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田の字で平方完成(授業再現)

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1 y=xとモノリス




 2次関数 y=xのグラフを描いてみよう。x = 0,1,2,3 を代入してみると、y の値はそれぞれ

0,1,4,9

となるね。



 『2001年宇宙の旅』という映画に、エイリアンが作ったモノリスという直方体の物体(下図参照)が出てくる。
         
これの縦:横:高さの比が

:2:3=1:4:9

なんだ。地球人は2次関数が分かるか、エイリアンに験されているのかもしれない。


 次に、負の数を代入してみよう。例えば、x =-2 を代入するとどうなるかな。

y=(-2)=4

となるよ。ここで括弧をつけずに、-2=-4 とやってはダメだ。元の式には括弧がなくても、代入するときには括弧が必要になる。数学の記号は合理的にはできていないね。ともかくこれで y=xのグラフは、頂点が(0,0)の放物線と分かったね。


2 上へ移動




 次に、関数

y=x+2

のグラフがどうなるか、考えてみよう。まず、y 切片はいくらかな。2だね。定数項が 2 だからと言ってもいいし、x=0 を代入すると y=2 になるからと言ってもいい。表を作ってみると、頂点が (0,2)の放物線だと分かる。



 ちょうどこれは、さっき描いた放物線を真上に 2 だけ移動したものになっている。

3 右へ移動




 今度は、放物線 y=xを右へ 3 だけ移動したグラフとその表を作ってみると、下のようになる。



 x=3 を中心にして、モノリスの1,4,9が並んでいるね。では、この関数の式はどうなるかな。x=3を代入して、y=0になればいいんだから、

y=x-9

かな? いや、ダメだ。これでは y 切片が 9 にならない。ナニ?

y=x-3

にすればいいって? なるほど、x=3,4 を代入するとそれぞれ y=0,1 で合っている。でも、x=5 だと y=2 だぞ。2乗すればいいか。では、

y=(x-3)

か。どうやら、表と完全に一致するようだな。これが正解だ。


 以上をまとめると、放物線 y=x

上に q 移動 …… y=x+q

右に p 移動 …… y=(x-p)

という具合に式が変わる。

4 y=axの移動と標準形




 放物線 y=axを上下、左右に移動するとグラフの式はどう変わるかな。まず

y=-2x

の表を作れば



となる。x = 1,2,3 に対する y の値の比は

-2:-8:-18

であって、これを直すと 1:4:9 となり、やっぱりモノリスだ。


 これのグラフを右へ 3,上へ 4 だけ移動すると、式はどうなるだろうか。頂点が (0,0) から (3,4) へ移動するから、x=3 を代入して y=4 になる式でないといけない。ということは、

y=-2(x-3)+4

かな? 点検してみよう。

y(4)= -2+4=   2,

y(5)= -8+4= -4,

y(6)=-18+4=-14

より、頂点の y 座標=4 と比較すると、それぞれ -2,-8,-18 だけ下に落ちているから、これでOKと分かる。


 以上から、放物線 y=axを右へ p,上へ q だけ移動すると、式は

y=a(x-p)+q

になると分かるね。この式を2次関数の標準形と呼んでおこう。

5 田の字で展開




 放物線 y=xを左に 4,下へ 5 移動したグラフの式を求めてごらん。「右、上」でなく「左、下」と両方ともさかさまだから、符号も両方ともさかさにして

y=(x+4)-5

だ。たしかに、y(-4)=-5 だから、頂点は (-4,-5) だね。


 では、今求めた式を展開してごらん。ここで田の字計算を使おう。田の字を書いて、縦・横の長さをともに x+4 にする。すると、4x と 4x という同じ項が斜めに現れる。それに合わせて、-5 というはみ出し田んぼは定数 16 の斜め右上に書く。斜めに同類項が現れるようにするのがコツだ。



 上の 5枚の田んぼ(大きい正方形 1枚とはみ出し田んぼ 1枚)の面積の合計を計算すると、

y=x+8x+11

となる。これが標準形を展開した式で、一般形と呼んでおく。

6 田の字で平方完成




 では、次は一般形を標準形に直す問題をやってみよう。例えば、

y=x+3x+4

を変形してみよう。



  1. 漢字の田の字を書く。
  2. 田の字の左上に xを入れる。
  3. 3x をハンブンコにした、3x/2 を斜めに2箇所に入れる。
  4. 正方形の縦・横の長さを記入する(両者とも x+3/2 になる)。
  5. 正方形田んぼの右下は自動的に

    3/2 × 3/2 = 9/4

    になるので、これを記入する。

  6. はみ出し田んぼの面積を h とすれば、

      h + 9/4 = 4

    より、9/4 を移項して、h=7/4 と求まる。これをはみ出し田んぼに記入する。

  7. できた田んぼの図を改めて眺めてみると、大きい正方形1枚とはみ出し田んぼ1枚だからその面積の総計は

      (x+3/2)+7/4

 これで、標準形に変形できた。括弧の2乗すなわち平方ができたので、この計算法を平方完成と言うんだ。

7 a≠1の平方完成




 今度は、a≠1の2次関数の一般形を平方完成してみよう。例えば、

y=-2x-4x-5

だ。まず2次の係数の-2が邪魔だね。消えてくれればいいのに。両辺を-2で割ってしまおう。

y/(-2) = x+2x+5/2

となる。



 これの右辺をさっきのように田の字で平方完成すれば上図の通りで、

y/(-2)=(x+1)+3/2

となる。最後に両辺を-2倍して、元に戻して、

y=-2(x+1)-3

である。


 上記の方法を使えば、任意の2次関数

y=ax+bx+c

を平方完成することができる。

8 文字係数の平方完成




 前節最後に述べたことを実際にやってみよう。両辺を a で割って

y/a= x+ bx/a + c/a

=(x + b/(2a) )- (b-4ac)/(4a)


 a倍して元に戻せば標準形に直せる。これより頂点の x 座標が

x=-b/(2a)

であることが分かる。これを公式として覚えておこう。頂点の y 座標も求まるのだが、そちらは覚えなくてよい。覚えるのが大変だし、覚えておかなくてもy座標は x 座標を代入することにより分かるからだ。


 ところで、いま導き出した「頂点の x 座標の公式」は、2次方程式の解の公式

x = (-b±√(b-4ac)) / (2a)

に似ているね。ルートの部分がなくなったと覚えておけばいい。


 実は、解の公式も前述の田の字計算により求めることができる。本質的には同じものなんだ。

9 頂点の公式を使う




 では、今覚えた「頂点の x 座標の公式」を使って、問題を解いてみる。

y=-1/2x+ x + 3/2

のグラフを描け、という問題だ。


 頂点の x,y 座標はそれぞれ

x = -b/2a =-1/-1=1,
y = y(1) =-1/2 + 1 + 3/2=2

である。a =-1/2 は負であるから、上に凸の放物線を平行移動したものになる。



 増減表を書くと、上記のようになる。斜め矢印は増加・減少を表す。この矢印を指でなぞるだけでも、グラフのおおよその形が分かるというものだ。y 切片は

y(0) = 3/2

であることを確かめて、グラフを描けば下図のようになる。



 この関数の最大値は

y(1)=2

である。一方、最小値は求めようとしても

-1万,-1億,-1兆,……

と際限なくいくらでも小さい値を取りうるから、「これが最小値だ」という値がない。だから、「最小値はなし」となる。-∞ というのは値ではないから、最小値にするわけにはいかないんだよ。

10 定義域と最大・最小




 x の変域に制限がつく場合がある。実際問題として関数を扱うときには、変数 x の取りうる値の範囲には限界があることが多いだろうからね。xの変域のことを関数の定義域という。関数

y=2x-8x+9 (1≦x≦4)

の最大値・最小値を求めよう。


 頂点の座標は

x=-b/2a = 8/4 = 2,

y= y(2) =8-16+9 = 1

だから、増減表は下のようになる。



 最大値は左右の端点における値 3 と 9 を比較すれば分かる。最小値は頂点の y 座標を見ればよい。従って

最大値 y(4) = 9,
最小値 y(2) = 1

となるね。最大値・最小値を求めるには、端点と頂点を調べればよいわけだ。


 ナニ? 3 という値は計算する必要がなかったって? そうだね、頂点の x 座標が 2 だから x=1より x=4 の方が遠く離れているから、x=4 で最大になるって分かるね。その意味では、y(1) の値は計算する必要はなかったね。

11 意地悪な定義域




 今と同じ関数で、定義域を

-1≦x≦1

に変えたら、答はどう変わるかな?



 2つの矢印は両方とも減少になるよ。頂点の左側では減少状態だからね。右へ行くほど値は小さくなるから、

最大値 y(-1) = 19,
最小値 y(1) = 3

となる。頂点は範囲外にあることに注意。

12 因数分解型




 2次関数の式が因数分解されている問題をやってみよう。関数

y=(x-1)(x-5)

を調べてみる。
 y切片は x=0 を代入すれば分かった。では、x 切片は? y=0 を代入すればいいね。

(x-1)(x-5)=0

となるから、

x= 1, 5

が x 切片だ。つまり、グラフは2点

(1,0), (5,0)

を通ることになる。



 放物線はある縦線に関して左右対称となるが、この対称軸のことを放物線の軸という。今の場合、軸はどこにあるかな? 1 と 5 の真ん中はどこだ? 5-1 を 2 で割って、それを 1 に足して……なんて、面倒なことをしなくても

(1+5)/2 = 3

と、平均をとれば真ん中が分かる。


 ということで、軸の方程式は x=3 なので、頂点の x 座標は 3 である。


13 2次不等式




 不等式

(x-1)(x-5)<0

を満たす x の値の取りうる範囲を求めてみよう。このことを不等式を解くと言うんだが、グラフは前節で描いた。

y<0

となるような x のいる場所を求めればいいんだ。y<0 は y 座標が負ということだから、放物線上で該当するところを太線にしてごらん。



 太線上には点 (x,y) がたくさん乗っかっているが、どの点にも共通して言えることは、x 座標が

1<x<5

となっていることだ。これが不等式の解になる。


 では、不等号の向きを反対にして、

(x-1)(x-5)>0

だったら、どうかな。y 座標>0 となる点の x 座標について調べればいいわけだ。今度は、解の範囲が2つの部分に分かれて、

x<1, 5<x

となる。2次方程式

(x-1)(x-5)=0

なら、

x=1, 5

の2つが解で、y<0 ならこの2解の内側で、y>0 なら外側だ。<はひらがなの「く」の字に似ているから、「(ふ)くは内」と覚えておけばいい。まるで豆まきだね。

14 a<0の2次不等式




-x+x+12<0

のように、2次の係数が負のときは両辺に-1を掛けて

-x-12>0

とする。不等号が逆向きになるね。これを因数分解して、

(x+3)(x-4)>0

「鬼は外」じゃないが、今度は外側が解で、

x<-3, 4<x

となる。



 図は、放物線をデフォルメして描いたものだ。

15 落下運動への応用




 理科の授業で習ったかもしれないが、物体を初速度 25[m/秒]で真上に投げ上げると、x 秒後の物体の高さをy[m]とするとき

y=25x-5x

となる。無重力なら

y=25x

となるところだが、5xだけ地球の重力により引きずり降ろされるわけだ。



 さて、この関数のグラフを考えよう。y 切片は y(0)=0 だ。投げ上げたときだから当然高さはゼロメートルってわけだ。頂点のx座標は

x = -b/2a = -25/(-10) = 2.5[秒]

である。2.5 秒後に最高点に達する。頂点の y 座標は、計算が面倒なので後回しにする。


 放物線の左右対称性から、5 秒後に地面に舞い戻ってくることが分かる。実際、

y(5) = 25×5-5×5 = 0 [m]

である。無重力状態のときに較べて、

5×5= 125 [m]

だけ地球の重力が引っ張ってるってわけ。


 それでは、最高点に達する 2.5 秒後においては、重力は何メートル引っ張っているかな? 2乗に比例する関数

5x

に x =T,2T,3T を代入すると値は

1:4:9

になる。モノリスを引合いに出して説明したのと同じだ。だから、5秒後に 125メートル引っ張られているのなら、半分の時間の 2.5 秒後はその4分の1の

31.25[m]

だけ、等速運動部分 25x より下へ落ちているわけだ。



 等速運動部分は、時間が半分だと高さも2分の1だから、

1/2 - 1/4 =1/4

より、最高点の高さも 125メートルの4分の1で、31.25 メートルになる。実際、

y(2.5) = 25×2.5-5×2.5

を計算すると、そうなるよ。


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