下の L のところに出てきた $a \alpha^2+b \alpha+c$ が求めるべき関数値である。

このアルゴリズムを簡単に述べると
下ろす
掛ける
足す
②に戻って繰り返し。

この方法で関数値が正しく求まることは上図の図式から分かるだろう。
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【第04講】 平方完成

前々講で述べたように、2次式の一般形は標準形に変形することができて、

$ax^2+bx+c=a(x+\frac{b}{2a})^2-\frac{b^2-4ac}{4a} $

であった。ただあのときは係数比較法を使った。未習だから使ってはいけないと言われたらどうするか。高校1年生で既習の内容と言えば、式の展開、因数分解くらいか。
次の因数分解の公式を使おう。すなわち

$x^2+B x+ \frac{B^2}{4}=(x+\frac{B}{2})^2$

これを変形し

$x^2+B x=(x+\frac{B}{2})^2- \frac{B^2}{4}$

$x$ の係数を半分にし、この「半分」の2乗を引けばよいと、覚えておこう。

【問題】 $y=2x^2+3x+4$ を平方完成せよ。---

【解】

$y=2(x^2+\frac{3}{2}x)+4$
$=2 \{ (x+\frac{3}{4})^2-\frac{9}{16} \}+4$
$=2(x+\frac{3}{4})^2-\frac{9}{8} +4$
$=2(x+\frac{3}{4})^2+\frac{23}{8} $ …(答)
【問題】 $y=ax^3+bx^2+cx+d$ を $y=a(x-p)^3+r(x-p)+q$ の形に変形せよ。---

【解】 使えそうな公式は $(x+\alpha)^3=x^3+3\alpha x^2+3\alpha^2 x+\alpha^3$ より

$x^3+3\alpha x^2=(x+\alpha)^3-3\alpha^2 x-\alpha^3$,
$x^3+Bx^2=(x+\frac{B}{3})^3-\frac{B^2}{3}x-\frac{B^3}{27}$

これを準公式として使う。

$y=a(x^3+\frac{b}{a}x^2)+cx+d$
$=a \{ (x+\frac{b}{3a})^3 -\frac{b^2}{3a^2}x-\frac{b^3}{27a^3} \}+cx+d$
$=a(x+\frac{b}{3a})^3 +(c-\frac{b^2}{3a})x+d-\frac{b^3}{27a^2} $ …(答)

これにより、3次関数のグラフは次のいずれかのグラフに図形として合同である。

(1) $y=ax^3$ (停留点1個)
(2) $y=ax^3 +Cx (c>0)$ (臨界点なし)
(3) $y=ax^3 -Cx (c>0)$ (極大点、極小点各1個)
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【第05講】 グラフの描き方

まず中学校の復習から。1次関数のグラフの描き方である。1次関数は $y=ax+b$ と表されるから、

傾きと $y$ 切片(中学では「切片」と言った)

の2つを図に表現すればよい。またグラフは直線になり、直線は2点により決定されるから、任意の2点、または

$x$ 切片と $y$ 切片(または両座標軸との2交点)

を図に表現してもよい。

【例】 1次関数 $y=\frac{1}{2}x+1$ のグラフを描け。---

では2次関数のグラフはどのように描けばよいか。
放物線の特徴の一つは頂点である。前述のように、$y=ax^2+bx+c$ は標準形 $y-a(x-p)^2+q$ に変形すれば、

グラフは基本形の放物線 $y-ax^2$ を $x$ 軸方向に $p$, $y$ 軸方向に $q$ だけ平行移動したものであり、
頂点は $(p,q)$ で軸は $x=p$ であり、
$a>0(a<0)$ ならば下(上)に凸の放物線

であることが分かる訳だから、これで頂点をどこに図示すればよいかが分かる。ただ頂点だけの図示では $p,q$ しか確定しないから、もう1点(例えば $y$ 切片)を描けばよい。最低2点を描けばOKなのだが、冗長的に3点を記入してもよい。教科書には2点図示と3点図示の2通りの図が掲載されているが、どちらもOKなのである。(どう使い分けするかと言うと、結構そのときの気分である。)
実は2次関数の表示式にはもう一つ、因数分解形、

$y=a(x-\alpha)(x-\beta)$

がある。このときに限り、$x$ 軸との交点2つと、他の1点を図示する。

【問題】 次の2次関数のグラフを描け。---
(1) $y=2x^2-2$ (2) y=-(x-2)^2+5 (3) y=(x-1)(3-x)$

【答】 それぞれ情報最小型と情報冗長型の2つを示そう。
(1)

頂点と $y$ 切片がかぶっているので、$x$ 切片を記入してみた。
(2)

冗長型(図・右)の 4 は頂点の $x$ 座標を2倍すれば得られる。
(3)

$x$ 切片が $1,3$ であることは暗算。展開すれば $x^2$ の係数は負だから上に凸と分かる。図・右では $1,3$ の真ん中で頂点の $x$ 座標を $\frac{1+3}{2}=2$ と求めている。
このタイプのグラフは「2次不等式」のところで多用する。

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