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【入試問題研究】 大阪大学 2019年度 前期日程 理系
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【第1問】 以下の問いに答えよ。ただし、$\log $ は自然対数、$e$ はその底とする。
(1) $b$ を実数とする。関数
   $f(x)=\int_{x}^{b} e^{-\frac{t^2}{2}} dt - \frac{x}{x^2+1} e^{-\frac{x^2}{2}}$
は単調に減少することを示せ。
(2) $a \leq b$ を満たす正の実数 $a,b$ に対し、不等式
   $\frac{a}{a^2+1}e^{-\frac{a^2}{2}} -\frac{b}{b^2+1}e^{-\frac{b^2}{2}} \leq \int_{a}^{b}e^{-\frac{t^2}{2}}dt \leq e^{-\frac{a^2}{2}}(b-a)$
が成り立つことを示せ。
(3) 数列 $\{ I_{n}\}$ を次のように定める。
   $I_{n}=\int_{1}^{2}e^{-\frac{nt^2}{2}}dt$ ($n=1,2,3,\cdots$)
このとき極限
    $\lim_{n\rightarrow \infty}\frac{1}{n}\log I_{n}$
を求めよ。ただし、
    $\lim_{n\rightarrow \infty}\frac{1}{n}\log(n+1)=0$
を用いてもよい。


【解】(1) 導関数が負になることを言う。そのために
   $\frac{d}{dx}\int_{a}^{x}f(t)dt =f(x)$
の公式を使う。
   $f(x)=-\int_{b}^{x} e^{-\frac{t^2}{2}} dt - \frac{x}{x^2+1} e^{-\frac{x^2}{2}}$
を微分すると
   $f'(x)=-e^{-\frac{x^2}{2}} -\frac{-x^2+1}{(x^2+1)^2}e^{-\frac{x^2}{2}}+\frac{x}{x^2+1}x e^{-\frac{x^2}{2}} $
   $=-e^{-\frac{x^2}{2}} (1+\frac{-x^2+1}{(x^2+1)^2} - \frac{x^2}{x^2+1})$
   $=-e^{-\frac{x^2}{2}} \cdot \frac{(x^2+1)^2 -x^2+1 -x^2(x^2+1)}{(x^2+1)^2}$
   $=-e^{-\frac{x^2}{2}} \cdot \frac{2}{(x^2+1)^2}<0$ ■

(2) 単調減少だから $f(b) \leq f(a)$ である。ところで
   $f(b)=0-\frac{b}{b^2+1} e^{-\frac{b^2}{2}}$,
   $f(a)=\int_{a}^{b}e^{-\frac{t^2}{2}}dt-\frac{a}{a^2+1} e^{-\frac{a^2}{2}}$
だから
   $-\frac{b}{b^2+1} e^{-\frac{b^2}{2}} \leq \int_{a}^{b}e^{-\frac{t^2}{2}}dt-\frac{a}{a^2+1} e^{-\frac{a^2}{2}}$,
   $\frac{a}{a^2+1} e^{-\frac{a^2}{2}}-\frac{b}{b^2+1} e^{-\frac{b^2}{2}} \leq \int_{a}^{b}e^{-\frac{t^2}{2}}dt$
2つ目の不等号を示すには、関数 $e^{-\frac{t^2}{2}}$ が $t\geq 0$ において単調減少であることを使う。
下図より
   $ \int_{a}^{b}e^{-\frac{t^2}{2}}dt \leq e^{-\frac{a^2}{2}}(b-a)$ ■
   

(3) $I_{n}$ を $\sqrt{n}t=x$ と置換積分する。$\sqrt{n}dt=dx,t=1 \rightarrow 2,x=\sqrt{n} \rightarrow 2\sqrt{n}$ に注意して
   $I_{n}=\frac{1}{\sqrt{n}} \int_{\sqrt{n}}^{2\sqrt{2}}e^{-\frac{x^2}{2}}dx$
はさみ打ち論法に持ち込むために、前問で証明した不等式に $a=\sqrt{n},b=2\sqrt{n}$ を代入すれば
   $\frac{\sqrt{n}}{n+1}e^{-\frac{n}{2}} -\frac{2\sqrt{n}}{4n+1} e^{-2n} \leq \int_{\sqrt{n}}^{2\sqrt{n}} e^{-\frac{x^2}{2}} dx \leq e^{-\frac{n}{2}}\sqrt{n}$
$\sqrt{n}$ で割れば
   $\frac{1}{n+1}e^{-\frac{n}{2}} -\frac{2}{4n+1}e^{-2n} \leq I_{n} \leq e^{-\frac{n}{2}}$
ここで対数を取りたいところだがこのままではうまくいかない。そこで $e^{-2n}<e^{-\frac{n}{2}}$ に注意して
   $\frac{1}{n+1}e^{-\frac{n}{2}} -\frac{2}{4n+1}e^{-2n} >\frac{1}{n+1}e^{-\frac{n}{2}} -\frac{2}{4n+1}e^{-\frac{n}{2}}=\frac{2n-1}{(n+1)(4n+1)}e^{-\frac{n}{2}}$
よって
   $\frac{2n-1}{(n+1)(4n+1)}e^{-\frac{n}{2}}<I_{n} \leq e^{-\frac{n}{2}}$
対数をとると
   $-\frac{n}{2}+\log(2n-1)-\log(n+1)-\log(4n+1)<\log I_{n} \leq -\frac{n}{2}$
これを $n$ で割ると
   $-\frac{1}{2}+\frac{\log(2n-1)}{n}-\frac{\log(n+1)}{n}-\frac{\log(4n+1)}{n} <\frac{1}{n}\log I_{n} \leq -\frac{1}{2}$
ここで極限をとると3つの $\log$ はすべて $0$ に近づく。実際、
   $\lim \frac{\log(n+1)}{n}=0$
を前提とすれば
   $\frac{\log(2n-1)}{n}=\frac{2n-2}{n}\cdot \frac{\log(2n-1)}{2n-2} \rightarrow 2\times 0=0$,
   $\frac{\log(4n+1)}{n}=\frac{4n}{n}\cdot \frac{\log(4n+1)}{4n} \rightarrow 4\times 0=0$
である。はさみ打ちにすると
   $-\frac{1}{2}\leq \lim \frac{1}{n}I_{n} \leq -\frac{1}{2}$
よって求めるべき極限値は $-\frac{1}{2}$……(答)
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【第2問】 自然数 $a,b$ に対し、
   $w=\cos \frac{a\pi}{3+b} +i \sin\frac{a\pi}{3+b} $
とおく。ただし、$i$ は虚数単位とする。複素数 $z_{n}$ ($n=1,2,3,\cdots$) を以下のように定める。
   $z_{1}=1,z_{2}=1-w,z_{n}=(1-w)z_{n-1}+wz_{n-2}$ ($n=3,4,5,\cdots$)
このとき以下の問いに答えよ。
(1) $a=4,b=3$ のとき、複素数平面上の点 $z_{1},z_{2},z_{3},z_{4},z_{5},z_{6},z_{7}$ をこの順に線分で結んでできる図形を図示せよ。
(2) $a=2,b=1$ のとき、$z_{63}$ を求めよ。
(3) さいころを 2回投げ、1回目に出た目を $a$, 2回目に出た目を $b$ とする。このとき $z_{63}=0$ である確率を求めよ。

【解】(1)$w=\cos \frac{2\pi}{3} +i \sin\frac{2\pi}{3}=\frac{-1+\sqrt{3}i}{2}$ は 1の立方虚根だから $w^2+w+1=0$ に注意する。
数列を順次追っていくと
   $z_{1}=1$,
   $z_{2}=1-w$,
   $z_{3}=(1-w)^2+w=-2w$,
   $z_{4}=-2w(1-w)+w(1-w)=-2w-1$,
   $z_{5}=-(2w+1)(1-w)-2w^2=-w-1(=w^2)$,
   $z_{6}=-(1-w)(1+w)-w(2w+1)=0$,
   $z_{7}=w(-w-1)=1$
だから、図のような正6角形ができる。 ……(答)
   

(2) しかし初項は $z_{0}=0$ にしておくとよいと思う(これでも所与の漸化式を満たす)。別の数値を与えても、この数列は正多角形を作る。なぜならば、漸化式を変形すると
   $z_{n}-z_{n-1}=-w(z_{n-1}-z_{n-2})$ ……(*)
だから絶対値は
   $|z_{n}-z_{n-1}|=|w||z_{n-1}-z_{n-2}|=|z_{n-1}-z_{n-2}|$
で辺の長さが等しく、偏角も
   $\arg(\frac{z_{n}-z_{n-1}}{z_{n-1}-z_{n-2}})=\arg(-w)=\frac{a\pi}{3+b}+\pi$
で一定である。一歩歩いたら、決まった角度だけ向きを変えてまた一歩歩く、の繰り返しだ。だから正確に言うと「正多角形」だけでなくペンタグランマのような形も含む。
   
しかし何歩か歩くうちに元の場所に戻ってくる。実際 (*) より階差が等比だから
   $z_{n}-z_{n-1}=(-w)^{n-2}(z_{2}-z_{1})=(-w)^{n-1}$,
   $z_{n}=z_{1}+\sum_{k=1}^{n-1} (-w)^k=\frac{1-(-w)^n}{1+w}$
$\arg(-w)$ の $n$ 倍が $2\pi$ の整数倍になれば「初項」の $z_{0}=0$ に戻ってくる。
ただし例外があって、$w=-1$ だと等比の和の分母が 0になる、というよりそもそも
   $z_{n}-z_{n-1}=z_{2}-z_{1}=1$,
   $z_{n}=z_{1}+\sum_{k=1}^{n-1} 1=n$
で無限の彼方へ飛んで行ってしまう。
さて$a=2,b=1$ のときは
   $w=\cos \frac{\pi}{2} +i \sin\frac{\pi}{2}=i$
だから
   $z_{n}=\frac{1-(-i)^n}{1+i}$
となる。$-i$ は単位円上、6時の点だから 4の倍数乗で 1になる。つまり
   $(-i)^{63}=\{ (-i)^4 \}^{15} \times (-i)^3=1^{15}\times i=i$
である。よって
   $z_{63}=\frac{1-(-i)^{63}}{1+i}=\frac{1-i}{1+i}=-i$ ……(答)

(3) $z_{63}=\frac{1-(-w)^{63}}{1+w}=0$ ということは、$-w$ の偏角、すなわち
   $\arg(-w)=\frac{a\pi}{3+b}+\pi$
の $63$ 倍が $2\pi$ の整数倍ということだ。つまり
   $63(\frac{a\pi}{3+b}+\pi) \equiv 0(mod.2\pi)$
さいころであることから、$1\leq a\leq6,4 \leq 3+b \leq 9$ なので
   $\frac{\pi}{9} \leq \frac{a\pi}{3+b} \leq \frac{6\pi}{4}=\frac{3\pi}{2}$
ここで $\frac{a}{3+b}$ を約分したら $\frac{c}{d}$ になったとしよう。このとき先の合同式は
   $63 \times \frac{c}{d} \equiv 1 (mod.2)$
となる。分母は 63 の約数でなければならないから、$d\leq 9$ は
   $d=1,3,7,9$
のいずれかであり、分子は
   $c=1,3,5$
のいずれかでなければならない。したがって
   $c/d=1/9,3/9,5/9,1/7,3/7,5/7,1/3,3/3,5/3,1/1,3/1,5/1$
が候補となるが、前述のように
   $\frac{1}{9} \leq \frac{c}{d} \leq \frac{3}{2}$
であることに注意し、かつ既約分数だけに絞ると
   $c/d=1/9,5/9,1/7,3/7,5/7,1/3,1/1$
だが、例外の $w=-1$, すなわち偏角 $(1/1)\pi$ を除かないといけない。
いよいよ、約分する前の状態に戻すためにこれらを倍分して、$1\leq a\leq6,4 \leq 3+b \leq 9$ を求めると
   $a/(3+b)=1/9,5/9,1/7,3/7,5/7,2/6,3/9$
の 7通りだから、求めるべき確率は
   $\frac{7}{36}$ ……(答)
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【第3問】 実数 $s,t$ が $s^2+t^2\leq6$ を満たしながら変わるとき、$xy$ 平面上で点 $(s+t,st)$ が動く領域を $A$ とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1) $(2,\sqrt{2})$ が領域 $A$ の点かどうか判定せよ。
(2) $A$ を図示せよ。
(3) $A$ を $x$ 軸のまわりに 1回転してできる回転体の体積を求めよ。

【解】(1) $s+t=2,st=\sqrt{2}$ という連立方程式を解けばよい。
   $s(2-s)=2 \Rightarrow s^2-2s+2=0$
最後の2次方程式は判別式が $D=4-8<0$ で、実数解 $s,t$ を持たない。よって、領域 $A$ の点ではない。 ……(答)

(2) $x=s+t,y=st$ とおいて、$x,y$ の関係式を求める。
   $s^2+t^2=(s+t)^2-2st\leq 6$
より
   $x^2-2y \leq 6$
でなければならない。でもこれはあくまで必要条件。こうなるような実数 $s,t$ が存在するだろうか、と考える。
$s+t=x,st=y$ という連立方程式を解こうとすると
   $s(x-s)=y \Rightarrow s^2-xs+y=0$
判別式より
   $D=x^2-4y \geq 0$
2つの不等式を合わせて
   $\frac{1}{2}x^2-3 \leq y \leq \frac{1}{4}x^2$
これを図示して
   

(3) 偶関数だから、右半分を2倍すればよい。$x$ 軸より上と下を比較して回転軸から遠い方が大きな立体となり、小さい方はそれに含まれてしまう。どこがその境目かというと
   $\frac{1}{4}x^2=-(\frac{1}{2}x^2-3)$
と等置して
   $x=\pm 2\sqrt{3}$
である。次に、えぐれる部分を引かねばならない。どこから右がえぐれるかというと
   $\frac{1}{2}x^2-3=0 \Rightarrow x=\pm \sqrt{6}$
である。したがって、体積は
   $V=2\{ \pi\int_{0}^{2} (\frac{1}{2}x^2-3)^2dx+ \pi\int_{2}^{2\sqrt{3}} (\frac{1}{4}x^2)^2 dx -\pi\int_{\sqrt{6}}^{2\sqrt{3}} (\frac{1}{2}x^2-3)^2dx \}$
   $=2\pi \{ \int_{0}^{2} (\frac{1}{4}x^4-3x^2+9)dx+ \int_{2}^{2\sqrt{3}} \frac{1}{16}x^4 dx -\int_{\sqrt{6}}^{2\sqrt{3}} (\frac{1}{4}x^4-3x^2+9)dx \}$
$\{ \}$ 内を計算すると
   $[ \frac{1}{20}x^5-x^3+9x]_{0}^{2} -[ \frac{1}{20}x^5-x^3+9x]_{\sqrt{6}}^{2\sqrt{3}} +[\frac{1}{80}x^5]_{2}^{2\sqrt{3}} $
   $=\frac{1}{20}(32-288 \sqrt{3}+36\sqrt{6})-(8-24\sqrt{3}+6\sqrt{6})+9(2-2\sqrt{3}+\sqrt{6})+\frac{1}{80}(288\sqrt{3}-32)$
   $=(\frac{8}{5}-8+18-\frac{2}{5})+(-\frac{72}{5}+24-18+\frac{18}{5})\sqrt{3}+(\frac{9}{5}-6+9)\sqrt{6}$
   $=\frac{56}{5}-\frac{24}{5}\sqrt{3}+\frac{24}{5}$
だから
   $V=2\pi(\frac{56}{5}-\frac{24}{5}\sqrt{3}+\frac{24}{5})=\frac{112-48\sqrt{3}+48\sqrt{6}}{5}\pi$ ……(答)
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【第4問】 下の図は、$\frac{1}{1}$ から始めて分数 $\frac{p}{q}$ の左下に分数 $\frac{p}{p+q}$, 右下に分数 $\frac{p+q}{q}$ を配置するという規則でできた樹形図の一部である。このとき以下の問いに答えよ。
(1) この樹形図に現れる分数はすべて既約分数であることを示せ。ただし整数 $\frac{n}{1}$ は既約分数とみなす。
(2) すべての正の有理数がこの樹形図に現れることを示せ。
(3) この樹形図に現れる有理数はすべて異なることを示せ。
(4) $\frac{19}{44}$ はこの樹形図の上から何段目の左から何番目に配置されるか答えよ。たとえば、$\frac{3}{1}$ は上から 3段目の左から 4番目である。
   

【解】(1) 帰納法による。$\frac{1}{1}$ は既約分数である。$\frac{p}{q}$ が既約分数であると仮定する。最大公約数は
   $(p,q)=1$
である。このとき、その子 $\frac{p}{p+q}$ も既約分数である。なぜなら、最大公約数は
   $(p,p+q)=1$
だからである。実際、$(p,p+q)=d>1$ とすれば
   $p=ad,p+q=bd \Rightarrow q=bd-ad=(b-a)d,(p,q)=(ad,(b-a)d) \geq d$
となり矛盾。$(p+q,q)=1$ の方も $p,q$ の役割を交換するだけだから同様である。■

(2) 有理数 $\frac{a}{b}$ を実際に頂点にいる先祖(アダム・イブ)である $\frac{1}{1}$ から作ってやればよい。それにはユークリッドの互除法を使う。例えば $\frac{19}{44}$ ならば
   
のように割り算して、
   $44=19 \times 2 +6$,
   $19=6 \times 3 +1$,
   $6=1 \times 6$
最大公約数が 1 だから、最後から 2つ目の余りは 1 である。先祖をたどっていくと
   $\frac{19}{44} \leftarrow \frac{19}{25} \leftarrow \frac{19}{6}$($2$世代前),
   $\frac{19}{6} \leftarrow \frac{13}{6} \leftarrow \frac{7}{6} \leftarrow \frac{1}{6}$($3$世代前),
   $\frac{1}{6} \leftarrow \frac{1}{5} \leftarrow \frac{1}{4} \leftarrow \frac{1}{3} \leftarrow \frac{1}{2} \leftarrow \frac{1}{1}$($6-1=5$世代前)
これを逆に進めば子孫が得られる。一般に
   $a=b \times q +r$,
   $b=r \times q' +r'$,
   $r=r' \times q''+ r''$
   $\cdots \cdots$
   $r'=r'' \times q'''+1$,
   $r''=1 \times r''$
となるから
   $\frac{a}{b} \leftarrow \frac{a-bq}{b} $($q$世代前),
   $\frac{r}{b} \leftarrow \frac{r}{b-rq'} $($q'$世代前),
   $\frac{r}{r'} \leftarrow \frac{r-r'q''}{r'} $($q''$世代前),
   $\cdots \cdots$
   $\frac{r''}{r'} \leftarrow \frac{r''}{r'-r''q'''}$($q'''$世代前),
   $\frac{r''}{1} \leftarrow \frac{1}{1}$($r''-1$世代前)
これを先祖から子孫に向かって降りていくならば
   $\frac{1}{1} \rightarrow \frac{r''}{1} $($r''-1$世代後),
   $\frac{r''}{1} \rightarrow \frac{r''}{r''q'''+1}=\frac{r''}{r'}$($q'''$世代後),
   $\frac{r''}{r'} \rightarrow \frac{r'q''+r''}{r'}=\frac{r}{r'} $($q''$世代後),
   $\cdots \cdots$
   $\frac{r}{r'} \rightarrow \frac{r}{rq'+r'}=\frac{r}{b} $($q'$世代後),
   $\frac{r}{b} \rightarrow \frac{bq+r}{b}=\frac{a}{b}$($q$世代後)
これで任意の正の有理数が $\frac{1}{1}$ から作れることが示された。■

(3) 系図の異なる場所に等しい有理数 $r_{1}$ があったとする。
   
それぞれ、そこから先祖をたどる。右上に行ったり左上に行ったりして先祖に向かうのだが、右上なら
   $\frac{p}{q} \leftarrow \frac{p}{q-p}$
と変化し、左上なら
   $\frac{p}{q} \leftarrow \frac{p-q}{q}$
と変化する。この変化法は一定なので、$r_{1}$ から始めて同じ方法で上に上がっていけば、お互いに同じ数値をたどっていき、最上 $r_{2}$ までたどれる。ここで両者の先祖探しの旅は分岐点となる。(分岐点が現れなければアダム・イブまで同じ経路となり、そもそも $r_{1}$ は同じ場所にあったことになる。) 分岐点で片方は右上に上がって $\frac{a}{b}$ になり、他方は左上に上がって $\frac{c}{d}$ になったとするなら、両者は分岐点で
   $r_{2}=\frac{a}{a+b}=\frac{c+d}{d}$
とならねばならない。このとき
   $(a+b)(c+d)=ad \Leftrightarrow ac+bc+bd=0$
$a,b,c,d$ は正の整数だからこれはありえない。よって系図の中に異なる有理数は現れない。■

(4) 先ほどに示したように子孫をたどれば
   $\frac{1}{1} \rightarrow \frac{1}{2} \rightarrow \frac{1}{3} \rightarrow \frac{1}{4} \rightarrow \frac{1}{5} \rightarrow \frac{1}{6}$(上から$6$段目),
   $\frac{1}{6} \rightarrow \frac{7}{6} \rightarrow \frac{13}{6} \rightarrow \frac{19}{6}$(上から$6+3$段目),
   $\frac{19}{6} \rightarrow \frac{19}{25} \rightarrow \frac{19}{44}$(上から$6+3+2=11$段目),
問題は左から何番目かである。
   
$\frac{1}{6}$ では1番左だが、3世代後の $\frac{19}{6}$ では子孫が $2^3=8$人できるから左から 8番目だ。そこからさらに 2世代下ると左側に $7 \times 2^2=28$人の子孫がいるから、$\frac{44}{19}$ は左から 29番目だ。
【答】11段目の左から29番目。
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【第5問】 座標空間内の2つの球面
   $S_{1}:(x-1)^2+(y-1)^2+(z-1)^2=7$

   $S_{2}:(x-2)^2+(y-3)^2+(z-3)^2=1$
を考える。$S_{1}$ と $S_{2}$ の共通部分を $C$ とする。このとき以下の問いに答えよ。
(1) $S_{1}$ との共通部分が $C$ となるような球面のうち、半径が最小となる球面の方程式を求めよ。
(2) $S_{1}$ との共通部分が $C$ となるような球面のうち、半径が $\sqrt{3}$ となる球面の方程式を求めよ。

【解】(1) 共通部分は円になる。その円が載っている平面を求めよう。2式を辺々引いて
   $2x-3+4y-8+4z-8=6$
係数のベクトル、すなわち法線ベクトル $(2,4,4)$ をその絶対値 $\sqrt{2^2+4^2+4^2}=6$ で割って、正規化しておこう。
   $\pi:\frac{1}{3}x+\frac{2}{3}y+\frac{2}{3}z=\frac{25}{6}$
この円が赤道になるように、球面を設定すれば、それが半径最小の球面である。赤道の中心(=球の中心)は、$S_{1}$ の中心 $(1,1,1)$ から平面 $\pi$ に下ろした垂線の足である。垂線の方程式は
   $l:(x,y,z)=(1,1,1)+t(\frac{1}{3},\frac{2}{3},\frac{2}{3})$
である。ここで方向ベクトルは単位ベクトルだから、$t$ の絶対値が距離を表す。この直線と $\pi$ との交点を求めると
   $\frac{1}{3}(1+\frac{1}{3}t)+\frac{2}{3}(1+\frac{2}{3}t)+\frac{2}{3}(1+\frac{2}{3}t)=\frac{25}{6}$
   $ \rightarrow \frac{5}{3}+t=\frac{25}{6} \rightarrow t=\frac{5}{2}$
より
   $(x,y,z)=(1,1,1)+\frac{5}{2}(\frac{1}{3},\frac{2}{3},\frac{2}{3})=(\frac{11}{6},\frac{8}{3},\frac{8}{3})$
これが球面の中心である。
   
求めるべき球面の半径は、上図より
   $r=\sqrt{\sqrt{7}^2-(\frac{5}{2})^2}=\frac{\sqrt{3}}{2}$
だから、球面の方程式は
   $(x-\frac{11}{6})^2+(y-\frac{8}{3})^2+(z-\frac{8}{3})^2=\frac{3}{4}$ ……(答)

(2) 今度は円 $C$ は赤道(大円)ではなく、緯線(小円)になる。
   
今度の球面の中心は、さきの垂線上またはその延長上にある。球の半径が $\sqrt{3}$ で、小円の半径が $\frac{\sqrt{3}}{2}$ だったから、球の中心から小円の中心までの距離は
   $\sqrt{\sqrt{3}^2-(\frac{\sqrt{3}}{2})^2} = \frac{3}{2}$
である。垂線上、垂線の足から前後に $\pm \frac{3}{2}$ だけ行ったところに球の中心があると分かる。よって球の中心は
   $(x,y,z)=(\frac{11}{6},\frac{8}{3},\frac{8}{3}) \pm\frac{3}{2}( \frac{1}{3},\frac{2}{3},\frac{2}{3})=(\frac{7}{3},\frac{11}{3},\frac{11}{3}),(\frac{4}{3},\frac{5}{3},\frac{5}{3})$
よって球面の方程式は次の2つだ。
   $(x-\frac{7}{3})^2+(y-\frac{11}{3})^2+(z-\frac{11}{3})^2=3$,
   $(x-\frac{4}{3})^2+(y-\frac{5}{3})^2+(z-\frac{5}{3})^2=3$ ……(答)
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