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【入試問題研究】 金沢大学 2019年度 前期日程 理工・医薬保
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【第1問】 $k$ を正の定数とする。2次方程式 $z^2-2kz+1=0$ が虚数解をもつとし、虚部が正の虚数解を $\alpha$ とする。次の問いに答えよ。
(1) $k$ の値の範囲を求めよ。また、$|\alpha|$ を求めよ。
(2) $\cos \frac{5}{12}\pi$ の値を求めよ。
(3) 複素数平面において、$\alpha^3$ が第3象限にあり、かつ $\alpha^6$ が第1象限にあるときの $\alpha$ の偏角 $\theta(0\leq\theta<2\pi)$ と $k$ の値の範囲を求めよ。ただし、座標軸の点は、どの象限にも属さない。
(4) (3) において求めた範囲に $\alpha$ があるとき、$|1-\alpha^5|$ の値の範囲を求めよ。


【解】(1) 判別式より
   $D/4=k^2-1<0 \Rightarrow -1<k<1$
だが、なぜだか $k>0$ と書いてあるので、$0<k<1$……(答)
また、解と係数の関係から
   $|\alpha|^2=\alpha\bar{\alpha}=\frac{1}{1}=1 \Rightarrow |\alpha|=1$……(答)

(2) $\cos \frac{5}{12}\pi=\cos 75^\circ=\cos(45^\circ+30^\circ)=\cos 45^\circ\cos 30^\circ-\sin 45^\circ\sin 30^\circ$
   $=\frac{\sqrt{2}}{2}\cdot \frac{\sqrt{3}}{2}-\frac{\sqrt{2}}{2}\cdot \frac{1}{2}=\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}$……(答)

(3) $\alpha=k+i\sqrt{1-k^2},0<k<1$ だから、その偏角は
   $0<\theta<\frac{\pi}{2}$
3乗すれば偏角は3倍になり、それが第3象限だから
   $0<\pi<3\theta<\frac{3}{2}\pi$
よって
   $\frac{\pi}{3}<\theta<\frac{\pi}{2}$
6乗すれば偏角は6倍になり、それが第1象限だから
   $2\pi<6\theta<\frac{5}{2}\pi<3\pi$
よって
   $\frac{\pi}{3}<\theta<\frac{5}{12}\pi$……(答)
この偏角に対応する $\alpha=k+i\sqrt{1-k^2},0<k<1$ の実部 $k$ は
   $\cos \frac{\pi}{3}<k<\cos\frac{5}{12}\pi$
よって
   $\frac{1}{2}>k>\frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4}$……(答)

(4) 5乗すれば偏角は5倍になり、
   $\frac{5}{3}\pi<5\theta<\frac{25}{12}\pi$
   
複素数 $\alpha^5$ はこの偏角に対応する円弧の上を動く。1 との距離が一番遠いのは、$5\theta=\frac{5}{3}\pi$ に対応する
   $|1-(\cos\frac{5}{3}+i\sin\pi\frac{5}{3}\pi)|$
で、これは 1辺 1の正三角形の辺の長さだから 1であり、距離が一番近いのは $\alpha^5$ 自身が $\alpha^5=1$ と重なるときであるから
   $|1-1|=0$
したがって、$0\leq |1-\alpha^5|<1$……(答)
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【第2問】 座標平面に 2曲線 $C_{1}:y=\sqrt{x}-4(x>0)$ と $C_{2}:y=-\sqrt{1-x}(x<1)$ がある。次の問いに答えよ。
(1) $C_{1}$ は区間 $x>0$ で上に凸であることを示せ。
(2) 点 $F(\frac{1}{2},-2)$ に関して、点 $P$ と対称な点を $Q$ とする。点 $P$ が $C_{1}$ 上を動くとき、点 $Q$ の軌跡が $C_{2}$ であることを示せ。
(3) $C_{1}$ 上の点 $A$ における法線 $l$ が点 $F$ を通るとし、$l$ と $C_{2}$ の共有点を $B$ とする。このとき、$A$ の座標 $(x_{1},y_{1})$ および $B$ の座標 $(x_{2},y_{2})$ をそれぞれ求めよ。
(4) $C_{1}$ 上に点 $X_{1}$, $C_{2}$ 上に点 $X_{2}$ をとる。線分 $X_{1}X_{2}$ の長さの最小値を求めよ。

【解】(1) 2階微分の符号を見れば分かる。
   $y'=\frac{1}{2\sqrt{x}}$,
   $y''=-\frac{1}{4\sqrt{x^3}}<0$
よって、上に凸。■

(2) $P(x,y),Q(X,Y)$ とおく。この2点の中点が $F$ だから
   $\frac{x+X}{2}=\frac{1}{2},\frac{y+Y}{2}=-2$
これを $y=\sqrt{x}-4$ に代入すれば
   $-4-Y=\sqrt{1-X}-4$,
   $Y=-\sqrt{1-X}$
最後の式(で文字を大文字にしたもの)が $Q$ の軌跡の式だから、これで証明できた。■

(3) 点 $A$ における法線の方程式は
   $y-(\sqrt{x_{1}}-4)=-2\sqrt{x_{1}}(x-x_{1})$
でこれが $F$ を通るので代入して
   $-2-\sqrt{x_{1}}+4=-\sqrt{x_{1}}+2\sqrt{x_{1}^3}$
$t=\sqrt{x_{1}}$ とおいて
   $2t^3-2=2(t-1)(t^2+t+1)=0$
$t$ はこの2次方程式の実数解でなければならないから、$t=\sqrt{x_{1}}=1,x_{1}=1,y_{1}=\sqrt{x_{1}}-4=-3$
点 $B$ は線分 $AF$ を $2:1$ に外分する点だから
   $B=\frac{-A+2F}{2-1}=-(1,-3)+2(\frac{1}{2},-2)=(0,-1)$
したがって
   $(x_{1},y_{1})=(1,-3),(x_{2},y_{2})=(0,-1)$……(答)
   

(4) $A$ と $B$ がそれなんだろうと予想はつく。この2点において、それぞれ $C_{1},C_{2}$ の接線を引く。$C_{1}$ は上に凸だからグラフ全体はこの接線の下側にある。 これと点対称な$C_{2}$ は下に凸でグラフ全体が接線の上側にある。
2本の接線は平行になるが、この2本の直線の間の距離を $d$ としたら、2つのグラフ上の点を結ぶ線分の長さは常に $d$ 以上である。でも、だからといって最小値が $d$ であると速断してはいけない。ちょうど距離が $d$ となる2点が存在しないといけない。ところが線分 $AB$ はこの平行線の法線だったから、$AB$ の長さが $d$ の値そのものである。
よって、$X_{1}=A,X_{2}=B$ のときが最も近い2点であり、その距離は
   $d=\sqrt{(1-0)^2+(-3-(-1))^2}=\sqrt{5}$……(答)
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【第3問】 座標平面において、
   $x=\sin t,y=\cos t-\sin t(0\leq t \leq 2\pi)$
で表される曲線を $C_{1}$ とし、$x$ 軸に関して $C_{1}$ と対称な曲線を $C_{2}$ とする。$C_{1}$ で囲まれる図形と $C_{2}$ で囲まれる図形の共通部分の面積 $S$ を求めよ。

【解】(1) $\sin$ を消去しよう。
   $y=\pm \sqrt{1-\sin^ t}-\sin t=-x\pm \sqrt{1-x^2},(-1\leq x\leq 1)$
上側分枝は $y=f(x)=-x+ \sqrt{1-x^2}$ だが微分すると
   $f'(x)=-1-\frac{x}{\sqrt{1-x^2}}=-\frac{x+\sqrt{1-x^2}}{\sqrt{1-x^2}}$
臨界点は $x=-\sqrt{1-x^2},x\leq 0$ を解いて
   $x=-\frac{1}{\sqrt{2}}$
これの前後で導関数の符号は正から負に変わるからここで極大である。左端点、極大点、切片、右端点を調べると
   $f(-1)=1,f(-\frac{1}{\sqrt{2}})=\sqrt{2},f(0)=1,f(1)=-1$
これは $y=-x$ のグラフ(下図の緑の直線)に $y=\sqrt{1-x^2}$ という上半円を乗っけたものである。
一方、下側分枝は $y=g(x)=-x- \sqrt{1-x^2}$ だが微分すると
   $g'(x)=-1+\frac{x}{\sqrt{1-x^2}}=\frac{x-\sqrt{1-x^2}}{\sqrt{1-x^2}}$
臨界点は $x=\sqrt{1-x^2},x\geq 0$ を解いて
   $x=\frac{1}{\sqrt{2}}$
これの前後で導関数の符号は負から正に変わるからここで極小である。左端点、切片、極小点、右端点を調べると
   $g(-1)=1,g(0)=-1,g(\frac{1}{\sqrt{2}})=-\sqrt{2},g(1)=-1$
これは $y=-x$ のグラフに $y=-\sqrt{1-x^2}$ という下半円を乗っけた(ぶら下げた)ものである。
曲線 $C_{1}$ は下図の青線である。これを折り返した赤線が $C_{2}$ である。共通部分の面積は図中のピンクの部分を4倍すればよい。
   
   $\frac{S}{4}=\int_{0}^{1/\sqrt{2}} (-x+\sqrt{1-x^2})dx=\int_{0}^{1/\sqrt{2}}\sqrt{1-x^2} dx-\int_{0}^{1/\sqrt{2}} x dx$
最後の式に出てきた2つの積分は次のようになる。
   $\int_{0}^{1/\sqrt{2}}\sqrt{1-x^2} dx$
だが、これは半径1の円の面積より求まる。
   
扇形に直角三角形を足して
   $=\frac{1}{8}\pi\cdot 1^2+\frac{1}{2}\cdot (\frac{1}{\sqrt{2}})^2=\frac{\pi}{8}+\frac{1}{4}$
後半の積分は
   $\int_{0}^{1/\sqrt{2}} x dx=[\frac{1}{2}x^2]_{0}^{1/\sqrt{2}} =\frac{1}{4}$
したがって
   $S=4(\frac{\pi}{8}+\frac{1}{4}-\frac{1}{4})=\frac{\pi}{2}$……(答)

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【第4問】 $p$ を 2より大きい素数、$n$ を正の整数とする。$1\leq k \leq p^n$ を満たす整数 $k$ で、$p$ と互いに素であるもの全体の集合を $A$ とする。次の問いに答えよ。
(1) $p=3,n=2$ のとき、集合 $A$ を求めよ。
(2) $A$ に属する整数の個数、および $A$ に属するすべての整数の和を求めよ。
(3) $A$ に属する整数 $k$ に対して、$kl-1$ が $p^n$ の倍数となるような $A$ に属する整数 $l$ が存在し、それはただ一つであることを示せ。ただし、整数 $a$ と $b$ が互いに素であるとき、1次不定方程式 $ax+by=1$ は、整数解をもつことが知られている。必要ならばこの事実を利用してよい。
(4) $A$ に属するすべての整数 $k$ についての $\frac{1}{k}$ の和を既約分数で表したとき、分子は $p^n$ の倍数となることを示せ。

【解】(1) $p=3$ と素だから、$k=3,6,9,12,15,\cdots$ のような $p$ の倍数 $mp$ を除く。
   $A=\{1,2,\cdots,3^2\}-\{ 1 \times 3,2\times 3,3\times 3\}=\{1,2,4,5,7,8\}$……(答)

(2) $\{1,2,\cdots,p^n\}$ から除かれるのは
   $\{ 1\times p,2\times p,3\times p,\cdots,p^{n-1}\times p\}$
の $p^{n-1}$ 個である。よって求めるべき個数は
   $p^n-p^{n-1}=p^{n-1}(p-1)$……(答)
で、和は
   $(1+\cdots+p^n)-(1\times p+\cdots +p^{n-1}\times p)=\frac{p^n(p^n+1)}{2}-\frac{p^{n-1}(p^{n-1}+1)}{2}p$
   $=\frac{1}{2}\{ p^n(p^n+1)-p^n(p^{n-1}+1)\}=\frac{1}{2}\{ p^n(p^n+1)-p^n(p^{n-1}+1)\}$
   $=\frac{p^{2n}-p^{2n-1}}{2}=\frac{p^{2n-1}(p-1)}{2}$……(答)

(3) $k$ と $p$(当然 $p^n$ と)は互いに素だから
   $kl_{0}+p^ny_{0}=1$……(*)
なる特殊解 $l_{0},y_{0}$ が存在する。一般解は
   $kl+p^ny=1$
と辺々引いて$k(l-l_{0})+p^n(y-y_{0})=0$ だから $k(l-l_{0})=-p^n(y-y_{0})=kp^nt$ とおいて
   $l=l_{0}+p^nt$
これが集合 $A$ の中に落ちなければならないから
   $l_{0}=-p^nt+l$
と変形できるので、$p^n$ で割った余り($0\leq l<p^n$) を $l$ とすればよい。これなら $p$ と素であるからだ。なぜなら、もしそうでないとしたら上式の右辺が $p$ で割り切れるから、左辺の $l_{0}$ も割り切れる。
(*) より今度は 1 が $p$ で割り切れることになり不合理だからである。
最後に一意性だが、もし解が 2つ $l,l'(l> l')$ とあったとしたら
   $kl+p^ny=1,kl'+p^ny'=1$
となり辺々引いて
   $k(l-l')+p^n(y-y')=0$
だが、ここで $y-y'\neq 0$ なら $l-l'$ は $p^n$ で割り切れる。ところが $1\leq l,l'\leq p^n$ だから
   $0< l-l' <p^n$
なのでありえない。よって $y-y'=0 \Rightarrow l=l'$ これで「ただ一つ」存在が示せた。■

(4) どうせ(3)を使うにきまってる。(3)に出てきたような $k,l$ の組をカップルと言うことにしよう。集合 $A$ は2数ずつのカップルに分かれるかというと、例外がある。
   $k^2-1=(k-1)(k+1)=mp^n,1\leq k<p^n$
というように、「(自分自身との積)-1」が倍数になることがある(カップルでなく独りボッチ)。このとき $k-1,k+1$ の両方が $p$ で割り切れることはない。もしそうなら、2数の差=2 が$p$ で割り切れることになるが、$p\neq 2$ だからそれはない。ということは、どちらか片方のみが $p^n$ で割り切れる。しかるに
   $0\leq k-1\leq p^n-2,2\leq k+1 \leq p^n$
だから、倍数になるのは
   $k-1=0 \Rightarrow k=1$
か、
   $k+1=p^n \Rightarrow k=p^n-1$
でなければならない。だから可能性があるのは、$1,p^n-1$ の二つのみだ。実際調べると
   $1 \times 1-1=0=0 \times p^n$,
   $(p^n-1)(p^n-1)-1=p^{2n}-2p^n=p^n(p^n2)$
なので、$1,p^n-1$ は二つともボッチであり、ボッチはこれ以外にはない。
これだけ準備して、逆数和の証明に移る。例えば
   $\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{4}+\frac{1}{5}+\frac{1}{7}+\frac{1}{8}$
の場合だったら、ボッチの分母 $1,8$ は外して残りを一気に通分する。
   $(\frac{1}{2}+\frac{1}{5})+(\frac{1}{4}+\frac{1}{7})=\frac{(4\cdot 5\cdot 7+2\cdot 4\cdot 7)+(2\cdot 5\cdot 7+2\cdot 4\cdot 5)}{2 \cdot 4\cdot 5\cdot 7}$
注意点:ふつう分母は最小公倍数にするが、単純にすべての分母の積にする。左辺では足す順番を変えて、カップル同士が隣り合うようにしてある。
これをヒントに一般の場合を考える。$mod.p^n$ とするとカップルでは $kl \equiv 1(mod.p^n)$ だから、通分後の分子 $B$ は
   $B \equiv k\times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $+l \times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $+k'\times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $+l'\times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $+ \cdots \cdots \cdots $
   $+k'' \times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $+ l'' \times 1 \times 1 \times \cdots \times 1$
   $=k+l+k'+l'+\cdots +k''+l''$
   $=\frac{p^{2n-1}(p-1)}{2}-1-(p^n-1)=\frac{p^n\{p^{n-1}(p-1)-2 \}}{2}\equiv 0(mod.p^n)$
最後の合同だが、$p$ は奇数とされていたから、$\{p^{n-1}(p-1)-2 \}$ が偶数になって 2で約分できるから、最後の分数が $p^n$ の倍数になるのである。
一方、分母 $C$ である。単純なカップルたちの積であったから
   $C=2 \times \cdots \times (p^n-2)$
であり、積から $p$ の倍数はすべて除かれている。だからこの積は $p$ では割り切れない。すなわち $C \not\equiv 0(mod.p)$ である。まとめると
   $\frac{B}{C},B\equiv 0(mod.p^n),C \not \equiv 0(mod.p)$
である。あと、ボッチの逆数和は
   $\frac{1}{1}+\frac{1}{p^n-1}=\frac{p^n}{p^n-1}$
だから、カップルとボッチを合わせたすべての逆数の和は
   $\sum \frac{1}{k}=\frac{B}{C}+\frac{p^n}{p^n-1}=\frac{B(p^n-1)+Cp^n}{C(p^n-1)}$
という(未約)分数になる。このあと約分するにしても分母は $p$ では割れない。しかるに分子は $p^n$ の倍数である。したがって既約分数に直したとしても分子には $p^n$ という因子は約されずに残る。■
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