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【入試問題研究】 首都大学東京 2019年度 後期日程 理・都市環境・システムデザイン
いわゆる都立大学のことです。駅名は今でも「都立大学」です。
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【第1問】 $p$ を素数とする。以下の問いに答えなさい。
(1) $r$ を $p$ より小さい自然数とする。このとき、$p$ は $r$ の階乗 $r!$ の素因数ではないことを示しなさい。
(2) $r$ を $p$ より小さい自然数とする。このとき、
   $_{p}C_{r}\cdot r!=p(p-1)\cdots (p-r+1)$
であることを利用して、$_{p}C_{r}$ が $p$ の倍数であることを示しなさい。
(3) $n$ が自然数であるとき、$n^p-n$ が $p$ の倍数であることを、数学的帰納法を用いて証明しなさい。


【解】(1) $r!=r(r-1)\cdots 2 \cdot 1$ であるから $r!$ の約数は $r$ 以下である。$p$ は $r$ より大きいから、この約数の中に $p$ は含まれない。■

(2) $p(p-1)\cdots (p-r+1)$ というのは $r$ 個の自然数の積である。いま $0<r<p$ である($r=0$個ということはない)から、与式右辺の積は先頭の $p$ ($r$ の値にかかわらず $p$ は必ず含まれるので)で割り切れる。
よって、左辺も素数 $p$ で割り切れるわけだが、(1) で示したように $r!$ は $p$ を因数として含まないので、$_{p}C_{r}$ の方が $p$ で割り切れざるをえない。■

(3) $n=1$ のときは $n^p-n=1-1=0$ で $p$ の 0倍である。$n^p-n$ が $p$ の倍数であると仮定すると
   $(n+1)^p-(n+1)=\sum_{r=0}^{p} {_{p}C_{r}} n^r -(n+1)$
   $=n^p+\sum_{r=1}^{p-1} {_{p}C_{r}} n^r+ 1-(n+1)$
   $=(n^p-n)+\sum_{r=1}^{p-1} {_{p}C_{r}} n^r$
この最後の式で、$( )$ 内は仮定により $p$ の倍数、後半の $\sum$ は含まれるすべての項、$_{p}C_{r}n^r$ の二項係数の方が $p$ の倍数である(前問で示した)ので、その和である $(n+1)^p-(n+1)$ も $p$ の倍数である。■
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【第2問】 双曲線 $x^2-2y^2=1$ を $C$ とする。以下の問いに答えなさい。
(1) 双曲線 $C$ 上の点 $(3,2)$ における接線 $l$ の方程式を求めなさい。
(2) $t=x+\sqrt{x^2-1}$ とおく。$\frac{dx}{dt}$ を $t$ の式で表しなさい。
(3) (1) で求めた接線 $l$ と $x$ 軸および双曲線 $C$ で囲まれる部分の図形の面積を求めなさい。

【解】(1) 楕円・双曲線上の点 $(x_{1},y_{1})$ における接線の方程式は
   $\frac{x_{1}x}{a^2}\pm \frac{y_{1}y}{b^2}=1$
だから、$l:3x-2\cdot 2y=1$ になる。すなわち
   $l:3x-4y=1$……(答)

(2) 与式を $x$ について解こう。$(t-x)^2=x^2-1$ より
   $-2tx+t^2=-1 \Rightarrow x=\frac{t^2+1}{2t}$
これを微分して
   $\frac{dx}{dt}=\frac{1}{2}\cdot \frac{2t\cdot t-(t^2+1)}{t^2}=\frac{t^2-1}{2t^2}$……(答)

   

(3) 図の直角三角形の面積から、赤色の面積を引けばよい。双曲線が $y=\sqrt{\frac{x^2-1}{2}}$ だから
   $S=\frac{1}{2}\cdot \frac{8}{3}\cdot 2-\int_{1}^{3}\sqrt{\frac{x^2-1}{2}}dx=\frac{8}{3}-\frac{1}{\sqrt{2}}I$
ただし $I=\int_{1}^{3}\sqrt{x^2-1}dx$ であり、この積分を求めるのが難しい。ところが前問の答がヒントになる。
   $\int \sqrt{x^2-1}dx = \int (x+\sqrt{x^2-1})dx-\int x dx$
   $=\int t \frac{dx}{dt}dt-\frac{x^2}{2}=\int t\cdot \frac{t^2-1}{2t^2}dt -\frac{x^2}{2}=\frac{1}{2}\int(t-\frac{1}{t})dt-\frac{x^2}{2}$
   $=\frac{1}{2}(\frac{t^2}{2}-\log|t|)-\frac{x^2}{2}+C$
   $=\frac{1}{4}(x+\sqrt{x^2-1})^2-\frac{1}{2}\log|x+\sqrt{x^2-1}|-\frac{x^2}{2}+C$
のように原始関数が求まる。よって
   $I=\int_{1}^{3}\sqrt{x^2-1}dx=\frac{1}{4}\{(3+2\sqrt{2})^2-1\}-\frac{1}{2} \log(3+2\sqrt{2})-\frac{1}{2}(9-1)$
   $=(4+3\sqrt{2})-\frac{1}{2}\log (\sqrt{2}+1)^2-4=3\sqrt{2}-\log (\sqrt{2}+1)$
したがって、求めるべき面積は
   $S=\frac{8}{3}-\frac{1}{\sqrt{2}}(3\sqrt{2}-\log (\sqrt{2}+1))$
   $=-\frac{1}{3}+\frac{1}{\sqrt{2}}\log(\sqrt{2}+1)$……(答)
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【第3問】 空間の点 $A(0,-1,0),B(0,0,1)$ を考える。実数 $t$ は $0<t<\frac{1}{4}$ の範囲を動くものとし、動点 $P$ の座標を $(\cos 2\pi t,\sin 2\pi t,0)$ とする。線分 $PB$ を $\sin 2\pi t:(1-\sin 2\pi t)$ に内分する点を $R$ とする。以下の問いに答えなさい。
(1) $R$ の座標を $t$ の式で表しなさい。
(2) $s=\sin 2\pi t$ とおく。$O$ を原点とするとき三角形 $OAR$ の面積を (実数)×$\sqrt{s \mbox{の4次式})}$ の形に表しなさい。4次の項の係数は $1$ または $-1$ とすること。
(3) $s=\frac{1}{2}$ のとき三角形 $OAR$ の面積が最小になることを示しなさい。また、そのときの $t$ の値と三角形 $OAR$ の面積を答えなさい。

【解】(1) 内分の公式から
   $R=(1-\sin 2\pi t)P+\sin 2\pi t B=(1-\sin 2\pi t)(\cos 2\pi t,\sin 2\pi t,0)+\sin 2\pi t(0,0,1)$
   $=((1-\sin 2\pi t)\cos 2\pi t, (1-\sin 2\pi t)\sin 2\pi t,\sin 2\pi t)$……(答)

(2) 3辺長さはそれぞれ
   $OA=\sqrt{ 0^2+(-1)^2+0^2}=1$,
   $OR=\sqrt{ (1-\sin 2\pi t)^2\cos^2 2\pi t+(1-\sin 2\pi t)^2\sin^2 2\pi t+\sin^2 2\pi t}$
   $=\sqrt{(1-\sin 2\pi t)^2+\sin^2 2\pi t}=\sqrt{2s^2-2s+1}$,
   $AR=\sqrt{ (1-\sin 2\pi t)^2\cos^2 2\pi t+\{ (1-\sin 2\pi t)\sin 2\pi t +1\}^2+\sin^2 2\pi t}$
   $=\sqrt{(1-\sin 2\pi t)^2+2(1-\sin 2\pi t)\sin 2\pi t +1+\sin^2 2\pi t}=\sqrt{2}$
である。次に角を一つ求める。
   $\cos \angle OAR=\frac{OA^2+AR^2-OQ^2}{2OA\cdot AR}=\frac{1+2-(2s^2-2s+1)}{2\cdot 1 \cdot \sqrt{2}}=\frac{-s^2+s+1}{\sqrt{2}}$
よって
   $\sin \angle OAR=\sqrt{1-\cos^2 \angle OAR}=\sqrt{1- \frac{(-s^2+s+1)^2}{2}}=\sqrt{\frac{-s^4+2s^3+s^2-2s+1}{2} }$
したがって、三角形の面積は
   $S=\frac{1}{2}OA\cdot AR \sin\angle OAR=\sqrt{\frac{-s^4+2s^3+s^2-2s+1}{2} }=\frac{1}{2}\times \sqrt{-s^4+2s^3+s^2-2s+1}$……(答)

(3) $f(s)=-s^4+2s^3+s^2-2s+1$ とおいてこれの最小を求めればよい。ただし、変域は $0<t<\frac{1}{4}$ より $0<s<1<1$ である。
   $f'(s)=-4s^3+6s^2+2s-2=-2(2s^3-3s^2-s+1)=-2(s-\frac{1}{2})(2s^2-2s-2)=-2(2s-1)(s^2-s-1)$
臨界点は $f'(s)=0$ より
   $s=\frac{1}{2},\frac{1\pm\sqrt{5}}{2}$
ここで
   $\frac{1-\sqrt{5}}{2}<0<\frac{1}{2}<1<\frac{1+\sqrt{5}}{2}$
に注意すれば、定義域内におさまる臨界点は $s=\frac{1}{2}$ のみで、この前後で $f'(s)$ の符号は負から正に変わるから、$f(s)$ はここで最小になる。■

$s=\frac{1}{2}$ のとき、
   $s=\sin 2\pi t=\frac{1}{2},0<t<\frac{1}{4} \Rightarrow 2\pi t=\frac{\pi}{6} \Rightarrow t=\frac{1}{12}$,……(答)
   $S=\frac{1}{2}\times \sqrt{f(\frac{1}{2})}=\frac{1}{2}\times \sqrt{\frac{7}{16}}=\frac{\sqrt{7}}{8}$……(答)
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【第4問】 直線上に 3点 $A,B,C$ がこの順にあるとする。点 $P$ は点 $A,B,C$ のどこかにいるとする。以下の規則に従って点 $P$ を動かす。

 (i) 点 $P$ が点 $A$ にいるとき、1個のさいころを 1回投げ、さいころの目が偶数ならそのまま点 $A$ に残り、奇数なら点 $B$ に移動する。
 (ii) 点 $P$ が点 $B$ にいるとき、1個のさいころを1回投げ、さいころの目が 1 または 2 なら点 $A$ に移動し、3 または 4 ならそのまま点 $B$ に残り、5 または 6 なら点 $C$ に移動する。
 (iii) 点 $P$ が点 $C$ にいるとき、1個のさいころを1回投げ、さいころの目が偶数ならそのまま点 $C$ に残り、奇数なら点 $B$ に移動する。

点 $P$ は最初は点 $A$ にいるものとして、1個のさいころを $n$ 回投げたあとに、点 $P$ が点 $A,B,C$ にいる確率をそれぞれ $p_{n},q_{n},r_{n}$ とする。以下の問いに答えなさい。
(1) $p_{2},q_{2},r_{2}$ を求めなさい。
(2) $s_{n}=3p_{n}-4q_{n}+3r_{n},t_{n}=p_{n}-r_{n}$ とおく。$s_{n},t_{n}$ を求めなさい。
(3) $p_{n},q_{n},r_{n}$ を求めなさい。


【解】(1) 樹形図は下図のとおり。
   
さいころを 1回投げたあとの確率は
   $p_{1}=\frac{1}{2},q_{1}=\frac{1}{2},r_{1}=0$
さいころを 2回投げたあとの確率は
   $p_{2}=\frac{1}{2}\times \frac{1}{2}+ \frac{1}{2}\times \frac{1}{3}=\frac{5}{12}$,
   $q_{2}=\frac{1}{2}\times \frac{1}{2}+ \frac{1}{2}\times \frac{1}{3}=\frac{5}{12}$,
   $r_{2}=\frac{1}{2}\times \frac{1}{3}=\frac{1}{6}$……(答)

(2) 漸化式を作る。(下図参照。)
   
   $p_{n+1}=\frac{1}{2}p_{n}+ \frac{1}{3}q_{n}$,
   $q_{n+1}=\frac{1}{2}p_{n}+ \frac{1}{3}q_{n}+ \frac{1}{2}r_{n}$,
   $r_{n+1}=\frac{1}{3}q_{n}+ \frac{1}{2}r_{n}$
問題に示された数列の一般項を求めるために、それの漸化式を出そう。
   $s_{n+1}=3p_{n+1}-4q_{n+1}+3r_{n+1}=3(\frac{1}{2}p_{n}+ \frac{1}{3}q_{n})-4(\frac{1}{2}p_{n}+ \frac{1}{3}q_{n}+ \frac{1}{2}r_{n})+3(\frac{1}{3}q_{n}+ \frac{1}{2}r_{n})$
   $=-\frac{1}{6}(3p_{n}-4q_{n}+3r_{n})=-\frac{1}{6}s_{n}$
よって、初項が $3p_{1}-4q_{1}+3r_{1}=-\frac{1}{2}$ で公比が $-\frac{1}{6}$ の等比数列である。したがって
   $s_{n}=-\frac{1}{2}(-\frac{1}{6})^{n-1}$……(答)

同様に
   $t_{n+1}=p_{n+1}-3r_{n+1}=(\frac{1}{2}p_{n}+ \frac{1}{3}q_{n})-(\frac{1}{3}q_{n}+ \frac{1}{2}r_{n})$
   $=\frac{1}{2}(p_{n}-r_{n})=\frac{1}{2}t_{n}$
よって、初項が $p_{1}-r_{1}=\frac{1}{2}$ で公比が $\frac{1}{2}$ の等比数列である。したがって
   $t_{n}=(\frac{1}{2})^{n}$……(答)

(3) 本来なら $p_{n},q_{n},r_{n}$ を求めるには固有値、固有ベクトルの知識が必要で、大学レベルだ。でもヒントがある。代わりに、次の連立方程式を解く。すなわち
   $\left\{ \begin{array}{l} p_{n}+q_{n}+r_{n}=1 \\ 3p_{n}-4q_{n}+3r_{n}=s_{n}\\ p_{n}-r_{n}=t_{n} \end{array}\right.$
これを解けば、解は
   $\left\{ \begin{array}{l} p_{n}=\frac{2}{7}+\frac{1}{14}s_{n}+\frac{1}{2}t_{n}\\ q_{n}=\frac{3}{7}-\frac{1}{7}s_{n}\\ r_{n}=\frac{2}{7}+\frac{1}{14}s_{n}-\frac{1}{2}t_{n} \end{array}\right.$
となる。したがって
   $p_{n}=\frac{2}{7}-\frac{1}{28}(-\frac{1}{6})^{n-1}+(\frac{1}{2})^{n+1}$,
   $q_{n}=\frac{3}{7}+\frac{1}{14}(-\frac{1}{6})^{n-1}$,
   $r_{n}=\frac{2}{7}-\frac{1}{28}(-\frac{1}{6})^{n-1}-(\frac{1}{2})^{n+1}$……(答)

【蛇足】(2) のヒントがなかったら固有値を求める。(2) の冒頭で求めた連立漸化式を行列で表現すれば
   $\left[ \begin{array}{ccc} \frac{1}{2} & \frac{1}{3} & 0\\ \frac{1}{2} & \frac{1}{3} & \frac{1}{2} \\ 0 & \frac{1}{3} & \frac{1}{2}\end{array} \right]$
これの固有値を計算すると $\lambda=1,-\frac{1}{6},\frac{1}{2}$ であり、それに対応する固有ベクトルはそれぞれ
   $\left[ \begin{array}{c} 1 \\ \frac{3}{2} \\1 \end{array} \right], \left[ \begin{array}{c} 1 \\ -2 \\ 1 \end{array} \right], \left[ \begin{array}{c} -1 \\ 0 \\ 1 \end{array} \right]$
なので
   $P=\left[ \begin{array}{ccc} 1& 1& -1\\ \frac{2}{3} & -2& 0\\ 1 & 1 & 1 \end{array} \right]$
という行列が得られる。$p_{n},q_{n},r_{n}$ が作る列ベクトルを $\vec{x}$ とし、$\vec{x}=P\vec{y}$ という座標変換をすれば、
   $\vec{y}= \left[ \begin{array}{ccc} 1& 0& 0\\ 0 & (-\frac{1}{6})^{n-1} & 0 \\ 0 & 0 & (\frac{1}{2})^{n-1} \end{array} \right] \vec{y_{1}}$
ただし
   $\vec{y_{1}}=P^{-1}\vec{x_{1}}=P^{-1} \left[ \begin{array}{c} \frac{1}{2} \\ \frac{1}{2} \\0 \end{array} \right] $
と求まる。ちなみに
   $P^{-1}=\frac{1}{14}\left[ \begin{array}{ccc} 4& 4& 4\\ 3 & -4 & 3 \\ -7 & 0 &7 \end{array} \right]$
である。第2行、第3行にそれぞれ $(3,-4,3)$ と $(1,0,-1)$ という $s_{n},t_{n}$ の係数(の定数倍)が現れている。
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